知らない天井は独房だった。   作:鋼蛙

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それでも手放さなかったもの

「目標の座標地点に到着!」

 

ヒフミ…‥‥もといファウストや風紀委員会の助けもあってどうにかホシノがいるであろう場所に来たは良いのだが…‥‥

 

「‥‥‥これが基地の中か?」

 

建造物らしきものは()()にはなく、所々の残骸や建物の一角らしきものを見た上で、強いて言うのなら、

 

「この痕跡‥‥‥多分学校、だよね?」

 

なんでカイザーPMC基地の中にそんなものがあるのか。まだ手を入れていないのか、あえてそのままにしているのか。

 

「砂漠の真ん中に学校‥‥‥もしかして。」

 

「…‥‥本来のアビドス高校の校舎本館。…‥‥だな?理事。」

 

シロコの推測を察してそれを肯定しつつ、隠れ潜んでいる理事やPMCを威嚇するように鋭い視線を辺りに向けると、多くのオートマタを引き連れながら理事が出てきた。

 

 

「…‥‥‥その通りだ。」

 

 

「!?」

 

「あんたは‥‥‥‥!!」

 

「よくぞここまで来たものだ、アビドス対策委員会。そして、シャーレ。」

 

「カイザーの理事‥‥‥!!」

 

「…‥‥‥怪我の具合は良さそうだな。安心したよ。」

 

‥‥‥‥‥白いシーツの上で余生を送ってれば良かったのに。こんなに沢山お仲間連れてきやがって‥‥‥‥。

 

「この数字‥‥‥‥‥おそらく敵側の動ける全兵力が…‥‥。カイザーPMCはきっと、ここで総力戦に持ち込むつもりです…‥‥‥!」

 

「‥‥…子供の誘拐に続いて、随分と大人げないね。」

 

先生が理事に向けて、珍しく毒を吐く。

 

「砂漠化が進行し、捨て去られたアビドスの廃墟‥‥‥ここが、元々はアビドスの中心だった。…‥‥かつてキヴォトスで一番大きく、そして強大だった学校の残骸が、この砂の下に埋もれている。ゲマトリアは、ここに実験室を立てることを要求した。」

 

「実験室‥‥?」

 

「そんな事より、ホシノ先輩はどこですか!?」

 

「あの副生徒会長なら、向こうの建物にいる。もしかしたら、すでに実験が始まっているかも知れないが‥‥…。」

 

「‥‥‥‥‥‥おかしい。黒服の情報より早い。」

 

「多分、勝手に早めたとかじゃないですか?」

 

「どちらにせよ、こいつらを振り切って行くしかない…‥‥‥!」

 

「構わんよ。最も‥‥‥君たちにそれが出来るのなら、の話だが。」

 

突破自体は出来るだろうが、時間がかかる。しかも、振り切ったとしても下手に残しておくと後が面倒だ。

 

「ああもう、何処まで邪魔すれば気が済むのよ!」

 

「どいてください!さもないと‥‥‥」

 

「こちらの台詞だ。対策委員会…‥‥‥私はずっとお前たちが目障りだった。これまで、ありとあらゆる手段を講じてきたというのに、お前たちは滅びかけの学校に最後まで残り、しつこく粘って、どうにかそれを返済しようとして!あれほど懲らしめたのに、徹底的に苦しめたのに、毎日毎日楽しそうに!!!お前たちのせいで、計画がっ!!!私の計画があぁぁ!!!!」

 

随分と情けない醜態をさらしている理事に対して、敵意どころか軽蔑の念が湧いて来る。

 

体裁を取り繕う余裕もなく、己のエゴと利益にしがみつく醜い大人というものは、いつ見ても汚いものだ。

 

「ふん、あんたみたいな下劣で浅はかなやつが何をしようと、私たちの心は折れたりしないわよ!!!」

 

「ホシノ先輩を、返してもらうよ。」

 

「はい!あなたみたいな情けない大人に、私たちは負けません!絶対に!」

 

「理事、貴方のような子供から搾取するような人を、私は認めない。」

 

「愚問だろうが、一応聞いておく。‥‥‥‥‥覚悟はいいな、理事?」

 

全員が銃を構え、攻撃しようとしたその瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

(ドガアアァァァァン!!)

