HUNTER×HUNTERの世界に転移した話   作:安滝 信

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21 おじさん、修行をはじめる

『グリードアイランド』開始1時間前。

 

 そのアナウンスを受けて、ちょっと冷静になった忠夫。身体能力があがっていたことで浮かれていたようだ。ふと気がまぎれたところで空腹感を感じたが・・・。

 

(お腹はすいているけど・・・)

(でもチャレンジメニューを食べられるほど)

(強烈な空腹じゃないな)

 

『マッド博士の筋肉増強剤』を飲みだしてから感じるようになった飢餓感。体全体の細胞が栄養を欲しているような感覚が、嘘のように無くなっていた。

 

(あれは薬の服用時だけの副作用だったんだな)

(このままずっと空腹だったらどうしようと思ったよ)

 

 もちろんあの空腹感のおかげで、猫のコックさんのお店でチャレンジメニューを食べ切ることができていた。毎日4回はチャレンジしていたので、一日当たり12万ジェニーもの稼ぎになっていたのだが、さすがに常時あの食欲だと食料確保が大変過ぎる。

 ほっと胸をなでおろすのだった。

 

 朝食は『食料』カードをカード化解除したものだ。

 『スーパーマーケット』から買ってきたもので、カード化を解除すると大きな葉っぱにつつまれていて一食分の主食とおかずなどが入っていた。

 

 ちなみに品ぞろえはかなりパターンがあり、長期間『グリードアイランド』滞在することになるであろうプレイヤーたちのために飽きないように工夫されていた。

 そのほかにも各地の街にはレストランがあるし、『塊肉(牛)』というように素材のままで売っていたりもしたので、食にこだわるのならそちらを購入して自分で調理することも可能だった。

 

(そういえばこの食糧の供給はどうなってるんだろう)

(食品を普通に食べられて、消化して、栄養になっている)

(ということは念では作られていないのかな?)

(囚人たちを島の中に入れているんだから)

(囚人たちに食料をつくらせているとか?)

 

 忠夫はそんな取り留めもないことを考えながら朝食をとっていく。

 

 忠夫の推測は正しく、『グリードアイランド』では大量の囚人たちを雇用して食料生産を行っていた。また囚人たちの役割は、食料生産のほかにオーラの供給もしている。

 NPCキャラクターの運用やアイテムの具現化などにオーラを大量に必要とするために、神字でおおわれたエリアでオーラを徴収しつつ、農業、畜産業、漁業、食量加工、綿花の生産、服飾など様々な分野で働かせている。もちろん地図には載っていない、プレイヤーがいけないエリアである。

 

 

 朝食を食べ終えた忠夫は、ワクワクが抑えきれなかった。

 

(”纏”を知り、”絶”を覚え、”練”を経て、”発”に至る)

(これ全て”念”の修行っす、か)

 

 天空闘技場でズシが言っていたセリフである。この言葉を胸に学生時代に(こっそり)念の修行をしていたものである。もちろん日本では何も起きなかったが。

 

(でもここでなら!)

(”念”を使えるようになっているかもしれない!)

 

 さっそくオーラを感じる修行を開始した。

 

 念という眠れる力を目覚めさせるには、ゆっくり起こすか、ムリヤリ起こすという2つの方法がある。ゴンとキルアは、ウイングという指導者に恵まれてムリヤリ起こすことにしたが、忠夫に指導者はいない。ゆっくり起こすしかないだろう。ズシは約半年かかった。

 

 だが忠夫には原作知識がある。これはまさにチートだ。これを利用する。

 

 

 先ほど身体能力を確認したときに気になったことがあったのだ。

 

(反復横跳びをしたときにも思ったが)

(どんなに人間が鍛えても)

(普通なら出せない超人的なスピードだった)

(無意識にオーラを使ってないか?)

 

 ”天才””支配者””超能力者””仙人””超人”などと呼ばれる人々は、無意識のうちにオーラを使いこなしているために特別視されている。

 現在の忠夫の肉体は、あきらかに超人的だ。無意識にオーラを使いこなせている状態だとすれば。

 

(一般人の運動能力と超人の運動能力)

(その”差”を感じることができれば)

(それが”オーラが作用している差”ということ)

 

 忠夫は昨日まで40年間も一般人の運動能力だった。肉体が変化した今が一番、運動能力の”差”を感じやすい状態といえるだろう。

 

 そこで忠夫は、”意識的に一般人程度の速度で反復横跳びをする”、”超人的な速度で反復横跳びをする”を交互に繰り返してみることにした。

 超人的な速度の場合は、体のどこからそのエネルギーがプラスされているのか?それを徹底的に検証していったのである。

 

 途中、昼休憩をはさみつつもずっと動き続け、自分の体の内側と対話する。反復横跳びだけではなく、腕で物を投げる速度や重たいものを持ち上げたときの感覚。

 日本にいたときの感覚との”差”を必死に知覚しようとしていき・・・。

 

 

「あっ・・・」

 

 

 いつの間にか、体の周りから透明な靄のようなものが出ているのが、見えることに気が付いたのだった。




 『マッド博士の筋肉増強剤』に願ったのは、【強靭な肉体】、【オーラ量】、【念の資質】を人類最高値まで高めた肉体。
 ゴンやキルアならゆっくり起こしても1週間程度、と言われていたところを1日。知識チートというよりは、40年間一般人だったので超人との差を感じやすくてオーラがすぐにわかるようになりました。
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