(よし、おちつけ)
(とりあえずアナウンスを信用するなら)
(1週間の猶予はある、はず)
とんでもないことに気づいてしまった忠夫は、いったんそれは横に置いておくことにした。
(とにかく、ここがどこか確認してみないと)
忠夫はバックパックを背負った。部屋にはドアが2つあり、そのうちの1つのドアをおそるおそる開けてみる。
(バスルームだ・・・)
ビジネスホテルにあるようなシャワーと洋式トイレが置いてあるタイプのバスルームで、バスタブは無かった。ちょうどよいので確認がてらトイレを使ってみると問題なく使用できた。シャワーも水とお湯の両方が使用できる。
(トイレ・シャワー問題は切実だから助かった)
(しかし電気・水道代とかどうなってんだ?)
忠夫は考えないことにしてもう一つのドアを引いてみる。
「えっ・・・?」
なぜかこちらもトイレの個室にでた。しかも通常の出入り口ではない。後ろを振り返ると便器の横のタイル部分が扉の形に開いていて、今までいた応接室のような部屋が見える。
思わずドアから出て確認しようとすると
ガチャン
扉が閉まってしまい、どこに扉があったのかわからないくらい普通のタイルの壁になっていた。
慌てて扉があった部分を押すと
ガチャン
問題なく開き、もと居た部屋が見えた。
(えっ、秘密の部屋か?)
念のため何度か開け閉めしてみるが、出入りに問題なさそうだ。
(なぜだかわからないけど)
(隠れ家的な場所だったとしたらラッキーだな)
街の中すらも安全地帯ではないかもしれないので、引きこもれそうな隠れ家は大歓迎だ。忠夫はそのまま通常のドアと思われるほうからトイレの個室から出てみると、
そこはお店のカウンターの中だっだ。
カウンターの内側には椅子があり、今は誰も座っていないがお店全体を見渡せるような位置に配置してある。そして店内はガラスのケースが立ち並び、まるでトレーディングカードを扱うショップのようだった。
カードには様々な種類の花が描かれていて、漫画でよく見たようにナンバーやランクなどが記載されていた。
(いや『グリードアイランド』だったとしたら)
思い出すのは原作で修行のためにスコップなどを購入したデパートの様子。
(商品が置いてなくてカードだけの光景は当たり前か)
(『グリードアイランド』内では商品はカードの形で取引されるんだった)
(いよいよこれはもう確定かも・・・)
どんどん状況証拠が積みあがっていくことに、悲しいんだか嬉しいんだか自分でもよくわからない感情に襲われながら、なんとなくあたりを見回していると、
「お客さん」
「!!!」
忠夫は後ろから声をかけられて飛び上がりそうになった。
「トイレが済んだらとっとと出てっておくれ」
恐る恐る振り返ると、頑固そうなおばあさんがこちらをにらんでいた。
(ど、どういうことだ)
(いつのまにトイレを借りたことになっていたんだ)
忠夫は混乱し少し黙ってしまった。すると
「お客さん、トイレが済んだらとっとと出てっておくれ」
おばあさんが催促してくる。
「すっすいません、ありがとうございました」
忠夫は思わず謝ってしまった。
「まったく、花を買わないならとっとと出てっておくれ」
なおも言い募るおばあさんにあやまりながら店を出ようとするが
(そうだ場所の確認だ)
「すいません、ここってなんていうところですか?」
とっさにおばあさんに聞いてみることにする忠夫。すると
「なんだいまったく。ここは【アントキバ】っていう街だよ」
(!!・・・【アントキバ】!【アントキバ】って・・・)
忠夫は衝撃うけるとともに、漫画で知っている名前を聞いて、ほんの少し安心もしたのであった。
::花屋のトイレ::
懸賞都市【アントキバ】の頑固なおばあさんが営んでいる『花屋』の販売カウンター中にある。
普通はトイレを貸してくれないが、『花屋』の商品を3回以上購入し、おばあさんに3回トイレを貸してくれるようにお願いすると入れる。
【アントキバ】にあるお店は「〇回買い物をすると〇〇ができるようになる」というクエストがいくつか存在するが、これはトイレを貸してくれるだけで徒労に終わるハズレクエスト。
::ランクーA 隠れ家不動産::
好きな場所にあなただけの秘密の部屋を作ってくれる。入居条件は誰もその部屋に入れないこと。部屋のことをしゃべらないこと。
隠れ家をゲットするっていうか、初期位置が隠れ家スタートです。