影が斬る!   作:おおもり

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 やったー! マイン生きてたー!
でも、タツミの死亡フラグがやばすぎる……!
 原作の死に設定『インクルシオは持ち主が呼べば(叫ぶ必要あり)飛んできて鎧に変化する』。現にブラートは背中にしまったまま使用していた。
 誰も突っ込まない設定『精神の消耗が激しいため、帝具は一人一つのはずなのに、ラバックが他人の帝具を使っている(シャンバラ、ガイアファンデーション)』。
 個人的にこの設定どこかで生かせないか考えています。


交流を斬る

 次の日の深夜、シズカとヨシテルは昨日ハチマンとタツミが潜入した村の集会所の裏手に来ていた。

 

「では、ヨシテル。いくぞ」

 

「あいや、任された。この剣豪将軍ヨシテル、存分に力を発揮しよう。故に、シズカ氏。一番槍を頼もう!」

 

「ああ。任された」

 

 シズカは男らしく返事をすると、着ていた白衣のポケットから、メリケンサックのようなものを取り出す。そして、それを両手にそれぞれはめ、腰を落として構えを取ると、固めた拳を思い切り振り抜いた。

 それによって、目の前の壁は一瞬で倒壊する。

 

「だ、誰だ貴様らは!?」

 

 慌てたように叫ぶ男を無視して、二人は室内を見回す。

 そこには、顔を仮面のようなもので隠し、檻の近くに集まるいかにも金持ちのような風体の男女とその護衛。

 そして、檻の中には首輪と足かせに繋がれた若者が十人ほどいた。

 

「なるほど、やはりクロか。それにしても、こうして見ると本当に若者が多いな」

 

「当然ではないのか、シズカ氏? やはり、若者の方が活力があるだろうし、売るなら若者の方が高く売れるだろう」

 

「……っ!? ……が…………りだ」

 

 ヨシテルが言うと、シズカはぼそりと、何事か呟いた。

 

「誰が……誰が、売れ残りだぁぁぁああああああ!」

 

「ちょっ!? 誰もそんなこと言ってな……ぎゃああああああ!」

 

「どいつもこいつも口を開けば若さ若さって……歳がそんなに大事かああああああああ!」

 

 シズカは近くにいた男に殴りかかると、そのまま暴れ始める。

 その様子を、ヨシテルは戦慄しながら見ている。

 

「……うむ。まさに、夜叉のごとき強さよ」

 

「うるせえ! てめえのせいで、とんでもないことになってんだろうが!」

 

「ふっ……。弱者を貪る下衆共には、似合いの最後だな」

 

「んだと、この野郎ォ!」

 

 ヨシテルの挑発に乗った男が怒りに任せて、彼に向けて武器を振り下ろす。

 

「ふっ……。愚かな真似を。我が元に顕現せよ! キュクロプス!」

 

 ヨシテルが叫ぶと、ヨシテルの全身が堅牢な鎧に包まれる。

 

「さあ、来るがいい。我らが貴様らを黄泉の旅路へと案内しよう!」

 

 

 

 

 

          ♦

 

 

 

 

 

「くそっ! 何なんだアイツら!?」

 

 会場から逃げ出した何人かは、集会所の出口を目指して廊下を走っていた。

 しかし、そう簡単に逃げられるほど甘くはなかった。

 

「何だよ……これ!?」

 

 外へと通じる出入口は、まるで粘土細工にでもなったかのようにぴったりと扉同士が接合されていたのだ。

 そして、扉に集まった者たちの後ろからメグリと犬のヌイグルミのようなものを抱えたユイが現れる。

 

「悪いんだけど、ここからは誰も逃がさないようにって言われてるんだ」

 

「じゃあ、メグリ先輩、後は私とサブレがやります」

 

「うん。お願いね」

 

「はい。それじゃあ、サブレ。GO!」

 

 ユイが言うと、ユイの腕の中にいたサブレがヌイグルミのような見た目から、一転して巨大化し、狂犬のように扉の前にいた者たちに襲い掛かった。

 

「GLUAAAAAAAAAA!」

 

「う、うわああああああああ!?」

 

「だ、誰か、助けてくれええええええ!」

 

 必死に逃げようとするも、サブレは驚異的な速さと破壊力で、あっという間に村人たちを殲滅していった。

 

「よしっ! じゃあ、他に逃げようとした人たちがいないか、サイカくんのところに戻って確認しよっか!」

 

