知らない天井は独房だった。   作:鋼蛙

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経験上、n度あることはn度ある。

「封鎖地点を突破。この先は安全です。」

 

「やった!大成功!」

 

「本当にブラックマーケットの闇銀行を襲っちゃうなんて…‥‥ふう‥‥‥。」

 

「「‥‥‥‥。」」

 

「先生、ライさん?なんか顔が青いですけど大丈夫ですか‥‥‥?」

 

「‥‥‥生徒の犯罪を許容してしまった…‥‥」

 

「…‥しかもオレ達ノリノリで‥‥一応連邦生徒会直轄の組織人なのに‥‥‥」

 

「まあまあ。‥‥シロコちゃん、集金記録の書類はちゃんと持ってるよね?」

 

「う、うん…‥バッグの中に。」

 

なんか珍しく歯切れが悪いな‥‥‥‥って、

 

「…‥‥へ?」

 

「なんじゃこりゃ!?鞄の中に‥‥‥札束が‥‥‥!?」

 

「うええええええっ!?シロコ先輩、本当に現金を盗んじゃったなの!?」

 

確かに妙にパンパンだと思ったけども!?マジで盗んじまった!?

 

「ち、違う‥‥‥目当ての書類はちゃんとある。このお金は、銀行の人達が勝手に勘違いして入れただけで…‥‥。」

 

「どれどれ‥‥‥うへ、軽く一億はあるね。本当に5分で一億稼いじゃったよー。」

 

「やったあ!!何ぼーっとしてるのよ!運ぶわよ!って…‥‥って何してんの!?」

 

「何って‥‥‥札束を燃やすんだよ。」

 

懐から愛銃と同じくらい使っているオイルライターを取り出してカチカチと着火させようとしているとセリカに無理矢理蓋を閉じられ、親指が挟まる。そこナイフで切ったばっかだから痛いのよ…‥‥危ないな‥‥‥‥

 

「何するのよ!!これで借金を返さなきゃ!」

 

「‥‥‥‥マジで言ってんのかお前」

 

『そんなことしたら…‥‥本当に犯罪だよ、セリカちゃん!!』

 

「は、犯罪だから何!?このお金はそもそも、私達が汗水働いて稼いだお金なんだよ!それがあの闇銀行に流れていったんだよ!それに、そのままにしておいたら、犯罪者の武器や兵器に変えられたかもしれない!悪人のお金を盗んで、何が悪いの!?」

 

「‥‥‥‥‥。」

 

…‥‥‥いや、分かるけども。分かるんだけどさぁ‥‥‥金は天下の回り物って言ってたお前がそれをやっちゃあ、駄目だろうがよ‥‥‥‥

 

「私はセリカちゃんの意見に賛成です。犯罪者の資金ですし、私達が正しい使い方をした方がいいと思います。」

 

「ノノミまで…‥‥‥」

 

「ほらね!これさえあれば、学校の借金をかなり減らせるんだよ!?」

 

「んむ…‥‥それはそうなんだけど…‥‥シロコちゃんはどう思う?」

 

「‥‥‥‥自分の意見を述べるまでもない、ホシノ先輩が反対するだろうから。」

 

「へ!?」

 

「さすがはシロコちゃん、私の事、わかってるねー。私たちに必要なのは書類だけ。お金じゃない。なんなら、証拠隠滅の為に燃やしちゃうのも、一つの手だね。」

 

「‥‥‥…‥ライ。」

 

「なんです、先生?」

 

「ライは、どう思う?」

 

「オレも色々とやらかしてきたんで、余り強くは言えませんけど…‥‥そういう”やっちゃいけない事”を一度でもやって、後悔しなかったことは一度もないとだけ言っておきます。まあ、やっちゃたら薄っぺらい妄言に等しいですけどね。そのうち息をする様に出来ちゃうようになりますから。」

 

「‥‥‥‥‥おじさんとしては、カワイイ後輩がそうなっちゃうのはイヤだなー。そんな方法で学校を守っても意味はないし、それなら最初からノノミちゃんのゴールドカードにたよってたはずー。」

 

「‥‥‥‥私もそう提案しましたが、ホシノ先輩が反対されて‥‥‥‥。先輩の気持ち、わかります。いくら頑張ったって、きちんとした方法で返済をしない限り、アビドスはアビドスではなくなってしまう‥‥‥。」

 

「うへ、そういう事。だから、このバッグはおいていくよ。書類だけ頂く。これは委員長としての命令だよー。燃やすかどうかは任せるよ。」

 

「うあああっ!!もどかしい!意味わかんない!こんな大金を捨ててく!?変な所で真面目なんだから!」

 

「うん、委員長としての命令なら。」

 

「私はアビドスの事情について言えることはないのですが…‥‥このお金を持っていると、何か他のトラブルに巻き込まれるかもしれません。災いの種、みたいなものでしょうから‥‥‥。」

