「私もヴェリタスからちょっと聞いただけだから分からない事だらけなんだけどね。連邦生徒会長がここの出入りを厳しく制限して存在自体を隠そうとしてたみたい。」
「連邦生徒会長って‥‥‥あの、キヴォトスの生徒会長達の頂点にいたのに、突然いなくなっちゃった人?」
そして、先生とオレをキヴォトスに連れてきてシャーレに所属させた人でもある。
「そう。あの人がいなくなってから連邦生徒会の兵力も撤収しちゃって、そのまま放置されたみたい。そのおかげで入り込めたんだけど…‥‥‥とにかく!連邦生徒会の警備がいなくなってヴェリタスの助けも得てこの場所に来られたわけだけど。ヒマリ先輩によると、ここは”キヴォトスから忘れ去られたものが集まる、時代の下水道みたいな場所なのかもしれない”…‥‥って。」
「そのヒマリっていう人がヴェリタスって所の所属なのか?」
「そうだったと思います。車椅子に乗った美人の先輩で、いつもRPGの賢者みたいに”私は何でも知ってますよ”って感じなんですけど‥‥‥。」
つい気になってミドリに聞いてはみたが、相当個性的な人だという事は分かった。
「そんな人が、
「それだけここは未知の世界ってことなんだ‥‥‥‥。」
賢者のように評されるという人が曖昧に答えたというその違和感に、先生も不安を感じているようだ。今の所、ここについての情報が、連邦生徒会長が制限する程度には危険、キヴォトスから忘れ去られたものが集まるってだけ‥‥‥‥。
「モモイ。まさかとは思うが、そのG.Bibleって言うのがあるって言ったのって、ヒマリって人の話を聞いたから…‥‥‥とかじゃないよな?」
「お、お姉ちゃん!?そ、それだけの理由でこんな所に先生達まで!?」
「それだけじゃないよ!ヴェリタスにG.Bibleの捜索をお願いしたら、最後にG.Bibleが稼働が確認された座標が分かったみたいで…‥‥その座標が普通の地図には存在しない場所だった。」
「それって‥‥‥。」
「そう。その二つを合わせて考えると、G.Bibleはきっとここ‥‥‥‥ずっと存在が隠されていた廃墟にあるはず。」
まさかとは思ったが、思いのほか考えた上だったのか‥‥‥‥。
「G.Bibleって‥‥‥そもそも何だっけ?」
「そういえば、全部説明してもらってませんでしたね‥‥‥。」
流れというか、感覚で来ちゃったし。
「簡単に言うと昔のミレニアムには‥‥ううん、昔のキヴォトスにはね、伝説的なゲームクリエイターがいたの。その人がミレニアム在学中に作ったのが、G.Bible。どうやら、その中には”最高のゲームを作る方法”が入ってるんだって!」
昔の伝説的なゲームクリエイター?
最高のゲームを作る方法が入ってる?
「…‥‥‥胡散臭くないか?」
「それ、どこかのゲームクリエイター学校の広告じゃなくて?」
「違うよ!読めば最高のゲームを作れるようになるゲームの聖書は絶対にある!そのG.Bibleを読めば、最高のゲーム‥‥”テイルズ・サガ・クロニクル2”が作れるはず!」
仮にあったとしても、読んだだけではどうにもならないのでは‥‥‥?
そう言うのって、実践して結果を出すことが難しいし、あと2週間しかないんだろ?