「はい。行くよ、サブレ!」

 

「ワンッ!」

 

 彼らが去った場所には、原形のわからない血と肉の塊だけが残されていた。

 

 

 

 

 

          ♦

 

 

 

 

 

 領主の屋敷前

 

 

「さて、俺たちも行くか!」

 

 タツミはやる気十分といった様子で歩き出そうとするが、それをハチマンが手で制す。

 

「ちょっと待て。俺が先に行くから、後からついて来い」

 

「わかった。それじゃあ、俺は周りを警戒してるよ」

 

 二人は頷き合うと、屋敷に侵入する。

 まず、玄関の前には数人の見張りが立っていた。

 八幡は、自身の外套の帝具“存在隠蔽ハイドゴースト”のフードを目深にかぶると、見張りのところにまるで道を歩くような気安さで近づき、そのまま軽く手を振ったかと思うと、反転しタツミの所へ戻ってくる。

 

「終わった。行くぞ」

 

「いや、行くぞって……ッ!?」

 

 タツミが戸惑いながらも、見張りに近づいてようやく気付いた。

 

(全員死んでる。……一体、どんな腕してたらこんなことができるんだよ)

 

 たった今、ハチマンの手によって殺された見張り達は、つい先ほどのまま、あたかも時間が止められたかのようになっていた。

 

「とりあえず、これで十分くらいは稼げるだろうから、気づかれる前に終わらせるぞ。……早く帰って寝たい」

 

「まあ、増援呼ばれたら面倒だしな。でも、本音は隠せよ……」

 

 ハチマンとタツミは、ハチマンが先行して主な敵を倒し、敵が動揺してる間に駆りきれなかった敵もタツミが仕留めるというやり方で、難なく領主の部屋の前までたどり着いた。

 

「……ここまで来れば、もう逃げられない。取り巻きは俺が倒すから、お前は領主を殺してくれ」

 

「ああ。わかった」

 

 二人は扉を開け放つと、部屋にいる数人の人間の格好から、誰が領主かを一瞬で判断する。タツミは身なりのいい恰好をした男の元へ、ハチマンはがっしりとした体形の護衛らしき男たちの元へと一気に詰め寄り、相手が身構えるよりも先に相手の首を切り落とした。

 

「……ふぅ。とりあえず、これで終わりだな」

 

「んじゃ、とっととシズカさんたちと合流するぞ」

 

 

 

 

 

          ♦

 

 

 

 

 

 タツミたちが集合場所に行くと、他の全員がすでに揃っていた。

 

「遅いわよ、ヒキガヤくん。どうせ、適当にサボりながらやってたんでしょう?」

 

「いや、サボってねえよ。むしろ、メチャクチャ働いてたよ。そう言うお前は、どうせまた途中でバテてたか迷ってたんだろ?」

 

 ハチマンに言い返されたユキノは、慌てたように言いつくろう。

 

「だ、だって、仕方がないでしょう。元々、そういうことをやってきたわけじゃないのだから」

 

「これが元副将なら、帝国も意外に楽に陥落できるのではないか?」

 

 ヨシテルが言うと、シズカは静かに首を横に振った。

 

「いや、ユキノシタは実践はともかく作戦指揮能力は相当のものだ。それに、将軍であるブドーやエスデス。そして、ハルノはそう簡単には倒せないさ」

 

「元将軍からしたら、どの将軍とも知り合いなわけですよね。誰が一番強いんですか?」

 

 タツミが訊くと、シズカは少し黙る。

 

「強さでいうなら、ブドーとエスデスの二強が来るが、カリスマ性ならハルノが群を抜いている。アイツの場合、むしろ扇動力といってもいいかもしれんがな。まあ、人を惹きつけるという意味合いでは、ブドーもエスデスも人種は違えど同じようなものだがな」

 

「やはり、革命を成功させるうえで、彼らとの衝突は避けられないわね」

 

「だが、今は仕事の終わりに浸って、ゆっくり休みたまえ」

 

「よし。帰ったら、すぐ寝る」

 

「もー、ハチマンはいつもそれなんだから……」

 

 任務の時よりやる気を出すハチマンを可笑しそうに笑うサイカを見て、タツミは少し気分が和らぐのを感じる。

 

(ここはナイトレイドとは違うけど、中身は変わらないんだな……)

 

「おい、タツミ」

 

 考えていると、八幡から声を掛けられる。

 

