何もない少女は本を求める   作:エアロスミス

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次はどこに行くかを決める。旅の醍醐味だ。


第9話 次の目的地

ひとしきり、お茶を楽しんだところで。本題の本に入った。カイドウの輝く本を集める旅。

その始まりの目的地はこれだッ!

 

『恋をした狐』紅魔館

 

「「「「...」」」」

 

ここにいる全員が沈黙した。その場所が意味するものを理解してしまったのだ。一人を除いてだが。

 

「え?マジで?紅魔館?」

「...たしかに、あそこにはパチュリーが管理している大図書館があるけど」

「最初の旅には辛いねぇ...」

「????」

 

紅魔館。今いる香霖堂から割と近い場所にある立派な赤い館だ。吸血鬼のレミリアを主とした、吸血鬼の館であり、過去には幻想郷全体を濃霧で包み込んだ異変を引き起こしたこともある。

 

「うーん、他に本が集まってそうな場所ってあります?」

「やっぱり、人里だな。小鈴がやってる鈴奈庵なら変な本の一冊や二冊はあるだろ」

「お、いかにも人がいますって場所ですな」

 

すると、霊夢が顔が青くなる。その表情はまるで「そうだよね。やっぱ、そうなるよね」と物語っていた。

 

「...そうもいかないみたいだね。そうだよね?霊夢?」

 

その表情を察した、霖之助が話を振る。霊夢は申し訳なさそうに話し始める。

 

「...今は詳しく話せないけど、人里はしばらく旅先には選ばないで。お願いだから」

「え~?」

「カイドウ、こういう時の霊夢は本気(マジ)だ」

「なら、しょうがないですね」

 

そういうわけで、次の目的地は紅魔館。そして、ここから先はカイドウ一人の旅物語となる。

魔理沙は付いて行きたがった*1が、二人に引き留められた。

 

「ちくしょー、なんでだよ?私も紅魔館に用があるんだよ」

「どうせ本をパクってくるんでしょーが。カイドウが紅魔館行くっていうのにめんどくさいこと起こさないの」

「そうそう。あと、普通にお店の手伝いしてね。勝手に持って行くんだから頼むよ」

 

さてさて、カイドウの旅は始まったばかり。目的地は紅魔館、カイドウに待ち受けるのは命を断とうとする牙か、記憶に繋がる光か。輝く本を巡る旅の始まり始まり...

 

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「いい物ってのは、いつだって忘れられない」

 

少年はヘッドフォンを首にかけながら、目の前にいる人物に話しかける。少年の格好は、まるで親なき子供のような継ぎ接ぎな和服であったが、その雰囲気は貧乏人とか流浪人が醸し出すような物ではなかった。

 

「このヘッドフォン...ああ、音楽を聴く道具のことだ。コイツはいい。似たような物をいくつか試したが、これを作った会社の製品が手放せない」

「......」

「そして、コイツで聞く音楽も最高だ。現代の音楽もイイ線行ってるが、エルヴィスとかマイケルジャクソンみたいな古いのもグッとくる」

 

ピピピピッと電子音が鳴る。少年は机に置いていたカップラーメンの蓋を開け、ズルズルと麺をすすりだした。

 

「コイツはお湯を入れて、少し待つだけで簡単に料理が出来ちまう代物だ。味は完璧には程遠いし、栄養だって偏ってる。でもたまに食わないと心が満たされない」

 

それでも、と少年は続けた。

 

幻想郷(ここ)じゃ、染みるような飯も、最高の音楽も聞けない。人が主体じゃない世界じゃあこんなもんだ」

「......」

 

目の前にいる人物は急かすような素振りを取る。少年は少しムッとするが、溜息を吐いて続けた。

 

「わかってる。そんな話を聞きにきたわけじゃあないんだろう?わざわざ、小細工に真正面からぶつかってここまで来たんだ。ちゃんと接待するっての」

 

少年は懐から、小さい手帳を取り出す。片手で器用にパラパラとめくり、あるページでめくるのを止めた。そのページには目の前にいる人物の似顔絵と名前が記載されていた。

 

ねぇ?八雲藍(やくもらん)さん?

 

少年と式神、幻想と現実。チグハグな状況の中、ここに密会が始まる。

 

()()の話をしようか」

 

*1
カイドウを案内するついでに、大図書館から本を借りたいので




次から第一章です。よろしくお願いします。
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