TRIGUNとか閃光のハサウェイとか……(ブルアカのリアイベは予定が入っているので行けない)
「どこに行くつもりなんだ?ホシノ。」
「‥‥‥なんでそんなこと聞くのさー。シロコちゃんだけじゃなくてライ君まで‥‥‥」
「昔、オレを置いていった人と、同じ顔をしてたから。…‥何を隠してるんだ、ホシノ。」
「だから何にも隠してないって~。私の怠け癖なんて今に始まったことじゃないと思うんだけどなー。」
やっぱり何か隠してる。へれへらしてはいるが、いつもの方が上手く笑えてる。
「先輩、嘘はつかないで。1人だけで抱え込んでも、どうにもならない。」
「だから嘘じゃないってー。あ、そろそろ集まる時間だ。先に行ってるねー。」
白々しく教室を出るホシノをシロコと呆然と見送り、少しばかりため息をつく。
「‥‥‥‥はあ。‥‥で、シロコ。なんでわざわざホシノにそんな事を?あの時昼寝してたなんて皆嘘だと思ってただろうけど…‥‥」
シロコに聞いてみると、彼女は無言でバッグから白い紙を取り出してオレに手渡してきた。
「これが何だって言うんだ‥‥‥‥‥は?」
”退会・退部届 対策委員会 小鳥遊ホシノ”。シロコが見せてきたのは、ホシノの退部届。
「…‥ホシノ先輩があそこまで長い時間席を外すなんて、今までになかった。それに、風紀委員会からあんなに追い詰められるまで、先輩に来ないなんて。それがどうしても引っかかって…‥先輩のバッグを漁ってみたら出てきたの。」
「‥‥‥‥‥。」
「書かれている通りの意味だと思う。見せたのはライが初めてだけど、バッグを漁ったこと自体は、ホシノ先輩にはバレてる気がする。」
他人の荷物を勝手に漁るんじゃないよ、と言いたいところだが困惑しすぎてそれどころじゃない。先の見えないアビドスに嫌気がさした?いや、それならとっくの昔に出て行っているはず。しかもホシノは高校最後の三年生。守るべき後輩もいるというのに何で?
「…‥…最初に先生に知らせるべきだぞ。…‥‥とりあえず、一旦返す。」
シロコにホシノの退部届を返すと、彼女は再びバッグにしまう。
「このことは先生にも伝えておく。それで、他の人には一旦秘密ね。」
「‥‥‥‥‥で、でも」
「分からないことが多すぎる。それに、やばい事になりそうなのにこれ以上混乱させるのも不味い。オレの言ってること、分かるか?」
「‥‥‥…分かった。」
渋々首を縦に振るシロコをみて、一旦頭を切り替える。今日の議題は間違いなくアビドスの土地についての話になる。そろそろセリカ達も戻ってくるだろうし、会議室に向かうべきだろう。
「‥‥‥‥そろそろ行こう。やることはたくさんある。頑張ろう。」
「‥‥‥‥ん。」
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その後、セリカとアヤネが慌てて帰ってきてそのままの流れで会議となった。大将のお見舞いに行っていた二人によると、紫関ラーメンの土地はアビドスのものではなくなっており、前々から立ち退きを要求されていたという事でそのうち店を畳む気でいたらしい。それを聞いた二人が、先生がオレを迎えに言っている間に色々調べてみると、校舎とその周辺以外の土地はすべてカイザーコンストラクション‥…‥つまり、カイザー系列の会社のものになっていたいたという、衝撃の事実が判明した。
「‥‥‥‥ただの憶測であってほしかったよ。」
「ライさん、気づいてたんですか?」
「いや、さっき知りあいと話して思い浮かんだんだ。思えば、ゲヘナの風紀委員会は、あそこをアビドスの土地として認識していなかった。学校の自治区は、学校のものだって事に疑いもしなかった‥‥‥。」
