知らない天井は独房だった。   作:鋼蛙

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お久しぶりです。色々忙しくてライ君の誕生日(4月1日)に何も投稿できませんでした‥‥‥‥。
新年度もどうぞよろしくお願い致します。


Nerd VS Maid

「…‥‥さて、始めよっか。」

 

アリスが反省部屋に連れて行かれ、壊れたセキュリティが交換されてからしばらくたち、すっかり日も暮れた夜のミレニアム。

 

”鏡”奪還作戦の第二段階を実行すべく、オレはモモイ、ミドリ、ユズと配置についていた。

 

「はあ、緊張する‥‥。こんな気持ち、古代史研究会の建物を襲撃した時以来。」

 

 

 

「ヒビキとウタハ先輩は?」

 

「”もうお客さんを迎える準備は出来ている”…‥要は準備完了だってさ。ハレ、そっちは?」

 

『準備完了。あとは‥‥‥。』

 

『こっちも準備OK、待機中だよ~。』

 

エンジニア部とヴェリタスによる準備も完了した。ハレとコタマはバックアップの為に部室にいるが、他のメンバーは体を張って支援してくれる。

 

とはいえ、作戦が成功するかどうかはゲーム開発部に掛かっていると言っても過言ではない。もちろん先生とオレも頑張るが。

 

『お任せください!私の理論上、この作戦が成功する確率は2%です!』

 

「えぇ!?ほぼ間違いなく失敗じゃん!何で自信満々なの!?」

 

『えへへ、場を和ませる冗談ですよ!逆です、98%成功するでしょう!』

 

「初っ端から勘弁してくれよ…‥‥‥‥。」

 

そういう縁起でもない事は案外冗談じゃ済まないんだよ。いやマジで。

 

「コトリちゃんとマキちゃんの準備も終わったなら‥‥‥」

 

「第二段階、だね。」

 

「それでは‥‥‥先生!」

 

「作戦開始!」

 

「はい!」

 

「行っくぞー!」

 

「お、おぉー…‥‥!」

 

「ハレ、コタマ。仕込みの起動、作戦通りでよろしく。最悪の状況になったら‥‥‥」

 

『了解。気を付けてね。』

 

 

「ねえちょっと男子っ!?ノリ悪いよ!」

 

「オレが悪いのコレ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________

 

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_____

 

ミレニアム・オペレーションルーム。薄暗い室内でカタカタと無数の情報を確認・処理していくオペレーター達の後ろでモニター、特に監視カメラの映像を睨むように凝視していると、隣にいるメイド服を着た生徒、C&Cのアカネが眼鏡のズレを直している。

 

「‥‥‥…来ませんね。」

 

「でも、いつ来てもおかしくないわ。あの子達だって、アリスちゃんをずっと一人にはさせたくないだろうし、そろそろ動くはずよ。」

 

私、早瀬ユウカはゲーム開発部とヴェリタスによる差押品保管所からの”鏡”の奪取を阻止するべく、数時間前からここで指揮を執っている。

 

一体何のために”鏡”なんて奪おうとしているのかは分からないが、差し詰めミレニアムプライスでの入賞‥‥‥ゲーム開発部の存続の為の何かに使おうとしているのだろう。何故ヴェリタスが協力しているのかはこの際気にしないでおく。

 

アリスちゃんが推定エンジニア部製の大きい武器を使ってエレベーターのセキュリティを破壊してきたことからエンジニア部も一枚嚙んでいるのだろう。お陰で罠を警戒してわざわざエンジニア部製じゃないものを購入・交換するという本来必要のない出費がかさんでしまったが‥‥‥‥ヴェリタスとエンジニア部に多めに割いている予算、そしてゲーム開発部の分の予算で補填すればいい。

 

必死になる理由は十分に分かるけど、だからといって生徒会を襲撃するのはいくら何でもやりすぎだ。猶予も十分すぎるほどに与えたし、アリスちゃんのこともひと先ずは認めたりしてきたが、ちょっと甘やかしすぎたのかもしれない

 

「はあ‥‥‥‥…。」

 

「そういえば、アリスちゃんの様子はどうでしょうか?」

 

「反省部屋で目が覚めた時は結構大人しかったけど…‥‥‥反省部屋の映像を出して。」

 

