HUNTER×HUNTERの世界に転移した話   作:安滝 信

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30 おじさん、問題が発生する

 【アントキバ】から出て初めて戦いをした忠夫。その結果は散々なものだった。

 

***

 

 相手は『シソラビ』というちょっと大きめのウサギ型モンスターで、基本的に臆病な性格らしくて、普通に近づいても巣穴に逃げられてしまう。

 

 それならばと”絶”で気配を消すと、後ろから3mぐらいまでは接近できるのだが、そこから先に行くと逃げられてしまう。まだ”絶”の精度が低いのか、足音などの物理的な気配が発生してしまっているのか。どちらもありそうである。

 

 後方3mまで近づいて、そこから一気にスピードを上げて捕まえようともしてみたのだが、今度は身体の細かい制御が難しい。身体能力が高すぎる割に、忠夫の感覚が日本にいた時のままなのか、『シソラビ』を通り過ぎてしまう、もしくは踏んずけて殺してしまったり、轢き殺してしまうのだ。

 まあ倒すという点では『シソラビ』のカードはゲットできたのだが、自分の意志で攻撃しているわけではないので失敗だ。

 

(なんか運転免許を初めてとった時を思い出すなあ)

 

 アクセルを踏みすぎたり、逆に踏まなすぎたり。若葉マークの時代は、まっすぐ走らせることは出来ても他の車に気を付けたり、右折のことを考えると考えがいっぱいいっぱいになってしまう。そんな感じかもしれない。

 隠れ家の中で運動をしているときや、ただ走っているときは、一つのことに集中できていたので気が付かなかったが、ここにきて思わぬ問題が判明してしまった。

 

(しかも人類最高値まで高めた肉体を『マッド博士の筋肉増強剤』に願ってしまったからな。運転のド素人がF1カーを運転しているような状態なんだ、きっと)

 

 直線的な動きは出来るのだが、なめらかに曲がったり、思った位置で体を止められないのは、戦闘では致命的だ。まずは身体能力に慣れるために、『シソラビ』を倒すのではなくて捕まえることを目標にして、戦闘を繰り返してみるのだった。

 

 

***

 

(暗くなってきたな、しょうがないから帰ろうかな)

 

 いろいろと試しながら、『本』に『シソラビ』カードが入りきらなくなっても戦っていたのだが、さすがに夜に差し掛かってしまったので【アントキバ】に戻ることにした。【ルビキュータ】にも行ってみたかったが、戦闘に問題があるので先送りだ。

 

(当面の目標は決まったな。身体能力に慣れないと)

 

 せっかくの身体能力が宝の持ち腐れである。一刻も早く体を慣らさないといけない。

 

(それと合わせて、そろそろ月例大会の対策をしよう)

 

【アントキバ】の月例大会は毎月15日に開催されて、奇数月には指定カードが優勝賞品になっている。1月の賞品はゴンたちもゲットした『聖騎士の首飾り』だ。

 

 

:::Dランク『聖騎士の首飾り』:::

 身につけると呪いをはね返し、触れたものの呪いを解く。常に『反射』の効果と、『擬態』『贋作』のカードを元に戻す効果を得られる。

 

 1月大会の競技は、二人一組のペアになって2対2で綱引きを行う≪二人綱引き≫。ソロの忠夫はまず相方を探さないといけない。

 

(マクトアを誘ってもいいんだが、賞品は1つだけしかもらえないんだよな)

 

 ゴンとキルアならペアで1つの賞品でも問題なかったが、別のプレイヤーと組んでしまうと報酬の分配でもめてしまう。

 原作の『一坪の海岸線』クエストでも同じような問題があったが、原作では得られた賞品を『複製』の呪文カードでコピーできた。しかし現状では呪文カードは知られていないため、更に報酬分配には気を付けないといけないだろう。

 

(やっぱりNPCの賞金稼ぎキャラを雇う方がいいな)

 

 【アントキバ】にはチャレンジクエストをこなすことを生業としているキャラクターがいる。そのキャラクターは、報酬金額を前払いすれば雇うことができる。戦力としてはあまり役に立ちそうにはなかったが、報酬の分け前でもめることが無い。

 

(身体能力に慣れる訓練と綱引きの特訓、15日までの約1週間はこれを重点的にやっていこう)

 




初心者は車の運転が荒いよねってお話でした。 

※≪綱引き大会≫と賞金稼ぎNPC
 1月大会の≪二人綱引き≫競技は原作に準拠しています。ゴンとキルアが賞品をゲットしたところしか漫画では描かれていなかったので、初めは何の競技でもいいかなと思っていたのですが、漫画を見直したところハンター文字で競技名が書いてあったので焦りました。この段階では忠夫はソロで行動させようと思っていたので。そんな経緯からNPCの賞金稼ぎキャラを出すことになってしまいました。
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