‥‥‥…ふーん。
「ひとまず、形にはなったし、効果も期待できるはずだが…‥‥…本当にこれで良いのかい?」
「ああ。この方が使いやすいし、いきなり頼んだのに徹夜して作ってくれたし…‥‥‥。でもまさか、着いた時には調整するだけだったとか凄すぎでしょ…‥‥」
「もちろんさ。せっかく当てにしてくれたんだ。マイスターとして、完璧にやらなければ気が済まない。」
「‥‥‥‥本当にありがとう。その、できればなんだけど…‥‥」
「ああ、作り足しておくから、後で取りに来てくれ。感想と一緒に待ってるよ。」
「本当に何から何まで…‥‥‥足を向けて寝られないな。」
「これからも、贔屓にしてくれよ。…‥‥アビドスに行くなら、15分後の電車にのれば大分早くつくと思うよ。急いだ方が良い。」
「分かった。じゃあ、またよろし__」
(プルプル、プルプル、プルプル、)
「気にせず出てくれ。それじゃあ、私はあっちの方で作業してるから。‥‥…‥ご武運を。」
「…‥‥…少し多めに振り込んでおくか。‥‥‥…ん?アヤネ…‥?…‥‥もしも__」
『っ!ライさん、今どこにいますか!?』
「………ミレニアムにいる。今からアビドスに向かうけど、どうした?」
『‥‥‥・・・。』
「…‥‥‥アヤネ?」
『……‥‥が、』
「……‥…?」
『ホシノ先輩が‥‥‥……!』
「‥‥‥………は?」
__________
_______
_____
直ぐに電車に乗って、アビドス高校まで駆け抜け、対策委員会の教師に飛び込む勢いで入る。
先生も、シロコも、ノノミも、アヤネも、セリカもいる。
‥‥‥…ホシノだけが、いない。
「‥‥‥…昼寝とか、そういうのでも………ないみたいだな。」
眼に入ったのは、混乱や悲しみや怒りが混ざり合い、何とも言い難い表情の対策委員会と、強い後悔の色をにじませている先生、そして、机の上に置かれた白い紙と、封筒。
「…‥‥…退部・退会届、小鳥遊ホシノ‥‥‥‥。っ!……書き直したのかよ…‥…!」
最初から、そのつもりだったんだ。自分を犠牲に、大好きな後輩たちと、学校を、守る覚悟を決めて…‥‥…!
続いて、桃色の封筒のそばにおかれた手紙を手に取る。
『 アビドス高校のみんなへ。
まずは、こうやって手紙でお別れの挨拶をすることになったこと、許してほしい。おじさんにはこういう、古いやり方が性に合っててさ。皆には、ずっと話してなかったことがあって。
実は私、昔からずっとスカウトを受けてたんだ。カイザーPMCの傭兵として働く、その代わりにアビドスが背負っている借金の大半を肩代わりする‥‥‥そういう話でね。
‥‥うへ、中々良い条件だと思わない?おじさんこう見えて、実は結構能力を買われててさ~。
借金の事は、私がどうにかする。すぐに全部を解決はできないけど、まずはこれでそれなりに負担が減ると思う。ブラックマーケットでは急に生意気なことを言っちゃったけど、あの言葉を私が守れなくてごめんね。
これで対策委員会も、少しは楽になるはず。アビドス高校からも、キヴォトスからも離れることになったけど、私の事は気にしないで。
勝手なことしてごめんね。でもこれは全部、私が責任を取るべきこと。私は、アビドス最後の生徒会だから。
だから、ここでお別れ。じゃあね。 』
「なんだよ…‥‥‥…これ。」
確かに、明日話すとは言っていた。でも、
「こんな形で言うとはな…‥‥‥‥」
「…‥‥実は、封筒の中に……ライさん宛ての手紙が入っていて。対策委員会宛と先生宛のものはみんなで読んだんですが…‥‥ライさんのは、来てからが良いと思って…‥‥」
「…‥‥…。」
何も言わずに封筒の中を見ると、まだ開いていないことが分かる、おられたままの手紙が入っていた。
『 ライ君へ。
私はライ君のことを先生と同じくらい、もしかしたら先生以上に信じていなかった。
だって、最初はヘルメット団と一緒に来たし、大人にしてはなんか若そうだし、子供にしては独特の貫禄があるし、そもそも人間の男の人なんで初めてだったし。
でも、自分の銃を丁寧に手入れしたり、私にフルーツ味のカロリーメイトを押し付けたり、便利屋の子たちにラーメンを奢ったり、ノリノリで銀行強盗したり…‥‥‥ヘイローがないのに戦ってくれて、先生や私たちを守ってくれるのを見て、少しだけ、信じられると思った。
借金は私が何とかするから、ライ君は先生と一緒に、アビドスを、みんなを助けてあげて欲しい。
ライ君は、可愛い後輩たちより強いし、理事にハッタリをかましたみたいに頭も回るから。バカな私よりずっと、みんなの力になってくれると思うから。
でも、女の子の扱いはおじさんちょっと気になるな~。可愛い後輩たちを、ちゃんとお願いね?