コユキならともかく、アリスちゃんは勝手に出たりは出来ないはずだし、本当に何をしているの____。

 

 

「あら‥‥‥‥おやつを食べているみたいですね。」

 

「一体どこから出したのよ‥‥‥‥‥。」

 

チョコに飴にゼリーにコーラ。あんなに大きな武器を担ぎながら中々の量のお菓子やジュースを持っている事、そしてそれを美味しそうに頬張るアリスちゃんの姿をモニター越しで確認すると、ガクッと膝から崩れ落ちそうな衝撃と呆れを感じたような気がする。

 

「自分が置かれている状況を分かっているのかしら…‥‥。」

 

「本当にかわいいですね‥‥‥ユウカ、やっぱり…‥‥‥」

 

「だからアリスちゃんをC&Cに加えるのはダメだって_______」

 

 

(ピピピッ、ピピピッ)

 

突如として響き渡る警報音。セキュリティセンサーが反応し、監視カメラが何かを捉えたという事だ。このタイミングで来るのはあの子達しかいない。

 

「…‥‥‥来た。」

 

オペレーターがモニターに監視カメラの映像を一番大きな中央モニターに映し出すと、通路にモモイとミドリがいるのが見える。

 

「監視カメラに対象を発見しました。1番ゲート、ポイントA1にターゲットを確認。まもなくポイントA2に進入します。」

 

「A2ですって?もうそんな所まで…‥‥。」

 

「ですがそこまで入れば、もう脱出は不可能と見て良いのですよね?‥‥‥では、私が行きましょう。」

 

「あら、大分高く買ってるみたいね。アカネがわざわざ行く必要、ある?」

 

アカネ自身が言ったように、ポイントA2にまで来たのなら大量の警備ロボットやドローン、そして生徒会役員やC&Cでなければ出られない強力なシャッターなど、高度なセキュリティシステムにより脱出は不可能と言ってもいい程困難だ。アカネの専門分野を考えても、わざわざ姿をさらしに行く必要性は全くない。しかし、

 

 

「もちろんです。」

 

予想通り、アカネは私の言った事を肯定する。微笑みながら眼鏡をクイっと上げるその仕草は、プロとしての確固たる自信とプライドが感じられるものだった。

 

 

「お客様のお出迎えは、メイドとしての基本ですから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どんな質問にも答えをご提供!エンジニア部の説明の化身、豊見コトリ!」

 

「芸術と科学のコンビネーション!デジタルアーティストのマキだよ!」

 

「そんな、ここに来たのはミドリちゃんとモモイちゃんだったはず!?‥‥‥ユウカ!何が起きているんですか!?」

 

『分からない!こっちの監視カメラでは、今もモモイとミドリが映ってる!でもあなたの姿は見えない‥‥‥まさか!』

 

「私たちがさっきまで見ていたのは、録画映像!?」

 

「これはヴェリタスの…‥‥‥!?シャッターが下りている‥‥・・・!?」

 

「へへっ!仲良く閉じ込められちゃったね~?」

 

「…‥‥そんなことはありません。私は指紋登録がなされておりますので。痛い思いをしたくなかったら、大人しくしていてくださいね。お会いできて光栄でしたが、私はこれで‥‥‥‥えっ!?開かない!?しまっ…‥‥!?」

 

「セカンドシャッター、降りちゃったね。」

 

「…‥‥‥‥。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________

 

_____

 

___

 

「先生、お姉ちゃん、ライさん。ハレ先輩から連絡!アカネ先輩を閉じ込めることに成功したって!‥‥‥ついでにノア先輩も。」

 

「よし、指紋認証システムも()()()()()したね。」

 

差押品保管所のあるミレニアムタワー最上階へと昇っていく()()()()()()()()()ミドリが嬉しそうにハレからの連絡を伝える。

 

ヴェリタスのハッキングにより通路の監視カメラの映像をモモイとミドリだけが映っている()()()()に置き換えさせ、指紋認証を生徒会役員、メイド部のものではなくゲーム開発部とシャーレのものに変更することで、生徒会役員やメイド部を分断・隔離し、可能な限りの交戦を避けて保管所に侵入する。エンジニア部による事前の仕込みもあって上手くいったようだ。

 

 

 

