「‥‥‥‥もう、大丈夫かな?」
「うん、追手はいないみたいだね。みんな、お疲れ様。」
ディビジョンシステムなるものから、モモイのセーブデータと控えにG.bibleの入手に成功したオレ達。全員の弾薬は尽きかけないし尽き果てており、久しぶりの外出としてはかなりのハードワークとなったユズはスタミナが底を尽いたようで、廃墟から抜け出すタイミングからオレが背負っている。…‥‥‥ずっとロッカーにいるってのは本当みたいだな。軽すぎる。アリスが活発的だからつられて外に出ることが増えたら、少しは鍛えられるだろうか。
「お姉ちゃん、ゲームガールズアドバンスは?落としたり壊したりしてない?」
「うん。ほら、弾も当たってないよ。」
「良かった‥‥‥今はそれが一番大事だからね…‥‥‥。」
「えっ、ミドリ?それどういう_____」
「元気だなー‥‥‥‥‥。」
割と油断できない修羅場だったはずなのだが、前を歩く双子の姉妹は仲良く喧嘩している。意外と外で元気に走ってそうな雰囲気があるから以外でもないが。
「ライさんも、あまり疲れて無さそう、ですよね‥‥‥。」
「今日は余り派手な事やってないしな。」
殿以外は援護に徹してたし、格闘戦とかアクロバット紛いの事も殆どしていない。
「ロケット弾を落としたり、ノールックで撃ったりするのって、けっこう派手なんじゃ…‥?」
「そうか?………そうかも。」
オレも大概、感覚が終わっているらしい………慣れって怖い。
取り敢えず、、ユズを部室まで運んで………
「G.bibleのパスワード解除、ヴェリタスってとこに頼むんだっけ?」
「うん。今からいくつもり。」
「私たちで行ってくるから、ライさんはユズを部室まで運んであげて。アリスは……」
「登録とか色々やって貰ったみたいだし、お礼を言いに連れて行って下さい。………いいな、アリス。」
「分かりました。一時的にライとユズと別行動します。」
「よし。んじゃあまた後で、先生。」
「うん。何かあれば連絡するね。」
「ユズをよろしくね!」
「ああ‥‥‥行くぞ、ユズ。 」
「は、はい。お願い、します………。」
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「………んじゃあ、ゆっくり休めよ。またね。」
「はい、ありがとう、ございます…………。」
ぺこりと礼をすると、ユズはロッカーをの中に入っていった。こうなるのは何となく予想できていたが、シャワーも入らずに入るとは思わなかった………。久しぶりの運動らしい運動、というか戦闘だったから疲れたのだろう。一応モモイ、いやミドリに風呂に入れるようにモモトークを入れておいて‥‥‥そういえば、ヴェリタスの部室?の場所聞いてないな。ついでに教えてもらうか。
「‥‥‥んじゃあ、返信あるまで適当に歩くか。」
何処を見てもSF感満載と言うか、目新しいものばかり目に入るからか中々に面白いなミレニアム。
まるでテーマパークにでも来たようだ。まともな目的で行った事ないけど。キヴォトスにもあるみたいだし一度くらいは‥‥‥‥。
「なんてな‥‥‥ん?」
あの長い三つ編みの子…‥‥黒コートか。少し目立ってるが‥‥まあ、オレも人の事は言えないし、なんなら親近感を感じなくもない。
なんて事を考えながら、そのまま横を通り過ぎようとする。ジロジロ見てたら変態扱いだもんな。さて、そろそろ先生の所に行こうかな。連絡は‥‥‥。
「!しまっ____」
スマホを取りだそうとしたらライターが!?何故同じポケットに入れていたんだオレは!?
