実質的に初めてのオリジナルストーリー・‥…‥‥になるのか?
「…‥‥‥‥終わったァァ!!」
「ふう…‥‥お疲れ様です、先生。」
私とライがキヴォトスに来て、シャーレで働き始めてからしばらく経つ。こうして二人で、時には当番の生徒にも手伝ってもらいながらのデスクワークや、緊急の救援要請、生徒からの相談や頼み事をこなす事もすっかり慣れたような気がする。
今日の分の書類も片付き、椅子からゆっくりと立ち上がる。
「んっ、んん~‥‥‥。」
手を軽く組んで腕を上に伸ばす。こうもデスクワークが続いていると、全身が凝ってしまうし、眼も大分疲れる。仕方のない事だが、参ってしまう。伸ばし切った体から力を抜き、腕をぶらんと下ろして息を吐く。
「…‥‥‥どうぞ。」
ライが温かいお茶を淹れてきてくれたので、一口啜る。美味しい。疲れた体に染み渡る。
「美味しい‥‥‥‥ライってお茶淹れるの上手だよね。」
「オレはコーヒー党なんですけどね。師匠が、不味いお茶を淹れられると容赦なく殺しにかかる人だったんで、嫌でも上手くなりますよ‥‥‥‥‥。」
「ふーん…‥‥‥‥。」
”師匠”。ライが度々口にする人物で、彼の振る舞いや言動、経験に深い関係があるらしいが、その師匠について…‥‥‥というか、ライは自分の事を余り話す方ではない。性格自体は優しくて真面目だと思うのだが、秘密主義なのか、よっぽど言いたくないのか、まだ距離があるのか。私はまだ、真道ライについてよく分かっていない。
「…‥‥‥‥…。」
知りたい。私のただ一人の同僚の事を、現状キヴォトス唯一の男の子の知り合いを。
「先生?どうかしました?」
そもそも彼が何歳なのかもしらないけど。彼は私を年上か上司のように接しているけど。
「あの‥‥‥そんなにジッと見られても困るんですけど‥‥‥‥。」
一緒に仕事したり、ご飯食べたり、仮眠室で休んだことはある。水族館にも行ったけど、彼にとっては仕事の延長なんだと思うし…‥‥。
「も、もしかして、お茶が口に合わなかったんですか?それとも疲労のピークで意識が落ちかけてるんですか‥‥‥?」
確か、明日は当番の生徒もいないし、ここ数日の奮闘により大した仕事も無い。事実上の休みだ。まあ、緊急の要請や相談が入らない限りは、だが。
「‥‥‥‥‥ねえ、ライ。明日暇?」
「えっ!?‥‥‥まあ、仕事も特にないですし…‥‥。」
「そっか。じゃあ決まりだね。」
「き、決まり‥‥?何が‥‥‥?」
「ねえ……‥‥明日先生とデートしない?」
「…‥‥‥‥はい!?」
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朝の5時前。D.U.内にある公園に来た。ライのプライベートが知りたいだけで、邪魔でなければ付き合わせてほしいといった所、この時間・場所に動きやすい服装で来て欲しいと言われてきたのだが‥‥‥‥‥。
公園の中に入ると、木陰のベンチに人影が見える。少し小走りで近づくと、コートを腰に縛っているライだった。上は黒い運動用の長袖だ。
「…‥‥‥あっ、先生。おはようございます。ちゃんと動きやすい服装ですね。」
「おはよう。もしかして今から運動するの?」
「はい。D.U.にいるときは、この場所この時間で。ここからシャーレに走っていくと、丁度シャワーを浴びてから始業に間に合うんですよ。」
「今までずっと走ってきてたの!?」
私が驚くと、彼は首を縦に振って肯定する。
だから私よりちょっとだけ遅かったんだ‥‥‥‥。
「それじゃあ、体を軽く伸ばしたら行きましょう。」
「分かったよ。」
彼は簡単な準備運動と言っていたが、彼は思いのほか体が柔らかいようで、場所によっては私より全然可動域があった。
その後、彼に付いて行く形で走ったのだが_____。
「すぅ…すぅ…すぅ‥‥はぁーはぁー‥‥‥…っ!」
「うぇっ!?ちょ、いきなり…‥‥!?」
私もどうにか付いていけるが、ややハイペース気味のランニングかと思えば、不規則にペースが短距離走並みに早くなり、暫くペースを維持したかと思えばまたペースが落ち、暫くしたらまたペースが上がる…‥‥‥そうしたリズムで走っているのだ。
