英霊の稲荷様   作:名無しのペロリスト

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申し訳ありませんが作者の知識や文章力の不足で、フェイトの解像度がボロボロなのはご了承ください。
それでも少しでもお楽しみいただけたら、幸いです。


バーサーカーの稲荷様

 私は現代日本で普通に女子高生をしていたのだが、車にはねられそうになっていた子狐を助けたら、何故か戦国時代に狐っ娘として転生していた。

 

 そこから妖怪として退治されたくないので、咄嗟に神様のフリをしてやり過ごす。

 その後は、色々あって日本の最高統治者を五百年ほど務めていた。

 

 ただし普段は東京の稲荷大社の森の奥で、半隠居状態で家に引き籠もっている。

 なので肩書は凄いが君臨すれども統治せずであり、普段は気楽なものだ。

 

 まあ神皇になる前はかなり忙しくて綱渡りの連続だったが、日本や世界がヤバい案件が出てくると引っ張り出されるのは変わらない。

 政府関係者にも何故か頼りにされているし、自分は転生直後から殆ど成長していない脳筋狐っ娘だし、本当に勘弁してもらいたい。

 

 さらには神秘が強まって現世に干渉できるようになったからか、お母さんである天照大御神様から無茶振りされたりもする。

 神様案件は滅多にないけど、私への信頼度は異常に高い。

 

 今回は平行世界の地球が危険な状態なので、ちょっと行って救ってきてである。

 

 ちなみにその世界では、崩壊が確定すると抑止力さんが介入して滅びを防ぐらしい。

 今回は天照大御神様が上位存在として干渉し、あろうことか私を売り込んだ。

 

 色々と好条件で向こうの気を引いたようで、滅亡するかわからんけど試すぐらいママエアロとOKが出る。

 

 まるで麻薬のポスターみたいな酷いやり方であり、多分次回から出張費用などを取り立てるつもりなんだろう。

 もしくはうちの稲荷ちゃんは凄いと自慢したいだけかも知れないが、両方あり得るのが怖いところだ。

 

 ……とまあ、そのような説明をお母さんから聞いた。

 しかし完全には理解できず、そもそも抑止力さんって誰だよと、心の中でツッコミを入れる。

 

 そしてお母さんはと言うと、稲荷ちゃんなら大丈夫の一点張りだ。

 

 もう駄目だこの天照大御神様、早く何とかしないとと思いはする。

 でも仕事はちゃんとやっているらしいし、日本人なら誰もが知っている超偉い神様だ。

 交通事故で死んだ私を狐っ娘とはいえ、転生させてくれた返しきれない恩もある。

 

 

 

 ちなみに異世界に行くのは本体ではなく、知識や経験を引き継いだ分身体らしい。

 死亡や消滅したら本体に戻る仕様で、例えるなら忍者漫画に出てくる影分身の術である。

 

 そして私は、割と押しに弱い。

 さらに世界の危機と聞いて、放っておくこともできない。

 

 あとはフェイトっぽい世界だと聞いて、オタクとしての興味もある。

 この時点で殆ど決まったようなものだが、それでも少し悩んで、結局承諾するのだった。

 

 

 

 そのような理由で、私は召喚された。

 抑止力さんにちょっとだけ干渉して、本来のルールには縛られない特例の呼び出しである。

 

 ただし神霊は流石に不味いのか、格を落として英霊としての召喚だ。

 本体と比べると能力は大幅に低下しているので、うっかり死なないように気をつけないといけない。

 

 

 

 肉体を構築する際に、最低限必要な知識は習得する仕様なのはありがたい。

 基本ルールや世界観などは一通り覚えたところで、いきなり目の前に知らないおじさんとお爺さんが現れた。

 

 正確には私が世界を飛び越えたのだろうが、心構えをする暇もない。

 瞬きをしたら、いきなり景色がガラッと変わって、別の場所に居たので驚くのも無理もなかった。

 

 しかし私は一応、日本の最高統治者だ。

 予想外の展開でも、表面上は平静を装う。

 驚愕の表情はほんの一瞬で、多分バレてはいないはずだ。

 

 取りあえず、まずは落ち着いて相手の反応を観察する。

 

「そんな! どういうことだ! 召喚は完璧だったはずだ!」

「こんな小娘がバーサーカーだと!? ああ、失敗だ!

