HUNTER×HUNTERの世界に転移した話   作:安滝 信

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 前話をうけて感想欄にBランクカードチョイスを書き込んでいただいた皆様、ありがとうございました。どれも鋭い選び方ばかりでうならされました。カードをどうやって使おうかなとか考えだすとワクワクしますね。この話では主人公がもともと慎重な性格で(でも浮かれると少し注意力が散漫になる)、なおかつ現在はソロなのでかなり堅実で手堅いカードを選んだ、という流れにしました。


37 おじさん、【ルビキュータ】の話を聞く

 Bランクカードを購入して、帰ろうとしたらマクトアに遭遇してしまった。会ったのがマクトアでまだよかった。ちょっと浮かれていて油断していたらしい。しかし『交換ショップ』の出入口はひとつしかなかったので警戒していても無駄だったかもしれないが。

 

「お、おー。タダオ氏じゃないか、昨日は大会優勝おめでとう!」

 

「ありがとうございます。それでは・・・」

 

「以前に会ったときはこんなに実力者だとは気が付かなかったよ!いやね、僕ももちろん参加する予定だったんだよ。でも【ルビキュータ】で祝勝会があってね、次の日が早いから帰りたかったんだけど体育会系の人が多くて逃げられなくて、もうずっと飲まされちゃって大変だったよ!

 もちろんいい人たちも多いんだけど、話の内容が全然かみ合わなくてね。最近ジャポンで流行っているRPGの話とかをしたかったんだけど誰も知らなくてさあ、タダオ氏は知ってる?」

 

(長い・・・相変わらずだな・・・)

 Bランクカードも買ったばかりなので、ちょっと警戒を強めて早く話を切り上げようかと思ったのだが、マクトアは相変わらずだった。

 まあ、マクトアは良いヤツっぽいので懇親を深めるのも良いかもしれない。

 

「RPGですか。マクトアさんと同じタイトルはプレイしたことが無いかもしれませんが、ジャンルとしては大好きな部類ですね」

 

「えっ本当?うれしいなあ!『グリードアイランド』はストーリーがあるわけじゃなさそうだから、RPGとはちょっと違うよね、ハンティングゲームかあ。そういえば≪モンスターを複数人数で狩るゲーム≫が、あるゲーム会社で開発されているっていう噂があるらしいから、『グリードアイランド』はそれを参考にしたのかもね!いやーこんな話をしたかったんだよ!」

 

「そんなにゲームの話ができる人は少ないんですね」

 

「ハンターなんていうのは、ある特定分野のオタクの頂点みたいな人たちばっかりじゃない? みんな自分の好きなものには夢中なんだけど他のジャンルになると途端に知らない、なんて人も結構多いんだよね。でもハンターには戦闘力が必須で、武術とかの話は共通の話題になりがちだからさあ、もう暑苦しくてしょうがないよ」

 

 マクトアにとって、昨日あったという祝勝会は相当苦痛だったらしく、なかなか愚痴が止まらなかった。しかし忠夫にとってもマクトアが話してくれるプレイヤー達の動向は気になる。

 それにハンターハンター世界のゲームの話はとても興味があるから聞いてみたい。

 

 ということで、場所を変えて昼食を一緒に取りながら情報交換、というかおしゃべりをすることになったのだった。

 

***

 

 マクトアから【始まりの街ルビキュータ】でどんなことがあったのかを聞いてみたが、やはり現在の『グリードアイランド』はエリア制をとっているらしい。

 

 【ルビキュータ】でボスっぽいモンスターを倒したら次の街に進めるようになった、とのことで

【ルビキュータ】にいた約半数が南西の次の街の【ブンゼン】へ、もう半数が【アントキバ】に移動してきたらしい。もちろん【ルビキュータ】に残ったプレイヤーも多少いる。

 【アントキバ】に来たプレイヤー達は北東の街道のエリア解放条件を探っているとのことだ。

 

 

 マクトアは、『グリードアイランド』開始当初は【ルビキュータ】に行って、採取だったり小型モンスターを狩ったりするクエストを進めていたとのことだ。

 だがあまりにもゲームをやったことがないプレイヤーが多くて、ゲームの基礎やネチケット(ネットエチケットの略)を手ほどきしているうちになぜか慕われてしまい、クランマスターになってしまったそうだ。なんだそれ良い奴過ぎる。

 

 ただそういったマクトアの振る舞いが気に食わないヤカラ?ヤンキー?チーマー?みたいなやつらから嫌がらせを受けてしまったそうだ。

 

(あー。1987年ってまだまだオタクへの偏見が異常だった時代かあ)

 

 忠夫にも覚えがある。テレビでもオタクに対して無茶苦茶な偏見を垂れ流していて、犯罪を犯した者の部屋に少しでも漫画やアニメビデオなどが置いてあれば、それを理由にオタクやサブカルチャー自体を悪者にするような報道を普通にしていたものだった。

 それをうけて子供たちも、オタクに対してならイジメをしても良いという風潮が出来ていた。恐ろしいことに教師すらもそれに加担しているケースすらあったのだ。

 

 また当時ヤンキーとかチーマーとか愚連隊とか言われていたヤカラが、イジメ兼サイフ代わりにしていたものだった。

 

 そんな時代の風潮の中で、明らかにオタクファッションのマクトアがリーダーシップを取っていることが許せない、一部のイキった馬鹿たちが嫌がらせをしたのだろう。

 

 それで嫌気がさして【ルビキュータ】を離れて【アントキバ】に移ってきたときに忠夫と出会ったとのこと。

 その時に忠夫から『ゲームセンター』を教えてもらったことやゲームで遊ぶことに付き合ってもらったことで、落ち込んでいた気分が吹き飛んだらしく、知らないうちにかなり好感度が高くなっていたようだった。

 

 なんで女の子ではなくて、年齢不詳のオタクの好感度を稼いでいるのかよくわからないが、まあ誰だとしても嫌われているよりは好かれている方が良いだろう。

 

 その後、マクトアがいなくなった【ルビキュータ】の状況がかなり悪くなってしまい、マクトアは呼び戻されてもう一度クランマスターに就任、なんやかんやあってボスを討伐して新しいエリアを解放できたとのことだ。

 

(なんかマクトアがなろう系主人公みたいな話だな・・・)

 

 修行に明け暮れている間にマクトアには大変なストーリーが進行していたらしい。

 

 忠夫からの情報は【アントキバ】のクエストに関することにしたのだが、うっかり原作の情報を話さないようにするのがなかなか大変であった。

 

 情報交換の後はゲームの話で盛り上がった。

 『グリードアイランド』の外、1980年代のゲームの話を聞いたのだが、現実日本の1980年代から1990年代のゲーム文化が混ざり合ったような時代のようだった。

 ちょうど忠夫が一番ゲームにのめりこんでいた時代のゲームとほとんど同じものが発売されていて、とても楽しい時間を過ごすことが出来た。

 

***

 

 マクトアは何かあれば『ポケベル屋』に『伝言』を送ってほしいと言い残して、改めて『交換ショップ』に向かって行った。

 

 (楽しかったな)

 

 忠夫としても会話に飢えていたのだろう。思った以上に盛り上がってしまった。

 

 マクトアが何年間『グリードアイランド』をプレイしていたのかはわからないが、原作ではマクトアなんていう名前のキャラクターは出てこなかった。

 成り行きだが仲良くなってしまったので、ボマーたちが出てくる前に平和にこの島から出ていけることを願う忠夫だった。

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