「覚えてろよー!」
「次だ次!次はアイツラに‥‥‥」
キヴォトスの不良ってみんなして同じような捨て台詞吐くから、もう聞き飽きてきたな‥‥‥
最早相手にすらならない不良をボコボコにしたが、銃はまだ収めない。だってまたお仲間来そうなんだもん。てかヒフミ普通に出来るな。しっかり教えれば強くなりそうだ。
『敵、後退していきます。しかし‥‥‥』
「仲間を呼ぶつもり?いくらでも相手してあげる。」
「シロコ、目的を忘れるな。来たから戦うってだけじゃ、弾も時間も無駄になる。」
「そ、その通りです!これ以上戦うと、来ちゃいます!」
「ん、何が?」
「ブラックマーケットで騒ぎを起こしたら、ここを管理している治安機関に見つかってしまうかもしれません!あうう‥‥‥そうなったら本当に大ごとです‥‥まずはこの場から離れ‥‥」
元締めみたいなのがいるのか?ああいうのって下手な警察より厄介なんだよな‥‥
「ふむ‥‥分かった。ここのことはヒフミちゃんの方が詳しいだろうから、従おう。」
「ちぇっ、運のいい奴らめ!」
『なんか小物くさいよセリカちゃん‥‥‥』
「こっちです!ついてきてください!」
「ホシノ、殿頼む。オレは先生を抱える。」
「え!?私怪我してないし走れるよ‥‥ってうわぁ!?」
問答無用で先生を左肩に米俵の様に担ぐ。だってデスクワーク続きの人が生徒やオレについてこれるとは思えないし‥‥‥
「うへ~、ライ君って結構大胆だよねー。おじさん女の子だから羨ましいな~」
「それどっちよ!?ほら行くよ!!」
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ヒフミの案内でひたすら走ると飲食の露店が多く目立つどこかレトロな雰囲気の場所に入る。油臭いというか鉄臭かった先程の場所と比べると、食欲をそそる比較的居心地の良いところだ。
「‥‥‥‥ここまで来れば大丈夫でしょう。」
「降ろすぞ、先生。」
一応、怪我しない様に腰を落として、先生が自分で立ったことを確認するまで左手で抱き寄せる形にはするが、割と雑に降ろす。多少ふらついているが怪我もなさそうだし、大丈夫だな。
「き、気持ち悪い…‥‥」
「先生、大丈夫ですか?」
『ライさん、先生を抱えたり放り投げながら、アクロバットしたり撃ち返したりしてましたもんね‥‥‥』
だってその方が早いし、万が一を考えると流れ弾は落とした方がいいし‥‥‥
「ふむ…‥‥ここをかなり危険な場所だって認識してるんだね。」
「えっ?と、当然です。連邦生徒会の手が及ばない場所の一つですから…‥‥。」
「ブラックマーケットだけでも、学園数個分に匹敵しますし、決して無視はできないかと…‥それに様々な”企業が”、この場所で違法な事業を巡って利権争いをしていると聞きました。それだけじゃありません。ここ専用の金融機関や治安機関があるほどですから…‥‥」
「銀行や警察があるって事‥‥‥!?そ、それってもちろん、認可されていない違法な団体だよね!?」
「はい…‥‥そうです。」
「スケールがケタ違いですね‥‥‥。」
「多分、今までで一番デカい闇市だなここ‥‥‥‥」
「ライは本当に今まで何してたの…‥‥?」
「教えてあげない。」
もちろん先生じゃなくても。
「まあ、とりあえずこういう所で騒ぎを起こしたら即時撤退&潜伏が一番だ。そんでもって、一番情報をもってそうな奴を引き込んでおくと、尚よろしい。」
ジー……‥
「‥‥‥‥?」
「ってことで、(探し物が見つかるまで)付き合ってくれヒフミ。君(のここに関する知識)が必要だ。」
「え、ええ!?そ、それは……」
「もっと他に言い方なかったわけ……‥」
「なるほど、誘拐だね。」
「はいっ!?」
「シロコ先輩も言い方!!案内をお願いしたいだけでしょ?もちろん、ヒフミさんが良ければ、だけど。」