 やはり魔術師崩れの雁夜では、最初から駄目じゃったようじゃな!」

 

 抑止力さんの介入で私が送り込まれた。

 本来の召喚では到底呼び出せるサーヴァントではないので、二人が召喚失敗を嘆く気持ちもわかる。

 

 女神転生的に言えば合体事故だ。

 魔王を呼び出そうとしたら、運悪く事故が起きてスライムになったようなものである。

 ちなみに使用した悪魔は戻ってこないので、リセット案件だ。

 まあ現実にやり直しはないんだけどと、私はぼんやり考える。

 

(フェイトは知ってるけど。正直、ネタ方面だけなんだよねぇ)

 

 私は広く浅くのライトオタクだ。

 そして急なお願いだったので、勉強する時間は殆どない。

 さらに資料が膨大で一朝一夕では覚えきれず、召喚先がどのフェイトなのかもわからなかった。

 

 幸い召喚時に基本知識を覚えられる親切設計らしく、生活に困ることはなさそうだ。

 なので、いつも通り成るように成ると開き直った結果が、今である。

 

 

 

 召喚された以上は仕方ないことだ。

 クーリングオフは受け付けていないので、私は目の前のおじさんに向かって、はっきりと告げる。

 

「問いましょう。貴方が私のマスターですか?」

「喋った!?」

「バーサーカーのクラスだぞ!? 狂化を付与したのではないのか!」

 

 召喚される際の事前知識によると、バーサーカーのクラスは基本的に理性がぶっ飛んでいる。

 中には喋れるサーヴァントも居るらしいが、話が通じるとは限らない。

 あと、地雷を踏むとブチ切れたり暴走したりするらしい。

 

 なお今回は私が、その狂戦士枠とのことだ。

 抑止力さんが頑張ってくれたのか、常時狂化は免れた。

 

 しかし、クラス特性までは防げない。

 自分でも、何がキッカケでガチギレモードになるのかわからない有り様だ。

 

 幸い、今のところは冷静に振る舞えている。

 でも、その点がちょっとだけ不安だ。

 

(世界を救う条件も、わかってないしなあ。

 でも、取りあえずは、聖杯戦争に勝つのが前提だろうね)

 

 負けとは、即ち聖杯戦争から脱落することだ。

 現世に干渉する権利を失ってしまえば、もはや世界を救うどころではない。

 

 なので取りあえずは勝ち続けていれば、そのうち滅亡の原因が判明するはずだ。

 

 しかし目の前の二人は、驚き戸惑って互いに言い争うばかりである。

 全然話が進まないので、仕方なくオズオズと手を挙げた。

 

「あのー! すみませーん!」

「……っと! そうだった! 俺が君のマスターだ!」

「良かったです。もし呼ばれたのが間違いだったら、どうしようかと」

 

 可能性は低いが、彼らが召喚者ではない場合もある。

 それにもし主人であっても、一般人が偶然呼び出した可能性もゼロではない。

 

 彼とはパスが繋がっている感じはするので、多分そうじゃないかなとは思ってはいた。

 しかし、聖杯戦争に参加する気がなかったら大問題だ。

 

 そして私は、基本的に考えなしの行き当たりばったりである。

 すぐに単独行動や暴走したりするし、そういう意味では狂戦士と言えなくもない。

 

 意外と狂戦士としての素質があるのかも知れないが、全く嬉しくなかった。

 

 そんな心境はともかく、目の前の彼がマスターなのは間違いない。

 見たところやる気も十分だし、目的が同じなら協力もしやすい。

 表情には出さないが、内心で安堵の息を吐く。

 

 だが老人の方はそうではないようで、私を見て露骨に悪態をつく。

 

「ふん、こんな出来損ないしか呼び出せぬようでは、到底勝ち抜けぬわ!

