知らない天井は独房だった。   作:鋼蛙

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職人は大概変人揃い

「それ、オレも頼んでいいのか?」

 

「もちろん構わないよ。何をしてほしいんだい?」

 

 

ウタハに少し近づいてから銃を抜き、抜弾して手渡す。

 

 

「これは君の銃かい?……もしかして”外”の?」

 

「ああ。中々使えるパーツもないし、手入れにも限界があるからオーバーホールとか頼めないかなって。とりあえず出来るかだけ‥‥・‥‥‥」

 

 

「中折れ式リボルバー、それも下部銃身‥‥‥あんまり見ない形だね。」

 

「外観から推察するに、命中精度が高そうですね。中折れという事は、再装填にかかる時間はオートマチックと同等かそれ以上…‥‥」

 

「…‥‥‥‥‥もしもーし?それで、どうでしょうかー?」

 

いつの間にオレの銃をじっくりと観察しながらブツブツと話し合い始めたエンジニア部。少し怖いが、扱いそのものはまさしく”マイスター”で非常に丁寧だが。

 

「…‥‥‥‥‥ああ、すまない。あまり扱わない代物みたいだから、つい。それでなんだが、まず射撃時のデータとパーツの状態確認をしたい。この後、時間はあるかい?」

 

「あるけど…‥‥」

 

「じゃあ、早速準備しよう」

 

早くない?まあ、嬉しいし助かるんだけども。

 

「善は急げです!」

 

あ、はい。そうですね。

 

「…‥‥なんかごめんね、ユウカ。」

 

「気にしないで。まあ、腕は確かだけど‥‥‥目を離さないでね?すぐに自爆装置とかBluetoothとかいらない機能つけられちゃうから。」

 

「…‥‥‥分かった。ありがとう。」

 

でもリボルバーに付けられるわけが…・‥‥‥ないよな?

 

「じゃあ、これで失礼するわね。また遊びに来てね…‥‥今度は先生も一緒に。」

 

「あ‥‥‥‥分かった。」

 

…‥‥‥もう生徒堕としたの?罪な人だなぁー。

 

 

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その後は射撃場で撃ちまくったり、分解してパーツをスキャニングしたり、ヒビキにコートについて色々聞かれたり、コトリの解説をどうにか聞いたり(半分以上分からなかったし途中でウタハに中断された)

 

そうして取れたデータをもとに保守点検用のパーツを作ってくれるらしく、シリンダーに関しては銃とのマッチングがあるため、いくつか試作したのをくれるとのこと。今はパーツの洗浄と再組み立てを行ってくれている。

 

 

「いきなり色々してもらちゃってありがとう。助かるよ。」

 

「こちらこそ、面白いものを見せてもらったからね。これからもよろしく頼むよ。」

 

「…‥‥自爆装置とかは勘弁してくれよ?」

 

「…‥‥何で?」

 

「マジでやめろよおい」

 

一度でもやってみろ犬耳が…‥‥殺しはしないから大丈夫、うん。

 

「…‥‥それ、大切な銃なんだ。もう手に入らないし、ソイツと色々乗り越えてきたんだ。本当に頼むよ‥‥‥」

 

「分かったよ。オートマチックや新型の武器もいいけど、こういうのも久しぶりにやってみると面白いね。腕が鳴るよ。何より、ロマンを感じる。」

 

「…‥‥‥はい。終わったよ。試してみて。」

 

ヒビキから真新しくなった愛銃を受け取る。

 

「…‥‥一応聞くけど、何か付け足したりは、」

 

「してないよ。多分、必要もない。」

 

「…‥‥試し撃してもいい?」

 

ウタハは首を縦に振ってくれたので、そこら辺に転がっていた空き缶に適当な印をつけた離れた場所に置く。トリガー、コッカー、エジェクタ―、ロッド、シリンダーなどを一通り動かした後、ガンスピンを行う。重さや感触を試した後、弾を一発だけ込めて缶に撃ち込む。その後、弾を2発こめて速射。一発込めてホルスターに収めてからの抜き撃ち。

 

「…‥‥完璧だ。さすがマイスター。」

 

 

「光栄だよ。よければ、これからもよろしく頼むよ。」

 

「こっちのセリフだよ。代金は後日振り込むから‥‥‥」

 

…‥‥なんか、ユウカが言ってたよりもずっとマトモだし誠実な人じゃないか。職人はみんな癖があるものだからなぁー。ユウカも気にしすぎなんじゃないか?これだけの学園の会計って大変そうだから何とも言い難くはあるけど。

 

「それじゃあ、また来るよ。色々ありがとう。」

 

「ああ、何か作ってほしいものや直してほしいものがあれば、是非エンジニア部に任せてくれ。」

 

「うん。贔屓にさせてもらうよ。」

 

 

 

 

 

 

 

「…‥‥‥彼、いい腕してますよね。オーバーホールする前でも、ほとんどワンホールショットでしたよ。」

 

「うん。頻繁に分解整備した後はあったんだけど、パーツそのものがとても摩耗してたのにね。」

 

「あれほどの実力者なら…‥‥色々と使ってくれそうだね。面白いデータが取れそうだ。」

 

「防弾コート着てたし、新型つくってみる?」

 

「いいですね!防弾だけじゃ物足りないので、防寒防熱防音にしましょう!」

 

「せっかくならパワーアシストをつけてみるというのはどうだろう?そうだな…‥‥()()を使えるように照準補正用バイザーやジェネレーターをつけるのもいいかも知れない‥‥‥」

 

 

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「先生、戻りましたよ。」

 

「ああ、お帰り。どうだった?」

 

オフィスに戻って来た時、先生はせわしなくキーボードを叩いていたが、オレに気が付くと手を止めて疲れ気味の顔で笑いかけてきた。今日当番はおらず、オレも出払っていたので一人でどうにか書類を片づけていたのだろう。既に定時は過ぎているので、少しでも早く帰ってもらうために先生の机から書類を半分ほど自分の机に移して手伝い始める。

 

「手掛かりがつかめたので、アヤネに戦車の残骸を調べてもらってます。今度の定例会議で報告してくれるそうです。あと、ミレニアムのエンジニア部に銃の整備をしてもらいました。腕が良かったのでこれからもお世話になろうと思います。」

 

「…‥‥‥何か、変な機能とかつけられてない?」

 

「別になかったですよ?ユウカも何か言ってましたけど、完璧に仕上げてくれましたし、人も腕もよかったですよ。きっと疲れてるんですよ…‥‥‥」

 

「そっか…‥‥‥ユウカの話と違うなぁ‥‥

 

「すみません、何か言いました?」

 

「いや、何もないならいいんだ…‥‥‥」

 

「はぁ…‥‥。お土産買ってきたので、書類片づけたら食べましょう。トリニティのお菓子なのできっと美味しいですよ。」

 

「ありがとう…‥‥…それじゃあ、がんばろっか!」

 

お菓子って言った瞬間先生の態度が露骨に変わった。きっと疲れているから甘いものを欲しているのだろう。少しでも早く味わってもらい、少しでも長く寝てもらうためにも頑張らねば。

 

 

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