「あ、そういう事ですか‥‥‥私なんかでお役に立てるのか分かりませんが‥‥‥‥みなさんにはお世話になりましたし、喜んで引き受けます。」
「よーし、それじゃあ、ちょっとだけ同行頼むねー。」
ガイド確保完了。先生の指揮とアロナ、アヤネのサポートに加えて常連?のヒフミも加わって大所帯であること以外は調査に万全の状態といえるだろう。少しはいい結果を望めそうだ。
「そういえば、サンドイッチ食べてくれたかな…‥‥」
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「アル様、大丈夫ですか‥‥…?」
「え、ええ、大丈夫よ。ありがとうハルカ。」
「アルちゃん風邪ひいた?ライ君が作ったご飯たくさん食べたのに?」
「きっと、どこかで私たちのハードボイルドな噂をしているのよ!ええ、そうに違いないわ!」
「‥‥‥‥それはそうとして、どうするの社長?お腹は膨れたけど、お金が無い事には変わりないし、襲撃の依頼もすごい事言っちゃったし、ライの依頼だって…‥‥」
「どうするの?銀行口座も風紀委員会に口座凍結されてるし、アルちゃんブラックリスト入りしてるでしょ?」
「くっ、風紀委員会め…‥‥ここまで痛めつけられるとは思わなかったわ。こうなったら…‥‥」
「…‥‥…そもそも、アビドス襲撃の依頼と彼の依頼、同時に達成するのって結構難しいんじゃない?」
「確かに‥‥‥片方か両方を裏切ることになっちゃうもんねー」
「うっ、うう‥‥‥」
「あ、アル様‥‥‥」
《b》「と、とにかく!頑張ればなんとかなるわ!!とにかく、ブラックマーケットに行くわよ!」
「‥‥‥‥…はぁ。」
「まぁ‥‥‥‥頑張ろっか、カヨコちゃん。」
「‥‥‥‥‥そうだね。」
「いっその事、ライ君を便利屋に引き入れられたらもっと面白‥‥‥上手くできそうなのにね!」
「…‥‥そうだね。でも、彼は只者じゃない。」
「?だって、外からきた人だし…‥‥」
「それは先生も一緒。だけど、アレは…‥‥普通に生きてたら、あんな体、あり得ない‥‥‥」
「カヨコちゃん?」
「ムツキ、カヨコ、何してるの?行くわよー!」
「‥‥‥‥とりあえず行こっか。」
「そうだね。社長のフォローしないと。」
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どこかの薄暗いオフィス。二人の黒いスーツに身を包んだ人物が静かに佇んでいる。片方は赤いストールを肩にかけた大柄なロボット。片方は白いヒビとモヤを黒い顔に浮かばせる文字通りの黒ずくめ。
「‥‥‥やつらのデータ自体は正確だったはず。計算ミスか?しかし、あの力は明らかに…‥‥」
ロボットが先に静寂を破る。静かに、淡々と、しかしどこか困惑の色を浮かべた声色で。
「…‥‥お困りの様ですね。」
黒ずくめも口を開く。彼?もまた、静かに、淡々と、しかしロボットより不気味な雰囲気を纏わせて。
「…‥いや、困ってはいない。ただ、計算に少しエラーが生じただけだ。アビドスの連中が、データより遥かに強かっただけの事。」
「…‥データに不備はありません。」
「‥‥‥‥?」
「これは単に、アビドスの生徒が更に強くなった、と解釈すべきかと。」
「それは一体‥‥‥。」
「アビドスにどのような変化要因があったのか、確認してみましょう。では。」
「…‥‥‥‥楽しそうだな。黒服。」
「‥‥‥‥‥変化と言うものは、研究者にとって面白いものですよ。理事殿。」
「‥‥‥‥‥。」
踵を返すこともなく、その場を去る黒服。部屋を出た彼の無機質な顔は、嬉しそうにに歪む。
「‥‥‥‥卓越した指揮でポテンシャルを引き出す先生に、圧倒的な技量でキヴォトスの生徒を圧倒する真道ライ‥…‥‥面白い。シャーレのお二人、このキヴォトスにおけるイレギュラー。面白い、面白くないわけがない。もっと貴方たちを知り、そしてゆくゆくは…‥‥‥クックック」