「ほどよい馬鹿」と言われた俺が、美人ばかりの生徒会に参加して学園の人気者になる話   作:えんだー

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6 男がダメな理由

「そういえば、滝沢くんの用事って何なの?」

 

「青山先生から生徒会の初日の感想を伝えにこいと言われてるんです」

 

「え、私も聞きたい!」

 

 

 職員室へ向かう道中、会長が話を振ってきた。かなり興味がある内容らしく、キラキラとした目を向けてくる。

 

 

「会長が優しそうな人で安心しました、と伝えるつもりです」

 

「おっ、滝沢くんはサラッとそんなこと言うんだ。なれてるー」

 

 

 会長は茶化すようにそう言ったが、にーっと上がった口角は隠しきれていない。なんだろう、仕草の一つ一つから犬っぽさを感じる。

 

 

「じゃあじゃあ、レンちゃんはどう?」

 

「カッコいい人かと」

 

 

 副会長には近寄りがたい雰囲気がある。それに加えてあの強気な口調。俺の作った資料に対して容赦なくダメ出しをしてきた。万人に好かれる人間ではないと思う。

 

 しかし、副会長はダメ出しと称して長々と文句を言うことはなかった。端的に要点だけを話す姿は凛とした姿とあいまって、正直とてもカッコいい。

 

 俺の感想を聞いた会長はニッコリと笑った。しかし、少しして何かに気付いたようにハッとした顔を俺に向けてきた。

 

 

「どうかしましたか?」

 

「あ、うん。ちょっとね」

 

 

 額に手を当て悩まし気な顔をする会長を見て、俺はある考えが浮かんだ。

 

 

「もしかして、昨日の話が関係ありますか。副会長が男嫌いだっていう」

 

「うーん......レンちゃんが男の子嫌いってわけじゃないけど、その話」

 

「どんな話なんです?」

 

「うーん! 勝手に話してもいいのかな。でも、滝沢くんは他の人に話す子に見えないし……」

 

 

 どんな話か知らないが、俺はそのせいで生徒会参加を会長に渋られたのだ。聞く権利はあるはず。というか、面白そうなので純粋に聞きたい。

 

 俺が会長を見つめていると、会長は一度うなずいた。

 

 

「滝沢くんにも話しておくね。無関係じゃないことだから」

 

 

 俺は頷いた。

 

 

「レンちゃんって中等部の時にも生徒会をやってくれてたんだ。レンちゃんが生徒会長の時に男の子を副会長に推薦したの。その子すごく頑張ってくれてて、レンちゃんも頼りにしてたんだよ〜。でもね、任期の途中で突然辞めちゃったんだ」

 

「へぇ、そんなことが」

 

 

 それ自体はよくある話だと思うが。俺がそう思っていると会長が話しの続きを話し始める。

 

 

「それで辞めた理由がね、たぶんレンちゃんに振られたからなのかな……実際のところは分からないんだけど」

 

「……なるほど」

 

「振られたあともしばらくは生徒会に来てたらしいんだけど。さすがに来づらかったんだと思う。当時会長だったレンちゃんに辞めますとだけ伝えて辞めちゃった」

 

「なるほど」

 

 

 その振られた彼はかわいそうに思うがかわいそうな話だがどうも気になる。

 

 

「副会長はその件のことどう考えてるんでしょう」

 

「どうなんだろうね......レンちゃんからその話を聞けてないから分かんないや」

 

「まあ、切り出しにくい話題ですよね」

 

 

 色々と複雑な事情があるんだなぁと俺は思った。

 

 

「それでさ、滝沢くん。さっき、レンちゃんのこと『カッコいい』って言ったでしょ。その子もね、同じこと言ってたの」

 

「だから、俺もそいつ同様副会長のことが好きになったのかと思ったんですか?」

 

 

 会長は頷く。

 

 なるほど、その話があったから男である俺の生徒会参加に難色を示したわけだ。ようやく理解できた。

 

 