だが後悔しても遅い。意外と軽い音を鳴らしながら道に落ちた鈍い銀色のケースにまた新たな傷をつけてしまった。しかも、三つ編みの少女の足元に転がっていってしまった。直ぐに気づいたのか三つ編みの子はライターを拾い上げ、興味深そうに見ている。
「ごめん、それオレのライター。拾ってくれてありが、と…‥‥‥‥。」
「そうなんだ。はい。」
「‥‥‥‥‥。」
「そんなにキョロキョロしてどうしたの?」
「いや、その…‥‥‥、ですね‥‥‥」
「?」
どうしよう。
目のやりどころに困っているなんて口が裂けても言えない。この人滅茶苦茶着崩してるんですけど…‥‥ゲヘナ風紀委員会の行政官より痴j‥‥‥‥大胆なんですけども。
「えっと‥‥‥‥寒くはないのか…‥‥?」
「暑い。今すぐにでも脱ぎたいくらい。」
「えっ、そこから?」
オレの
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「‥‥‥そっか。あなたがシャーレのエージェントなんだ。」
「確かにシャーレなんだけど、オレは特別捜査部員っていう肩書で…‥‥。」
「エージェントの方が言いやすいし、やってることは近いと思うけど‥‥‥。」
「んじゃあ、これからはシャーレのエージェントでやってくか‥‥‥。」
連邦捜査部だから間違いではない気がするし、響きがカッコイイ。既にバレバレだし目立ちっぱなしだけど‥‥‥別にいいか。
「そういや、結構傷だらけみたいだけど、大丈夫?」
しっかり着込んでいれば分からないであろう場所、所々湿布やガーゼが見える。キヴォトスでは銃撃戦を始めとした荒事は珍しくはないが、生徒達は個人差はあれど頑丈だし、傷の治りも外の一般人より早い。こっちに来てから一番激しい戦闘だったアビドスの時でも、負傷らしい負傷をしたのはオレだけだったはずだから、目に見えて傷を負っている生徒が珍しく感じたのだ。
「うん、苦しむのは慣れてるから。」
「慣れてるって、普段何してるんだよ‥‥‥。少しは身体を気遣えよ。折角綺麗な肌してるのに‥‥。」
「身体を気遣うと効率が落ちる。部長も同じこと言ってたけど、最短効率でやりたいから。」
効率厨か?だとしてもパフォーマンスを維持できるように、身体に気遣うの方が効率的じゃないのか?いくら慣れてるからって、無理なものは無理だと思うのだが‥‥‥。
「部長?危ない部活にでも入ってる?」
ミレニアムだと実験や開発の類はありふれているし、そういったものには常に何かしらの危険が付いているものだが…‥‥‥。
「そうだね‥‥詳しくは言えないんだけど。」
「それ、本当に大丈夫な部活か?もしあれなら、シャーレとして何か‥‥‥‥あ。」
「‥‥‥‥電話、出ていいよ。」
一応断りを入れてから、着信音が鳴るスマホを取りだす。先生の様だ。
「…‥‥‥もしもし、先生?‥‥‥‥はい…‥‥‥了解です。直ぐに向かいますね。では、後ほど。」
「先生って、シャーレの?」
「ああ。直ぐに来て欲しいみたいだ。‥‥‥時間取らせちゃって悪かったな。」
「私も手持ち無沙汰だったから、気にしないで。」
「どうも。…‥‥まだ名乗ってなかったな。‥‥オレは真道ライ。君は?」
「‥‥‥‥和泉元エイミ。またね、ライ。」
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「………あ、来た!」
「……すみません、先生。遅れました。」
薄暗く、モニターやサーバーと思われるものが放つ青白い光が目立つ部屋に入ると、先生と才羽姉妹、アリス、そして初めて合う4人の生徒がいた。‥‥‥何故かモモイがポロポロ泣いているが、何か「うぅ、私のセーブデータが、涙と汗の結晶が‥‥‥‥」あ、うん。駄目だったんだな。ドンマイ。
「あなたがライさんですね。コタマです、初めまして。」
「私はハレ。よろしく。」
「ああ、よろしく。‥‥で、オレを呼んだ理由って?」
「どうやら作業が終わったみたいなので、せっかくならライとユズとも一緒に結果を聞きたいと思ったのですが……ユズは来れなかったのですね。」
「さっきまでその辺の生徒と立ち話してたってのもあるんだけど、あの様子だと無理そうだ。あとでロッカーの中を確認しておいてくれ。」
「久しぶりの外出だったみたいだし、大変だったからね…‥‥‥。」
「それじゃあ、マキちゃんお願いね。」
「うん、‥‥‥あ、あたしマキ。よろしくね、ライ。それで分析の結果なんだけど…‥‥あれはかの伝説のゲーム開発者が作った神ゲーマニュアル‥‥G.bibleで間違いないね。」
「や、やっぱりそうなんだ!」
「ファイルの作成日や最後に転送された日時、ファイル形式から考えても確実。作業者についても、噂のゲーム開発者のIPと一致してた。それと、あのデータはこれまでに一回しか転送された形跡がない。」
「って事は‥‥‥!」
「うん、オリジナルのG.bibleだろうね。」
