(カイドウが箒酔い中のため、少女談笑中...)
「へぇ~ホムンクルスか...」
「ふーん」
カイドウに薬を飲ませて休ませている間に、魔理沙はこれまでのことをかくかくしかじかと話していた。カイドウのこと、本のこと、紫のこと、霊夢はほぼ無関心で品物を見ていたが、霖之助は興味津々のようで。特にカイドウの体については食いついた。(魔術的なアレで)
「こーりんも分かるか。こいつの凄さ」
霖之助はカイドウの頬をペタペタと触りながら*1答える
「う~ん、これ...ホムンクルスなのかなぁ?」
「ぶっちゃけ、違うと思うけど便宜上そう呼んでるだけ」
「何者かに作られたのは確かなんだけど...僕が知ってる中でこれほどの完成度はしらないなぁ」
「あの、いつまで頬をつまんでるんですか?」
カイドウの言葉に霖之助はハッとして、手を放す。
「なんで、魔理沙さんといい魔術に詳しい人は私の頬をつまんでくるんだ」
「...あのさぁ」
ここで、霊夢はムスッとした顔で一つ疑問を投げる
「ねぇ、私はそっちの方は詳しくないんだけど。どれくらいすごいの?」
「土で等身大のモンサンミッシェル作るくらいすごい」
「は?」
「チリ紙で等身大の金閣寺作るくらいが霊夢にはわかりやすいよ」
「あ~、やばいわね」
「何を言ってるか全然分からない...」
閑話休題。カイドウの体がすごい話もそこそこに、本と紫のことについての話が始まった。
「霊夢、ずばり聞くけどさ。異変って今はどうなってる?」
「起きてる。現在進行形で」
「あれ?そうだったの?ここにいるから、いつもの暇つぶしかと」
「...あの、紫さんの時も言ってたけど、異変ってなんですか?」
カイドウは話に付いてこれていない。まるで分かっていないような表情を浮かべていたところを見た魔理沙は、少し補足を入れる。
「異変ってのは誰かが何かをやらかして、幻想郷全体がおかしくなる事の総称だ」
「事件って感じ?」
「そう。んで、異変起きたらそこの霊夢っていう巫女が解決に動くんだけど...」
当の本人は口をとがらせて、口笛を吹いていた。
「その霊夢が何故か動いていないってことなんだよね。まあ、犯人が分かってなかったり、そもそも異変って呼べるほどのことじゃないかもしれないし」
「へ~、そんなかんじなんですね」
三人にあーだこーだと異変について教えてもらったカイドウ。これで話に付いてこれる。
「んじゃ、そんなに大したことない異変なんですか?」
「いや、全然。紫にもせっつかれたし。動きたいのは山々なんだけどね」
「犯人がわかってないとか?そんなの異変の最初はそうだろ」
その後も、霊夢への追及は止まることを知らなかった。彼女ものらりくらりと躱していたが、しびれをきらしたのか、ついに白状することになった。霊夢は懐からそ文庫本ほどの大きさをした水色の本を取り出した。
「これが今回の元凶。ついさっきぶちのめしたチルノが持ってた。この本、一見するとただの本で、中身も童話なんだけど...」
霊夢は左手に本を抱え、右手を近くの窓に向ける。右手が青く輝き、手のひらから粉雪が噴き出てて窓に付着する。
「...あのー、外でやってもらうという選択肢はありませんでしたか?」
「説得力が増すじゃない。こういう風に、本の所持者に能力を与える本がこの幻想郷でブームになってるの」
「そんなものがブームになってるのか...ん?その本ってチルノが持ってたんだよな?」
ここで話題に挙がったチルノについて説明しておこう。
チルノは氷の妖精であり、その能力は『冷気を操る程度の能力』だ。一見すると、いち妖精には強すぎる能力だが、本体が残念なのでバランスが取れている。
「元々、冷気を操れるのに粉雪を噴き出る本を持ってるの意味ないだろ」
「甘いわね魔理沙。同じような能力を二重に掛け合わせたら強さも2倍2倍~!」
「霊夢?どうした急に?」
「...あ、なんとなくこのヤバさ分かったかも」
カイドウは今までの話を聞いて一つの考えにいきつく。『所持すれば何かを与える本』がブームになってるということは、チルノという妖精のように、能力を持った人物が同じような物を与える本を拾って、能力が強くなって暴れてしまい、結果的に各地で異変染みたことが発生しているということに。
「「「...うわぁ」」」
「わかってくれた?そりゃ、香霖堂でダラダラするでしょ」
つまり、楽園の巫女さん
「魔理沙さん。私の旅は一筋縄ではいかなそうです」
「...頑張って*2」
「輝く本を集めてるんだっけ?本は色々と回収したけど、輝いてる本は見なかったわね」
「本、本かぁ...」
霖之助が何か思い立ち、店の奥に消えていく。しばらくすると、左腕に黄色の本を抱えて戻ってきた。
「私も持ってるんだよね。そんな感じの本を。何かに使えないかな」
霖之助が持ってきた黄色の本。表紙には『
「こーりん、この本は?」
「前に無縁塚に行ったときに拾ったんだ。これ結構便利でね。無くした物の名前を書けば、どこにあるかが分かるって能力があるんだ」
「よし!それでカイドウの探してる本を探せる...って」
魔理沙は気づく。この能力は無くした物の名前を書くことで発揮される。探してる本の名前が分からなければ、意味がない!!
霖之助も諦めという感じで、本をしまおうとする。
「待ってこーりんさん。その本、少しかしてくれませんか!?」
「え?まあ、いいけど」
霖之助はカイドウに黄色の本を渡す。すると、本がほのかに輝きだした。魔理沙は知っている。これは発火能力を得た本と同じ現象であると!
「霊夢!霖之助!備えろッ!!」
「ッ!!」
「え!?」
霊夢はカイドウから距離をとって、お祓い棒を構える。霖之助は反応が遅れて、机の陰に隠れた。
「.......」
しかし、何も起きない。あの時のような暴風も、目が眩むような輝きもなかった。
「あれぇ??」
「何も起きてないじゃないの。ぶっ飛ばすわよ?」
「あ~よかった*3」
何も起きなかったが、カイドウの周囲は淡い光に包まれているのには変わらなかった。すると、カイドウが右手をスッと差し出す
「...だれか、書く道具を貸してください」
「はい、鉛筆でいいかな?」
霖之助から鉛筆を受け取ったカイドウは、そのまま本に向かって高速で何かを書き始めた。数秒ののち、カイドウを包んでいた光は消え、額からドバっと汗が流れる。
「あ~~~~。私、何してました??」
「こーりんの本に何か書きこんでたな。てか、汗びっしょりだ」
「手ぬぐいを持ってくるよ。あと、お茶用意するね」
「あ、霖之助さん。私のもお願い」
とりあえず、少女たちはお茶の準備を始めた。何か行動するたびに疲労を重ねていると感じたカイドウであった。
本筋を進めるためにまだ一話だけ続くんじゃよ。