メインストーリーに関しては出来るだけ時系列順で書きたいので、これから章分けが細かくなると思うのでご注意ください。
これからも変わらず、高評価・感想・閑話のリクエストは可能な限り取り入れていくので、今後ともよろしくお願いします!
では、新たなライ君の物語をどうぞ!
冒険の始まり
「これで‥‥これで最後だから…‥‥。」
「‥‥‥‥‥。」
シャーレのオフィスに響くペンとタイピング音、そして血迷った情けない大人の理性をなくしかけた醜い独り言。
そんなものに気を取られて手が止まるようなオレでは無い。さあ、今日もキヴォトスの為、生徒達の為、自分の生活の為に働かなければ。
「出れば勝ち‥‥出れば勝ち‥‥‥」
「‥‥‥‥‥。」
それにしても、最近は先生のサインや印鑑が必要ない、つまりオレでも処理できる書類が増えた気がするな。シャーレの活躍も留まるところを知らず、次々と仕事やトラブルを解決しているから、緊急性も重要性も無いような依頼をしてくる人が増えたといった所だろうか?
「お願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願い____」
「‥‥‥‥‥。」
あ、シロコからのモモトーク。ロードバイクで数日掛けてのキヴォトス横断を計画中?一緒にどう?
ロードバイクか…‥‥。興味が無いわけではないが、そんなに暇でもないしな。せめて出来る限りのサポートはしてあげよう。食料とか水とか着替えとかをずっと持っているのも負担だろうし、チェックポイントみたいな感じで先回りする感じになるのか?詳しいルートや日程が決まったら教えてくれるように頼もう。
「ア‘‘ア‘‘ア‘‘ッッ!!??いや、まだだ!昇格昇格昇格_____」
「‥‥‥‥‥。」
今度はレイサからか。また特訓に付き合って欲しい、か…‥‥。今度の週末の…‥‥午後なら行けるな。一生懸命でやる気があるから、教えがいがあるんだよな。あの真っすぐな思いと身のこなしは大したものだし、これからに大いに期待できる。
‥‥‥‥‥師匠も、こんな気持ちだったのかな。
「ア‘‘ア‘‘ア‘‘ア‘‘ア‘‘ア‘‘ア‘‘ア‘‘ア‘‘ア‘‘ア‘‘アア‘‘ア‘‘ア‘‘ア‘‘ッッッッ‘!!!!?????」
「…‥‥‥‥。」
独房から始まったキヴォトス生活。最初はどうなる事かと思ったが、仕事はやりがいがあるし、生徒は皆可愛くて良い子ばかりだし、毎日屋根の下でご飯食べて寝れるし、何だかんだ良い生活してるなぁ…‥‥‥‥‥。
「そ、そんな‥‥‥‥‥。こうなったら、もやしとコッペパン生活と引き換えにすれば____」
「もうやめましょうよッ!!??お金が勿体ないですっ!!!」
意識的に気にしない様にしていたが、それ以上は見過ごせない。再び課金しようと、血走った目で画面をタップしようとする先生の手からスマホを奪い取ると、涙を浮かべながらスゴイ顔になってる先生に軽く引く。
「だ、だってぇぇ…‥‥‥。」
「またユウカに怒られたいのかアンタは!?」
彼女、5000円以上の出費は相談してくださいって言ってただろうに。
「‥‥‥‥‥‥。」
「オレがいないところで課金しようとか思ってませんよね?…‥‥はぁ。」
目を逸らした先生にそう言うと、先生の体がビクッと跳ね上がり、顔が引きつる様子に、呆れてため息が出る。
それで食費削って、コッペパンともやし生活にしたところで、オレが適当に作った昼ごはんにがっつくのは目に見えてるんだよ。運よくユウカが当番出来た時の事を考えてみてくれ。オレも何で放っておいたのってお小言もらうんだぞ?
