『…‥‥つまり、残骸を調べればいいんですね?』
「ああ。回収と分析して、今は取引されていない型番か、違法品、不良が取引できないような種類のものがあったら、今度の会議で教えてほしい。」
『分かりました。何かあれば連絡しあいましょう。』
「頼んだよ。んじゃ、またね。」
駅のホームでアヤネに情報交換と頼みごとの電話を行う。先生にはさっき大まかな事は伝えておいた。残骸を調べるのなら、実物のあるあちらに任せた方がいいだろうし、オレはあくまでも”助っ人”だからな。全部やってやる訳にはいかない。これは、先生の”生徒の尊重”という意思を最大限尊重する為でもある。
電話をきり、念のために使っていたイヤホンを外すと、丁度ミレニアム行きの電車が来る。
ミレニアムサイエンススクール。キヴォトス最先端の科学技術を持つ研究機関でもある学園。
目的は3つ。使えそうな物の調達、シャーレの仕事や先生の面倒を滅茶苦茶見てくれたユウカへのお礼、そして、
…‥‥‥‥‥個人的な興味だ。だって男の子だから。カッコいいものを求めたいのだ。
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「‥‥‥想像以上だ。すげぇ…‥‥」
学園のあちこちを繋ぐモノレール、なんか科学センターとかでありそうなザ・近未来って感じの造形の建物、スーツみたいな制服や白い制服を着たザ・研究者って感じの生徒達、よく分からないがとにかくすごそうなロボット?ドローン?の類。男ならば大興奮の光景だ。まるでテーマパークに来たみたいだ。それはそれとして、だ。
「セミナーって何処だろ?」
トリニティの時は正実の子が案内してくれた?だって前もって連絡したから。そんでもって、今回はさっきのミレニアムに来てるよ程度の連絡しかしてないから。だってお礼を言いに来たのにわざわざ…‥‥‥‥前もって言っておいた方が良かったな。そもそも今日いるかも分からないじゃん。目先の欲望に意識が行き過ぎていたようだ。
「‥‥‥適当な人に聞いてみるか。」
セミナーはいわばミレニアムの生徒会らしいし、生徒なら分かるだろう。んじゃ、そこの白の長髪の人に聞いてみるとするか。
「すみませーん、シャーレの者なんですけども、セミナーのユウカさんって何処にいるか分かります?」
「…‥!もしかして、真道ライさんですか?ユウカちゃんから話は聞いていました。」
マジかユウカの友達っぽいぞ。オレ人を見る目があるのかもしれない。
「そうそう、シャーレ特別捜査部員の真道ライ。君は?」
「私は、ミレニアムサイエンススクール2年、セミナーの書記を務めている生塩ノアです。丁度ユウカちゃんの所に行くので、よろしければ一緒にどうですか?」
「んじゃあ、頼むよ。よろしく、ノア。」
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「…‥‥成程。先生に代わってユウカちゃんにお礼をしに来たんですね。」
歩きながらここに来た理由についって話す。
「でも、事前連絡は必要だったかもしれません。一応、今向かっているミレニアムタワーはセキュリティが厳しくて部外者の立ち入りが難しいんです。権限をもつシャーレの方だとしても、手間がかかってしまいますから。私に声を掛けたのは運が良かったと思いますよ。」
「いやぁ‥‥ほんとありがとう。お礼に来たのに気を遣わせると不味いかなーって。」
ミレニアムタワーのエントランスに付くと、ノアの言う通り学生証のようなものや生態認証等、かなり厳重なセキュリティとなっていた。科学ってすげー。実包の作成や乗り物の整備位なら出来るんだが、ハイテクには弱いんだよな。
歩きながら雑談をしていると、彼女も読書が好きだという事が分かった。詩集が好みなようで、後でおすすめの本と自作の詩集を教えてくれた。キヴォトスに慣れてきたとはいえ、分からない事の方が多いから助かる。そんなこんなしているうちにセミナーの教室に着いたらしい。
「‥‥‥あ、おかえりノア。」
「ただいまです。ユウカちゃん、お客さんですよ。」
「お客さん?って、ライ君!?久しぶりね。」
「うん、久しぶり。もしかして忙しかった?」
「丁度仕事がひと段落したところだから大丈夫よ。…‥‥ほら、そこ座ってて。コーヒーでいい?」
「とりあえず、オレがいない間、先生の面倒を見てくれてありがとう。本当に助かった。」