「で、ですが、どうしてこんなことに?学校の自治区の土地を取引だなんて、普通出来るはずが…‥…。」
キヴォトスにおいて学校とは国家に相当する。つまり学校の土地とは国土であり、勝手に買い上げたりすることはできない。しかし、そういう事が出来る‥‥‥‥否、出来たのだとしたら、それは連邦生徒会か、
「‥‥‥…アビドスの生徒会、でしょ?」
ホシノが口を開いた瞬間、全員の目線が集中する。
「学校の資産の議決権は、生徒会にある。それが可能なのは普通に考えて、その学校の生徒会だけ。」
「‥‥…はい、その通りです。取引の主体は、アビドスの前生徒会でした。」
「そんな…‥アビドスの生徒会は、もう二年前に無くなったはずでは‥‥‥。」
「‥‥‥‥はい。ですので、生徒会が無くなってからは取引が行われていません。」
「何やってんのよ、その生徒会のやつらは!!」
セリカが机を叩いて立ち上がる。
「学校の土地を売る?それもカイザーコーポレーションなんかに?学校の主体は生徒でしょ!?どうしてそんなこと‥‥…っ!!」
「‥‥‥‥ホシノは何か知ってる?一年の時はまだ、生徒会があったよね?」
「あ、そうでした!ホシノ先輩も生徒会の一員でした!」
「え!?そうだったの!?」
「それに…‥最後の生徒会の、副会長だったと聞きました。」
先生が聞いた途端、知らない情報が出てきてセリカも怒りが引いている。でも、一年で副会長ってことは…‥‥
「‥‥‥‥‥うへ~、まあそんなこともあったねえ。2年も前のことだし、そもそも私もその辺の生徒会の先輩たちとは、実際に関わりがなくってさー。私が入った時には、在校生は2ケタだったし、教職員も授業もとっくに無くなってた。生徒会室も、そうと言われなければただの倉庫にしか見えなかったし、引き継ぎ書類も立派な物は1枚もなし。ちょうど砂漠化を避けようとして、学校の建物を何度も移してた時期だったこともあってね。そもそも、最後の生徒会って言ったって、新任の生徒会長と私の二人だけだったし。」
‥‥‥‥なんか、その、凄いな。色々と。
「‥‥‥‥その生徒会長は無鉄砲で、会長なのに行内でも随一のバカで‥‥‥私の方だって、嫌な性格の新入生でさ。いや~‥‥何もかもが滅茶苦茶だったよ。」
「校内随一のバカが生徒会長‥‥‥?何それ、どんな生徒会よ……?」
確かに言っていることは凄いが‥‥‥それよりホシノが見たことのない顔になっているのが気になる。酷く懐かしむような、寂しそうな‥‥‥どこかで見たような、覚えのある郷愁と悲痛をはらんだ顔だ。
「成績と役回りは別だよ、セリカ。」
「そもそも、成績はセリカちゃんもそんなに‥‥‥」
「わ、分かってるってば!!どうして急に私の成績の話になる訳!?一応ツッコんでおいただけじゃん!?」
「そういう事なら、私と補習授業でもしようか?」
あ、なんか先生が先生らしいこと出来そうだから滅茶苦茶いい顔してる。
「あんたもそんなに笑いこらえちゃって!!アンタはさぞ、良い成績だったんでしょうね?」
あ、オレ?んー…‥どうだったかなぁ‥‥かなり前の記憶だから朧げなんだよなぁ…‥
「‥‥‥あ、高校受験の時社会が満点だったのは覚えてるぞ。」
もう、殆ど覚えてないけどね。
「嘘でしょっ!?勉強出来なさそうなのに!?」
「まあ、それは置いといて。その先輩も生徒会なんて肩書だけで、おバカさん二人が集まっただけだったからね。何の間違いだか、生徒会なんかに入っちゃって…‥いや~、あの時はあちこちに行ったり来たりだったねぇ。ほんっとバカみたいに知らないままさ…‥‥。」
バッドに入りかけてる…‥もう入ってそうなホシノにシロコがフォローを入れる。しかし、