「ライの意地悪っ!!」
「オレが悪いんですか…‥‥?」
「課金はね、運営へのありがとうなんだよ。ピックアップキャラを引くのは、普段からお世話になってる事に対する一つの礼儀だと思うんだ。」
「だからって健康を放り投げるのはどうなんですか。」
「ライはゲーム全然やらないじゃん。やればきっと分かるよ。」
オレまで
「はあ‥‥‥‥。ゲーム、ねぇ…‥‥‥。」
『ゲームと言えば、こんなお手紙が来てますよ。ミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部?からみたいです。』
「ゲーム開発部?ミレニアムってそう言うのもあるのか。」
ミレニアムはゲヘナ、トリニティと並ぶキヴォトス三大校の一つ。その中でも歴史は最も浅いが、合理と技術に重きを置いているだけあって、キヴォトストップクラスの技術や化学による影響力は全く引けを取らない。オレが銃のメンテナンスや特殊実包でお世話になったエンジニア部をはじめとして、最新テクノロジーの研究に日々邁進してるイメージなのだが、そういうサブカル的な部活もあるというのは意外だ。
「アロナ、読み上げてくれる?」
『はい。”ゲーム開発部は今、存続の危機に陥ってます。生徒会からの廃部命令により破滅が目前に迫っている今、助けを求められる相手はあなただけです。勇者よ、どうか私たちを助けてください!”。なるほど。すごく面白いと言いますか‥‥‥かなり切羽詰まっているということは、ひしひしと伝わってきますね‥‥‥。』
「そうか?」
文面が王道系RPGのそれにしか見えないせいで、悪戯にも思えるが…‥‥。
「でも、廃部命令が出てるのなら、余り猶予は無さそうだし‥‥‥‥行ってみようか。」
流石先生。一切疑うことなく行ってみようってなるのは先生としては立派かもしれないが、やはり警戒心が足りていない様に思える。
まあ、オレもミレニアムには丁度行ってみようと思っていたことだし、タイミングは悪くない。
先生は白い背広羽織ってシッテムの箱を持ち、オレは黒いコートを羽織り、簡単に銃の状態や弾薬を確認してホルスターに収める。
「いざミレニアムへ。行くよ、ライ。」
「了解。」
_____________
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____
「ここがミレニアム‥‥‥‥ユウカが通ってる学校か…‥‥。」
「そういえば、先生は初めてでしたっけ?」
先生はミレニアムの建物や研究施設を興味深そうにキョロキョロしながら歩いているが、オレはアビドスの時に3回ほど来ている。と言っても、もっぱらエンジニア部やセミナーの二人位しか面識はないし、今向かっているゲーム開発部の部室がある建物にも初めて行く。
「そういえば、ライってゲームをやったことはあるの?あんまりやってるイメージが無くて‥‥。」
「オレもゲーム位やった事ありますよ。ご無沙汰ですけど。」
先生みたいに課金した事こそないが、友達と一緒にソシャゲを楽しんでいたことだってある。なんてタイトルだったけ?確か…‥‥えーと…‥‥‥。
「…‥‥‥‥何だっけ?」
まあ、大分前の記憶だし、覚えていなくても仕方ないか。それに、キヴォトスにオレが知っているゲームがあるとは限らないし。そうだ。ゲーム開発部というくらいだし、それなりにハードもソフトも揃っているはずだ。自作のゲームもあるだろうし、少しくらいはやらせてもらえるのでは?
唐突にかつてのゲーム欲が沸き上がり、依頼に対するモチベーションが上がって来た。何だかワクワクしてきた‥‥‥‥‥。
「♪~‥‥‥。」
「ふふふ。‥‥‥あ、この建物じゃな_____」
「危ないッッ!!!」
「「 え? 」」
突如、上から聞こえた声に二人して気の抜けた声を出しながら上を見ると、何かが落ちてくるのが見えた。
「悪戯にしちゃ、危ないなぁ…‥‥!」
咄嗟に先生を後ろに下げて、銃を抜く。この高さ、あの大きさなら撃ち落としつつ下がれる__。
「待って!!???私のプライステーション!!!」
再び聞こえる大声。先程の声とよく似ているが、少し違う‥‥‥‥って、言ってる場合じゃない!
咄嗟に壊してはいけないものだと理解したオレは、落ちてくる物体から照準を外してあわあわしながら受け止めようと両手を上げるが、敵意もない唯の落下物を受けとめるのは少々苦手であるが故に、待ち構える位置を間違えたようで少し離れた所に落ちる…‥‥‥‥!
