影が斬る!   作:おおもり

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『ぼっちが異世界から来るそうですよ?』第13話『こうして、比企谷八幡は殺される。』のあとがきにて、嘘予告の『俺ガイル×アカメが斬る!』のクロスオーバー作品を次回作でやるという嘘予告に『やってくれ!』という声が思ったより多かったので、「やってみるか」と言う感じで書きました。
基本ノリで書いているので、設定など甘いところがあるかと思いますが、ご容赦ください。


シャドウ編
同類を斬る


「え? 俺たち以外の革命軍の殺し屋?」

 

タツミが“ナイトレイド”に加入し、帝具使い“首斬りザンク”と戦った次の日。

 彼は他の仲間と共に、ボスであるナジェンダに呼び出されていた。

 そこで聞いたのは、自分たち以外の殺し屋、それも革命軍側の話だった。

 

「ああ。時に私たちと共同戦線を張ることもある組織でな。今回は先方とお前の顔合わせだ」

 

「へえ…どんな奴等なんですか?」

 

 タツミが訊くと、ナジェンダは苦笑する。

 

「別にそう変わった奴等じゃない。ここと大して変わらない」

 

 そこで、ラバックが何かに気づいたような顔をする。

 

「おい、タツミ。アイツらのところに行く前に、気を付けなきゃいけないことが一つある」

 

「な…なんだよ」

 

 あまりのラバックの真剣な様子にタツミが気圧されていると、ラバックはゆっくり口を開く。

 

「美人だと思っても軽々しく声をかけるな。ちゃんと確認をとれ」

 

「え!? どういう意味だよ!?」

 

 困惑するタツミに、レオーネが「気にするな!」と笑う。

 

「初顔合わせの時にラバが馬鹿やっただけだから、タツミは気にしなくていいぞ」

 

「本当に大丈夫かよ。不安になってきたぜ…」

 

 不安で緊張してきたタツミをマインが呆れ混じりのため息を吐く。。

 

「はぁ……。情けないわね。男ならこういう時はドンと構えてなさいよ」

 

「しょ、しょうがねえだろ! いきなりあんなこと言われたら!」

 

 マインに反論するタツミの肩をブラートが叩く。

 

「ま、お前なら大丈夫だろうから、そんな気負う必要はねえさ。軽い気持ちで行って来い!」

 

「アニキ……わかった。俺、頑張るよ!」

 

 ブラートの励ましにタツミはやる気十分といった感じで答えた。

 

「ふむ。では、私とタツミ、アカメの三人で向こうのアジトへ向かう。いいな、タツミ」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

          ♦

 

 

 

 

 

 その日の午後、タツミたちは自分たちのアジトからそれなりに距離のある場所に訪れていた。

 

「うわあ…うちのアジトとそっくりだなあ」

 

 そこで、タツミは“ナイトレイド”とそっくりのアジトを見上げながら驚嘆する。

 

「機能性や隠密性を重視すると、大体こうなるんだ」

 

「なるほど…」

 

 アカメの説明にタツミが納得していると、そのアジトの方から、誰かが走ってきていた。

 

「すみません。遅れてしまって」

 

 頭を下げる相手に、ナジェンダは気にした風もなく手を振る。

 

「かまわんさ。今日はうちの新入りを連れてきた」

 

「ああ。前に言ってた人ですね。じゃあ、この人が?」

 

 そう言ってその人物がタツミの方を向いた時、タツミは驚いた。

 その人物は美少女だったのだ。

 透き通るような肌とサラサラの白い髪に小さな体躯、一見すると守ってあげたくなるような保護欲を刺激するオーラ。また、その美少女が首にかけているウサギをデザインしたヘッドフォンがなんとも言えないアクセントとなり、とても暗殺集団の人間には見えない。

 

「はじめまして。サイカって言います。ここでは見張りをやってるんだ。よろしくね、タツミ君!」

 

「お、おう。よろしく」

 

 緊張しながらサイカと握手するタツミに、アカメが何気なく言う。

 

「タツミ。そいつは男だぞ」

 

「そうなのか。……って、男!? この人が!?」

 

 驚くタツミにサイカは照れくさそうにする。

 

「……あはは。どういうわけか、よく間違えられるんだ。はい、男です」

 

 「マジかよ…」と、タツミは戦慄する。

 

(ラバックが言ってたのはこういうことだったのか。他の人も気を付けた方がよさそうだな)

 

 その後、サイカに案内され、タツミは組織のアジト内へ入る。

 