 

 

 

 

 

 

「爆発!?こ、今度は何ですか?」

 

謎の爆発と共にヘリが落ちてきた。

 

風紀委員会はここまで来なくていいって言ってあるはずだし、牽引式榴弾砲はもう撃たれないはずだ。となると‥‥‥‥

 

 

「じゃーん!やっほ~☆」

 

爆炎と共に何処からか現われたのは、見覚えのある4人組___便利屋68だ。

 

「‥‥‥‥。」

 

「お、お邪魔します!」

 

「べ、便利屋の皆さん‥‥‥!?」

 

「やーっと追いついた!けっどなんかこれみんな集まってるし、もしかして大事なシーンに割り込んじゃった感じ?」

 

「‥‥‥‥ふん、こっそり助太刀しようと思ったのに、そう上手くはいかなかったわね。」

 

 

いつも通り妙にカッコついていないが‥‥‥すごいタイミングで来たな。これなら誰かを残すことなく迅速に制圧___

 

「あ、あんた達‥‥‥!」

 

「このタイミングに登場、という事は…‥‥!」

 

「‥‥‥‥なるほど、そういう事だね。」

 

なんか思ったのと違う反応をしている対策委員会。ムツキとカヨコも動揺しているようだ。

 

「‥‥‥‥‥ん?何、この期待に満ちた目線は?」

 

「社長、なんか嫌な予感がするから、まずは状況を整理してから‥‥‥。」

 

「…‥‥‥‥ふふっ、勘だけはにぶってないようね、対策委員会。私たちがここに来た理由なんて、決まってるでしょう?

 

 

 

 

ここは私たちに任せて、先に行きなさい!!

 

 

「‥‥‥‥‥え?」

 

マジかよ・滅茶苦茶カッコいい事言ったよ。そんなつもりなかったのに。絶対ノリで言っちゃった感じするけど‥‥‥‥言ったからにはどうしようもないぞ?

 

「‥‥‥‥‥はあ。」

 

「うっわー…‥‥それは惚れちゃうよ、アルちゃん‥‥‥。」

 

「さ、流石です!い、一生ついていきます!アル様!!」

 

あーうん。もうこの際任せてしまおう。実力不足なんてことは無いし、戦車とかそういう無茶苦茶なのはいないし、なんか士気上がってるし。大丈夫だろう。

 

 

「‥‥‥‥も、もう‥‥べ、別に、お礼は言わないからねっ!!」

 

「あとで何か奢るよ。」

 

「はい、このご恩は必ず!」

 

「ん、ありがと。」

 

「気を付けてね!」

 

「‥‥‥‥‥報酬、弾んでおくよ。んじゃあ、任せた。」

 

 

 

便利屋に後を任せてその場から離脱する。

 

向こうの建物とか言ってはいたが、この地区内の地上には殆ど建物はない。つまり実験室は地下にある可能性が高い。

 

走りながら周囲を注意深く観察する。

 

探すのは、明らかに学校っぽくなくて比較的新しそうなもの‥‥‥。

 

「みんな、アレ!」

 

先生が指を指した方を見ると、妙に真新しいバンカーが見える。

 

「あそこで間違いないようです!このまま地下に!」

 

「‥‥‥‥行こう。」

 

「はい、急ぎましょう‥‥…!」

 

 

_____________

 

________

 

_____

 

 

バンカーから地下施設に侵入したオレ達は電灯に照らされた通路を、アヤネと先生(正確にはシッテムの箱(アロナ))の案内を受けて、クリアリングしながら突き進む。

 

砂の下によくこんなものを作ったものだと、少しばかり関心するが用途が用途なので尊敬とかそういうのは全くない。

 

度々現れる警備か何かのオートマタを打ち倒していき、どんどん進む。

 

そうして少し経つ頃には、ホシノが居る実験室まであと少しと言う所まで来た。

 

目の前に現れたのは道中で見てきたものとは明らかに異なる、見るからに重厚で厳重に閉じられたドア。間違いない、

 

「この先に先輩が‥‥…!」

 

しかし、このドアには物理的、電子的双方のカギが一切なかった。”神秘”とやらの実験室なのだ。なにか特殊な仕掛けが施されているのだろう。

 

だが、今はそんな事よりこのドアをどうやって開けるかで思考が埋められていた。

 

まあ、ピッキングも不可能、ハッキングも不可能ともなれば、とれる手段はたった一つしかないのだが。

 

「「‥‥‥‥‥‥っ!!」」

 

シロコと同時にドアに向かって蹴りこむ。シロコはストレートキック、相対的に彼女より非力なオレはソバットをドアに向かって繰り出すがびくともしない。

 

続いて、この中では一番の力持ちであるノノミが全身でぶつかり、アヤネとセリカが押したりするが何ともない。先生も何かしようとしたが、ロクに鍛えてもない先生だと返って危ない為やめさせた。

 

しかし、何度か試していると、ドアと壁の間にごく僅かなスキマが出来た。

 

オレはそれを見逃さずに、スキマに向かって弾丸を何発も全く同じ場所に撃ち込んでいくと、弾丸がめり込み、隙間がどんどん開いていく。

 

そこに、セリカが渾身の体当たりを繰り出す‥‥‥‥!