「そうそう。でもね、レンちゃんのことカッコいいって言ってくれて嬉しかったよ。レンちゃんさ、すごい頑張り屋で自分のこと追い詰めちゃうタイプだし」

 

「そんなこと言って大丈夫ですか? 副会長みたいなタイプの人は『勝手なこと言わないでください』って言いそうですけど」

 

「言うかもしれない」

 

 

 会長は苦笑した。

 

 

「私がもっとしっかりした先輩だったら、レンちゃんも息抜きできると思うんだけど。これがなかなか......」

 

「会長と副会長でいい感じにバランス取れてるんじゃないですか? 俺は生徒会のことけっこう居心地よく感じてますよ」 

 

「滝沢くんは褒め上手だね~。そんな風に言い続けてもらえるよう私も頑張る!」

 

 

 そうやって予想外に会話が弾んだせいか、気づけば職員室前に来ていた。下校時間に近いおかげだろう、道中見た教室には人がいなかったが職員室の中にはまだかなりの人数がいるらしい。

 

 扉を開けると青山先生が腕を組んで待っていた。俺と会長が来たことに気付いた先生は眉を上げる。

 

 

「遅かったな」

 

「仕事があったんですよ。資料作りなんてやったことなかったので時間がかかりました」

 

「ほう、初日から仕事をしたのか。もろもろ話を聞くとしよう。それで、朝比奈は鍵か?」

 

 

 会長が鍵を先生に渡した。

 

 

「うむ、今日もご苦労。気を付けて帰れよ、と言いたいところだが。少しだけ時間をもらえるか? ほんの少しだけでいい」

 

「はい、大丈夫です」

 

 

 会長も同席するらしい。先生は俺の様子を第三者から聞きたいのだろう。

 

 先生は俺と会長に向き直る。

 

 

「まずは滝沢に聞こうか。まだ初日を過ごしただけだろうが、生徒会はどうだった? 続けていけそうか?」

 

「事務仕事なんてやったことないので慣れないことも多いですが、なんとかやっていけそうです。副会長が仕事を教えてくれるので。雰囲気に関しても会長のおかげで大丈夫そうです」

 

「それはよかったな。朝比奈、お前は滝沢のことをどう思う?」

 

「そうですね。仕事の方はこれからですけど、初めてやったとは思えないぐらい上手にできてました。個人的にはこれからも一緒にやっていきたい人です!」

 

 

 会長がこちらを見上げてニッコリと笑った。すごい高評価だ。会長の評価を聞いた青山先生は、何度か頷いて俺を見上げた。

 

 

「滝沢、しっかりとやっているようで安心した。お前は根は真面目だから、心配はしてなかったが」

 

「俺の採用理由は『ほどよい馬鹿だから』だったと記憶していますが」

 

「根は真面目でも、柔軟さがあるという意味でほどよい馬鹿だと言ったんだ」

 

「それなら素直にそう言ってもらえませんかね?」

 

 

 俺と先生が話していると会長が不思議そうな顔で俺たちを見た。

 

 

「こないだから思ってましたけど、青山先生と滝沢くんってすごい仲がいいですよね?」

 

 

 そう聞いた会長に、青山先生は「ちがうちがう」と手を振った。

 

 

「去年、滝沢の担任だっただけだ」

 

「だとしても、仲よくないですか? 先生から生徒会に推薦されてきた子って滝沢くんだけですよ?」

 

 

 その言葉を受けて、青山先生は肩をすくめた。

 

 

「滝沢に生徒会入りをすすめたのは、単に滝沢が生徒会に向いている人間だと思ったからだよ。まあ、目をかけている生徒であるのは事実だな」

 

 

 どうやら俺は先生に目をつけられている、否。目をかけられている。俺は去年から先生に迷惑をかけることあったので仕方がないことだ。

 

 

「とりあえず、朝比奈と滝沢。今日も生徒会の業務のお疲れ様。今度こそ気を付けて帰れよ」

 

 

 青山先生に頭を下げて俺と会長は職員室を出た。




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