「ちょっ!まァァァッ‥…‥‥!!」
咄嗟に超低空姿勢で駆け出し、落ちす寸前の所で落下物が両手に____。
「ぐえぇっっ!!??」
収まることは無かった。勢いあまってオレの顔面は固い地面に押し付けられる。それと同時に落下物はオレの後頭部に着地する。
思ったより重量があったようで、勢い余ったダッシュの勢いとオレの体重、落下物の重さが一気に顎にかかり、数十センチ程滑っていく。
ヤバイ。顎と後頭部に、モロ、ダブルの、衝、げき___________。
「プライステーションは無事っ!?」
「違うよ!?わああ‥‥どうしよう当たっちゃったぁ!!??」
「ライ!?大丈夫!?」
___________
________
_____
「ライ、ライ!?」
「起きて、起きてよぉ‥‥‥‥起きて!!」
「‥‥んん‥‥‥‥はッ!?」
し、知らない天井‥‥‥‥‥。ここは何処?オレは‥‥‥真道ライ。シャーレの特別捜査部員。師匠は魔物。
「あっ、目覚めた!?」
後頭部と顎をさすりながらゆっくりと体を起こすと、安堵の息を吐く先生と‥‥‥‥誰?
なんだこのケモ耳付きの丸いピンク‥‥‥?あ、緑もいる。そっくりすぎてカラバリみたいだ。多分、双子かな?
「気がついたか?君は運がいいな!」
「あ?」
「急に変な喋り方をしないで、この人が戸惑ってるでしょ。」
あ、緑の方は礼儀正しそう。
「へへっ、嬉しくってつい…‥‥ねえ、大丈夫?このまま目を覚まさないのかと思ったよ。」
「本当に良かったです。お姉ちゃんが窓の外に投げたプライステーションが、あなたの頭に命中した時は…‥‥このまま殺人事件の容疑者になってしまうかと思いました。…‥‥お姉ちゃんの代わりに謝ります。ごめんなさい。」
「ああ…‥‥こちらこそ、えー…プライステーション?受けとめられなくてごめん。」
「ふーんだ。そういうミドリだって、私が”当たっちゃった!?”て叫んだ時、”プライステーションは無事!?”だったじゃん。」
「おい。」
「そ、それは、私たちゲーム開発部の財産リスト第一号だし、思わず…‥‥‥。」
「‥‥‥‥ん?ゲーム開発部?君たちが?」
「え?そうだけど‥‥‥‥。」
__________
_______
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「あなた達が、シャーレ…‥‥‥!?」
「うわっ、本当に!?じゃあ私たちが送った手紙、読んでくれたんだ!もし読んでくれたとしても、本当に来てくれるなんて思ってなかった!」
「私が先生で、彼が…‥‥」
「真道ライだ。よろしく。」
「あらためて…‥‥ゲーム開発部へようこそ、先生、ライ!」
「男の人が一緒だからまさかとは思いましたが…‥‥来ていただけて嬉しいです。」
「私はゲーム開発部、シナリオライターのモモイ!」
「私はミドリ。イラストレーターで、ゲームのビジュアル全般を担当してます。」
「あと今ここにはいないけど、企画周りを担当してる私たちの部長、ユズを含めて‥‥‥。」
「「 私たちが、ミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部だよ(です)! 」」
ピンクの元気そうなのがモモイで、緑の落ち着いてそうなのがミドリね。分かりやすくていい。
「よしっ!じゃあ先生もライも来たことだし、”廃墟”に行くとしよっか!」
「は、廃墟‥‥?」
「あの、もうちょっと詳しく状況を説明してくれる?」
廃部の危機だから助けてくれって話のはずでは?それがどういう‥‥‥‥。
「あ、じゃあ最初から順に説明するね。えっとね、私たちゲーム開発部は今までずっと、平和に16ビットのゲームとかを作ってたんだけど。」
「だけど?」
「ある日…‥‥生徒会から襲撃されたの!」
「しゅ、襲撃っ!?」
「ん?でも確かミレニアムの生徒会って…‥‥。」
「一昨日には、生徒会四天王の一人であるユウカから最後通牒を突きつけられて____」
「それに関しては、私から直接ご説明しましょうか?」
「「 こ、この声は!? 」」
ドアが開く音とともに加わる、新たな声。既に知っている声だが、振り向いて顔をみて確信する。
「ユウカ‥‥‥!」
「やあ、ユウカ。前の当番ぶりだね。」
「ライ君、先生…‥‥‥はあ、まさかこんな形で会うなんて。」