「なんだよ」

 

「おまえも早く帰るぞ。途中でいなくなられたら寝る時間が遅くなるだろ」

 

「ああ。そうだな」

 

 こうして、“シャドウ”は夜の闇にまぎれるように帰っていった。

 

 

 

 

 

          ♦

 

 

 

 

 

 次の日の朝

 

「……ふう。ちょっと、走りに行くか」

 

 朝早く起きたタツミは、日課の修行のため、着替えて外に出てきた。

 アジト周辺を走っていると、見知った人物を見つける。

 

「ヨシテルとハチマン……。二人とも何やってんだ?」

 

「今日は俺が朝食当番だから、近くの川でコウガマグロ捕まえに行ってきたんだよ」

 

 タツミは、ハチマンとヨシテルが手に二尾ずつ持ったコウガマグロを見て訊く。

 

「たったそれだけで人数分足りるのか?」

 

「肉食系ばっかのナイトレイドと一緒にするな。うちはどっちかっていうとたくさん食べるやつが少ないんだよ」

 

「やっぱ、あんなにガッツリ食べてんのうちだけなんだな……」

 

「うむ……。そちらは肉食系女子が多いからな。当然の結果といえよう」

 

「こっちはこっちですごい肉食系がいるけどな。ホントあの人いい加減俺に愚痴るのやめろよ」

 

「……?」

 

「気にするな。こっちの話だ」

 

「なんだ、八幡。おぬし、またシズカ氏に付き合わされたのか。毎度のことながら寝不足で大変だな」

 

「俺の部屋の近くの空き部屋で叫んでるお前よりはマシだ」

 

「はっはっはっ! よいではないか。我の創作に対する熱があふれ出しているのを間近で見られるのだぞ!」

 

「……うぜえ」

 

 辟易とした様子で言う八幡に、タツミは同情する。

 

「なんていうか、お前も大変だな」

 

「そう思うなら少しは手伝ってくれ」

 

「いいぜ。何にもしないってのも悪いからな。手伝うぜ」

 

 爽やかに笑うタツミを見て二人は思った。

 

(ああ。こいつ、俺らの苦手なリア充だ)

 

(そのうち、我らやラバック氏を置いて彼女を作るのだろうな、この男)

 

 二人の考えていることなど露知らず、タツミは不思議そうな顔をする。

 

「どうかしたか?」

 

「いや、なんでも。それじゃあ、俺らは飯作ってるから、他の寝てるやつらを起こしといてくれ」

 

「わかった。集めるのは厨房のとこでいいのか?」

 

「ああ。そこでいい」

 

 タツミがアジトに走っていくのを眺めながら、ヨシテルはハチマンに尋ねる。

 

「なあ、八幡」

 

「なんだよ」

 

「彼女らのこと、言わなくてもよかったのか?」

 

「別にいいだろ。気にすることでもないし」

 

 

 

 

 

 

          ♦

 

 

 

 

 

「えっと……誰の部屋から行きゃいいんだ?」

 

 “シャドウ”のアジトに戻ったはいいものの、全員の部屋までは教えられていなかったため、いちいち部屋を確認しなければならなかった。

 

「あれ、タツミ君?」

 

 呼ばれて振り向くと、サイカだった。

 

「サイカ。さっき、ハチマンにみんなを起こすよう言われたんだけど、部屋がわからないんだ」

 

「だったら、僕が案内しようか?」

 

「いいのか?」

 

「うん。ご飯は皆で食べた方がおいしいしね」

 

 そして、タツミはサイカに先導されてアジト内を移動する。

 

「まず、誰から行くんだ?」

 

「うーん、ユキノさんとメグリさんは普段から早起きだし、ユイさんもサブレの散歩でもう起きてるだろうから、シズカさんとルミちゃんかな。ここからだと、ルミちゃんの部屋が近いね」

 

「それじゃ、まずはルミの部屋か……」

 

「タツミ君、どうかした?」

 

 微妙そうな顔をしたタツミにサイカが訊く。

 

「いや、ちょっとな……」

 

 以前、マインを起こしに行った際、彼女が着替え中だったために、ひどい目にあったタツミは、また面倒なことにならないかと危惧しているのだ。

 

「ここがルミちゃんの部屋だよ」

 

 そう言って、サイカが部屋のドアをノックする。

 

「ルミちゃん、朝だよ。もう起きて」

 