 

 

「こんのっ!!」

 

 

ぶつかられたドアは、セリカが押し倒すかのように倒れる。

 

中に入り、セリカの脇から腕を通しながら立たせて確認すると、そこは大きな吹き抜けとでもいうような場所だった。中央の塔のようなものに掛けて一本橋のような通路がありその先には、

 

「ホシノ先輩!!」

 

膝立ちのような体制で両手を後ろに回されたホシノがいた。見た所赤いレーザーのようなものを周囲の装置から放つことで拘束しているらしい。

 

「ホシノっ!!」

 

生徒への心配が最高潮に達したのか、あろうことか先生が真っ先に一本橋を駆け抜けていく。

 

「…‥‥‥‥ちょっと待ってろ。」

 

対策委員会に入り口近くで待機するよう言っておき、オレは先生を追いかける。

 

橋を渡り終えて先生に追いつくと、ホシノの状態をざっと確認する。

 

ヘイローは出ているが、うなだれている。意識が朦朧としているのか衰弱しているのか‥‥‥・

 

「ちょっとどいてください‥‥‥‥!」

 

先生にどいてもらい、レーザーを発している周辺の装置を撃ちぬくとホシノの拘束は解除され、そのまま倒れかける体を先生が支える。

 

「ホシノ、ホシノ!」

 

見た所は、多分はしばらくすれば意識がハッキリするだろう。

 

ホシノをお姫様抱っこして、先生と共に対策委員会の所に戻る。

 

「ライさん、先生、ホシノ先輩は‥‥‥‥‥」

 

「多分、その内起きるはずだ。ここから早____」

 

 

(ドカアアアァァァァァァン!!!)

 

実験室の天井辺りから次々と爆発が起こり、残骸が降り注ぐ。先程の一本橋が崩れ落ち、徐々に大きな揺れが起こる。

 

「な、何っ!?」

 

「まさか‥‥‥‥‥‥自爆?」

 

「え、ええっ!?嘘でしょ!?」

 

「こういう時の自爆って、けっこうテンプレだからね。皆、急ぐよ!」

 

 

____________

 

_______

 

____

 

 

 

なんで、こうなってしまったのだろうか?

 

私はただ、アビドスを、皆を守りたかっただけなのに。

 

可愛い後輩たちに、笑顔でいてほしかっただけなのに。

 

先輩の____________________。

 

なのに、結局悪い大人にまた騙されてしまった。

 

アビドスの借金が減るどころか、最後の公的な生徒会メンバーが学校を去ったことで、アビドスはカイザーに攻撃されて、

 

カイザーの傭兵になるどころか、黒服の実験に使われようとしている。

 

どうすれば、良かったのかな?

 

もっと皆を頼るべきだった?

 

もっと早く、大人を…‥‥‥先生を信じればよかった?

 

もっと早く、あの男の子を信じればよかった?

 

「シロコちゃん‥‥ノノミちゃん‥‥セリカちゃん‥‥アヤネちゃん、先生…‥‥‥‥‥‥‥ライ君…‥‥‥‥‥‥。」

 

だって、だって、私は、ただ…‥‥‥‥。

 

 

〈ねえ、ホシノちゃん。〉

 

ふと頭をよぎる、懐かしい声。

 

もう二度と戻れない、会えない、ある先輩と二人きりだった頃の、なんてことのない話。

 

〈私ね、ホシノちゃんと初めて出会った時、これは夢なんじゃないかって思って、何度も頬をつねったの。ホシノちゃんみたいな、可愛くて強くて、頼れる後輩がそばにいてくれるなんていう夢みたいなことが、本当に嬉しくて…‥‥。うーん、上手く説明できてないかもしれないけど‥‥‥‥。ただ、こうしてホシノちゃんと一緒にいられることが、私にとっては奇跡みたいなものなの。〉

 

〈……‥‥毎日毎日、こうして一緒にいるじゃないですか。昨日も今日も、明日もそうです。こんな当たり前な事で、何を大袈裟なことを。〉

 

〈はぅ‥‥だって‥‥‥。〉

 

〈”奇跡”というのはもっとすごくて、珍しいものの事ですよ。〉

 

〈…‥‥ううん、ホシノちゃん。私はそうは思わないよ。〉

 

〈ねえ、ホシノちゃん。いつかホシノちゃんにも可愛い後輩ができたら、その時は___〉

 

 

 

「…‥‥‥‥‥‥。」

 

ああ、そっか。

 

私、私が、しなきゃいけなかったことは_______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ‥‥‥‥?