 やはり遠坂の小娘を蟲の苗床とし! 次の聖杯戦争に期待するしかあるまい!」

 

 私は今の老人の発言を聞き、自分でも驚くほど心がざわつく。

 そして荒々しい声が出てしまう

 

「……はぁ!? 今、何て言いました! 女の子を! 蟲の苗床とは! どういうことですか!」

 

 老人に向かって一歩、二歩と近づいていく。

 実は呼び出されてから、地下から不快な音が聞こえて来ている。

 そこに女の子が捕まっているかはともかくとして、目の前のコイツは平気でやると直感的に判断した。

 

「そのような外道な行いを! 許せるわけがないでしょう!」

 

 気づけば私は、老人を狐火で焼いていた。

 彼は悲鳴を出す時間もなく、絶命して灰になる。肉体を動かしていた蟲も、一匹残らず焼け死んだ。

 

「まっ、待てっ! バーサーカー!」

 

 マスターが慌てて止めたが、一歩遅い。

 老人は核の蟲ごと、とっくに絶命している。

 呪いに近い現象だからか、周囲には燃え広がっていない。それに、焦げてもいなかった。

 

「……ああっ! なんてことを!」

 

 これっぽちも後悔はしていないが、やっちまったことには違いない。

 一応謝罪しておく。

 

「すみません。マスター。恐らく今のが、クラス特性の狂化です。自制ができませんでした」

「そっ、そうか。すぐに止めることもできなかった俺も、悪かったんだ。

 気にしないでくれ」

 

 やらかした私も、どうしてあんな行動に出たのか良くわかっていない。

 ただ目の前の老人は今ここで殺しておくべきだと判断し、普段なら半殺しぐらいに手加減するのに、『コイツは死んでも良い奴だ。むしろ今すぐ死ね』とばかりに、サクッと殺ってしまった。

 

 それに対して罪悪感は全くないどころか、むしろ清々しい気分である。

 例えるならロマサガ2の皇帝のシーフを見捨てた時の台詞で、『アバロンのダニが一匹減ったな』であった。

 

 普段の私よりも過激で、狂気的な行動なのは間違いない。

 どうやら、しっかりクラス特性を引き継いでいるようだ。

 

(思えば勝手に突っ走ったり、説得や説明が面倒だからって、静止を振り切って危険に飛び込むこともあったしなあ。一国の最高統治者がコレとかアカンでしょ)

 

 そう考えると自分はやはり狂戦士なのではと、割とすんなり納得できはする。

 

 それはともかくとして、白髪のおじさんは冷や汗をかいて困惑していた。

 先程まで老人だった灰と、謝罪する私を交互に見ている。

 

「しかし、今のはバーサーカーのスキルか?」

「はい、スキルの一つです」

 

 死んだ命は戻ってこないし、殺っちまったものは仕方ない。

 きっぱり諦めて、気持ちを切り替えることが大切だ。

 

 それに、聞きたいことがたくさんあるようである。

 だが、私からも質問があった。

 

 なので一先ず、灰が邪魔なので部屋を片付けつつ話すことに決めた。

 マスターは体がボロボロでまともに動けなさそうだから、私が箒を持ってきて灰をゴミ箱に捨てる。

 

「改めて名乗らせてもらうが、俺は間桐雁夜。君のマスターだ。よろしく頼む」

「私は稲荷です。このたびは、バーサーカーのクラスとして顕界しました。

 こちらこそ、よろしくお願いします。マスター」

 

 向こうが名乗ったので、今度は私も自己紹介をする。

 だが彼は、驚きの表情を浮かべる。

 

「驚いたな。真名はサーヴァントの弱点に繋がる。

 だからてっきり、秘密にするものかと」

「身体的な特徴で、すぐにバレそうですし、隠す意味はないのでは?」

「確かに、その容姿は珍しいからな」

 

 雁夜おじさんは私のカラダを上から下まで見るが、別に性的な視線ではない。

 狐の耳と尻尾を生やした巫女服姿のサーヴァントが、非常に珍しいからだ。

 神話や伝説を調べれば、きっと簡単に見つかるだろう。

 

 ただ普通に考えれば、稲荷神がバーサーカーの英霊として顕界するのは、可能性としてはゼロではないかもだが多分ない。

 なのでもしかしたらサーヴァントやその手の知識に詳しい人ほど、ドツボにハマって正解が出てこないかも知れなかった。

 

 マスターの場合は、私が正直に真名を教えたので、すぐにピンときたようだ。

 

「稲荷とは、あの稲荷神か?」

「はい、あの稲荷神です。

 でも私は見習いで、人族でもありますので。神は必要ありません」

 

 別世界のことだし、流石に詳しくは説明できない。

 けれど、そういう稲荷神も居ると思ってくれれば良い。

 

 やがて話している間に、掃き掃除が終わったので道具を片付ける。

 今度はこちらから質問させてもらう。

 

