名もなき英雄の軌跡(進撃の巨人2二次創作)   作:なげすて

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ピーク視点での物語


第78話 サイド:ピーク

ジークが診療所に訪れる、その直前の話。

 

そろそろこの身体も限界が近い、かな。長期間の活動を可能としてるといっても、たとえ人と違う身体だとしても衰弱からは逃れられない。多分普通の継承者なら数ヵ月で命が尽きたんじゃないかな。不十分な栄養の入った点滴でも永らえられたのは私だからこそだよね。

 

一年と少し滞在した中で、多くの情報を仕入れることが出来た。私がいるここを訪ねる町の人々から。運ばれてくる患者からも。クリスタちゃんや『あなた』からも。

女型の巨人が現れたときのことも、獣の巨人が現れたときのことも、そして、アニが本来どこにいるのか、も。

 

私も避難することになったけど、状態が状態だから準備にもう少しかかる、と『あなた』は言っていたわね。私はその気になれば、いつでもここを出ていけるわよ。

 

『あなた』、機密事項なのに、アニのことを私に話して本当に良かったの?確かに私はそれなりの経歴を持つ駐屯兵として暮らしていたけど、その駐屯兵の正体が、殺され名前だけを取り替えた密偵だと見抜けないのは、少し、『物語』に溺れすぎじゃないかしら。私が碌に動けず、その責務を振るえない失意に暮れる兵士を演じたからとはいえ、視線によってでしか言葉を[[rb:操 > く]]れないからって、楽観的過ぎる。

 

他人の事情なんてもっと冷静に、それこそ他人事のように現実から切り離して考えるべきよ。勿論本当の私だって、故郷の病弱な父のことが心配で仕方ないわ。でも、そこにいるクリスタちゃんやアニのように、『あなた』も隠し通さないと、寝首を掻かれるわよ、いつか。

 

……まあ、手当ての度にそんな悲しそうな顔をして、心の底から人を思い想うことが出来るから、『あなた』には人が多く付いてくるのでしょうけど。そんなお人好しも、私の故郷のように流れる血の規模が増えれば、きっと鳴りを潜めるわ。それに、人たらしなら私も負けるつもりはないからね。故郷には私を支える”パンツァー隊”がいるんだから。

 

そういえばアニとライナーとベルトルトの名前はよく出るけど、マルセルは一体どうしたのかしら。『あなた』の話題に上らないのなら、兵士ではないのかもしれないけど、彼、弟よりも頼もしいけど直情的なのは同じだから、足が着きそうで心配だわ。……最悪なことになってないといいんだけど。

 

それも確かめるにはここを出るしかないんだけどねー。でも、ここは診療所だから周りに人はいるわ、宿直もいるわで全く身動きが取れないのよね。あのときアニが連れ出してくれたらまだ楽だったんだけど、彼女、表情も身動きも変わってなかったけどかなり慌ててたわね。なにも逃げ出さなくても良かったのに。つれないんだから、相変わらず。

 

まあ、残す頼みの綱は”戦士長”だけかあ。早く気付いてほしいなあ。異形の巨人はいるんだから、気配はするんだけどなあ。

 

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