「‥‥‥…ホシノ先輩が責任を感じることじゃない。昔の事情は知らないけど、実際に生徒会が解散になった後‥‥‥アビドスに対策委員会ができたのは、間違いなくホシノ先輩のおかげ。」
「う、うん…‥‥‥?」
想定外だったのか、ホシノが目を丸くして少し動揺している。
「‥‥‥‥ホシノ先輩は怠け者だし、色々とはぐらかしてばっかりだけど、大事な瞬間には誰よりも前に立ってる。」
「そうです。セリカちゃんが行方不明になった時、真っ先に先生に助けを求めたのもホシノ先輩でしたし‥‥‥。」
そうだったんだ‥‥‥‥てっきり先生からだったのかとばかり。
「‥‥‥‥うへ~、そうだっけ?よく覚えてな____」
「そうだったね、いつも絶対に先陣を切る。」
「私、それ初耳なんだけど!?なんで教えてくれなかったの?」
いや、君は気づきなよ…‥‥いつも背中みてたでしょ…‥‥
「ホシノ先輩は色々とダメな所もあるけど、尊敬はしてる。」
「それって誉め言葉なの?悪口なの‥‥‥?」
「ど、どうしたのシロコちゃん!?急にそんなに青春っぽい台詞を……!おじさんこういう雰囲気、ちょっと苦手なんだけど!?」
ホシノがマジで動揺してるっていうか…‥照れてる?褒められ慣れてないのか?まあ、普段が普段だから妙な納得感があるが‥‥‥‥よし、乗っかるか。
「‥‥‥‥そうだな。前で戦うのって怖いし痛いからね。ホントに凄いよ。オレ盾持ってても自信ない。」
「いつもコートで受けたり曲芸してるアンタが言う…‥?」
失礼な、アレは立派な戦闘技術だぞ?あれくらいはまだ宴会芸みたいなものだし…‥‥‥
「でも、本当にホシノは凄いと思うよ。こんなに小さくて可愛い先輩がいつも背中みせて頑張ってるってねえ。」
「うへぇ!?か、可愛っ‥‥‥え、えっ」
「今も尊敬してるけど、もしオレが後輩だったら好きになっちゃうね。」
「え、えっ、ライ君が、後輩…‥?私を…‥す、す、す…‥‥‥」
んー、やりすぎたか?でもちょっと楽しくなってきたかも‥‥…
「そ、それでは!話を進めますよ!!」
「なんでアヤネまで顔が赤いんだ…‥?」
「‥‥‥‥あんたって、最低ね。」
「セリカ?いきなり傷つくなぁ‥‥‥」
「ライ…‥‥あとで先生とお話ししようね。」
「え、なんで…‥ちょ、怖、怖いですって先生‥‥‥冗談、冗談じゃないですか、あはは‥‥‥」
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「‥‥‥‥では、どうして前の生徒会は、カイザーコーポレーションにアビドスの土地を売ったんでしょうか?」
ホシノで遊ぶ時間は終わりをつげ、真面目な話し合いに戻る。
「実は裏で手を組んでいたとか。」
「いや、それは違うと思います‥‥‥。」
「そうだね~。私もしっかり関わってないからただの推測だけど……ちゃんと学校の為を思って、色々と頑張ってた人達だったんじゃなかなーって思ってる。多分、最初は借金を返そうとして…‥って感じなんだあろうな~。」
「借金の為に、土地を……」
「はい、私もそう思います。当時すでに学校の借金は、かなり膨れ上がった状態でした。ただ、それでもこのアビドスの土地に高値が付くはずもなく、少なくとも借金自体を減らすには至らなかった…‥…。」
「それで、繰り返し土地を売ってしまうジレンマに陥って今に至る‥‥‥そんな感じだろうね。」
「何それ、なんかおかしくない?最初からどうしようもないっていうか‥‥‥‥。」
まあ、元々の理由が自然災害だからどうしようもないというのも間違ってはいない。しかし、その状況を上手く利用しようとしていたのだとしたら?