まあ、ここで口にするのも野暮なので胸の中に取り敢えずしまっておくが。
ここで彼女の信じている希望を否定するのもかわいそうだし、先生は生徒を尊重するし、こんな所まで来てしまった以上は手ぶらで帰るのも何か違うし‥‥‥‥。ひとまず、その座標を目指しつつ、全員の無事を優先して動くしか_____。
「…‥‥‥…不味い。やっちゃった‥‥‥‥。」
嫌な汗が流れるのを感じながら、ホルスターから
「ライ、どうしたの…‥‥‥!?」
「ロボット!?」
モモイの後ろには、先程やりすごしたのと同型のロボットが。電子音が発されると、周囲から無数の足跡と共にロボットが銃を構えながら現れる。
狙いは…‥‥言うまでもなく、オレ達だ。
「‥‥‥‥廃墟で警戒を怠ると、こんな風に一瞬でピンチになる。次から気を付けような?」
「な、何言ってるんですか!!何だかすごい狙われてるし、どんどんこっちに集まってきてる!?包囲されちゃいますよ!?」
ミドリが涙目でライフルを構えるも、パニくって照準があっちこっちにブレブレになっている。
「うわわわ、ど、どうしよう!?」
さすが双子、色違いで動きがシンクロしてるのが見ていて面白いが…‥‥‥そんな場合じゃなさそうだ。二人とも修羅場は踏んでなさそうだし、瓦礫だらけとはいえ、こんな開けた場所ではキツイだろうし‥‥‥‥。
「あっち!工場みたいなのが見える!」
「え?こ、工場!?」
先生が指を指しているのは、周囲のビルとは明らかに用途や造りが異なっている建物。工場なら、ここよりは上手くやり切れるだろう。
「お、先生ナイス!急いでロボット達を突破して逃げ込もう!」
「‥‥‥‥先生。」
「うん。任せて。前は頼むよ。」
「モモイ、ミドリ。先生のいう事をちゃんと聞いてくれると助かる。いいな?」
二人にアイコンタクトを取りながら念押しすると、二人は同時に頷き、同時に銃を構えなおす。
それを確認すると、3人の前に出つつ、一番近くのロボットの顔面に銃弾を叩き込みつつ蹴り倒す。
「んじゃあ…‥‥‥‥ゲームスタートだ。」
_________________
____________
________
「‥‥‥‥皆無事に来られたけど…‥‥どういうことだ?」
ロボット達を突破して全員工場に入り、追手がいない‥‥‥と言うより、追って来なくなったことを確認すると、再装填しながら3人に歩み寄る。
たどり着いたのは、工場内の通路か何かといった所だろうか?目の前には取っ手や鍵の類が見当たらない扉があるが…‥‥どうやって開ければいい?
「あのロボット達、急に追って来なくなった…‥?工場に入るまでは、恐ろしい勢いで向かってきたのに。何でか分かんないけど、とにかくラッキ~‥‥‥でいいのかな?」
「良くないよ!うわあああん!もういや!いったい何でこんなところで、ロボットたちに追われなきゃいけないの!」
「落ち着いて、ミドリ。生きていればいつか良い日も来るよ。」
「今日の話をしてるの!そもそもお姉ちゃんのせいでしょ!!」
「近くに敵の気配は無いから。先生もオレもいるし、大丈夫だから。な?」
ミドリがへたり込んで泣き出してしまったので、横に座って背中を摩りながら宥めてみる。それにしても、修羅場を踏んだことが無いにしては、平然としているモモイは凄いな…‥‥。肝が据わっているというか、能天気と言うか‥‥‥。
「それにしても、ここは何をする工場なんだろう…‥‥。」
「ぅぅ‥‥‥連邦生徒会は、あのロボットたちがいるから出入りを制限してたのかな?あのロボットたち、実は連邦生徒会が非常時に使う為の秘密兵器で‥‥‥とかは考えてみたけど。」
「そういうのじゃない気がする‥‥‥‥何なんだろ。」
ミドリが落ち着いてくれたようで何より。手を取って一緒に立ってから、あのロボットについて少し思考を巡らせてみる。
連邦生徒会の非常時の秘密兵器‥…‥‥にしては弱い。上手くやっていれば戦う事もなかったくらいだし。じゃあ、警備‥‥‥?この、工場の‥‥?じゃあ、何で工場の中にいるような気配も、仲間で追ってくる素振りも無い?別の警備の為の何かがある‥‥‥?
…‥‥‥‥引っかかるな。
「‥‥‥‥何かを、見落としているのか‥‥‥?」
…‥‥一旦おいておいた方がいいか?とりあえず、安全に進むことを考えよう。手始めに、この扉を調_____
「接近を確認。」
「えっ、な、なに?」
「部屋全体に、音が響いてる‥‥‥?」
突然部屋に響いた謎の声。才羽姉妹がキョトンとする中、オレはホルスターに手を掛けて周囲を観察する。視線も足音も殺気も無い。となると、
「対象の身元を確認します。才羽モモイ、資格がありません。」
「え、ええ!?何で私のこと知ってるの?」
やはり、警備システムの類か。資格の基準がよく分からないが、この場に都合よく資格ありと判断される人物がいるとも思えない。もしそうなら、どうなる?罠が作動する?さっきのロボットが来る?そのまま追い出されるか、これ以上進めないだけ?
