知らない天井は独房だった。   作:鋼蛙

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ようやくライが活躍する‥‥‥多分。


一発撃ったら数百発返って来た。

「胡散臭いです」

「信じがたい話ですが…‥」

「怪しいわね」

「拘束した方がいいのでしょうか…‥」

 

 

悲報、誰も信じてくれない。そんなに信じられ・‥‥ないわな。全身黒ずくめで隠れてた男は怖いよね、女子高生にとって。しかも本当の事だとしても、経緯はどうあれ逮捕されて脱獄してるからな。しかし、両手を挙げて膝をついている状態で、見知らぬ女性に詰められているのはかなり怖い。

 

「言っていることが本当だとしても、犯罪者ですからね…‥どうしましょうか?」

 

「キヴォトスに連れてこられてしまった被害者という線も考えられなくはないですが、抜け出してきてしまったとなると‥‥‥」

 

「とりあえず、一度拘束した方がいいかもしれません。」

 

「あのー、それ何?」

 

「それ、とは?」

 

「縄はまだ分かるんだけどさ、そのヘッドフォンは何、どうするの?」

 

「拘束している間に音楽を聴いて頂こうかと‥‥‥」

 

「え、なんで?まさか拷問!?」

 

「私好みの選曲ですが、気に入ってくださるとうれしいです。」

 

「決定事項なの?それ拷問じゃない?」

 

ナチュラルに拷問しようとしてくるよこの子。ほら、黒羽の人も呆れた顔してるし。止めて、お願いだから止めて。

 

 

「‥‥うん?この音は‥‥。」

 

 

やたら重そうな音をが近づいてくる。

 

自動車…‥じゃないな。普通の自動車はもっと音が軽い。

 

イヤそんなまさかと、目を逸らしたくなるその音源に顔を向ける。そこに見えたのは、砂漠迷彩のような色味で塗装された鋼鉄の箱。その足(無限軌道)でじわじわと近づき、長い鼻先(砲口)をむける巨獣。

 

 

「‥‥‥厄日だな、うん」

 

 

「気を付けてください、巡航戦車です…‥!」

 

 

瞬間、巨獣が咆哮するように、砲弾を吐き出す。狙いが甘かったのか整備不良かは分からないが弾はオレ達ではなく明後日の方向に飛んでいく。その隙に5()()()近くの物陰に身を隠す。

 

「クルセイダー1型…‥!私の学園の制式戦車と同じ型です。」

 

「「学園に戦車?!」」

 

「あれは、不法に流通された物に違いないわ!PMCに流れていたものを不良達が買い入れたのかも!つまり・‥‥ガラクタってことだから壊しても構わないわ!行くわよ!」

 

「待ってください、ユウカさん。相手は戦車だけではありませんし、正面戦闘は避けるべきです。」

 

「チナツさんの言う通りです。いくら先生の指揮があっても、こちらは数で劣る上に対戦車装備は私のアーマーピアッシング弾程度しかありません。」

 

「私の閃光弾で隙を作ることが出来れば……‥‥って、」

 

「どうしたのスズミ?」

 

「彼はどちらに?」

 

「え?!‥‥‥いつのまに!」

 

「まさか一人で逃げたの?!」

 

「やはり縛り上げるべきでしたか……先生、どうしましょうか?」

 

指示を請われるも、誰がどう見ても不利な状況である。

 

(決め手がないわけじゃない。()()()()()()()()()()()()()()‥‥‥)

 

しかし、出会ったばかりの生徒にリスクを負わせることは避けたかった。どうしたものかと、険しい表情で不良の方を見やった瞬間、先程までとはまた違った音が響き、不良の一人が静かに倒れた。

 

その場の全員が呆気にとられながらも、音がした方に自然と目を向けると、彼はいた。

 

何をしたのかを示すように、その手には大きな拳銃が握られていた。

そして、数秒立ち尽くしてから

…‥‥全力で走り出した。

 

 

 

「お前ら殺れぇぇえ!!」

 

「後ろからなんて卑怯だぞ!」

 

「撃て撃て撃てっ!!!」

 

 

 

不良達が叫びながら一人に向けてアサルトライフルを連射する。

 

姿勢を低くして走っているのもあるが、殆どの銃弾が反れていると錯覚させるほど当たらない。何発かは当たっていそうだが、その足が止まることはない。おそらくコートが防弾なのだろう。

しかし、長くはもたないことは一目瞭然だった。

 

 

「いつの間に!?一人で無茶よ?!」

「どの道、長くはもちません、援護します!」

 

「スズミが閃光弾を投げたら前進して彼を援護、ユウカは戦車を牽制、引き付けて。ハスミ、戦車の砲塔背後に回り込んだら攻撃開始、急いでね。」

 

 

__________________

 

 

____________

 

 

_______

 

『先生、シャーレ部室の奪還完了を確認しました。私も、もうすぐ到着予定です。建物の地下室で会いましょう。』

 

「分かった、先に行ってるよ…‥‥そうだリンちゃん。」

 

『誰がリンちゃんですか‥‥‥それで、何か?』

 

「私以外に、外からキヴォトスに来た人間っているかな?」

 

『私は会っていませんが、何かありましたか?』

 

「実はね‥‥‥」

 

 

 

 

「弾が一発しかなかった?!あなたバカなんじゃないですか?!」

 

「あはは…‥‥まあでも、一発入っててよかったよ、役に立てたみたいだし。」

 

「そういう事ではありません!私だって戦闘要員ではありませんが、リロードを怠ったことはありません。」

 

「で、でも!コートのおかげで死ななかったしね?結果オーライってことで」

 

「あなたも先生もヘイローが無いんですから、危険であることに変わりはありません。また勝手なことが出来ない様に拘束させていただきます!」

 

「待って待って、どこにも行かないから!大人しくしてるから!怖い怖い怖い!」

 

「では、こちらのセトリを‥‥‥」

 

「ヘッドフォンは絶対要らないでしょ?!頼むから、来ないで下さあああああああああああああ?!!?!」

 

 

 

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「あの、リン先輩?何か‥‥‥」

 

「何でもありません。あと、行政官と呼びなさい。」

 

「でも、すごく怒って…」

 

「早く持ち場に戻りなさいアユム調停室長、いいですね?」

 

「は、はい!失礼しました!」

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ハア、また面倒事が増えました…‥‥」

 

 

先生以外の外から来た人間。嘘だと思いたいが、先程の通信の際にホログラム越しで、汚い声をあげながら拘束されている男性を確認してしまったことでその線は完全に消えてしまった。

 

しかも、先生がこの”端末”を起動して、タワーの制御権を奪取できるかどうかも、まだ分からない。

 

「…‥‥もう色々と面倒です。先生には悪いですが、面倒ごとのほとんどはシャーレにやっていただきましょう。ええ、それがいいです。会長を探さなければなりませんし…‥‥・・・」

 

 

 

(そういえば、シャーレに…‥‥‥まさか、)

 

 

 

外から来たもう一人の人間、シャーレ、会長。心当たりがあった。

…‥‥となると、彼もまた、フィクサー‥‥という事なのだろうか。

 

 

(全く、あの人は…‥‥)

 

 

何百回目か分からない溜息を吐きながら、シャーレへと向かった。

 

 

 

 

 

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