‥‥…‥最後に、我が儘を聞いて欲しい。こんな事は、頼むべきじゃないと思うけどさ。後輩たちに頼むのも気が引けるし、躊躇しちゃいそうだから。
君の強さと優しさを信じて、お願いします。
もしこの先どこかで万が一が、敵として相対することになったら、アビドスや先生を、傷つけることになったら…‥‥
その時は、私の
よろしくね。
』
「…‥‥‥‥‥……っっ!!
ふざけんなっっっ!!!」
アビドスに必要なのは、お前なんだって、言っただろうが‥‥‥‥
「…‥‥何が、”
「何なの!?あれだけ偉そうに話しておいて!!切羽詰まったら何でもしちゃうって、自分で分かってたくせにっ!!こんなの、受け入れられるわけないじゃない!!」
「…‥‥…助けないと。私が行く。対策委員会に迷惑が掛かるし、私一人で…‥‥。」
「‥‥‥‥それじゃあ、
「……‥でも。」
「落ち着いてください、今は足並みをそろえないと‥‥‥!」
「…‥‥‥ごめん。取り乱した。‥‥‥冷静になろう。」
「…‥‥‥ん。」
ヤバい時こそ冷静に考えろって、師匠にも教わったじゃないかオレ‥‥…。
…‥‥‥素数でも数えるか。2,3,5,7、13___
(ドカアァァァン!!!)
「うわあっ!?」
「爆発音……!?」
「近いです、場所は‥‥…!?」
例によって、アヤネが端末を操作して確認をする。
「………そ、そんな!?」
「アヤネ、どうしたの?」
「こちらに向かって、数百近いPMCの兵力が進行中!同時に、市街地に無差別攻撃をしています!」
「カイザーPMC!?なんでこのタイミングで‥‥‥!?」
「…‥‥…ホシノだ。」
カイザーPMCがあの兵力をもってアビドスに直接仕掛けてこなかったのは、小鳥遊ホシノという強者がいたから。それは、ホシノを昔からスカウトしてきたという話でも、先日の理事の反応からも分かる。それ以上に…‥‥
「‥‥…キヴォトスにおいて、生徒会は
「でも!まだ対策委員会がいるじゃない!?」
「でも、それは‥‥‥…」
「…‥‥‥アヤネ?」
「そんな事より!お、応戦しないとです!!何はともあれ、アビドスが攻撃されているのを見過ごせるわけには…‥‥!」
「考えてる時間が惜しい、直ぐに行こう!」
「で、ですが、私たちで撃退するにはあまりにも数が…‥‥!と、とにかくまずは、市民の皆さんを避難させましょう!」
「みんな出動!」
各自が武器を持ち、教室を出___
(…‥‥足音と殺気…‥、来る!!)
「伏せろっ!!」
瞬時に、伸脚のように体勢を下げつつ、
瞬間、銃を連射する音と共にドアが撃ちぬかれていく。音と貫通してきた弾道を当てにして、引き金を引き、今度は銀色の銃口が火を噴き、ドアを撃ちぬく。
「ぐわぁっ!?」
向こう側から聞こえた音が
見えた人影に向けてまっすぐ銃を向けて、残った弾をすべて吐き出す。
人影が倒れるのと同時に、シリンダーを跳ね上げるように排莢し、スピードローダーで装填して再び構える。人影は……起き上がってはいない。
「‥‥‥…みんな無事か?」
横目で教室の中を見ると、少し荒れてしまってはいるがみんな怪我はなさそうだ。
「もうこんな所に斥候が…‥…!」
「アビドス高校周辺にカイザーPMCの兵を多数確認!すでに校内もかなり侵入されています!」
「とりあえず、学校に侵入したやつらからやっつけよう!アヤネちゃん、お願い!」
「はい!先生の安全を確保しつつ、学校にした敵を撃退します!校内の安全を確保した後は、市民の皆さんの避難を!」
「まずはこの階をクリアリングしよう。それから外に出つつ、体育館に行く!」
「了解。‥‥‥あ、先生、一瞬だけ電話良いですか?」
「‥‥…こんな時に何よ…‥」
「‥‥‥…助っ人を呼ぶ。校内を掃除してる間、そいつらに市街地で頑張ってもらえば、市民への被害を押さえられる。」