HUNTER×HUNTERの世界に転移した話   作:安滝 信

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前話を一部修正しました


39 おじさん、ちょっとホームシックにかかる

  鬼ごっこテストの後、忍者のリーダーは忠夫にいくつかの質問をした。

 

 修行期間、修行内容、念の系統、戦いをしたことがあるか・・・。

 忠夫としても、普通のプレイヤー(ハンター)になら警戒して答えられないことでも、NPCになら答えられる、ということで隠さずに全て回答した。

 

「なるほど。タダオ様の潜在能力の高さに対して、体の使い方、念の使い方の拙さやいびつさの原因がよくわかりました」

 

(やっぱり当たり前だけど独学だと偏っちゃうよな)

 

「タダオ様には能力のいびつさを解消するために、基礎体力、忍び流体術、念の基礎修行、念の応用技修行、系統別修行、それに山での暮らし方についてイチから学んでいただきます、よろしいですか?」

 

「わかりました。よろしくお願いします」

 

「ただし”発”、つまりご自身の固有念能力につきましてはお教えすることができません。これはご自身でお決めいただくことになります」

 

(まあそうだよな、後で『人生図鑑』を読み込んで決めよう)

 

「また特質系ということで、どのような能力になさるかをタダオ様が決められるまでは、本格的な系統別修行は行うことができません」

 

「・・・どういうことでしょうか?」

 

「特質系統は習得率の相性がなく、努力次第で他の度の系統も100%極められます。そしてこれは良いところと悪いところの二つの面があり、最初にはっきりとした固有念能力を思い描いて修行を行わないと、中途半端な能力になってしまうのです」

 

「わかりました」

 

「また特質系の能力者は状況によっては無意識のうちに能力を発現してしまうことがあります。その場合、能力や制約と誓約も無意識に決定されてしまうのです」

 

(なるほど、ネオンの予知や第四王子ツェリードニヒの念獣みたいなことだな)

 

「なるべく早く能力を考えます」

 

***

 

 明日から本格的な修行にはいる、ということで歓迎の宴をしてもらったあと、早々に自分に割り当てられた小屋に戻ってきた忠夫。

 ちなみに歓迎の宴では寄せ鍋が出され、締めにうどんを食べられて最高だった。『食料』カードで出てくる食べ物もおいしいのだが、たまには醤油ベースの食べ物が欲しくなるので、食生活から見てもこの『山影の里』での生活はありがたい。

 

 寝る準備をひととおり終えてから、囲炉裏のそばで『人生図鑑』を具現化する。

 

(うわっ懐かしい・・・)

 

 『人生図鑑』には幼少期の忠夫のほほえましいエピソードから、リアル中二期の黒歴史、高校時代の初恋&玉砕、就職してからのブラック企業の記憶、転職のしんどさなどが写真と共に綴られていて、懐かしいやら悶えるやら感情の上下動がすごいことになってしまった。

 

(うぅぅ、自分を振り返るのが、今日一日の中で一番キツイ修行かもしれない・・・)

 

 記憶の中で美化していたり、抹消していた記憶を掘り起こされたり。40歳になり多少は昔の自分のことを客観視できるようになっていたから軽傷で済んだが、20代だったら心に致命傷を受けていたかもしれない。

 

 それともう一つ心にダメージをあたえてきたものがある。もう会えないものたちだ。

 

 あまり意識してしまうと病んでしまいそうなので考えないようにしていたが、この世界には家族もいない、友達もいない、故郷の景色もない。慣れ親しんだ漫画やアニメ、ゲームといったサブカルチャーも日本と同じものは存在しないだろう。

 

 日本にいるときは趣味優先で、好き勝手に生きてきた自覚のある忠夫だが、さすがにもう二度とこれらに会うことが出来ないとなるとかなり落ち込んだ。

 

(あ、やばいかもしれない・・・そうだ)

 

 最近は泣くなんていうことは全くなかったが、これはかなり心にくる。忠夫はあわてて『心度計』を具現化して装着して、針を12時に合わせる。

 

(・・・強制的に冷静になれるな。これはいいのか悪いのか・・・)

 

 急激に心が凪の状態になったことすらも冷静に分析できている。本当ならそれも恐怖しそうなものだがそれも感じられない。実はかなりヤバめなアイテムかもしれない。

 

(まあ心が弱ってダメになるよりは良いかな。それより念能力を考えないと・・・)

 

 強制的にだが冷静になって考えられるようになり、気が付いたことがある。

 

 

 どんな念能力が欲しいか、というは忠夫がこの世界でどう生きていきたいのか、何をモチベーションに生きていくか、ということを考えないといけないという事だ。




 
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