忠夫は警戒のために『花屋』の出口から首だけ出して辺りを見渡したが、海外でよく見る特に変哲のないそこそこ栄えた通りにしか見えなかった。
通りをまばらに歩く人々は『花屋』のおばあさんの服装に似ている人もいるが、全体的にはかなりバラバラなファッションだ。
(よかった、これなら今の服装でも変とは思われないか)
(まあキャラクターは変なんて考えはないんだろうけど)
(あ・・・ふふっ)
そこまで考えて忠夫は苦笑した。自然に『グリードアイランド』にいる受け入れて考えていたからだ。
(『グリードアイランド』にいるんだとしたら)
(やっぱりかなり用心は必要かな)
(でもさっきのアナウンスによると)
(ゲームスタートまであと1週間)
(あまりビクビクし過ぎても時間ばかりたってしまうな)
(プレイヤーやキャラクター役の囚人たちが来る前に)
(なるべく早く動かないと)
(油断しすぎてはダメだが、ここは情報収集に力を入れよう)
忠夫は気を引き締めて歩き出した。
街の人たちは様々だった。複数人でおしゃべりを歩いていたり、一人で急ぎ足で歩いている人がいたり。塀の上には猫が昼寝をしていて、通りは自然な生活音につつまれていた。
まずは歩いている人々には話しかけずに、大勢の人の声がうっすら流れてくる、たぶんメイン通りだと思われるほうに進むことにした。人々を観察しつつキョロキョロと歩いていたが、少し違和感を感じる忠夫。少しして気づいた。
(街中に車両が走ってないんだ)
ヨーロッパの観光地でも、旧市街地では車両の立ち入りを制限している国はあるが、警察車両や商業用荷物トラック、ゴミ収集車すらも走っておらず、それが違和感となって感じたのだ。
(完全にRPGだな・・・)
子供のころにプレイしたドラゴンクエストやファイナルファンタジー、クロノトリガーなどの名作RPGに、生身で入り込んだかのような高揚感。
そして、メイン通りに出た瞬間、
「うわっ・・・・!」
目の前にはアントキバの街の広場が広がっていた。
広場を囲むカフェや店舗
ウインドウショッピングをしながら行きかう老若男女
大きな街路樹にかかげられた『ようこそ アントキバへ!』の垂れ幕
ゴンとキルアが初めて街に到着したときに歩いていた場所だった。
(・・・漫画のまんまじゃん・・・)
壁には懸賞付きクエストが数多く貼ってあり、先のほうのひときわ大きい建物の壁にはでっかい掲示板があり人だかりがあった。内容はアントキバ月例大会の行事表だ。
(すげー・・・)
たぶん中央広場といわれるような街の中心地なのだろう。
(本当にこの建物やNPC』たちは)
(全て念で作られたのか?)
あまりのリアリティ。
『グリードアイランド』に来てしまったことを心の底から実感してしまった。忠夫は極まった神のごとき念能力に度肝を抜かれ、呆然と口を半開きにしながら広場を見回す。
「あ!」
そこには懸賞クエストが貼ってあり、『たずね犬 見つけてくれた方に「呪われた幸運の女神像」差し上げます』とあった。
(これはキルアが読んでいたやつ!)
(たしかにこれは、良いものか悪いものかよくわからないよな)
(そして、これがあるということは!)
(近くにあそこがあるはず!)
忠夫は広場をぐるりと歩きまわってみる。警戒しないといけないと思いつつもワクワク感がそれを上まわり、知らず知らずのうちに歩調が速くなる。
「あった」
猫の看板がかかった食堂。ドキドキしながら中を覗いてみる。
すると厨房にいたコック帽とコック服を着た大きな人影と目が合った。
「アイヤー、お客さんお食事アルか?」
丸顔糸目で、とんがった八重歯をのぞかせ、ほっぺたから飛び出た三本ひげはピクピクし、何よりお尻から飛び出た長い尻尾をフリフリ動かして声をかけてきたのは、
着ぐるみ感の全くない、明らかに人間じゃない猫コックさんだったのだ!
忠夫は猛烈に感動した。
状況説明が多すぎて想定より全然話が進まない
ハンターハンターの世界って服装に統一感がないですよね
1月2月ごろでもゴンとキルアが薄手のノースリーブで攻略していたので、グリードアイランドでは年間を通してそこまで気温の上下動はないということにさせてください。
テントがーとか寝袋がーとか考えだすときりが無くなるのでその辺はファンタジーで。
(それか纏をしたときに生ぬるい水の中にいるみたいとか言ってるから、暑さ寒さに強くなるのかも)