私も決して運動が出来ないわけではないのだが、このペース配分はかなりキツイ。
「ぜぇ、ぜぇ‥‥‥はぁ、はぁ‥‥‥…。」
「‥‥‥‥‥大丈夫ですか?」
私の息が上がっていることに気付いたのか、ライはペースを落として私の隣で並走し始める。
その顔や息遣いは余裕そのものだった。
「ご、ごめん‥‥‥‥ちょっと、キツイ、かも…‥‥‥!」
「それなら、ここからは少し軽めで行きましょう。もうちょっとだけペースを上げたら、そのまま維持してシャーレに向かいます。行けますか?」
「頑張るよ…‥‥‥!」
この後は、ライの言う通り、少しだけペースを上げてそのままシャーレまで走り抜いた。
朝の運動後のシャワーと水分補給はとても気持ちよくて、たまには朝の運動もいいと思ったので、偶に散歩やジョギングをすることにした。でも、彼に付いて行くのはまだ先の事になりそうだ。
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朝の運動後。私とライはシャーレで着替えや朝食を済ませると、D.U.の色々な店が並んでいるエリアに来た。
「帰る機会が少ないとはいえ、自宅にものが少ないし、気になる物もあるのでブラブラしながら探してみようと思いまして。」
私だったら特撮のおもちゃとかプラモデルとか、そういった物を買うために真っ先におもちゃ屋とかショッピングモールに行くけどな‥‥‥‥。
「…‥‥んじゃあ、行きましょうか。」
そうして、彼の買い物が始まる。怪しくない程度にキョロキョロしながら私の少し前を歩く彼の姿は、ちょっと新鮮だ。
最初に入ったのは、服屋だった。女子高生の多いキヴォトスにも、男物はちゃんと売っているのだが、彼が探しているのは私服の類ではないようで‥‥‥‥。
「んー…‥‥流石に無いのか…‥‥。」
「何を探してるの?」
「防弾仕様のコートです。そろそろ替え時かと思ってはいるんですけど、無いですね。」
「あ、ずっとそれ着てる訳じゃないんだ。」
「そりゃあ、服ですからね。一応、黒いコートっていうのはずっと一緒ですけど。」
「へえー。」
その後も何軒か服屋を回ったが目当ての物は無さそうだった。時期的にもコートを取り扱っている店は少ないだろうし、仕方ないだろう。
「見つからないね。」
「ええ…‥‥。折角ですし、コートのインナーでも買いますかね。…‥‥どっちが良いと思います?」
「そうだね…‥‥こっちのグレーの奴とかどう?」
「いいですね。じゃあ、これにします。」
彼は私が選んだシャツだけを買って店を出た。
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次に行くのは、、雑貨屋だった。これまた意外だ。
「…‥‥意外、ですか?」
店に入る直前で、私の心を読んだかのように、彼は振り向いてキョトンとした表情で聞いて来る。
「そうだね。男の子がこういう所に来る事って、結構あるの?」
「んー‥‥少数派なんじゃないですかね?オレの場合は、こういう所に連れ回されることがそれなりにあったから、自然と好きなったって感じですけど。」
ライって師匠の事といい、結構人の影響を受けるタイプなのかな?
店内に入ると、壁掛けの植物や食器、ちょっとした家具や置物など、様々なものが置いてあり、結構オシャレな雰囲気だ。少しボロボロになった黒いコートも相まって、歴戦の雰囲気というか貫禄と言うか、そういった空気を感じさせることが多いけど、こうして色々なものをゆっくりと見ている姿を見ていると、超人的な戦闘技術の持ち主であることなんて感じさせない、穏やかな少年そのものに見える。よく見ると、割と顔立ちも良く見える…‥‥‥。
「これいいかも‥‥‥‥重さも丁度いい‥‥‥‥。」
彼が手に取ったのは、白いマグカップ。近くで見てみると、黒い弾丸のような絵が描かれている。余り詳しくはないが、ライが使っている弾丸に似ている気がする。
他にも、ライフルや動物、花等、色々な種類がある。結構人気のある商品なのだろうか?