「先程、老人が言っていた。遠坂の娘とは?」

「ああ、それは──」

 

 正直、聞きたくはなかった。

 この屋敷にはもう一人居るのは先程の会話で気づいていたが、最悪の予想が当たってしまう。

 

 雁夜おじさんから説明を聞いた私は、瞬間湯沸かし器のようにブチ切れる。

 殆ど時間を置かずに、本日二度目の狂化モードに入った。

 

 本当なら壁をぶち抜いて突き進みたいが、残り少ない理性を総動員して何とか自制する。

 だが扉を勢い良く開け放って壊し、風のように走って屋敷の地下室を目指す。

 

 そこで見たのは、あまりにもおぞましい光景だった。

 それでも最悪の展開として、予想はしていた。

 

「これが人間のすることですかぁ!」

 

 幼い女の子に無数の蟲が群がり、苗床にされていた。

 前世も色々と悲惨な光景を見てきたが、コレはその中でもとびっきりに酷い。

 

「燃え尽きろ! 蟲ども!」

 

 私は容赦なく、地下で蠢く蟲だけを綺麗に焼き払う。

 心も体も傷ついた少女は動かないが、何とか保護することに成功する。

 

「……良かった。一応、生きているようですね」

 

 近づいて優しく抱きかかえると、彼女は私に気づいたようだ。

 虚ろな目で、ゆっくりとこちらを見つめる。

 

「お姉さん、……誰?」

「私は稲荷です。貴女を助けに来ました。

 もう大丈夫ですので、今はゆっくり休んでください」

 

 少女は最初は戸惑っていた。

 しかし私も、ここからどうしたものかと完全にノープランだ。

 

(こういう時は、ちょっと恥ずかしいけど。子守唄でも歌ってあげようかな)

 

 私は恥ずかしいけど、子供を安心させるために優しくあやしながら、子守唄を歌う。

 すると彼女はやがて、ここには自分を傷つけるモノは居ないのだとわかり、安心してくれたようだ。

 やがて目を閉じて、安らかな寝息を立て始める。

 

「……ふう、助けられて良かったぁ」

 

 だが、全身を蟲に犯されていたのだ。

 今後は、まともに生活できるか怪しい。

 私は少し考えたあとに、尻尾の毛を一本抜いて神気を込める。

 

「治癒の奇跡は起こせませんが、……これで」

 

 心身共に疲れきっているのか、ぐったりしている少女の口を開けさせる。

 そして、金色に輝く狐毛を飲み込ませた。

 

 すると雁夜おじさんも重い体を引きずりながら、息を切らして駆けつけたようだ。

 私はついでだからと、彼にも先程と同じ手順で私の毛を渡した。

 

「稲荷、これは?」

「見ての通り、私の毛です」

 

 まんまなので、そうとしか説明のしようがない。

 しかしただの毛ではなく、ちゃんと意味がある。

 

 だが、どう説明したものかと悩む。

 何とか雁夜おじさんにもわかるように、噛み砕いて伝えていく。

 

「それは聖遺物のようなモノで、癒やしの奇跡が起こせます。

 ただし信者限定ですし、敵対したり悪用する者は、呪いの炎に焼かれるでしょう」

 

 こっちのキリスト教とは、一切関係ない。

 しかし向こうの世界では、私は何故か大天使の一柱として崇められている。

 なので聖遺物という言葉も、ある意味では正しい。

 

 そして私の説明を聞いた雁夜おじさんは、マジかよと冷や汗をかく。

 

「少なくとも、蟲よりは役に立つはずです。

 雁夜さんも桜ちゃんも深く傷ついていますので、少しでも癒せればと」

 

 御利益があるとは伝えられているが、本当に効果があるかは不明だ。

 しかし、眠っている少女の顔色はみるみる良くなってきている。

 

 注意深く観察すると、体内の異物は完全に除去できたようだ。

 何だか先程消し炭にしたはずの、老人の悲鳴が聞こえた気がしたが、多分気のせいだろう。

 

「わかった。ありがたく使わせてもらうよ」

 

 雁夜おじさんは微笑みながらお礼を言い、少し緊張しながら狐毛を飲み込む。

 私がピッコロさんのように、『仙豆だ。食え』をしないで良かったと思った。

 

 すぐに効果が出て、桜ちゃんと同じように体内の蟲が、一匹残らず駆除される。

 さらに傷ついた肉体も修復され、彼もとても驚いていた。

 

