HUNTER×HUNTERの世界に転移した話   作:安滝 信

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カメハメ波とか邪王炎殺黒龍派とかに比べれば唱えやすいですよね


3 おじさん、認めざるをえない

 知らないうちに指にはまっていた『指輪』。

不思議なデザインで、かなりごつい大きさだ。

 

 ハンター×ハンターは大好きな漫画だ。

いまでも新刊が出るたびに1巻から読み返すが、正直なところ最近はストーリー自体は頭に入っているので、細かい部分はざっと目を通すくらいであった。

 

 もしこれが『グリードアイランド』の『指輪』だったとしたら。

クジラ島のミトさんがジン・フリークスから預かった箱から出てきたものと同じデザインのはずであるが、さすがにそんな細かなところまでは覚えていなかった。

 

(いや、呪文を唱えてみればすぐにわかることか)

 

 『グリードアイランド』編が連載していた当時、忠夫は高校生だったがリアルに何度か唱えたこともあるあの呪文。そんな恥ずかしい青春を思い起こす言葉を、しらふで唱えなければいけないことに多少戸惑いがあるが、今はそんなことを言ってられない。

 覚悟をきめて左手を前に出す。

 

「ブック!」

 

 忠夫が呪文を唱えた瞬間。

 

 

 

 

 

 ボン!!という音とともに『本』が飛び出してきたのである。

 

 

 

 

「うわー・・・まじか・・・」

 

 そして『本』は宙に浮かんだままである。忠夫は恐る恐る、浮いている本の上側が天井と糸でつながっているかどうかを確認するために、手を通してみる。

 

「うわー・・・まじか・・・」

 

 思わず同じことを繰り返してしまった。全く糸など感じられなかったのである。念のため全方位すべての方向を確認するが何一つ感触がない。

 

(いや、しかし・・・)

 

 何か違和感があった。忠夫はしばらく観察してみて気が付いた。

 

(そうか、『本』の形が違うんだ)

 

 出てきた『本』は細長かった。

 

 原作で出てきた『本』はカードを収めるポケットが1ページあたり3×3の9枚入るはずである。たしか見た目は正方形に近いくらいのずんぐりした長方形の表紙で、かなり分厚かったように描かれていた記憶がある。

 

(んー、これ以上観察していてもしょうがないか)

 

 忠夫は覚悟を決めて浮いている『本』に手を伸ばしてみる。それは幻でもなんでもなく、あっさり掴めてしまった。

 

「おぅ・・・」

 

 実際につかめてしまったことでいきなり現実感が出てきて、思わずため息をもらす忠夫。今まではもしかしたら夢かも、ともちょっと思っていたのだ。とりあえずページを開いてみる。

 

(あれ?)

 

 表紙を開くと、たしかにカードを収めるポケットらしき部分はあるのだが、見開いた『本』の片側に3ポケットしか存在しなかったのだ。扉側には暗くなったモニター部分と上下左右に向けたコントローラーようになっている。

 

(このコントローラーは)

(たぶん呪文の対象を選択するときにつかうやつだよな・・)

(でもデザインが全然違う)

(呪文カードを入れる部分がない)

(あっ、これって)

(ゲームクリア時に報酬を持ち帰る用の『本』の大きさだ!

(いやでも・・・)

 

 たしか報酬用の『本』にはコントローラーはついていなかった。

 

「わっかんねー」

 

 忠夫はおもわず頭をかきむしった。謎は残ったままだ。

 

(でも・・・)

 

デザインは似ている。何よりも。

 

「ブック!」

 

 ボン!!と音を立てて『本』は煙と共に消え去った。

 残るは左手にはまった『指輪』だけである。

 

(これは認めざるをえないか・・・?)

 

 ハンター×ハンターの世界か、近似の世界に来てしまったか、もしくはおかしくなったか。

 

 なんにしても忠夫は頭を抱えたのだった。




::ベータプレイヤー用『指輪』::

・『指輪』を装着して「ブック」と唱えるとベータ仕様の『本』が出てくる。
・『本』にはフリーポケット15枚が入る。
・入手してカード化したアイテムは、1分以内に『本』に納めないとカード化解除される。
・カードをアイテムとして使用したい場合は使用したいカードを持って「ゲイン」と唱える。
・一度「ゲイン」でカード化解除されたアイテムは2度とカード化されない。
・緊急時やバグを発見した場合に限りGMコールができる。
  → 機能を削除済み
・『指輪』を装着しないとNPCに話しかけても会話が発生せずイベントも発生しない。
・『指輪』を装着しないとアイテムを使用できないし効力も発揮されない。
・一定時間装着されないと近くにいるベータプレイヤー用『指輪』をつけていない人物の指に自動的に装着される。
  → この効果によって主人公に自動装着されました。もともとは具現化されたものではなくて実物だったために、無くしたり破損したりすることを考慮しての機能でしたが、正式版では機能を削除済み。
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