 すると、ルミが部屋のドアを通り抜けて、ぬぅっと顔を出す。

 

「うわぁ!」

 

 驚いて叫ぶタツミを、ルミはジロリと睨む。

 

「……うるさい。着替えたらすぐ行く」

 

「うん。わかった」

 

 そして、二人はルミの部屋を後にした。

 その後、二人は次にシズカの部屋へと向かっていた。

 

「はぁ、マジでびっくりした」

 

「ああ、うん。ルミちゃんのあれは最初に見るとびっくりするよね?」

 

「あれって一体何なんだ?」

 

「ルミちゃんの帝具“透過浸透パーミエイト”の能力だよ。あの子の帝具は物質をすり抜けたり、地面に潜ることができるんだ」

 

「へえ……」

 

「それで、たまに寝ぼけて壁や床をすり抜けてきちゃうんだ」

 

「……なるほどな。そりゃ、心臓に悪いな」

 

 話していると、サイカが部屋の前で止まり、ドアをノックする。

 

「シズカさん。朝なので起きてください」

 

 すると、ドアがぎっと音を立てて開いた。

 

「すまない。少し遅れそうだから先に食べててくれ」

 

 気分の悪そうなシズカが顔を出したと思ったら、すぐに引っ込んでしまった。

 そんな彼女に、タツミとサイカの顔が引きつる。

 

「なぁ……。あの人、酒臭くなかったか?」

 

「うん。たぶん、昨日飲んでたんだろうね」

 

「そういや、八幡たちがそんなこと言ってたな」

 

「革命も控えてるから、あんまり飲み過ぎて欲しくはないんだけどね……」

 

「……ここも色々大変だな」

 

「……あはは」

 

 シズカによって生み出された微妙な空気に気まずさを感じながら、二人は食堂に向かった。

 

 

 

 

 

          ♦

 

 

 

 

 

 その日の昼

 

「それでは、今回は“シャドウ”のアジトのため、私が音頭を取らせてもらおう。乾杯!」

 

「「「「「「「「「「「乾杯ッ!!」」」」」」」」」」」

 

 朝食でのシズカの「今日は“ナイトレイド”と交流会をするぞ」という一言により、“ナイトレイド”と“シャドウ”、暗殺組織同士の交流会が行われていた。

 

「……何これ?」

 

「俺に訊くなよ。なあ、ルミルミ?」

 

「知らない。それよりも、ルミルミはやめて」

 

 殺し屋集団同士の交流らしからぬ和気藹々とした雰囲気に、タツミは思わず近くにいたハチマンとルミに訊くも、すげなく返されてしまう。

 

「しょうがないでしょう。こういう場は、今後の連携のために形式的でも必要なのよ。一種の付き合いだと思って諦めなさい」

 

 三人のところに、アカメと共に料理を作っては運んでいるユキノが、料理を運んできた。

 

「さすが、元貴族は言う事が違うな」

 

「貴族って……ユキノって貴族なのか!?」

 

「別に……元いた家が少し大きいだけよ」

 

「え~!? ゆきのんの家ってすっごく大きいでしょ! ね! メグリ先輩! ね!」

 

 嫌そうに言うユキノにもたれかかるユイに話を振られたメグリも、苦笑して答える。

 

「そうだね。ユキノシタっていえば、ブドー大将軍派とオネスト大臣派の二人が夫婦になったていう異例の大貴族でもあるしね」

 

「……そんなすごいとこの家の人だったのか」

 

 タツミが驚いていると、話を聞いていたのか、ブラートとレオーネも寄ってくる。

 

「それだけじゃないぜ、タツミ。今のユキノシタ家の長女は、最年少で将軍になった程の天才だ」

 

「んで、ユキノはその家の次女で、ボスやブラート、ラバと同じで帝国の軍にいたんだけど、上司のシズカと一緒に帝国抜けて“シャドウ”を作ったんだよ」

 

「ってことは、この組織って、最初は二人だったのか?」

 

「ええ。その次にメグリさん。その次がハチマンくんとサイカくん。そして、ヨシテルくん、ルミさん、ユイさんの順ね」

 

「そういえば、ずっと気になってたんだけど、ルミって何で俺たちみたいな殺し屋なんてやってるんだ?」

 

 タツミの質問に、全員が微妙そうな顔をする。そして、メグリが言いづらそうに口を開く。

 

「あの子は、帝都の郊外にあった村の出身の子なんだ」

 