「こっ、これは凄い!」

「私もまさか、ここまで効果があるとは思いませんでした」

 

 前世では色々と実験された結果、効果があると証明されてはいる。

 ただし科学で立証するのが難しいし、神皇を退位したい私は、内心では『そんなオカルトありえません』派であった。

 

 そして私が人を助けたいと願い、狐毛を与えるのは初めてだ。

 二人の身を案じて、わざわざ神気を込めたのだが、効いてよかった。

 

「そっ、そうなのか!?」

「試したのは今回が初めてだったので」

 

 そもそも、神気も狐火のように直感的に操作している。

 何とかなれーと必死に念じたら、何とかなりましたのレベルだ。

 

 困惑する雁夜おじさんの前で、曖昧に微笑んで誤魔化す。

 

「今のマスターや桜ちゃんは、私の眷族という扱いです。

 魔力や身体能力に補正がかかっていますが、あくまで一時的な措置です。

 時間が経てば神気は抜けて、普通の人間に戻るでしょう」

 

 なので、半永久的に効果があるわけではない。

 しかし蟲に食われたり寄生された肉体が完治するまでは、何とか補助しなければいけなかった。

 

「つまり、今なら俺も稲荷のように炎が出せるのか?」

「絶対とは言えませんが、その可能性は高いでしょう」

 

 狐耳や尻尾は生えていないが、今の雁夜おじさんは、薄っすらと神気をまとっているように見える。

 抜けきるまで何日かかるかわからず、場合によっては年単位必要になりそうだ。

 

「炎を出すときに行う、詠唱や儀式。または触媒は、どうしているんだ?」

「必要ありません。感覚派なので」

 

 我ながら酷い説明だが、自分は一応神だ。

 しかし個人的には断じて認めたくないし、せいぜい見習いが妥当だろう。

 

 とにかく狐火は、直感的に出したり消したりできる。

 なので雁夜おじさんも、取りあえず同じように意識を集中して試してみるようにと、かなりフワッとしたアドバイスをした。

 

 彼は少しだけ悩んでいたが、呼吸を整えて集中する。

 人差し指の先に小さな魔法陣が現れて、そこから青い炎が現れた。

 

 私はファンタジー凄いと内心で大興奮だが、雁夜おじさんはそれどころではないようだ。

 

「あちちっ!?」

「いっ、今すぐ消してください!」

「きっ、消えろ!」

 

 言葉に出すことでイメージが固まったのか、炎はすぐに消えた。

 相殺するために、こちらも同程度の狐火を出したが、その必要はなかった。

 

 しかし魔術を使う下地ができていたからか、練習は必要だが扱えはするようだ。

 

(やはり私の見立て通り。二人なら大丈夫そうかな)

 

 あちらの世界の私なら、他者を眷族になどにはしない。

 目の前で死にかけていても、急いで病院に連れて行くぐらいだ。

 

 だが今回は、事情が異なる。

 世界を救うために召喚されたので、マスターが途中で死亡したら私も脱落してしまうのだ。

 

 または雁夜おじさんが聖杯戦争の目的にしていると思われる、少女の状態でもモチベーションが大きく変わる。

 世界の滅びを回避する可能性を高めるために、ピッコロさんのように、『仙豆だ。食え』をするのもやむを得ない。

 

 幸い二人共、私の直感通りになった。

 魔術師は眷族化の抵抗力を持っている。

 体内の神気は自然に体外に排出されて、やがては普通の人間に戻るはずだ。

 

 込めた願いも蟲を駆除して二人が回復しますようにだし、眷族にしようなどとはこれっぽっちも考えていない。

 それこそ二人が私の眷族になりたいと、心の底から願わない限り、そんなことは起きようがなかった。

 

 だがそれはそれとして、私は特に修行をしたりはしない。

 狐火を気軽にポンポンつけたり消したりはしているけど、十割を直感的な操作に頼っているので、使い方には全く自信がなかった。

 

 しかし、体調が回復して青い火を出せた雁夜おじさんは嬉しそうだし、今は良いことしたなと一緒に喜んでおくのだった。




添削の時間が足りずに誤字脱字も当然ありますが、誤字脱字機能を使っていただけると作者はとても助かります。

一日か、二日に一回ペースの投稿を目指す。
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