「ほどよい馬鹿」と言われた俺が、美人ばかりの生徒会に参加して学園の人気者になる話 作:えんだー
───ホワイトボード───
・なぜいまの時期に作るのか
→部活作りが流行っているから
・クイズ研究部でなんで脱出ゲームを作らないのか
→気の合う仲間がいない&九条のせい
・いままで部活の申請がなかったのはなぜなのか
①スペースがなくても企画が問題なく作れたから
→スペースが高確率で必要
②自分たちで使える部室のような空間があった
→不明
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俺はホワイトボードに書いたことをじっくりと読み返す。
まず間違いなく。
村重くんは脱出ゲームを作るためのスペースが欲しかったと思うのだが、彼には自分の部活もないしクイズ研も脱出ゲームを作るのは難しい。
となると、自分たちで使えるスペースがあったことになると思うのだが……それがどこなのか。手元にある情報だけでは分かりそうにない。
それに……連日の疲れと脱出ゲームのことで頭を回したせいか頭がぼーっとしてきた。1度睡眠がとりたい気分だ。
「ひまり、いままでの話を聞いて思いつく話ってあるか?」
「ちょっと思いつかないです……」
「そっか。俺もこれ以上思いつくことがない」
「私もね……でも、滝沢くんの懸念は理解できた。決定的な根拠はないけど、不可解な点があるのは認めるわ」
「そりゃよかったです」
「ただ、これ以上情報がないのであれば、今日は考えるのをやめましょう。明日以降も仕事が残っているわけだし」
「そうだね......今日のところはもう遅いしひまちゃんの用事をすませて下校しよ」
会長が口を手で覆って大きくあくびをかいた。それにつられてあくびをすると、会長と目があう。会長は口を覆いながら恥ずかしそうに笑った。
うーむ、かわいい。連日の忙しさと頭を使った疲労感が抜けていく……
「わたしの用事……?」
「忘れたのか? 今日はもともと体育祭のポスターを貼りに来たんだろ?」
「そういえばそうでしたっ!」
「ハヤトくんって生徒会の掲示板ってどこか知ってるんだっけ?」
俺は首を横に振る。まがりながりに1年近くこの学校に通っているが、校内の掲示板すべての場所を把握できていない。
「存じ上げないです」
「じゃあ生徒会をしめてみんなでポスター張りに行こ!」
会長のひと声がきっかけで今日の生徒会活動の終わりが決まる。俺たちは手早く帰る準備をする。その準備中、会長が俺の肩を叩いた。
「会長?」
「ハヤトくん、今回は脱出ゲーム部のことすぐに話してくれてありがとう。私、頼ってもらえてすごく嬉しかった。たぶん、レンちゃんも」
会長が本当にうれしそうに笑うので俺もつられて口角が上がる。
「Eスポーツ部のときのこと、反省したので」
「そっか……これからも頼ってもらえるようがんばるね!」
そう言って、会長は「みんな! 帰りの準備はできたかな!」と声をかける。「大丈夫です!」と元気に返事をしたひまりが鞄にポスター4つを持とうとしていたので、俺が半分のポスターを代わりに持つことにした。
「じゃあもう1度かくにん! 忘れ物はないかな?」
「ないです」「大丈夫です」「ありません!」
「よーし!」
先ほどまであくびをしていたのにも関わらず、テンションを上げた会長の声が廊下に響く。生徒会室に鍵をかけている間、俺は気になっていたことをひまりに聞いてみる。
「そういえば、ひまり。生徒会に誘われなかったらどの部活に入るつもりだったんだ?」
ひまりはもともとたくさんの部活に顔を出していた。生徒会に入るにあたって、本人が中途半端な気持ちでやりたくないと言って、他の部活には入らないことを選んだ。
だから、生徒会に入らなかったらどの部活に行くのか。生徒会に引き入れた立場としては、興味がある。
「部活ですか? 軽音部に入ろうかなと思ってました」
「……日向さん、楽器ができるの?」
