HUNTER×HUNTERの世界に転移した話   作:安滝 信

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一部修正しました


38 おじさん、童心にかえる

 【アントキバ】でBランクカードの購入し、マクトアとの情報交換を行ったあと、忠夫は『山賊の棲み家』に戻った。

 

「改めまして、ようこそ『山影の里』へ。こちらへどうぞ」

 

 村は正式名称を『山影の里』というらしい。山の尾根筋から少しだけ外れた平らなところにひっそりとあり、まさに隠れ里といった風情がある。

 呪いが解けてすっかり体調がよくなった忍びのリーダーに、これから泊まることになる山小屋へ案内してもらう。

 

 50m四方ほどの広場のまわりに10件程度の小屋が立ち並び、広場では元気になった子供たちが遊びというには少々激しい組手や棒手裏剣の投げ合いなどをしていた。小屋の外には動物の毛皮がなめして張られていたり、伝統雨具の蓑(みの)や干した野菜などが吊られている。

 

「こんにちはーー!」

 忠夫に気が付いた子供たちが元気に挨拶をしてくれた。どうやら呪いを解呪した(ということになっている)忠夫をとても歓迎してくれているらしい。

 

 子供たちに挨拶を返しながら広場を歩き、一番端の一軒の小屋へ向かう。ここが忠夫が滞在することになる場所のようだ。入口は土間で上がり框があり、小屋の中心に囲炉裏が据え付けられている。以前に旅行で訪れた古民家のような作りだ。

 小屋に荷物を置いてすぐ広場に移動し、さっそく修行を開始する。

 

 

「まずはタダオ様の現在の腕前を確認させていただきます。”練”をお見せください」

 

(この場合の”練”は鍛錬の成果を見せろってことだよな)

 

 忠夫は足にオーラを集中させて垂直に20mほど飛び上がってみせた。

 

「・・・なるほど。では次に村の子供たちと鬼ごっこをしていただきます。もちろん念能力は有りで」

 

「鬼ごっこ?」

 

「はい。この広場の中限定で、5人の子供たちになるべく早く触れてください。攻撃は無しで触れるだけで結構です」

 

 そう話す村のリーダーの視線を追うと、いつの間にか忠夫の横に5人の子供たちが立っていた。聞いてみると7歳、9歳、11歳、13歳、15歳の村の子供だそうだ。

 まったく気配を感じないうちに近くに来られてしまったことを考えると、子供といえども全く油断はできない。先ほどは歓迎の笑顔を浮かべてくれていたが、今は修行ということで全員真剣な表情で忠夫を見ていた。

 

***

 

「制限時間は30分以内です。では・・・始め!」

 

 忠夫が広場の中央に立ち、5人の子供たちが忠夫から15mほど離れた位置に移動したところで鬼ごっこが開始された。

 

 一斉に動き出す子供たち。

 

(鬼ごっこは久しぶりだな、いつ以来だ?)

 

 誰しもが子供のころに一度はやったことがあるであろうゲームだが、独身の忠夫にとっては最後に遊んだのがいつだったか思い出せないぐらい過去のこと。当然のことながら勝ち方のセオリーなんていうものも全く覚えていない。

 

(とりあえず人数を減らすようにちびっ子から捕まえるか)

 

 戦いは弱いところから攻める。鬼ごっこのセオリーはわからないが、一般的なゲームのセオリーに沿ってまずは7歳の子、つまり小学校1年生ぐらいの子に狙いを定める。

 

 じわじわと広場の端に追い詰めるように動き出すと、狙われた子も左右にフェイントをかけて横に逃げようとしたり、他の子供たちが助けようとしてわざと近づいてきて忠夫の気をそらそうとする。

 だが初志貫徹して一人を定めてどんどん追い詰めていく。足に”硬”でオーラを集中させて、相手の逃げ道を潰すように動く。

 

(大人げないけど、これってゲームなのよね)

 

 はた目から見ると小学生を追い詰めるおじさん。事案だ。

 

(よし!だいぶ近づけたな・・・今だ!)

 

 十分に広場の端に追い詰めて、タッチするために手を伸ばす。もちろん相手の子も走って逃げようとするが、さすがに忠夫の方が速い。

 

(捕った!)

 

 まず一人目!そんなことを忠夫が思ったとき。急に目の前にいた子供の気配が消えた。

 

(えっ!?あっ”絶”か?)

 

慌てて”凝”で見まわすと、すでにその子は追い詰めていた広場の端から脱出してしまっていた。

 

(しまった・・・目の前で”絶”をされると一瞬消えたように見えるんだな。しょうがない、これからはずっと”堅”をしながら動かないといけないな)

 

忠夫は反省して”堅”つまり全身で凝を使いながら、またちびっ子を端に追い詰めるために動き出す。だが・・・

 

(”堅”を維持するのしんどい!)

 

 子供たちの動きを予測しながらそれに対応して、オーラを制御して思った距離を移動、さらに目の”堅”で相手の”絶”に警戒する。集中力とオーラ制御力、総オーラ量をかなり必要とするため、現在の忠夫の力量では難しすぎた。

 

 またオーラを消費し過ぎると疲れ方が加速度的に増して、ゲーム後半には動き自体も素早さが衰えてしまい、結局忠夫は制限時間以内に一人も捕まえることができなかったのだった。




 モンスターも念能力を使えるので、NPCも念能力を使えるという設定にしました。

テスト判断基準
7歳の子を捕まえる・・・難易度Eランク程度。メラニントカゲに勝てるぐらい
9歳の子を捕まえる・・・難易度Dランク上位程度。ビノールトに勝てるぐらい
11歳の子を捕まえる・・・難易度Cランク下位程度。バブルホースに勝てるぐらい
13歳の子を捕まえる・・・難易度Cランク上位程度。群狼の長に勝てるくらい
15歳の子を捕まえる・・・難易度Bランク上位程度。系統別修行をひととおりクリアして発を創れるくらい

 忠夫は”硬””流”は自己流で覚えたが、対人スキルが全く鍛えられていない。また念の持続力については、単純に修行期間が少ないためまだまだ少ない状態です。
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