知らない天井は独房だった。   作:鋼蛙

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道を尋ねたらアビドス高校に着いた

「私が指揮を執る。いきなりだけど、手伝わせてもらうよ。」

 

カタカタヘルメット団なる不良グループを撃退すべく、出動しようとするアビドスの面々に先生としてサポートすることを宣言する。さっきシロコに助けてもらったこともある。大人が子供に助けてもらうなんて情けないことをさせてしまった事を払拭する為にも、"シッテムの箱"の戦術指揮機能を立ち上げて、演算リソースを割振りつつ、情報リンクを行う。

 

「頼むよ、アロナ。」

 

『任せてください!私がいれば、先生は鬼に金棒です!』

 

アロナの初陣でもある。負ける気なんて毛頭ないが、良いところを見せなければ。

 

‥‥‥そういえば、まだライに連絡してないな。

 

遭難した私を見つけ出すべく、私の同僚は今も真面目に捜索を続けているのだろう。終わったら彼に連絡して、みんなにも紹介しないとね。

 

キヴォトスでは珍しいらしい人間の男性だから驚くだろうか。彼は割と素っ気ないから印象良くないかもしれないから、私がしっかりフォローしないとね。

…‥‥まだ、よく知らないけど。

 

「カタカタヘルメット団を確認しました!」

 

「アイツら…‥‥また!ホシノ先輩、装備もって!出動するわよ!」

 

「待ってくださいセリカちゃん。コレは・‥‥」

 

「どうかしたの、アヤネ?」

 

「はい‥‥‥、ヘルメット団ではない人物を確認しました。こんなことは初めてです。」

 

「…‥‥ドローンで映像だせる?」

 

先程まで、アビドスは弾薬や物資が尽きかけていたことを考えると、敵がタイミングをうかがって確実に校舎を占領するために連れてきた”エース”の様な凄腕である可能性もある。戦術としても間違いではないし、そうだとしたら相手も只者ではないだろう。

 

「映像出ました、共有します。」

 

アヤネが共有した映像を端末の画面で確認すると、ヘルメットを被った集団の中に一人だけ、見覚えのある黒コートが見えた。

 

『あれ、一人だけ?』

 

『ヘイローがないですね‥‥…ヘルメット団が雇った傭兵でしょうか?』

 

『ん、凄腕かもしれない。』

 

『でも、一応警戒しておこうね。なんかそこらの奴らとは違いそうだし。』

 

「‥‥‥‥‥‥‥」

 

「もうすぐ会敵します。みなさん、準備を…‥‥先生?」

 

「‥‥‥……その黒コートは、あまり撃たずに確保してほしいかな‥‥‥‥」

 

「「「「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥?」」」」」

 

なんでそこにいるのかな?

 

 

________________________

 

 

「待って!?校舎手に入れるって何!?」

 

 

赤服のヘルメットさん?これはどういう事だ?オレ、アビドスに出張しに行った先生を探しに来ただけなんですけど。

 

 

「何って…‥…そのままの意味ですけど‥‥‥?」

 

 

本当に意味が分からないんだが。行っちゃ悪いが、こんな陸の孤島みたいなところで女子集団見たら「あれ、アビドスの生徒じゃね?道聞こ」ってなるよ思うんです。略奪上等の連中なのは想定外だったんです。砂漠でヘルメットとかマスク付けてるのは別におかしくないし、何ならオレも今グラサンとフード・‥‥あ、人間じゃなくてやせ型ロボット人扱いされてる?

 

 

というか、このままだと最悪先生と敵対しないかオレ?

 

 

「そろそろ、アイツらの弾薬も尽きるはずです。今日こそ校舎を奪ります!」

「報酬高くしてくださいよ!」

 

 

「え?え?はい?」

 

 

しっかりじっくり攻めてるよこの子ら‥‥‥てか報酬?雇われてるの?