「やっぱり、構造が似てると中も似たような感じになるんだな」

 

「そうだね。僕も前にそっちのアジトにお邪魔させてもらったけど、大体造りは同じかな。あ、ここだよ」

 

 タツミたちが通されたのは、“ナイトレイド”で全員が招集されるときに集まる部屋と同じ場所だった。

 そして、そこには七人の男女がいた。その中で背の高い女性が前に出る。

 

「君がタツミ君だな? 私はシズカ。ここのリーダーをしているものだ」

 

 そう言って、シズカは後ろの他メンバーを見る。

 

「では、他のみんなも紹介しよう。まず、ここの副リーダーのユキノだ」

 

 シズカに紹介されて、長い黒髪の少女が前に出る。

 

「……よろしく」

 

「ああ、こっちこそよろしく」

 

 タツミが握手をしようと手を出すと、ユキノはキョトンとした顔をする。

 

「……何か?」

 

「いや、握手!」

 

「…あ、そういうこと」

 

 タツミがユキノと握手をすると、ユキノの後ろでその様子を見ていた、髪を染めているらしい少女がタツミの手を握る。

 

「私はユイ。よろしくね、タッツー!」

 

「……よろしくお願いします」

 

(……タッツーって……この人ネーミングセンス悪ッ!?)

 

 タツミがユイのネーミングに微妙な反応をしていると、次にコートを着た熊のように大きい男が出てきた。

 

「我はヨシテル! 剣豪将軍と呼ぶがいい、小童!」

 

「け、剣豪……何?」

 

 タツミが戸惑っていると、サイカが可笑しそうに笑う。

 

「ヨシテル君は作家の卵なんだ。それで、面白い話を書くのに、登場人物になりきってるんだって」

 

「あー、なるほど」

 

「もしもし、サイカ氏。それは一体誰が言っておられたのだろうか?」

 

「ハチマンだよ」

 

「おのれ、ハチマン。我の知らぬところでサイカ氏に入れ知恵をするとは、なんと姑息な」

 

「……ねえ」

 

「ひっ……!?」

 

 静かにユキノが声を掛けると、ヨシテルは途端に怯えた声を上げる。

 

「その鬱陶しい口調、いい加減にやめてって言ってるでしょう。それと、『姑息』は『卑怯な』という意味ではなく、『その場しのぎ』という意味よ。作家を目指すなら、まず語彙の誤用しないようにしてもらえないかしら」

 

「はい。……すみませんでした」

 

「まあまあ、ユキノさんもそれぐらいにしよ。ね?」

 

 ふわふわとした、少しシェーレと似た雰囲気の少女が二人の間に入る。

 

「何より、今はお客さんもいるからね」

 

「わかりました」

 

「ふむ……。感謝する」

 

 少女に言われると、ユキノもヨシテルも素直に引き下がった。

 

「よろしい! あ、ごめんね、タツミ君。私はメグリ。よろしくね」

 

「あ、はい。よろしくお願いします」

 

 先ほどとは違った意味で戸惑いつつも、タツミは他の面々と同じように握手をする。

 

「次は……ルミ、そっちに隠れてないで、出てきたらどうだ?」

 

 ルミと呼ばれた、タツミよりもずっと幼いと思われる少女が出てくる。

 

「……ルミ。……よろしく」

 

 それだけ言うと、ルミはとっとと下がってしまう。

 

「あー……すまんな、あの子はちょっと気難しくてな」

 

「あ、いえ…気にしてないですから」

 

 タツミが苦笑して応じると、シズカは周りを見渡す。

 

「サイカはもう自己紹介したみたいだから、最後はヒキガヤ……って、あいつはどこだ?」

 

「けぷこん、けぷこん。ハチマンならば、我々がここに集められた時から来ておらぬぞ」

 

 ヨシテルが言うと、女性陣がため息を吐く。

 

「寝坊だな」

 

「寝坊ね」

 

「ヒッキーだし……寝坊だよね」

 

「うん……寝坊だね」

 

「ハチマンだし、寝坊」

 

 女性陣全員が断言する。

 

「あの、ボス……その、ハチマンって、誰なんです?」

 

 タツミは隣にいたナジェンダに訊いた。

 

「そうだな……“ナイトレイド”におけるアカメみたいな奴だ」

 

「それは……めちゃくちゃよく食うってことですか?」

 

「いや、どうしてそうなる」

 

「え……じゃあ、アカメ並みに強い殺し屋ってことですか!?」

 