「対象の身元を確認します。才羽ミドリ、資格がありません。」
「私のことも‥‥‥一体どういう‥‥‥?」
…‥‥かくなる上は____。
「対象の身元を確認します。○○先生。…‥‥。」
「あれ?」
「資格を確認しました、入室権限を付与します。」
「えぇ!?」
「え、どういう事!?先生はいつこの建物と仲良しになったの!?」
「私が聞きたいよ…‥‥‥。」
「才羽モモイ、才羽ミドリの両名を、先生の生徒として認定、同行者である生徒にも資格を与えます。承認しました。下部の扉を開放します。」
「‥‥‥下部の扉?この目の前の扉じゃなくて?」
才羽姉妹にも資格が与えられた旨が伝えられるが‥‥‥下部?この部屋には目の前の扉しかないのだが‥‥‥‥‥。
「モモイ?どうしたそんなに引きつって____」
「下部ってさ、もしかして‥‥‥‥。」
「…‥‥え、床?まさか‥‥‥これどこからどう見てもただの床じゃない?」
「ミドリ、そういうのってフラグ____」
先生まで引きつった表情になった瞬間、ガチャンと音がする。気のせいだろうか?足の接地感がない。まるで床が____
「ゆ、床が無くなっ‥‥‥‥落ちるっ!?」
「うわわわっ!?」
「待って私心の準備があぁぁっ!?」
「冗談だろぉオワアァァァッッ!?」
「お姉ちゃん!先生!ライさん!きゃあぁぁっ!!」
(ガチャン)
「
___________
_______
_____
「うーん‥‥‥‥。あれっ、お姉ちゃん?先生?ライさん!?」
「いやー、流石に死ぬかと思った‥‥‥‥。」
「お姉ちゃん大丈夫?あれ、先生はいったいどこに‥‥‥。」
「そういえばライもいない‥‥‥‥‥。」
「
「
「ひゃあっ!?な、なっ、なんで!?どうして私たちの下にいるんですか!!?」
「どうしてって…‥‥落ちる時にとっさに先生が私たちのクッションになろうとして‥‥‥‥更にライが、先生と私たちのクッションになってくれたからでしょ。」
「あっ、ご、ごめんなさい‥‥‥びっくりしちゃって、てっきり二人に
「いや、今の言葉に対して、もう一度謝った方が良いと思うけど…‥‥。」
「とにかく先生、ライ、大丈夫?」
「二人が無事なのは良かったけど、ライは…‥‥‥。」
「鍛えてるんで、ご心配なく‥‥‥‥。」
強がっては見るが、滅茶苦茶痛い。先生は左腕で、才羽姉妹は右手と胴で受け止めて受け身も取ったが‥‥‥あまり深くなくて助かった。3人は流石に堪える‥‥‥‥‥が、決して重いだとかは口にしてはならない。なぜかって?男だからだよ。
…‥‥‥骨も折れてない。多分。痛いだけだから大丈夫。多分。
先生の手を借りながら立ち上がり、スマホや銃を出して破損が無いか確認する。…‥‥大丈夫そうだ。
「と、とにかく、ありがとうございます。助けてくれて。」
「そんなに深い所まで落ちたわけじゃないけど‥‥‥‥ん?…‥‥えっ!?」
「ん…‥‥?どうしたのお姉ちゃん…‥‥‥‥えっ‥‥‥?」
「っっ‥‥‥どうした二人とも‥‥‥‥?」
「!!??ライ、あれ…‥‥!」
先生と才羽姉妹に促されるままに顔を上げると、薄暗い室内のはずなのに、日が差している所があるのに気付く。機械的な所なのに、雑草も生えている‥‥‥‥。
更に顔を上げると、病院のメディカルモニターの様なものと椅子、相当な
「お、女の子‥‥‥?」