「ほどよい馬鹿」と言われた俺が、美人ばかりの生徒会に参加して学園の人気者になる話   作:えんだー

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今回、ちょっと短めなので21時頃にもう1本投稿します


10 この手がある

「これで生徒会内の不和は解決されたかな?」

 

 

 面談室から出た直後、青山先生が俺たちにそんなことを聞いてきた。俺も、会長と副会長に許されたのかどうか気になったので2人に視線を送る。

 

 

「不和、って言うほど仲は悪くなってないですよ〜。それに、滝沢くんが水沢さんたちのことも考えて行動してくれてたことが分かったので、私はもう気にしてません!」

 

 

 会長がいつもの明るい声でそう言った。無垢な笑顔で俺に笑いかける会長に癒されながらも、俺の心の中にわずかばかりの罪悪感が浮かぶ。会長はあまりにも純粋な人なので、悪いやつに騙されないか心配になってしまう。

 

 そして、肝心の副会長はと言うと。

 

 

「……二度目は無いわよ」

 

 

 短い言葉だったが、いちおう許してくれているようである。だが、未だに明らかに疑いの目を向けてきている。先ほどの俺の弁明に納得を示してくれていたようだが、疑いそのものが晴れていないらしい。

 

 なかなか勘の鋭い人だ。

 

 

「うむ、お互いの主義主張がぶつかり合って絆が深まるという展開はテンプレ染みてるがやはり熱いな」

 

 

 会長と副会長の返答を聞いた青山先生は、満足そうに頷いた。

 

 以前から思っていたが、この青山先生というのは少年漫画的展開を好む傾向がある。だが、その一方でアラサーであるがゆえの大人の汚さみたいなものも持っている人なので、いまも満足そうな表情をしつつも、俺に意味深かつ含みのある視線を向けてきている。

 

 

「では、私は仕事があるので失礼させてもらおう。生徒会諸君、何か困ったことがあれば相談してくれ」

 

 

 そう言って、職員室へと戻っていった。その場に残された会長・副会長・俺の三人は解散することなく、自然と例の話題について話すことになる。

 

 

「結局のところ、滝沢くんは水沢さんがEスポーツ部の立ち上げそのものを目的にしている可能性が高いと思うけどその理由が分からないし可能性に過ぎないから青山先生に相談しようとしたってこと?」

 

 

 会長が俺の弁明のまとめをしてくれたので俺は頷いだ。

 

 

「そういうことです」

 

「でも、部活そのものを立ち上げることで得られるメリットってあるかしら」

 

 

 副会長の疑問に俺は大きく頷く。

 

 

「そこなんですよね。特にEスポーツ部を立ち上げるメリットが皆無すぎます」

 

 

 水沢がEスポーツ部を題材にしたラノベなりアニメなりを見て自分も立ち上げたい、みたいな理由なのであればかわいい話なのだが、なんとなくそんな気がしない。

 

 それよりも、会長と副会長が普通に俺の話を信じて会話を進めていることが気になった。

 

 

「というか、お二人とも俺の話を信じるんですね」

 

「滝沢くんのことを信じてるからね!」

 

「会長……ッ!」

 

「私は滝沢くんの話に信憑性があったから、検討しているだけよ。立ち上げを許可した部活がすぐに廃部になったら生徒会の責任になってしまうし」

 

 

 熱量のこもった会長の言葉に比べて副会長の言葉はなんと冷たく鋭いことだろう。正直、嫌いではない。

 

 

「まあ、俺の話を信じてくれてるならどんな理由でも構いません。それよりどうしますか? 俺の推測だけではEスポーツ部の立ち上げの是非を判断できないと思いますが」

 

「そうだね……水沢さんに一度話を聞いてから判断しようか」

 

「そうしましょう。明日の昼か放課後に生徒会室に来てもらえるように連絡しておきます」

 

 

 さすが生徒会、と言わんばかりに2人の行動は迅速だった。だが、2人の行動は王道で模範解答だと思うがその方法では水沢の本音が聞けるとは限らない。

 

 

「会長、副会長。その方法だと水沢さんが仮に隠していることがあったとしても、素直に話してくれるとは限りません」

 

「確かに……水沢さんはEスポーツ部を立ち上げるために必要なものは全て揃えているから、私たちに何を聞かれても『特に裏の事情は無いよ』って言うだけでいいもんね」

 

 

 そこちらの追求を否定するだけで水沢はEスポーツ部の立ち上げを達成することができてしまう。

 

 ゆえに、このままではほぼ確実に白を切られて事実はわからないままになる。

 

 

「でも、これが生徒会として取るべき手段で大事な手続きよ。もし、水沢さんが本当のことを話してくれないというのであれば…………ね?」

 

「ね、じゃないですよ。水沢さんに何をするつもりですか」

 

「別に何も。ただ下校時間ギリギリまでお話をするだけよ」

 

「止めてあげてくださいよ、そういう圧のかけ方」

 

「あら、水沢さんの味方をするのね」

 

「違います、不当に虐げられる弱い人間の味方です」

 

「私が水沢さんを虐げようとしてるって言うの?」

 

「……違うんですか?」

 

「違うわよ」

 

「フフッ」

 

 

 俺と副会長のやり取りを見ていた会長が口元を抑えて笑った。俺と副会長は互いに見合わせて会長のことを見る。

 

 

「ごめんごめん、もう笑わないから。それでさ、滝沢くんの言う通り普通に聞いても水沢さんは本当の事情を話してくれないかもしれない。でも、レンちゃんの言う通り生徒会として取れる手段は生徒会室で直接聞くことだけだし、他に水沢さんの事情を知る手段も無いんじゃないかな?」

 

「いや、水沢さんの事情を知る手段ならありますよ。会長たちが納得する方法かどうかは別として」

 

「その手段って?」

 

「水沢さん以外にもEスポーツ部に所属する以外の人間がいるはずですよ。部活の設立に必要なのは4人……水沢さんを抜いても3人いますよね?」

 

 

 水沢から聞き出せる可能性が低いのであれば、彼らから聞きだせばいいだけだ。

 

 問題は、水沢が他の人間に自分の真意を話しているかどうかだが……さて、水沢は自分の目的達成に協力してくれる人間にまで事情を話さないほど血も涙もない人間なのだろうか。




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