「じゃあ、堂々と行くとしよっか。」

 

最上階に着いたエレベーターから降りた所にあるセキュリティに迷いなく、それぞれが指先を当てていく。

 

 

 

[ピピッ______才羽モモイ、才羽ミドリ、先生、真道ライ、4名の承認が完了しました。]

 

 

 

「なんか、デジャヴみたいな感じがするね…‥‥?」

 

「あー、廃虚のアレじゃない?懐かしい、なんかもうずいぶんと昔のことみたいな感じがする。」

 

「?」

 

「そっか。私たちがアリスと初めて出会った時だから…‥‥ライ、どうしたの?」

 

「…‥‥‥‥メイド部について少し考えてました。」

 

「メイド部についてって‥‥‥あ、ライってメイド好きなの?」

 

「違う。隔離できたメイド部はアカネって人だけだろ?他のメイド部は何処で何をしているんだろうなって。」

 

情報によるとアカネは爆弾の扱いに長けているらしいので、アリスがそうしたように彼女もシャッターを無理矢理突破してくる可能性がある。あと注意すべきメンバーは、不在と言うリーダーを除けば二人。

 

「どうせなら、アスナ先輩も一緒に閉じ込めておきたかったところなんだけど‥‥‥‥ミレニアム全域を探しても居場所が分からないみたい。」

 

「ミレニアムの外にいるんじゃない?」

 

コールサイン01、一ノ瀬アスナ。メイド部のサブリーダーであり、ミレニアム最強のネルに次ぐという実力者。そして、

 

「異常な直感力の持ち主…‥‥…ね。」

 

直感ならオレも戦闘限定であればそれなりに冴えていると思うが、彼女のそれはそんなレベルではないらしい。もしかすると、オレ達の作戦を察して行方をくらまし、何か行動をしているのではないのか。そう思えて仕方ない。もう1人のメイド部は腕のいいスナイパーとのことだが、それはヒビキとハレが対処してくれるとのことで、オレが初弾をどうにか出来れば問題ないだろう。

 

「アスナ先輩はいっつも神出鬼没だし、ミッション中にパフェを食べに行ったりする人みたいだし…‥‥‥‥ま、今のところ計画通りなんだから、気にしない気にしない!」

 

「お姉ちゃん、今更だけど余り声を出さない方がいいんじゃ…‥‥‥。」

 

「大丈夫大丈夫!もう生徒会はみんな閉じ込めたかr‥‥‥‥む‘‘む‘‘ぅ‘‘!?」

 

窓側の通路に出ようとしたモモイの口を塞ぎ、全員に伏せるようにハンドサインを出しながら引き戻すと、銃を構えた生徒が目の前をキョロキョロしながら通り過ぎていく。ある程度距離が離れたと思われる頃合いでモモイの口から手を離す。

 

「‥‥‥ぷはあっ、はぁ‥‥‥‥‥今の、生徒会じゃん‥‥なんで!?」

 

「最初から最上階(こっち)にいたんじゃないかな?多分、まだいると思う。」

 

「そんな‥‥‥‥ど、どうしよう先生!?」

 

「んー…‥‥‥‥窓側の通路を通るしかないし、突破しよう。」

 

「‥‥‥‥うん、そうだね。突破しよう。」

 

「ここまできて逃げるわけにはいきません。」

 

「生徒会だけじゃなくて警備ドローンも確実に来る。速攻でいくぞ。」

 

オレが真っ先に通路に出てクリアリングする。続いてモモイとミドリ、先生が続く。少なくともオレが誰かに照準を合わせられていないが、いざという時に気付いて対処できるのはオレしかいない。窓側からオレ、モモイ、ミドリ、後ろに先生という布陣で通路を一気に駆け出す。

 

 

「‥‥‥‥出てきたな。」

 

何処からか白い一頭身の四角いロボットと円盤にミサイルランチャーを取り付けたような形状のドローンが複数湧いて来る。

 

「シャッターの解除は私がやるから、モモイとミドリで正面に火力を集中させて、ライは狙撃とミサイルの警戒、援護!」

 

「「了解!」」

 

「流れ弾、当たらないで下さいよ。」

 

「分かってる。頼んだよ。」

 

「了解‥‥‥‥‥‥っ!!」

 

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