月例大会に優勝した翌日、さっそく『山賊の棲み家』に向かうことにする。
(ちょっと手間だけど、念のために原作に沿って行動しようかな)
まずは『聖騎士の首飾り』をカードのまま『本』に入れておき、そのほかゴンたちが渡したのと同額の『1万ジェニー』×8枚を『交換ショップ』からおろした後、身ぐるみはがされる前提の安い服装で【アントキバ】の街を出発した。
(最初から『聖騎士の首飾り』で病の呪いを解呪すると、『奇運アレキサンドライト』が貰えないかもしれないからな。お金はもったいないが慎重にいこう)
街を出て、山岳地帯を北にまっすぐ走っていく。
【アントキバ】の街の裏手はすぐに山になっていて、下草や木の根、ツタや倒木が行く手を阻むが一週間トレイルランニングでみっちり走りこんだ忠夫は慣れたものだ。
街から8km程度走った頃だろうか。ふっと気配もなく複数の人影が立ちふさがった。
(来た!)
直前まで全く気配を感じさせない凄技、頭と口元を覆う覆面姿、背中に背負った反りの無い直刀。
そんな6人組の男たちが忠夫に向かって一斉に飛び掛かってくる!
・・・と見せかけて土下座をかまして必死の叫び声をあげた。
「「「「「「助けてください!!お願いします」」」」」」
(この人たちってやっぱりどう見ても≪忍者≫だよなあ)
***
その後は原作と同じ流れで、少しルートから外れたところにある山賊たちの村に招かれて、病気の説明を聞き、有り金と服を巻き上げられる。
そして少し時間をおいてから『聖騎士の首飾り』をちゃんと装備して、もう一度山賊の村に行く。
「無償で我々に全てをささげてくださったお方! 信じましょう!」
そんな言葉と共に村人たちはカードに変化した。
カードを拾うと、『病気の村人』カードは「シュウウウウ」という音を出して解呪され、『元気な村人』カードに変わり、忠夫はそれをすぐにカード化解除した。
「おおーーー!治ったぞ!!」
「ありがとうございます!!ぜひ、お礼にこれを・・・!!」
こうして忠夫は原作と同じように『奇運アレキサンドライト』を手に入れることができた。
・・・のだが。実はここからが忠夫にとって本番だ。
喜びに沸いている村人達に向かって、恐る恐る忠夫は声をかけた。
「あのー」
「はい!なんでしょうか!」
「あなた方はもしかして≪忍者≫ではないでしょうか?」
その言葉を聞いた瞬間。
わいわいと嬉しそうに話していた村人たちが一気に押し黙った。空気がピーンと張りつめて感じられる中、リーダーと思わしき一人の村人が押し殺したような声で聞いてきた。
「・・・どうしてそんなことを?」
単なるNPCとは思えないようなプレッシャーと共に放たれた言葉。知らず知らずのうちにツバを飲み込みながらも忠夫は答えた。
「いや、故郷にむかし≪忍者≫という者たちがいまして、あなたがたの格好がよく似ているのです。もしあなた方が≪忍者≫だったとしたら、私に戦い方と、その≪忍びの技≫を教えていただけないでしょうか?」
「・・・なるほど、そうですか・・・」
そう言葉を発した村人たちのリーダーは、目をつぶって考え込んでしまった。
***
なぜ忠夫がこんなことを言い出したのか。それは忠夫が自身の弱点だと感じていることに起因する。
対人戦を一度もしたことが無い。これが問題なのだ。
よく、スポーツや武術は≪心技体≫が揃って初めて一人前だと言われる。忠夫は日本にいた時に全く武術など学んだことが無かった。せいぜい体育の授業で柔道を少しだけやったことがある程度だ。
現在の忠夫だが、≪体≫はドーピングとトレーニングによって少しは鍛えられていると思われる。
だが≪心≫:敵と争う覚悟と、≪技≫:敵と戦う技術が全く無い状態なのである。これはヤバい。
別に日本にいるときは全く問題なかった。むしろ武術に興味があるわけでもないのに、いつでも他人を害することができる覚悟と技を鍛えている方が珍しいだろう。
だがここはハンターハンターの世界。どこに死亡フラグが転がっているかわからない。
師匠がいない忠夫としては、ここで戦い方の師匠を得て≪心技体≫を鍛え、対抗手段を得ておきたいところだ。
(それに≪忍びの技≫!もしこれが習えるのなら最高だ!)
本当の忍者の技なのか、トンデモNINJA技なのかわからないが、どちらにしても習えるなら大いに役立つし、封印した厨二心が復活してもしょうがないだろう。
***
「・・・わかりました! ほかならぬ命の恩人のお願いです。本来なら門外不出の忍び技ではありますが、あなた様になら全てお教えいたしましょう!」
「っ! ありがとうございます!」
(よっしゃーーーー!!)
こうして忠夫は新たな修行フェーズに移ることが出来たのだった。
連載当時、この明らかに忍者の格好をした山賊たちが出てきたので忍者技を習うのかな?と思っていたら全く関係なかったので、すこしがっかりした思い出があります。なのでそれを二次創作ですがぶつけてみました。