HUNTER×HUNTERの世界に転移した話   作:安滝 信

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ゲーム好きなハンターの視点


閑話 グリードアイランド 始動

 1987年1月1日 午前10:00

満を持して『グリードアイランド』がはじまった。

 

 

 だが実のところ、『グリードアイランド』を1月1日の午前10:00ちょうどから開始した者

は、そこまで多くは無かった。

 

というのも、ゲーム販売会社からゲーム購入者へ、いくつかの注意点が連絡されたせいだ。

 

・始めるにはジョイステーションのメモリーカードが必要

・ゲームオーバーは現実世界でも死を意味する

・あるアイテムを手に入れない限り、ゲームから出ることができない

・長期間の安全を確保できる場所でゲームを開始することを推奨

・購入者自身がハンター協会に受け取りに行くこと

・ゲームソフトはハンター証の認定ナンバーを参照して引き換える

・受け取り期間は12月25日~1月1日

 

 

 ゲームソフトは58億円という超高額商品ということもあり、郵送ではなくて手渡しということになった。

 ハンターたちにしても、郵送されるということは自分の居場所を知られる、ということになる。危険だと考えるだろう。

 

 何しろハンター証を売れば7代は遊んで暮らせる金額が手に入る。ハンター証以外にも、ハンターたちが収集したコレクションは超貴重なものばかりだ。長期間ハンターが不在になると知られれば、盗難の心配もあるし最悪の場合は死の危険もあるからだ。

 

 ゲーム購入者は、指定期間中にハンター協会に行ってゲームを受け取り、そのあと自分たちのセーフハウスに戻って、長期間の不在のための準備をしてからゲームを開始した。

 そのため、単純にセーフハウスが遠いところにあったものや、尾行などがないように慎重に時間をかけてセーフハウスに戻ったものなどは、数日遅れてゲームを始めたのだった。

 

 ゲームを購入した者は様々だ。

 

 ゲーム好き、珍しいもの好き、有名人のジンが作ったからやってみたい、念の師匠から薦められた、ゲームマスターの知り合い、ベータテストの評判を聞きつけたものなど・・・。

 

 もちろん転売したハンターも多かった。彼らは、ハンター証を持たないお金持ちやイリーガルな組織から、高額な報酬と引き換えに『グリードアイランド』を渡していた。

 

 またプレミアがつくことを見越して、購入だけして保管しているものもいた。

 

 普段はゲームというものに興味がなく、ゲームに疎い者たちは、マルチタップでプレイできる人数を8人まで増やせることを知らず、ソロで始めるものも多かった。

 だが、ベータテストのプレイヤーの動向で、ゲームのクリア報酬が貴重なものだと推測したもの、それとなくジンからゲームの内容を聞いていて、弟子たちにゲームをさせようとする者たちは複数人でゲームを開始することもあった。

 

 また、単独で58億ジェニー現金一括で購入することができない者たちが、複数人でお金を出し合ってグリードアイランドを購入したケースもあった。

 

 

 

 人種も性別も実力も様々な者たち。いろいろな思惑が入り交じり『グリードアイランド』はスタートする。

 

 

***

 

 ゲームハンターのマクトアは午前9:50から、ジョイステーションの前で正座待機していた。

もちろんメモリーカードは差しておいてある。

 

 プロゲーマーでもあり、古今東西のありとあらゆるゲームが好きな彼は、当然この『グリードアイランド』が発表された当初から注目していた。

 

 ベータテストのプレイヤーに選ばれなかったときは、悔しさのあまり3日間ほど寝食を忘れて引きこもりながらゲームをすることで、なんとか心を落ち着けたものだった。

 

(あーーーーーーー!)

(早く早く早く!)

(あの時計壊れてるんじゃないの!)

(全然進まないじゃん!)

 

 12月25日の朝イチで、ハンター協会に場所を間借りしていた、株式会社マリリンのスタッフからゲームを受け取ったマクトア。徹夜で前日から並ぶわけでもないので楽勝だ。そのあと尾行や襲撃などに細心の注意を払いながら自宅に戻った。

 

 ゲームのパッケージなどを細心の注意を払って調べてみたが、”神字”がふんだんに使用されていて”錬”を使うということから、念能力者が作成したこと。たぶんどこかに飛ばされて、そこで大掛かりなゲームをするのだろう、ということしかわからない。

 

 そこで自宅のセキュリティーをもう一度見直して、外敵対策を万全にしつつ、今か今かと1月1日を心待ちにしていたのだった。

 

(≪ハンティングゲーム≫と銘打っているんだから)

(何かを狩るんだろうか)

(モンスターか?魔王か?ゾンビか?敵の兵士か?)

 

 最近のジョイステーションは面白いゲームタイトルが目白押しである。ビッグタイトルが次々にリリースされていて全てを遊びつくせていないのだが、ゲームハンターの彼にとって≪有名ハンターが制作したゲーム≫なんていうお宝は、絶対に見逃せない獲物だ。

 

 100本限定ということを知ったときは焦ったが、何人かの知り合いのハンターに頼んで、ゲーム購入権利の抽選を受けてもらい、何とか1つ手に入れることができてほっとしたものだ。

 

 そして10:00。

ジョイステーションに向かって集中し・・・

 

(練!)

 

一瞬にして、不思議な模様の部屋に飛ばされたのであった。

 

 

***

 

 

「うおーーーーーすげーーーーー!!」

 

 ゲームの説明を聞き、指輪を受け取ったマクトアは、階段を下りた先で叫んでいた。

 

「オイオイ!ドット絵から3Dポリゴンの変化とか、比じゃないクオリティだぞ!」

 

 近年、ジョイステーションで発売されるゲームソフトは毎年グラフィックがきれいになり、どんどんリアルになっているとは思っていたが、この『グリードアイランド』はレベルが違い過ぎた。

 

「それで何が出てくるんだ!?スライムか!?全部倒して俺が勇者になってやるぜ!お姫様、まってろよーーー!」

 

 誰もいない『シソの草原』に雄たけびが響き渡るのであった。




※ハンターハンターの世界のゲーム史
 グリードアイランドをプレイすることができる『ジョイステーション』。これはあきらかにプレイステーションを意識していると思いますが、プレイステーションは1994年に発売されました。グリードアイランドは1987年に発売されているため、ちょっとずれています。(もちろんハンターハンターの世界のことなので現実とは違うのが当たり前ですが)

 そこで本作では、1984年にジョイステーションが発売された、としました。(10年早くプレステが発売された世界、というイメージ)
 つまりグリードアイランドは、ジョイステーションが発売されてから2~3年後にリリースされた、という設定です。(捏造)

 ちなみに現実のプレイステーションでは、ハード発売から2~3年後といえば1996年~1997年。
 バイオハザード、鉄拳2、ロックマンX3,ストリートファイターZERO2、ぷよぷよ通決定盤、新スーパーロボット大戦、ファイナルファンタジー7、三國無双、ナムコミュージアム、悪魔城ドラキュラ10、ときめきメモリアルなどビッグタイトルが次々と発売された年で、ゲーム業界がとても盛り上がっていました。

 この話のゲームハンター君は、そんなゲームたちが大好きで『グリードアイランド』も始めたゲームガチ勢、という設定。


 余談ですが、モンスターハンターシリーズが発売されたのは2004年で、グリードアイランド編がジャンプに連載されていたのは2000年頃です。IFの話ですが、グリードアイランド編がもう少し遅く連載されていたら、お話の中にモンハン要素とかも入っていたのかな、とか妄想すると楽しいです。
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