「あ、この猫のやつ可愛い‥‥…私も買おうかな?」
今オフィスで使っているのは元々置いてあったものだが、当番や相談に来た生徒も使うし、自分の物があった方が良いかもしれない。
「それにするんですか?」
「うん、可愛いし‥‥‥。」
その後、ライはマグカップと小物を少しもってレジに並び、私も猫のマグカップをもって続く。
「次のお客様、こちらへどうぞー!」
「はい、これを____」
マグカップを店員の前に出そうとした時、あることに気付いた。
マグカップが無い。私は確かに、あの猫のマグカップをもって並んだはずだ。まさか落としたのかと思い、振り返って床を見てみると破片や埃の一つも見つからない。
「お客様?どうかされましたか?」
「その、マグカップを買おうと思ったんですけど、何時の間になくなってて…‥‥。」
「マグカップ‥‥‥‥あ!もしかして、前にいた黒コートの方のお知り合いですか?」
「え?そうですけど…‥‥‥‥。」
「お会計の時、マグカップをもう一つお買い上げになったので、もしかしたらと‥‥‥‥。」
「!! ありがとうございます!」
店員にお礼を言うと、レジから移動し、店外に出る。扉の近くには紙袋を持ったライ。
紙袋の中をのぞくと、いくつかの小物と包装された何かが
「‥‥‥‥‥これ、私のマグカップだよね?買ってくれたの?」
「ええ。先生が他の物を見ている隙に、勘定させてもらいました。」
直前まで気付かなかった‥‥‥‥‥。早撃ちの名手なだけあって、なんという早業‥‥‥‥。私だから見逃しちゃったね。
「そんな‥‥‥‥‥悪いよ。」
その辺に売っているものより値が張っていたはずだ。申し訳なくなって自分の財布を出そうとしたら、ライに片手を添えられて制止される。
「まあまあ…‥‥気にしないでくださいよ。」
「‥‥‥‥‥でも、」
「だって先生、来週発売のフィギュア、欲しいんでしょ?」
「ぐっっ!!??何故それを…‥‥‥。」
「ネット見てたら偶々…‥‥‥‥日頃のお礼って事で、使ってくださいよ。」
柔らかい笑みでそんな事を言われると、何も言い返せない…‥‥‥‥。
「‥‥‥‥‥‥うん、ありがとう。大事に使わせてもらうね。」
また一つ、同僚に借りが出来てしまった。
でも、不思議と悪い気はしない。むしろ、暖かみすら感じる。
これからは、オフィスで大切に使わせていただこう。
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その後は少し歩いて、ライがヴァルキューレの生徒に教えてもらったという定食屋でかつ丼を食べたり、コーヒーやお菓子を買い足したりして、用も済んだのでシャーレに戻った。
「ふぅー‥‥‥疲れたー。」
朝に結構キツイ運動をしたこともあって、結構疲れてしまったが、いつものデスクワークによる疲労とは違う、何というか健康的な疲れを感じる。プライベートでこんな感覚になったのは久しぶりかもしれない。
買ってきたコーヒーとお菓子を早速頂きながらオフィスのソファに沈み込む。
「んー美味しい‥‥‥‥。この後はどうするの?」
朝の運動、買い物を終えて、今の時刻は午後の3時過ぎ。まだまだ使える時間はある。
「あー‥‥今から射撃場に行くつもりだったんですけど…‥‥‥どうしよう‥‥‥。」
射撃場か…‥‥。シャーレには様々な種類の弾丸が用意されている射撃場があるのは知っているが、私は銃を使わないどころか、持ち歩くことすらないから近づいたことも余り無いのだが‥‥‥。
「‥‥‥‥邪魔しないようにするから、見ててもいいかな?」
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「はい、これ着けてください。」
射撃場に入る前にライから渡されたのは、黄色いヘッドホンのようなもの。
「防音イヤーマフです。銃声の衝撃から耳を守る為に付けてください。オレがこれを着けている時は、絶対外さずに、近づかないでください。これは電子式なので話し声は聞こえてます。何処に当たったのかは、あそこのパネルに表示されます。いいですね?」
そう言うと、ライは弾丸が入った箱を置いて銃を抜きながらレーンに入る。後ろ姿しか見えないが、腕の動きからして弾の確認や装填を行っているのだろう。