 

「あは‥‥‥‥仕方ないですね。ここで燃やすとそれはそれで目立ちますし、バッグは一旦私が預かっておきます。」

 

正直安心してる。こういうのって、最初の一回で大抵きまるからね。酒もタバコも薬物も嘘も殺しも同じ。

 

『‥‥‥!待ってください!何者かがそちらに接近しています!』

 

「追っ手のマーケットガード!?」

 

『…‥‥い、いえ。敵意は無いようですが‥‥』

 

「…‥‥先生、これ着て顔隠してください。」

 

先生に自分のコートを被せて、各々の覆面を再び被る。マーケットガードじゃないとしたら…‥‥一般市民?シロコがわざわざ選んだルートに?

 

「は、はあ…‥‥ふう、待って‥‥‥!!」

 

あ、アル!?何でこんな所に!?まさか、依頼を受けてオレ達を‥‥

 

「あ、落ち着いて。私は敵じゃないから‥‥‥。」

 

覆面でよく分からないが、アイコンタクトや挙動で判断するに、全員困惑している。ヒフミは知らないのであたふたしているだけだが。

 

「あ、あの…‥‥た、大したことじゃないんだけど…‥‥銀行の襲撃、見せてもらったわ・‥‥。ブラックマーケットの銀行をものの5分で攻略して見事に撤収‥‥‥あなたたち、まれにみるアウトローっぷりだったわ。」

 

こんなの(銀行強盗)がよくいてたまるか。

 

「正直、すごく衝撃的だったというか、このご時世にあんな大胆なことができるなんて…‥‥感動的と言うか。」

 

「…‥‥‥?」

 

「わ、私も頑張るわ!法律や規律に縛られない、本当の意味での自由な魂!そんなアウトローになりたいから!」

 

と、とんでもない破壊力の笑顔だ‥‥!この笑顔でアウトローは‥‥‥いや、師匠から何か一つの道を究めればあらゆる戦い方を知り、対応できるようになるという教えを受けてきた身としては否定したくない…‥‥しないでいんだよね?

 

「そ、そういうことだから…‥‥な、名前を教えて!!」

 

「名前…‥‥!?」

 

「その、組織っていうか、チームメイトとかあるでしょ?正式な名称じゃなくてもいいから‥‥‥私が今日の雄姿を心に刻んで置けるように!!」

 

「‥‥‥はいっ!おっしゃることは、よーくわかりましたっ!」

 

の、ノノミ!?何を言いだす…‥‥‥ま、まさか…‥

 

「私たちは、人呼んで‥‥‥覆面水着団!」

 

呼びません。そしてダサい!流石にそれはダサい!てか、ここで言ったらもう決定見たなものじゃん!

 

「‥‥‥覆面水着団!?」

 

ほら!根は真面目で誠実で可愛いアルちゃん社長もドン引き…‥‥

 

「や、ヤバイ……!超クール!!カッコよすぎるわ!!」

 

アイエエエ!ナンデエエエエエ!!??それでいいのか真のアウトローへの道!?

 

「うへ~本来スクール水着に覆面が正装なんだけどね、ちょっと緊急だったもんで、今日は覆面だけなんだー。」

 

ここで乗っかるなよホシノ!?適当な後付けはロクな結果にならん!てか、それだとオレいつもはスク水着てるド変態じゃねえかよ!?おい、先生笑うな!?同僚の尊厳を守ってくれよ!?

 

「そうなんです!普段はアイドルとして活動してて、夜になると悪人を倒す正義の怪盗に変身するんです!」

 

止めろおお!!オレの、オレの尊厳がっ!?社会的地位がっ!?汚される!!崩れていく!!

 

「そして私はクリスティーナだお♧」

 

「キャラも立ってる…‥!?」

 

 

「目には目を、歯に歯を。無慈悲に、孤高に、我が道の如く魔境を行く。これが私らのモットーだよ!!」

 

よくもまあ、そんな設定がすらすらと‥‥‥

 

「な、なんですってー!!」

 

…‥‥‥あ、奥に他の面子もいるじゃん。目と目が合ったカヨコさん助けてぇ…‥‥ああ、目を逸らさないでくれぇ…‥‥

 

「それじゃあこの辺で、アディオ~ス☆」

 

「行こう!夕日に向かって!」

 

「夕日、まだですけど‥‥‥。」

 

「Let's get away from this, everyone! Let's go!」

 

本日何回目かの先生を担いでの全力疾走。さよならオレの尊厳…‥‥アディオス。

 

「あ‥‥‥‥‥一億円…‥‥‥」

 

もうどうでもいいや…‥‥‥はあ…‥‥‥




尊厳にバイバイしちゃったねライ君!これでもう何も怖くないよ!!
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