 タツミが驚くと、アカメが首肯する。

 

「一度訓練で戦ったことがあるが、とても戦いにくかった」

 

「アカメがそこまで言うほどかよ……」

 

 タツミが戦慄していると、シズカはサイカの方を向く。

 

「悪いんだが、どこにいるか探ってくれないか?」

 

「わかりました」

 

 サイカは首肯すると、首にかけていたヘッドホンを耳に装着する。

 すると、ウサギのデザインのイヤホンは耳の部分をピーンと伸ばす。

 

「えっと……ハチマンの部屋です。これは……たぶん寝てます」

 

 シズカは「はぁ……」と、ため息を吐くと、タツミの方を向く。

 

「すまないが、サイカに案内させるから直接行ってきてくれ」

 

「……お前も大変だな」

 

 ナジェンダの同情を含んだ言葉に、シズカはもう一度大きなため息を吐いたのだった。

 

 

 

 

 

          ♦

 

 

 

 

 

「そういえば、お前らは普段、何やってるんだ?」

 

 ハチマンの部屋に向かう途中、タツミはサイカにそんなことを訊いた。

 理由は単純で、興味からだった。

 自分たちの場合、顔の割れていないメンバーでラバックは貸本屋、レオーネはマッサージ屋、タツミは身分を名乗る時だけ鍛冶屋など、種々様々な表の職業を持っている。

 では、彼らはどうなのかというものである。

 

「みんなそれぞれかな。シズカさんとユキノさんは顔が帝国に知られちゃってるから、何もやってないかな。あと、ルミちゃんもまだ子供だからやってない。他の皆だと、ヨシテル君は小説家目指してるから、その修行みたいで、いつも部屋で原稿書いてはハチマンに読んでもらってる」

 

「じゃあ、ハチマンは編集者みたいなもんか?」

 

「どっちかっていうと、ヨシテル君の書く小説の内容を一番理解できるのがハチマンだからかかな」

 

「他のメンバーは?」

 

「メグリ先輩とユイさんが帝都で日用品の修理店で、僕とハチマンは暇な時にラバック君の貸本屋でアルバイトしてるんだ」

 

「え!? ラバのところで!?」

 

 あまりに意外な話にタツミは驚きの声を上げる。

 

「うん。ラバック君、この戦いが終わったら貸本屋をもっと大きくして全国チェーンにするんだって」

 

「へえ……意外にアイツも先のこと考えてるんだな」

 

「やっぱり、革命後の目標もあった方がいいって、シズカさんも言ってたしね」

 

「……なるほど」

 

 革命後のことなど考えていなかったタツミには、新鮮な話だった。

 そうやって話していると、タツミの肩にトンッと前から歩いてきたのだろう、フードを目深にかぶった人の肩とぶつかった。

 

「あっ、悪い」

 

「いや、こっちこそ……」

 

 相手は言葉少なに言うと、とっとと歩いていってしまう。

 

「……何だったんだアイツ」

 

「あ、ここがハチマンの部屋だよ」

 

 タツミが不思議に思っていると、サイカが部屋の前で止まる。

 

「やっぱり、見た目は変わらないんだな」

 

「そうだね。ハチマン、いる?」

 

 サイカが扉をノックするが、返事はない。

 

「うーん。やっぱり、寝ちゃってるのかなあ」

 

「こうなったら、入って起こすしかねえんじゃねえか?」

 

「そうだね。ハチマン、入るよ」

 

 そう言って、サイカとタツミが部屋に入るが部屋には誰もいない。

 

「あれ……? おかしいな」

 

「とりあえず、みんなのところに戻ってみようぜ」

 

「うん。そうだね」

 

 目的の人物がいないのではしょうがないと、二人はナジェンダやシズカのいる元の場所へと戻る。

 そこで二人が見たのは、シズカの前で腹を押さえて呻く少年だった。




というわけで始まりました。『影を斬る!』。
お察しの通り、これは『アカメが斬る!』世界に『俺ガイル』キャラたちを革命軍側、帝国側に無理やりぶっこんだ感じです。
当然、たくさん死人が出ます。というか、現在私はヒロインでも容赦なく死なせるつもりです。
ですが、同時に原作キャラの一部の死ぬタイミングが変わったり、生き残ったりするかもしれません。
正直、自分でもどうなるかわかりませんが、頑張ってみるのでよろしくお願いします。
誤字訂正、感想、評価お待ちしております。
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