 

身体が自由に…‥‥‥?夢でもみているのかな…‥‥‥。

 

 

 

 

 

「___先輩は?」

 

「__________!_________!!」

 

「_____っ!!_______!!!」

 

「______!_____丈夫!?」

 

「____________。___________こう。」

 

「_________。もう少________!」

 

 

 

 

みんなの声が聞こえた。

 

やっぱり、夢か。

 

 

でも、夢でもいいから、

 

最後に、もう一度だけ‥‥‥‥

 

 

 

 

 

 

「「「「 ホシノ先輩!!! 」」」」

 

 

心の底から望んでいた声が、聞こえた。

 

確かに、聞こえた。

 

空気の変化と明るさもあって、ゆっくりと眼を開きながら、上体を起。そこには___

 

 

「あ、あれ‥‥‥‥どうやって…‥‥‥。」

 

シロコちゃん、ノノミちゃん、セリカちゃん、アヤネちゃん、そして先生。

 

私が守ろうとした、大切な人達が、

 

始めて出会えた、信じられる大人がいた。

 

「どうして‥‥‥だって、私は…‥‥‥。」

 

なんでこんな所にいるの?なんでここが分かったの?なんで‥‥‥‥。

 

色んな疑問が、頭にいっぱい浮かんで、のどが詰まる。

 

「ホシノ。」

 

先生が私の名前を呼んだ。ただそれだけなのに、詰まっていたものが、抱えていたものが、少しだけ、スーッと抜け落ちていくように感じた。

 

「…‥‥‥‥ああ。」

 

そして、理解した。

 

「そっか…‥‥。みんなが、先生が…‥‥‥。」

 

皆が助けに来てくれたんだと、

 

「大人が、ね‥‥‥‥はは。」

 

今まで散々疑い、拒んできた大人に助けられたのだと、気づいた。

 

「待って‥‥‥‥‥」

 

重要なことに気が付く。後輩たちが、先生がいるのに、

 

いるのなら、足りない。

 

1人、彼が‥‥‥‥‥あの黒いコートを着たあのリボルバー使いの、男の子が、いない。

 

「ライ君は…‥‥‥‥?」

 

 

 

「えっ!?えーと…‥‥‥‥」

 

「気づいてないの‥‥‥‥‥‥?」

 

 

 

ライ君の名前を出した途端に、皆の言葉が詰まり、困っている。

 

彼は先生と同じ、外から来たヘイローを持たない人間。

 

かなり強いのは間違いないけど…‥‥‥‥銃弾一発で、死んでしまう体だ。

 

「まさか‥‥‥‥‥‥‥。」

 

ほっとしたばかりの体から血の気が引いていく。まさか、まさかまさかまさかまさか…‥‥‥‥‥

 

「そんな…‥‥‥・」

 

私のせいで‥‥‥‥?私のせいで、彼が‥‥‥。

 

 

「…‥‥‥本当に気づいてないみたい。」

 

「嘘でしょ!?だってこんなに‥‥‥‥‥‥。」

 

「で、ですよね!?だって、ほら、その…‥‥」

 

 

「‥‥‥‥‥‥ホシノ。」

 

「先生、ごめん、なさい‥‥‥‥‥‥‥私…‥‥‥‥」

 

「後ろ向いてみて。」

 

「…‥‥‥‥‥‥え?」

 

人が死んだというのに、何を言っているのだろうか?しかし、逆らう気も言い返す気も起きず、言われるがままに首だけ動かして後ろを見ると____

 

 

 

 

「…‥‥‥‥‥‥‥勝手に殺すんじゃないよ。」

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥うへ?」

 

彼の顔があった。それも、目と鼻の先、というか、このままだと、くっついて、キ_____

 

「う、」

 

「う?」

 

 

 

「うへえぇぇぇぇっ!!!????」

 

「え___オワアァァァッッ!!!???