 

 

ここで止めさせないといけない気がする…‥‥というか、しないとシャーレの先生と特別捜査部員によるマッチポンプになる‥‥‥

 

 

やるしかない。最悪の状況を避けるためにも、ここで止めるしかない。

 

 

一人一発で無力化するにも、ヘイローあるし、敵陣ど真ん中だからな‥‥‥‥。武器を破壊しつつ、同士討ちを狙おう。至近距離で撃たれ続けると流石に痛いし、最悪貫通するか、ショックで内臓がお釈迦になる。

 

 

ホルスターに手を掛けながらとりあえず、言葉での平和的解決を図ってみる。

 

「言いづらいんだけど、実は…‥‥」

 

 

その時独特のモーター音と鉛玉の雨が降り注ぎ、とっさに物陰に飛び込んで身を屈める。

 

状況を確認するべく、注意しながら様子をうかがうと、薄い金髪が微笑みながらミニガンをぶっ放し、ドローンからミサイルや爆弾が降り注ぎ、盾持ちの桃髪を戦闘に散弾銃や小銃でヘルメット達が各個撃破されている。相手の服装はヘルメット達とは異なり、ジャケットの有無はあれど、全員水色のネクタイのブレザー。ちゃんと学生っぽい。

 

 

「あっちが本物のアビドス生徒だな‥‥」

 

 

オレが勘違いしただけだが。にしても少数精鋭なんだなアビドス。

 

 

いくら死ににくいとはいえ、これに挑み続けてたの凄いね君達(ヘルメット諸君)。みんな動きが良いし、連携も中々レベルが高い。おまけに戦いの組み立て方がうまいし、あの桃髪が半端じゃない。

 

 

視線、立ち回り、リロードのタイミング、盾を活用した体術。全てが段違いだ。しかも、まだ余裕がありそうだ。まともに戦ったらただじゃ済みそうにない。

 

 

気づけば、ヘルメット達はほとんど制圧されている。仲間だと思われて撃たれたくないし、さっさと降伏して事情を説明しよう。本来の目的は先生の捜索だ。手がかりを得たかっただけだから、君らと戦うつもりは毛頭ないから。

 

 

‥‥‥‥ヘルメット達が撤退していく。オレは置いてきぼりかよ。まあ、お互い勘違いしてたみたいだから好都合なんだけどね。バイバイ。ってことで、

 

 

「‥‥‥‥戦う気は無いからさ、銃を下ろしてくれ。()()()()?()

 

 

「へえ、気づいてたんだ‥‥‥‥。」

 

 

さっきまで誰もいなかったはずの背後に振り向くことなく語り掛けると、こちらを警戒していると断定できるほどの高さを押さえた声で返事が返ってくる。

 

 

「おじさんも年をとったかなー。まさか気づかれちゃうなんて。」

 

 

おじさん?そういう自認なのか?声もちらっと見えた小柄な姿も可愛らしかったが。

 

 

「‥‥‥一応、貴方を出来るだけ撃たないで確保してって言われたんだけど‥‥‥あなた、ヘルメット団って感じじゃないし、男の人だよね。何者?ここに何の用?」

 

 

とんでもない敵意だ。オレが男だからってだけじゃなさそうだ。一つでも答えを間違えれば撃つ気だ。先生の為にも撃つわけにも、撃たせるわけにもいかない。慎重に__

 

 

「オレは「私の同僚だよ。」…‥‥!」

 

 

答えようとしたら遮るように誰かが答える。声のした方を向くと、アビドスの生徒達と、

 

 

「…‥‥‥久しぶり、ライ。大丈夫?」

 

 

捜索対象の女性がいた。先ほどの指揮も先生がとったのだろう。状況から見るに、動き回ってアビドスにたどり着けたのか、生徒の誰かに見つけてもらったのか…‥‥‥。とりあえず、だ。

 

 

「‥‥‥‥‥そのまま返しますよ、先生。」

 

お話しましょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥…‥‥。」

 

「ホシノ先輩、どうかした?」

 

「‥‥‥‥何でもないよ、シロコちゃん。戻ろうか、()()()()()()()()

 




〈連邦捜査部 情報アーカイブ:防弾コート〉
・ライがいつも来ている黒いコート。高い防弾性をもち、ヘイローもシッテムの箱もない彼にとっては、生徒に自分を殺させないための最重要装備。

・サオリとミサキの通常衣装の上着を組み合わせて、リボンを革ベルトに変更したような形で、上からショルダーハーネスとシャーレの腕章をつけている。

・先生の服が連邦生徒会の白い背広のイメージなので、先生との対比のイメージ。あと、裾がはためくコートはロマンだから。
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