知らない天井は独房だった。   作:鋼蛙

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(悲報)オレの同僚は犯罪者だった。

「2,3‥5‥7‥‥11‥‥‥‥‥‥」

 

 

アビドス廃校対策委員会の助っ人をすることになったオレは、しばらく郊外の宿に滞在することにした。なんせ、キヴォトスについての一通りの情報は頭に叩き込んだが、アビドスについては全くの無知と言ってもいい。それに、現地でしか得られない情報というのは貴重だ。ヘルメット団のようなアビドス校舎を狙う連中を警戒しているというのもある。

 

 

ちなみに先生には一度D.U.に帰ってもらった。シャーレの仕事はアビドス以外にもたくさんあるし、業務や生徒との交流の円滑化を図る”当番制”を実施してもらうためだ。生徒の自由意思で応募してもらい、その中からランダム或いは指名でとるシステムだ。

 

 

これなら、オレがいなくても先生の負担悪化を軽減出来るはずだ。先生が人たらしかつ抜けているところがあるのが心配だが、まあアロナバリアもあるし、暫くは最初に出会った4人の生徒に頼む形でお試し運用するから大丈夫だろう。

 

 

さてと。

 

片手逆立ちの状態からゆっくりと足をつけて、朝のトレーニング終了。

軽くシャワーを浴びて、身支度を済ませると、拳銃に弾が入っているか確認してからホルスターに戻して、コンビニで買ってきた殻付きのゆで卵を右手に取ってドアに背を向けるように立つ。

そして卵を、

 

 

 

 

 

 

 

「3、2,1、0。」

 

 

()()()()()。卵は天井ギリギリの高さまで上がってドアの方、背後に落ちる軌道を描く。ちなみに半熟なので落とすと確実に割れて崩れる。朝食の一つがおじゃんと化す。

しかし、それが床に落ちることはない。

 

 

「‥‥‥ちょっと早いな。」

 

卵が、真っすぐに構えられた銀色のバレルに立っている。殻にはヒビの一つもなく、真っすぐに頂点が天井を向いている。

 

少しの不満をもらしながら、銃に乗せた卵を左手に飛ばして納める。そのまま朝ごはんにしようとした時、スマホが振動した為、銃を納めて画面を確認する。‥‥‥‥先生からの電話だ。

今日は一緒にアビドス高校に行って、掃除などを手伝う予定だ。生徒と一緒に何かするのもまた先生の楽しみであり、青春とのこと。

 

 

「‥…‥もしもし。おはようございます、先生。」

 

『おはよう、ライ。起こしちゃった?』

 

「いえ、大丈夫ですよ。今どちらですか?」

 

『中央線の終点。住宅街の第45ブロック地区を通って校舎まで行くよ。』

 

アロナにマッピングさせたし、真っすぐ来れるはずだが‥‥大丈夫だよな?

いざって時は連絡してもらって、アロナに位置情報送ってもらうか。

 

「分かりました、お気をつけて。・‥‥そういえば、初めての当番はどうでした。確か、ユウカでしたっけ?」

 

『うん。あの子、パソコンというか仕事が滅茶苦茶早くてすごく助かったよ。知らない機能も教えてもらったし‥‥‥。』

 

「そうですか。当番制、そのまま続けても良さそうですね。4人の後の募集もはじめていいと思います。んじゃ、また後で。」

 

『うん。またね。』

 

 

‥‥‥さて、朝飯食って出るか。

 

 

 

____________________

 

 

______________

 

 

_________

 

 

「‥‥‥ははっ、久々だよ…‥‥‥おはよーございまーす。」

 

教室に入って挨拶をする。久方ぶりの”当たり前”に感動を覚えつつ、対策委員会の面々に挨拶する。

 

「おはようございます、ライさん!」

 

「ん、おはよう、ライ。」

 

「ライさん、おはようございます♪」

 

 

「‥‥‥先生とホシノとセリカは?」

 

 

「ホシノ先輩はお昼寝してます。後の二人はまだ来てませんね‥‥」

 

「セリカちゃんがまだ来てないなんて…‥‥珍しいですね。先生は‥‥‥」

 

まさか、また遭難…‥‥

 

 

 

「おはよう、みんな。」

 

‥‥‥‥ただの遅刻か、良かったわけないでしょうよ。心配させやがって。

 

 

「おはようございます。予定より遅かったですね。」

 

 

「うん、道中でセリカに会ったんだけどね…‥‥」

 

 

「え?セリカちゃんに会ったんですか?」

 

 

「うん。挨拶して、一緒に学校に行こうって言ったらさ。自由登校日だからって突っぱねられちゃって…‥」

 

「はあ…‥・」

 

…‥‥やっぱり先生の事嫌なんだ。先生と一緒に登校したくないから回り道しているのだろうか?

オレにも覚えがあるから分かるぞセリカ。オレの場合先生じゃなくて先輩だったけど。

そもそも、いきなり一緒に行こうってどうなんだろ?思春期の女の子なら尚更‥‥

 

 

「それで走り去っていったんだけど、何処に行くのか知りたかったから追いかけたんだよ。」

 

…‥‥‥‥はい?

 

「バイトだって言ってたんだけど、先生としては生徒のバイト先が気になるから追いかけたんだよ。」

 

おいテメェ

 

「最終的にストーカーとかダメ大人とか殺すとか言われちゃったし、疲れちゃって‥‥‥」

 

 

「そこに直れクソ教師。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよー。誰も起こしに来ないなんて珍しいねー。おじさん、それはそれで‥‥‥」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ライさん、銃を納めてください!」

 

 

「ライ、先生にヘイローはない。死んじゃうからやめて。」

 

 

「後生だ。止めるなシロコ。これは責任なんだ。このド変態を信じて野放しにしてしまった‥‥‥  オレの責任なんだ!」

 

安心してくれ。教室を汚さない様に弱装弾を使う。

 

 

「ライさん、落ち着いてください!」

 

 

「ノノミっ!?力強っ!!?まずい、死ぬ…‥‥‥」

 

 

「先生が、死んじゃいます‥‥‥!」

 

 

「MA☆TTE!!オレが、オレが、死ぬ…はな、して‥‥

 

      HA☆NA☆SE!!!

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥何これっ!?」

 

 

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