「できる、といっても軽音部の先輩方に比べたらまだまだ未熟者ですが! 日比谷先輩はできる楽器あるんですか?」
「私はできるものがないわ。会長はピアノが弾けるのだけど……滝沢くんは?」
「俺はギターとドラムとベースがいけます。あとちょっとピアノ」
俺が言ったことによほど驚いたのか、副会長が目を見開く。
「それほんとですか!?」
「ほんとだよ。昔、売れないバンドマンに路上で───」
「え、なになに?」
毎日開け閉めしている鍵に苦戦をしていた会長が会話に混ざってきた。生徒会役員全員がそろった俺たちは、会長を先頭に掲示板へと向かう。
「マイさん! 滝沢センパイって4つもひける楽器があるそうです!!!」
「え、ほんとに!?」
「ほんとです」
前を歩いていた会長がくるっと回ってこちらに顔と体を向ける。そのまま後ろ向きで歩きながら目をまん丸にして俺の方を見た。
隣を歩く副会長が疑り深い視線を向けてくる。
「にわかに信じられないのだけど……」
「この場で証明できないのが残念です」
「本当ならどうしてそんなに弾けるのよ? 私なんて、いままでの人生でギターもベースもドラムも触る機会なかったわ」
「売れてないバンドマンがやってたストリートライブを聞いていたら、なんか気に入られて教えてもら......掲示板ってこれのことですか?」
全員が素通りしそうになった掲示板らしきものを俺は指さす。部活勧誘のポスターがいくつも貼ってあり、いかにも掲示板っぽい見た目だ。
「そうそうこれこれ! あっぶなーい、素通りするところだった」
「気付けてよかったです。じゃあさっさと貼りますか」
「じゃあわたしが持ってきたものなのでわたしが貼ります!」
「これ1人で貼るの難しくない?」
ひまりが持ってきたポスターはかための材質かつ持ち運びしやすいように丸められているので貼るときに何度も丸まって苦労するのは想像にたやすい。
そのうえひまりは身長がそれほど高くないので、なおのことポスターを貼るのに苦戦するだろう。
おそらく背伸びをしてうえでピタッと壁に密着しないとポスターが貼れない。
「じゃあ、お手伝いお願いできますか?」
「もちろん」
「他のポスターは私が預かるわ」
「ありがとうございます」
ここでは使わないポスターを副会長に預けたあと、俺は上部を壁に押し付けながらひまりが画鋲を差しやすいように残った手でポスターを広げる。
人の目につきやすい高さにポスターを貼ろうとすると、やはりひまりの身長では壁にはりついて背伸びをしなければいけないらしく「うーん!」とひまりは唸り声をあげる。
「やっぱり俺がやろうか? もしくは副会長にお願いする手もありだぞ」
副会長は女子の中だと背が高いほうだ。いきなり呼ばれて副会長は目をパチパチさせている。
「ジャンプすれば届きます!」
「ジャンプで手元が狂って画鋲が俺の手に刺さったらどうするんだ?」
「誠心誠意あやまります!」
「まずはジャンプしない方向で解決策を考えて欲しいな、俺は」
俺とひまりがそんなやり取りをしていると、会長がクスクスと笑い始めた。
「なんか2人とも兄妹みたい!」
「えー、そんな風に見えるんですか?」
「みえるみえる。レンちゃんもそう思わない?」
「……本当に昨日はじめて会ったのかと疑うぐらいには仲がよく見えます」
「だそうですよ!」
それを聞いてなんだか嬉しそうなひまりを見て浮かぶのは、うちの弟よりはかわいげがあるなぁという感想だ。
あいつが女の子だったらもうちょっとかわいく感じるのかなぁ。いや、でも村重くんみたいにかわいい男の後輩もいるから単純にあいつに可愛げがないだけだろう。
そんな風にわきあいあいとポスターを貼っているとき、突然男の声が廊下に響いた。
「ひまじゃん!? なんで今日部活に来んかったの?」
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!?」
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