「いいのよ…‥‥でも、先生の浪費癖はどうにか改善した方がいいわ。食費や漫画はともかく、アプリゲームで2万も課金するのはどうかと思うわ‥‥‥」
「え、何それ知らないんだけど」
だから柴関ラーメンの時、渋い顔してたのか。アプリゲームに関してはご無沙汰だが、気持ちは分からなくもないが‥‥…
「一応、5000円以上の買い物をするときは私かライ君に相談してと言ったんだけどね。」
「…‥‥‥ありがとうございます。本当に、面目ない。…‥‥あ、忘れてた。」
思い出したように紙袋を机の上に出す。
「これは?」
「さっき、トリニティに用事があったからついでに買って来たんだ。良かったらセミナーの皆でどうぞ。」
「ありがたくいただくわ…‥‥‥ライ君はこんなにマトモなのに、どうして先生は‥‥」
「…‥‥…それは、どうだろうね。」
「……‥‥ライ君?」
「そうだ。ついでにミレニアムの見学とかしたいんだけど、大丈夫?」
「ええ、良かったら息抜きがてら案内するわ。」
「私は、これからお仕事なので。楽しんできてください。」
「うん、分かった。ありがとね…‥‥本、読ませてもらうよ。」
「はい。感想もお願いしますね。」
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「ところでライ君、本って?」
「ああ、おすすめの本と、自作の詩集を教えてもらったんだ。」
「ちなみに、ノアの詩集は前回のミレニアムプライスで優勝してるわ。」
「それってスゴイんだよね?期待でき「ミレニアム最高の不眠治療法としてね。」…へ?」
「形而上学的な言葉の羅列が理由らしいわ…‥‥‥コンクールでトロフィーを貰ったことはあるみたいだから文才が無いってわけじゃないと思うけど。」
「…‥‥まあ、それはそれで気になる。」
対策委員会に一冊寄付しようかな。案外、ホシノが気に入ったりして。
(ドカーーーン!!!)
「っ!?テロか!?」
爆発音が聞こえた瞬間、銃を抜いて音が聞こえた方を向く。
「なあユウカ、これ不味いんじゃ‥‥‥」
「ええ、そうね‥‥‥‥またやったのね‥‥‥」
「へ?」
…‥‥‥‥また?もしかしてこれがミレニアムの日常の1ページ?んな物騒____
あ、ここキヴォトスだから今更だわ。…‥‥って、ユウカがいかにも怒ってますって言わんばかりのオーラを出しながら走っていった!?
…‥‥‥面白そうだし追いかけてみよ。
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ここは‥‥‥ガレージ、いや工房か?見たことのない機械や設計図、工具箱とかある…‥‥‥あれ、壁に大穴が空いてる。
「何してるんですか!?」
「さっき予算案のまとめが終わったばかりなんですよ!?」
「いやぁ、すまない。発明品の自爆装置が誤作動を起こしてしまったようだ。」
「だから何でもかんでも自爆装置をつけるのをやめてください!それだけで予算の節約になるんです!」
「…‥自爆装置は発明品に必須。」
「そうですよ!しかもこの自爆装置は以前の数倍の爆発力を持ちながらも、装置の小型化及び炸薬の配合の工夫により____」
よくわからんが、一つ確かなことが分かった。
「頭のいいバカ集団なんだな…‥‥」
「…‥‥‥それで‥‥‥おや?人間の男性とは珍しいね。彼は?」
「え?ああ‥‥‥シャーレの真道ライ君よ。先生の同僚。」
「成程‥‥‥。やあ、初めまして。そしてエンジニア部にようこそ。私は白井ウタハ。エンジニア部の部長だ。」
「‥‥真道ライです、よろしく。で、エンジニア部って‥‥‥」
「”マイスター”と呼ばれる機械製作と修理の天才が多く所属する、ミレニアムでもトップクラスの実績を残す部活よ‥…‥‥トップクラスの予算泣かせでもあるわ。」
「とんでもない!失敗もまた発明の一つさ。データ一つでも、それは新たな___」
「見てのとおり、偶に変な方向にはなるけど優秀だし重宝されてる。校内の武器の制作・修理・改造を手掛けてるだけじゃなくて、キヴォトス広域の機械施設の保守点検や修理も請け負っているわ。」
「…‥‥‥武器、か。」
「それ、オレも頼んでいいのか?」
〈連邦捜査部 情報アーカイブ:紙袋の中身〉
・前回、レイサが案内ついでに教えてくれたお店に立ち寄って購入したもの。中身はミルフィーユチョコレート。