いつの間にか見えるようになった透明な靄のようなもの、つまり垂れ流し状態のオーラを感じることができるようになった。
(良し!!)
(生き残るための第一関門突破だ!)
(しかも想定より早く見えるようになった)
いくら最高の念の資質を持った体を望んでいたとはいえ、1週間はかかると思っていたのだ。
(次は”纏”だな)
忠夫は頭の上を意識する。すると確かに、体から出ているオーラが湯気のように立ち上って、それが頭の上の方から空中へ拡散している様子が感じられた。
(確か・・・)
忠夫は目をつぶり、足を肩幅に広げて、自然体で立つ。
(立ち上っているオーラを体に留めようと念じる)
(オーラが血液のようにめぐっていくと想像する)
(頭のてっぺんから)
(右肩、右手、右足)
(左足、左手、左肩、そして頭・・・)
学生時代にこの妄想だけは何度もしている。
(流れを次第にゆっくり・・・)
(そして最後には止まって)
(体のまわりで揺らいでるイメージ)
目をつぶっていても、肌のまわりを生ぬるい湿った風のようなものが漂っているのを感じる。それをゆっくりゆっくり操作するような感覚。そして完全に動きが止まったと感じて目を開けると。
「できた・・・!」
(確かにぬるい粘液にいるような)
(服を一枚羽織ったような)
忠夫は確かにオーラを”纏”っていたのであった。
(できた・・・感動・・・)
試しに床を手で叩いてみるが
(おお、痛くない!)
衝撃が緩和されていて、例えるならマットレスを叩いたような感触に近くなっていた。
(なるほど、これは念を覚えていなかったら)
(そもそも勝負にならないな)
防御力が違い過ぎるのである。
念を覚えていないキルアと”纏”を使っていたズシが戦った試合では、試しの門を開けることができるキルアのボディブローをうけたズシが、血を吐きながらも立ち上がれた。”纏”ができることが最低条件だとヒソカがいうこともうなずける話である。
(よしよし良い調子!)
(どんどん進んでいこう)
忠夫はすぐさま次の”絶”の修行に移ろうとするが・・・。
「ジリリリリリリリリリリリ・・・・」
あらかじめセットしていたアラームが鳴り響く。いつの間にか時刻は20:00になっていた。
(これからいいところだったのに)
(だけど修行と休憩と睡眠は同じだけ)
(天空闘技場でウイングが言ってたしな)
朝からずっと検証のために運動をしていたので、ちょっとは疲れてはいるが修行を続けようと思えば続けられる。しかし規則正しい生活をしたほうが、結果的に修行の効率が良いのだろう。
修行したい気持ちをぐっとこらえて、今日は寝ることにするのであった。
***
次の日から24時間を、修行8時間、休憩代わりの神字の勉強8時間、睡眠8時間に割り振って、本格的に念の修行に入る。
とはいえ”纏”に関しては、起きている間は常にするようにして、癖をつけていかなくてはいけない。ウイングのいうように、”慣れれば寝ていてもできる”レベルを目指すためである。
”絶”を修行するのは、『マッド博士の筋肉増強剤』を飲んでいた時の飢餓感が役に立った。あの全身の細胞からエネルギーが無くなっているような感覚を参考にして、オーラを外に出さないように意識した。
”練”は”絶”の状態が分かるようになれば、その逆に全身の細胞から一気に力を出すイメージ。スーパーサイヤ人の状態を想像したらかなり簡単に出来るようになったので、この状態を長く出し続けるように修行している。
”凝”は、”絶”と”錬”の修行を進めていくうちに、かなりスムーズにできるようになっていた。
練習しがてら”凝”を眼に集中してから部屋を見渡すと、『マッド博士の筋肉増強剤』がオーラを発していることに気が付いた。やはり特殊な効果があるアイテムは、念能力で作り出したか、コピーしたものであるようだ。
それと驚いたことに、この隠れ家自体もオーラを発していた。つまりここはもともとゲーム内で設定されていた隠れ家ではなく、なんらかのアイテム、たぶん『隠れ家不動産』の効果によるものなのだろう。しかし、
なぜ忠夫が『隠れ家不動産』の中にいたのか?
なぜアイテムとして使用したはずの『隠れ家不動産』が、『本』の中にもう一枚あるのか?
という疑問が残った。
筋力や速力を鍛える修行は、部屋が小さいためとても満足にできたとは言えない。自重トレーニングだけでは荷重が足らないので、余っている『マッド博士の筋肉増強剤』の残りをダンベル代わりにしたり、加速をつけて壁に激突しそうになるところを腕の力だけで抑えてりして、なんとかがんばっている。
”神字”の勉強は遅々としてなかなか進まない。何しろ難解でわかりづらく、しかもいくつかの文字や模様の組み合わせっぽいのだ。とりあえずじっくりと読みこなしていくしかないだろう。
***
修行の最中だが、忠夫は”練”ができるようになり、楽しみにしていた”アレ”をした。
そう、みんな大好き”水見式”である。
このためにわざわざガラスのコップと葉っぱを用意するほど期待していた。
(ガラスのコップに水をギリギリまでいれて)
(水に葉っぱを浮かべるっと)
・強化系は、水の量が変わる
・放出系は、水の色が変わる
・操作系は、葉が動く
・具現化系は、水に不純物が出る
・変化系は、水の味が変わる
・特質系は、その他の変化
(なんの系統でもいい!)
(イメージトレーニングだけなら数十年前からしてる!)
忠夫は手にオーラを集中する。
(”練”!!)
今の忠夫の念の才能は、第4王子ツェリードニヒと同等を想定して書いています。つまり天才です。しかし第4王子は修行始めて半日で”凝”のコツつかみかけるって、いくら念獣がついていて、たぶん念が覚えやすい状態だったとはいえ公式チートすぎる・・・。