ライがイヤーカフをつけ、銃を手に取るのをみて、私も慌ててイヤーカフを着ける。
ライがゆっくりと息を吐きながら、移動式ターゲットのスイッチを入れ、銀色のリボルバーを右手で真っすぐと構える。腕も足も頭も、一切揺れているようには見えず、背中から伝わる真剣なオーラに思わず息をのむ。
まるで、ライ自身が銃と一つになっているようだ。
「すぅ…‥‥…‥‥‥‥」
一番近く距離のターゲットが起き上がる。
「…‥‥‥ッ!」
しかし、ほぼ同時に銀の銃口が火を噴きターゲットが倒れる。間を開けずに同じ距離のターゲットが起き上がるがやはり一瞬で撃ちぬかれて倒れる。
続いて距離と大きさの異なるターゲットが3つ起き上がり、倒れる。銃を左手に持ち直すと同時に2つのターゲットが起き上がり、倒れる。
シリンダーを跳ね上げ排莢、ローダーを使うことなく、一発一発を丁寧に素早く装填し両手で構えると、ターゲットが起き上がり、やはり撃ちぬかれて倒れる。ターゲットが3つ、バラバラの場所で倒れている事から一瞬で3度撃ちぬいたことが辛うじて分かる。
その後も銃を持つ手を両手、右手、左手と変えながら、正確無比な神速の射撃を続ける。ホルスターに収めての抜き撃ちや、左手での抜撃ち、西部劇さながらの腰だめの速射等を繰り返し続ける。
最後のターゲットが倒れると、彼はゆっくりと銃の状態を確認し、弾を込め、銃をホルスターに収め、イヤーカフを外す。
「ふぅ…‥‥‥お待たせしました。見てるだけじゃ、つまらなかったでしょう?」
彼が話しかけてきた事でハッとして、私もイヤーカフを外す。
「そんなことないよ!つい見入っちゃってパネル見てないくらいで…‥‥‥ええっ!?」
初めてパネルを見ると、ターゲットに撃ち込んだ後がハートとか星の形になってる!?
「遊び心ってやつですよ。」
サラっと言ってるけど、リボルバーであの速さでこんな事が出来るのって滅茶苦茶スゴイのでは…‥‥。
「あ、そうだ。先生も撃ってみます?貸しますよ?」
「えっ、私は…‥‥‥遠慮しておこうかな‥‥‥‥。」
「分かりました。じゃあ、箒と塵取り持ってきますねー。」
意外にも私の断りをあっさりと了承したライは、そのまま道具を取りに行った。
「これを見た後はやりづらいしね…‥‥‥。」
パネルを見ながら独り言ちる。私ではそもそも当たるかどうかすら怪しいし、彼がああだこうだ言う様には思えないけど、何となく気後れしてしまう。
そう言えば、彼が撃った数に対して、当たった後が少ないような‥‥‥‥‥。
「…‥‥‥気のせい、かな?」
そもそもちゃんと数えてもないしね。
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ライの射撃訓練の後、私たちはシャーレの食堂のキッチンを使って夕食を作っていた。シャーレの冷蔵庫には普段から調味料や肉、野菜などは入っているのだが、デスクワークに忙殺されてコンビニ飯や男飯のような簡単で雑なものになりがちなので余ってしまっているのだ。これから生徒が使うかもしれないから、整理がてら夕食を作ろうとライが提案したのだ。
ライは結構作り慣れている様子で手際が良いし、私も簡単なものならそれなりに上手く作れるので、滞りなく料理は完成した。
献立はチキンカレー、きのこと野菜のスープ、ゆでジャガイモ、わかめサラダだ。何故ジャガイモがカレーとは別なのかと言うと、ライが昔行った店では別で出てきたのを思い出したからとの事。
「やっぱり、カレーは色々な具材が使えて一気に作れるし、余ったら小分けで冷凍すればいいからいいですね。‥‥‥‥じゃあ、いただきましょうか。」
「うん、」
「「 いただきます。 」」
まずは、ライが作ったカレーから頂こう。スプーンに上手くライスとルーをのせて、シャツを汚さない様に気を付けながら口に運び、咀嚼する。
「ん~!ちょっと辛いけど美味しい!」
「良かったです。オレ結構辛いのが好きなので‥‥‥‥。」
自分と私の味覚の違いを心配していたのだろうが、この辛さが具材のうまみを更に引き出して米を進ませてくれる。止まらない。美味しい‥‥‥‥!
