HUNTER×HUNTERの世界に転移した話   作:安滝 信

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26 おじさん、ゲーセンに行く

 お昼時。忠夫は変装をしたままではあるが、ゲームハンターのマクトアを待っていた。

 

 

 

 昼12時の10分前、街の入口方面からマクトアが歩いてくるのが見えた。

 

「おお、もしかして僕を待っていてくれたのかい?」

 

「ええ、先ほどは親切にありがとうございました。名前も名乗らずに申し訳ありませんでした、タダオといいます」

 

「こちらこそ聞きそびれてしまって申し訳ないね。改めてゲームハンターのマクトアだよ。よろしくねー」

 

目ざとく忠夫のことを見つけて声をかけてきたマクトアに対して、少し下手に出て挨拶をする。実際、ハンターにもなっていない忠夫にとって、彼からもらえるかもしれない情報は値千金だ。

 

 

 並木道の大通りに多く設置してあるベンチに腰掛けて情報交換を行う二人。

 

「早速ですが、マクトアさんはゲームハンターと言ってましたよね?」

 

「そうなんだ!古今東西ありとあらゆるゲームを集めているんだ。最近はビデオゲームが面白いからずっとやってるんだけど、ちょっと前まではチェスとかドミノとかにはまっていたんだよ。あの辺は歴史も古いから昔の王様がやった駒とか集めるのも楽しいんだ」

 

「そうなんですね、そしたら【アントキバ】の『ゲームセンター』の情報は知っていますか?」

 

***

 

 忠夫が渡した情報は『ゲームセンター』だった。

 何故そんなことを知っていたかというと、そもそものきっかけは小銭の扱いに困ったからだ。

 

『グリードアイランド』ではお金はカード化した状態で支払わないといけない。しかし原作でゴンも疑問を持っていたとおり、仮に10000ジェニーで1020ジェニーを支払ったとしたら、8980ジェニー。それをカードでお釣りにすると、

 

『5000ジェニー』×1

『1000ジェニー』×3

『500ジェニー』×1

『100ジェニー』×4

『50ジェニー』×1

『10ジェニー』×3

 

 というように、合計13枚になってしまう。

 

 そしてそれは『本』の中に15ポケットしかない忠夫にはかなり面倒臭い仕様だった。なにしろカード化した『お金』カードを1分以内に『本』におさめないとカード化解除されて、『グリードアイランド』内では全く使えない現金になってしまうのだ。

 かといって、買い物をするお店の近くに『交換ショップ』がなければ、お金を預けることもできない。

 

 そういうわけで、生活雑貨などを買い物するまえに、『本』に入りきらなかった小銭が出た場合に備えて、あらかじめ両替などができるところがないかとNPCの住人に聞いていた時に『ゲームセンター』の情報をゲットしたのだ。

 

***

 

 マクトアに対して、そんな説明をしつつ『ゲームセンター』に案内する。もちろん情報を得た時期や『本』の仕様などをぼかしてだ。それと忠夫とマクトア、両者ともちゃんと少し距離をとってお互いをそれとなく警戒しながら歩いている。用心は大事だ。

 

 ちなみに忠夫は『ゲームセンター』を見つけた時に一度だけ中に入って確認したが、その後は意識して行かないようにしていた。なぜなら楽しくて入り浸りそうだったからだ。金策をがんばらないとという思いで、泣く泣く足を遠ざけた経緯がある。

 

(レトロで良いゲーセンだったからな)

(アーケードゲームも種類が豊富だし)

(これならゲームが好きは食いつくだろ)

 

「さあ着きましたよ、ここの地下が『ゲームセンター』です」

「へーこんなところにあったんだ、全然気が付かなかったな」

 

 地下にあるということで、多少警戒しながらも中に入ったマクトアは、予想通り飛び上がって喜んだ。

 

「すごい、古いのはスペースインベーダーから新しいのはビートマニアまで色々そろってる!あ、パックマンもいいね、あーR-TYPE!ついこの間出たばっかなのに置いてある!パンチングマシンもいいね、私のパンチを受けてみろ!おーレーシングゲーム『ハングオン』もあるね、やっぱりゲーセンでしかできない楽しみ方も最高だね・・・・・・」

 

 大興奮のマクトアは、それから片っ端から色々なゲームをしていった。

 この『ゲームセンター』では、スコア〇〇点を超えると〇〇プレゼント、というチャレンジクエストが数多くあった。さすがゲームハンターを名乗るだけあってマクトアはゲームが上手く、次々とチャレンジクエストをクリアしていく。

 

 忠夫はといえば。

 

(人がやってるゲームを後ろから見ているのも久しぶりだな)

(上手い人がやってるのを見るのってなんか楽しいよな)

 

 結構楽しんでいた。

 

***

 

 2時間ほどしてマクトアがだいぶ満足したところで、いったん外に出てカフェに行くことにする。

 

「いやーごめんごめん。タダオ氏をすっかり待たせちゃったね」

 

「いえいえ見てるのも楽しかったですよ」

 

「『グリードアイランド』も楽しいんだけどね、やっぱりああいうゲームも超楽しいね。いいところを教えてもらっちゃったよ、本当にありがとう」

 

「楽しんでいただけたようで何よりです」

 

 なんだかんだとゲームセンターを一緒にまわることでそれなりに仲良くなった二人。楽しいゲームの話も続けたいところだが、本題は情報交換だ。

 

「タダオ氏にはこんなに良い情報をもらっちゃったからね、何でも聞いてよ」

 

「そうですか、ありがとうございます。では・・・」

 

 それから1時間ほど情報交換を行い、忠夫はいくつかのとても重要な情報を得ることができたのだった。




ゲーム機の販売時期は現実とは違っています。まあ今のUFOキャッチャーだらけだったりするゲーセンじゃなくて、昔のたばこ臭くてたまにヤンキーが出没したり、対戦で後ろに観客が立ち並ぶ時代のゲーセンを想像していただければありがたいです。

マクトアが「タダオ氏」って呼んでるのは口癖です。
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