 

 

自分でも信じられないくらいの声で叫びながら、尻餅をついて彼を思いっきり押し飛ばしてしまう。

 

すると、彼もスゴイ声を出しながら真後ろに吹っ飛ばされて頭を瓦礫にぶつけながら止まる。

 

「…‥‥‥‥‥‥‥へっ!?だ、大丈夫!?」

 

飛び上がるように立ち上がり、様子を確認しに行くと頭にデカいたんこぶを作りながらのろのろと立ち上がるライ君。

 

「その分だと、元気そうで、何っ、よ、り‥…‥‥‥だ。」

 

「う、うへぇ!!??ご、ごめーん!私、いきなり男の子の顔が目の前にあったから、び、びっくりしちゃって…‥‥‥‥‥‥‥。」

 

「だって先輩、地上に上がるまでずっとライさんが抱えてましたからね。」

 

「‥‥‥‥‥‥へ?」

 

「私はいつも米俵みたいに担ぐのに、ホシノはお姫様抱っこなんて羨ましいよ。」

 

「それは、オレと先生の身長が変わりないからってのと状況の問題…‥‥‥‥‥っていうか、あんたオレよりデカいよな?」

 

「…‥‥‥‥‥‥へ?」

 

「出る時もカイザーの連中が攻撃してきたから、それから庇いながらずっと走ってたのよ。」

 

「…‥‥‥‥‥うへ?」

 

「その…‥‥‥中々、いい絵になっていたというか‥‥‥ちょっと憧れます‥‥‥‥」

 

「地上に出てから、ライが膝の上に先輩を駆けながら腰を下ろしたら、丁度先輩が起きた。」

 

「うへぇ!!??」

 

顔が熱い。絶対に真っ赤だ。なんか、すごく恥ずかしい…‥‥。

 

「う、うへぇぇ~~~~~‥‥‥‥。」

 

「…‥‥‥‥‥ホシノ?顔が赤いけど大丈夫か?まさか、変な薬とか盛られたり…‥‥!?」

 

「ち、違う!違うから!!おじさんは元気だよ、う、うへぇ~‥‥‥」

 

 

「まあ、とりあえずホシノとライはこの後一応病院に連れてくから。しばらくは良く休んでね。」

 

「え?いや、オレ今回大して…‥‥‥」

 

「数日のうちに病院から二回も脱走したのって誰だったかな?」

 

「はい、オレです。誠心誠意、行かせてもらいます。」

 

「それ、誠心誠意でやるものなの‥‥‥‥?」

 

「とにかく、二人を病院へ‥‥‥‥‥‥あ、そうだ。」

 

「?」

 

「おかえり、ホシノ。」

 

「‥‥‥お、おかえりっ!先輩!」

 

「ああっ、セリカちゃんに先を越されてしまいました!恥ずかしいから言わないって言ってたのに、ズルいです!」

 

「う、うるさいうるさいっ!順番なんてどうでもいいでしょ!」

 

「‥‥‥‥‥無事で良かった。」

 

「ホシノ先輩、おかえりなさい!」

 

「おかえりなさい、です!」

 

「おかえり、ホシノ先輩。」

 

そっか。

 

そういう事だったんですね、先輩。

 

これで、こういうので_________。

 

「あはは‥‥‥‥‥。何だかみんな、期待に満ちた表情だけど。求められてるのは、あのセリフ?」

 

「ああもうっ!分かってるなら焦らさないでよ!」

 

「うへ~‥‥。」

 

「全く、可愛い後輩たちのお願いだし、仕方ないなあ‥‥…。」

 

「そういえば、ライさんはまだ言ってませんね?」

 

「…‥‥‥‥‥‥あ。」

 

「あ、じゃないわよ!何腕組んでニコニコしてんのよ!」

 

「そうですよ!ライさんが言わないと、先輩が何時までたっても言ってくれません!」

 

「ライ、ちゃんと挨拶しようね。」

 

「子供扱いしないでくださいよっ!?…‥‥分かった、言うから。ちゃんと言うから、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んじゃあ…‥‥ホシノ、おかえり。」

 

 

「うん、ただいま。」




〈連邦調査部 情報アーカイブ:今回のライの怪我〉
・防弾コートの劣化もあって、いつも以上に弾丸の相殺や連携に注力したのでかすり傷や汚れ、疲労がほとんど。ホシノに押し飛ばされた時にできたたんこぶが一番の重症。


次回、エピローグ。その後しばらくは閑話になります。
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