「‥‥‥‥‥そういうやり方も、無くはないけど…‥」
「え?どういう事?」
「アビドスは、悪質な罠に嵌められたのかもしれない。」
「え、え?」
「あ~・‥‥‥‥なるほど、そっか。」
どうやら、先生とホシノも同じ考えに至ったようだ。
「アビドスにお金を貸したのも、アビドスからそれ以上の金を回収しているのも、カイザーコーポレーション。」
「‥‥‥手に負えない額のお金を貸して、利子だけでも払ってもらう為に土地を売るように仕向ける。多分、いらない土地でも…‥みたいに誘導して。」
「ですが、同時にそんな安値で売ったところで借金が減る訳でもなく、土地を取られる一方で…‥」
「アビドス自治区そのものが、ゆっくりとカイザーの物になっていく。サラミ戦略っていうんだったか?」
相手が拒否しにくい要求を細かく、段階的に提示させ、それを呑ませる。その小さな積み重ねが気づいた時には対応できない大きな既成事実になる。それに加えて、遠回しな武力行使による妨害ないし制圧というえげつない策だ。
「だいぶ前から計画してた罠だったのかもね。それこそ、何十年も前から…‥‥それくらい、規模の大きな計画だったのかも。」
「なにそれ!?ただただカイザーコーポレーションのやつらに弄ばれてるだけじゃん!生徒会のやつら、どんだけ無能なわけ!?こんな詐欺みたいなやり方に、騙されてさえいなければ……!」
「でも、そうしたからこそ、今もアビドス高校が一応は存在している。」
「それは‥‥…」
「でも、悪いのは騙されることより、騙すことだと思うよ。」
「‥‥‥…先生。」
「‥‥‥‥ゲルマニウムブレスレット。」
「‥‥‥っ‥‥‥‥‥!!!分かってるわよ!私だって騙されることあるし、悪いのは騙す方だって!!でも‥‥‥‥悔しい、どうして‥‥‥‥‥ただでさえ苦しんでるアビドスに、どうしてこんなひどい事を‥‥‥。」
「セリカちゃん‥‥‥‥」
歯を食いしばり俯くセリカを何とも言えない表情で見るみんな。静まり返った会議室で、口を開いたのはホシノだった。
「‥‥…苦しんでる人たちって、切羽詰まりやすくなっちゃうからね~。」
「…‥…え?」
「切羽詰まると、人はなんでもやっちゃうものなんだよ‥‥‥。ま、よくある話だけどね。ただそれだけだと思うよ、セリカちゃん。」
「‥‥‥・・・とりあえず、カイザーの狙いはアビドスの土地だって言うのは分かったけど、なんでだろうね?」
「確かに、アビドス自治区は、もうほとんどが荒れ地と砂漠、砂まみれの廃墟になっているのに‥‥‥‥。」
「確かに‥‥。こんな土地を奪ったところで、何か大きな利益があるとは思えませんが‥‥・」
「例えば、砂漠に莫大な資源が埋まっているのが分かったとか‥‥‥‥」
「あ、そうだ。砂漠と言えば、ちょっと耳に入れておきたいことが‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥あー、あれか。忘れるところだった‥‥‥‥」
「先生、ライ?何か知ってるの?」
「実はヒナが教えてくれた情報なんだけど、アビドスの砂漠でカイザーコーポレーションが何かを企んでるって‥‥‥‥‥」
ゲヘナの風紀委員長からの情報であるからなのか、みんな訝しげな表情を浮かべる。
「そ、そんな事をどうして、ゲヘナの風紀委員長が‥‥‥‥‥。」
「それに、どうして二人に‥‥‥?」
それは本当に分からない。オレが聞きたいくらいだし、先生を気に入ってそうな感じだったし。
「ああもう、そんな難しいこと考えるより、先にやることがあるでしょ!アビドスの砂漠はうちの自治区なんだから!実際に言ってみればいいじゃん!何が何だか分からないけど、この目で直接確かめた方が早いって!」
「‥‥‥‥‥ん、そうだね。」
「‥‥…いや~、セリカちゃん良い事言うねえ。こんなたくましく育ってママは嬉しいよ、泣いちゃいそう。ティッシュちょうだい。」
「♡」
「この場合は足で情報を稼いだ方がいいかもな‥‥‥やるな、セリカ。」
「な、何よこの雰囲気!?私がまともなこと言ったらおかしいわけ!?」
「あ、あはは。そんなことは‥‥…ですが、セリカちゃんの言う通りです。」
「‥‥‥…相手は表でも裏でもデカい企業だ。今日の所は入念に準備してから行った方がいい。」
「…‥じゃあ、今日は解散して各自準備だね。みんな頑張ろう!」
「「「「「「 うん!(はい!)(ああ!) 」」」」」」