「…‥‥ところで、このジャガイモってどうやって食べればいいの?」
綺麗に洗って皮ごとゆでた丸々一個のじゃがいも。塩?バター?いや、でもカレーだし‥‥‥‥。
「お好きなように食べていいですよ。具にしても、そのままかじっても。ルーに溶かせば辛さを調節できますし…‥‥‥。」
なるほど。ジャガイモを別にすると色々な食べ方が出来る楽しみがあるのか。折角なので、私はジャガイモを半分に割って、具にする食べ方とかじりつく食べ方を両方楽しませてもらおう。
一度スプーンを置いて、別皿に置かれた熱々のジャガイモに手を伸ばす。ライの気遣いなのか、皮には切れ込みが入っており、綺麗に皮がむける。白い中身があらわになったジャガイモを押さえて、慎重にスプーンを入れて割ると、とてもホクホクしているのが分かる。
生唾を飲み込みながらジャガイモの半分をルーにいれ、スプーンの
美味しい。先程より辛さがマイルドになり、ジャガイモの甘さをほんのりと感じる。
「福神漬け、使います?」
「うん、ありがとう。」
ライが手渡してくれた小瓶を開けて、福神漬けをライスの傍らに盛り付ける。
ルー、ライス、ジャガイモ、福神漬け。組み合わせや配分を少し変えるだけでもこんなに美味しく食べれることに感動すら覚える。
「おっと‥‥‥‥‥野菜も食べなくちゃね。」
一度カレーを食べる手を止めて、私が作ったワカメとカニカマをポン酢とごま油で和えたものを食べる。ワカメの触感とポン酢の酸味、ごま油の香りが口の中をリフレッシュさせてくれる。
そして私が作ったスープも。軽く炒めた野菜とコンソメの旨味と、カレーで余った鶏肉による旨味が染み渡る。これなら辛めのカレーを食べ進めても胃にくることは無いかもしれない。
「ライスもルーもまだまだありますからね。出来るだけ食べてしまいましょうか。」
「うん!」
私は彼との夕食を片づけの時まで存分に楽しんだ。
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「いやー楽しかったー!こんなに充実した休みは久しぶりだよ!」
普段の終業より遥かに早い時間とはいえ、夜中であることには違いないという事で途中までライと帰路を共にすることになった。
運動もしたし、良い買い物もできたし、お腹も一杯だし。キヴォトスに来てから一番健康的な一日だったかもしれない。危惧していた緊急の仕事や相談もモモトークのやり取りで済むものしかなかったし、奇跡的な一日だったことは間違いないだろう。
「それは良かったです。いきなりデートとか言いだすから一時はどうなるかと…‥‥‥‥。」
「それは言葉の綾と言うか何というか…‥‥‥でも、ライの事を色々知れて良かったよ。」
「そうですか‥‥‥‥‥よく分かりませんけど。」
暫く二人で話しながら夜のD.U.を歩く。この時だけは、先生としてではなく、私個人として、真道ライに向き合えたような気がした。
「あ、オレこっちです。先生は?」
「私は丁度反対だよ。」
「じゃあ、お開きですね。今日はお付き合いいただき、ありがとうございました。」
「こちらこそ。デート楽しかったね‥‥‥‥またしようね!」
「クソ忙しい仕事が無ければ、ですけどね…‥‥‥‥‥。」
「ははは‥‥‥‥‥そうだね…‥‥‥‥‥。」
「…‥‥‥‥じゃあ、自分はこの辺で、明日からまた頼みます、先生。」
「こちらこそ、明日もよろしくね。おやすみ、ライ。」
こうして、私の同僚とのデートは終わりを告げた。
明日から、また彼とシャーレ唯一の同僚として仕事をすることになる。そこにある種の安心も、残念な気持ちも覚えてしまう。
結局、彼が私より年下なのか年上なのかは分からずじまいだが、彼が困っているのなら、何かやりたいことがあるのなら、私はそれを手助けするだけだ。
大人として、先生として。彼の
本編とはあまり関係ない話を書くの楽しい…‥‥。
感想しだいで、閑話をもう一つ書くか次章に入るか決めます。