「す、すごい!」
「で、パスワードの方はどうなったんだ?」
「それが問題で‥‥‥まだファイルのパスワードについてはまだ解析できてないの。」
「えぇっ、じゃあ結局見られないってことじゃん、ガッカリだよ!」
「うっ!だってあたしはクラッカーであって、ホワイトハッカーじゃないし‥‥‥でも!そうは言っても方法が無いわけじゃない。」
「そうなの?」
「あのファイルのパスワードを直接解析するのは、多分ほぼ不可能。でも、セキュリティファイルを取り除いて丸ごとコピーするって手段なら、きっとできるんじゃないかな‥‥‥。」
「そんなことが出来るのか…‥‥。」
ハッカー、じゃなくてクラッカーすげぇ‥‥‥。
「そのためには、Optimus Mirror System‥‥‥‥通称”鏡”って呼ばれるツールが必要なの。」
「つまり、G.bibleを見る為には、その”鏡”が必要なんだよね。それはどこにあるの?」
「それはね、先生。あたしたちヴェリタスが
「何だそれなら…‥‥‥ん?」
「過去形って事はまさか‥‥‥‥。」
「‥‥‥そう、今は持ってない。
「”鏡”もそうですし、色々と持って行かれてしまいましたね…‥‥‥私の盗聴器とかも。」
「ちょっと待て聞き捨てならないんだが!?」
コタマだっけ君?君をシャーレの当番に呼ぶことは個人的にやめてほしくなったんだが。ん?オレもエンジニア部から発信機貰って使ってたって?あれは仕事の円滑化の為です。誓って悪用はしていない。
「”鏡”ってそんなに危険なものなの?」
「そんなことは無いよ。ただ暗号化されたシステムを開くのに最適化されたツールってだけ。ただ‥‥‥世界に一つしか無い、私たちの部長が直々に制作したハッキングツールで。」
「部長って言うと‥‥‥ヒマリ先輩?」
「ヒマリ‥‥‥?」
「前に言ってた‥‥‥車椅子に乗ってて、G.bibleの情報を教えてくれたっていう‥‥‥。」
「そうです。ライさんとアリスちゃんは会った事ないと思うけど、すごい人なの。身体の事もあるけど、それであの人に同情したり軽視したりする人は、少なくともミレニアムには居ない。天才‥‥って言うのかな。ミレニアム史上、まだたった3人しか貰えてない学位、”全知”を持ってる人なの。」
「偉人級だな…‥‥‥。」
「それで、どうしてそんな人の作ったものが持ってかれちゃったの?」
「…‥‥‥私はただ、シャーレのお二人のスマホのメッセージを確認したかっただけです。その為に”鏡”が必要で‥‥‥‥。」
「「えっ」」
「不純な意図は全くなかったのですが‥‥‥。」
「私には、不純な意図しか感じられないけど…‥‥。」
超法規的機関の職員二人のスマホをハッキングしようとしていたってことだろ?やっぱ出禁にしていいかお前。そして未然に防いだことに関してはありがとうユウカ。
「うわあぁん!早く”鏡”を探さなと、部長に怒られちゃう!!」
「とにかく‥‥‥整理すると、私たちも”鏡”を取り戻したい。それに。G.bibleのパスワードを解くには、あなた達にとっても”鏡”は必要‥‥‥そうでしょ?」
「なるほどね…‥‥わざわざライを呼んだ時点で、何かあるのかと思ってたけど、大体わかったよ。」
「え、もしかして…‥‥‥‥。」
「ふふ、さすがモモ。話が早いね。」
「目的地が一緒なんだから、旅は道連れってね。」
「共にレイドバトルを始めるのであれば、私たちはパーティーメンバーです。」
「ライ、これって‥‥‥‥‥。」
「…‥‥‥‥はい。ゲーム開発部、ヴェリタスと組んで生徒会とやりあうって事ですよ。」
まさかユウカ達と戦う事になるとは……。恩はあるが、今の目的はゲーム開発部の廃部を避けることだ。仕方ない。
「‥‥‥とりあえず、何処にあるか分かる?作戦を立てないと。」
「生徒会の差押品保管所にあるんだけど…‥‥‥
「メイド部?C&Cって言うんだったか?」
「そうそう。優雅に相手を
「そうそう!まあ些細な問_____」
《big》《b》
「諦めよう!!!ゲーム開発部、回れ右!前進っ!」
「待って待って待って!諦めちゃだめだよモモ!G.bibleが欲しいんでしょ!?」
「でもメイド部と戦うなんて冗談じゃない!そんなの、走ってる列車に乗り込めとか、燃え盛る火山に飛び込めって言われた方がまだマシ!」
「でもこのままじゃ部長に…‥‥じゃなくてゲーム開発部が廃部に___」
「話の次元が違うよ!?そりゃあ部活は守りたいけど、ミドリにアリス、ユズの方が圧倒的に大事!危険すぎる!」
「落ち着いてモモイ。…‥‥目的はメイド部を倒すことじゃなくて、”鏡”を取ってくることなんだから、正面から戦わなくても大丈夫だと思うよ。」
「先生の言う通り。それに、私の盗ちょ…‥情報によると、現在のメイド部は完全な状態ではありません。」
「…‥‥勝算はあるって事か。」
「そう。だから作戦を立てる。‥‥‥‥シャーレと