あった(・・・)?」

 

「あの子の村に、あの子が今使ってる帝具“透過浸透パーミエイト”があったんだけど、ある時あの子にあの帝具に対する適正があることがわかって、帝国はルミちゃんを帝国の暗殺者に育てるために彼女の引き渡しを求めたんだ。でも、その村の村長はそれを断ったの。それで帝国は強硬策に出て、彼女以外の村人を惨殺したんだ」

 

「……そんなことがあったのか」

 

 自身も同じ村出身の幼馴染を殺されているタツミは、苦々しそうな顔をする。

 

「その後、帝具の能力で運よく逃げだせたルミちゃんは、噂を聞いて偵察に来ていたハチマンくんに保護されてうちに来たんだ」

 

「それで殺し屋になったのか……」

 

 タツミが複雑な心境でいると、ナジェンダとシズカが全員に呼びかける。

 

「さて、お前たち。そのままでいいから聞いてくれ。悪い知らせだ」

 

「悪い知らせ? 何だよボス」

 

「ハルノが一足先に戻ってきた」

 

 静かに言うナジェンダにラバックが驚愕する。

 

「……マジかよ!? だけど、あいつはエスデスについていったんじゃありませんでした?」

 

「恐らく、気まぐれだろうな」

 

「なぁ、そのハルノって確か将軍だったっけ? そんなにやばいのか?」

 

 タツミが訊くと、メグリが答える。

 

「さっき話したユキノシタ家の長女の将軍で、天才なんだけど気まぐれでこっちの軍師がことごとく策を破られちゃうんだ」

 

「さて、ここからが本題だが、ハルノが戻ったことで、あいつの私兵も動くだろう。だから、タツミは急遽ナイトレイドに戻ってもらう。任務先で会うかもしれないので、全員十分注意しろ」

 

 ナジェンダが一通り言い終えると、ユイやメグリが少し残念そうにする。

 

「そっか、タッツーもう戻っちゃうんだ。もっと仲良くなれたらよかったんだけど」

 

「また何かあったら来てね、タツミくん」

 

「ああ。ありがとな」

 

 その様子を見ていたラバック、ハチマン、ヨシテルが陰でぼそぼそと話し合う。

 

「クッソ! なんでいつもタツミばっかり……」

 

「やっぱり、あいつはリア充だったか」

 

「あれが噂に聞く年上キラー。なんと恐ろしい……」

 

 そんな風に和やかに二組織間の交流会は幕を閉じたのだった。

 しかし、それから程なくして、シェーレが任務後の襲撃でマインを庇い殉職したという訃報が“シャドウ”に届くことになった。

 

 

 

 

 

         ♦

 

 

 

 

 

 タツミたちが交流会をしている頃、帝都の城ではある人物が自分の部下たちを会議を行うための一室に集めていた。

 

「うーん、久々に帰ってきてもここは変わらず腐りきってるようで安心したよ。じゃあ、ハヤト、さっき私が聞き流してた大臣からの命令言ってもらえる?」

 

 最年少で将軍にまで上り詰めた天才、ハルノの命令で、彼女の腹心であるハヤトが疲れ切った顔をする。

 その他の数名の部下はその様子を同情交じりに見ていた。

 

「はぁ……。新しい兵器の実験を行うようにと。結果が良ければ以前から提案されていた独立治安組織を認めるそうです」

 

 ハヤトからの報告に、ハルノはとても楽しそうな顔をする。

 

「へえ……。新しい兵器(おもちゃ)かぁ。それってどんなの?」

 

「えっと、ここにはこう書いてあります。“第二世代型帝具”だそうです」

 

「ふーん。ってことは、オネスト大臣もそろそろ本気って事かな。待っててね、ユキノちゃん、シズカちゃん」

 

 “第二世代型帝具”。これが帝国と革命軍の戦いをより激化させることは目に見えていた。

 それゆえに、ハルノは楽しそうだった笑みをより強く、深淵なものにしたのだった。




 さて、そろそろ物語が動きそうな感じです。
 自分的には、後1,2回ぐらいフラグ立てたら死にそうなのが二人いますが、誰かわかるかな?
 さて、あと数話ぐらいで味方に死人が出るかもしれないしそうじゃないかもしれない。
 実は、容赦なく殺すといいながら、その人物に関しては未だ悩んでいます。いや、これ本当に死なせていいのかどうか。うーん、悩みどころ。
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