第10話 霧の湖ランナウェイ
歩き続けて数時間、カイドウの周囲には霧がたちこめてきた。今回の目的地である紅魔館に行くすがら、やってきたのは霧の湖という場所だ。
この湖、なぜか昼になると霧がたちこめてくる。おまけに、湖には魚の一つもいやしないので*1、幻想郷の人間ですら、ここの存在をしらないことが多い。
「ねーねー」
「あははは!!それでね~!」
そのかわりか、妖精とかは多い。霧が濃いのであまり見えないが、妖精たちの元気な声が聞こえてくる。霧によって発生するミステリアスな雰囲気には似合わない喧噪である。
「道は合ってるのかなぁ?」
カイドウは香霖堂で譲ってもらった地図を開く。この地図は自分の位置とか具体的な地形までは分からずとも、幻想郷を旅するだけなら不便することはない。それでも、確認しちゃうのが方向オンチ*2の性である。
「...う~ん」
変わらない景色を背景に、カイドウは歩く。すると、湖に糸を垂らす釣り人がいた。その釣り人は、いかにもなチャイナガール。中国っぽい服装した女性がそこにはいた。
「あの...すいません」
カイドウが彼女に声をかけてみる。すると、女性はビクッ!と体を震わせた。
「うわぁッ!さk...ん!?うおおおおおおッッ!!!!!!!!」
「うわッ!え!?すげぇぇぇぇぇッッ!!!!!!!!!!!!」
驚いた彼女が釣竿を振り上げるッ!それと同時にデカい魚が釣りあがったッ!情報量過多ッ!!
「いや~、すいません。大きな声を出してしまって...」
「いえ、急に声をかけた自分もアレだったので。いや、すごいですねその魚ァ」
先ほど、デカい魚を釣り上げた彼女は『
「いや~、どうしよう。紅魔館で咲夜さんにお願いしてみようかな?」
「...紅魔館?美鈴さん、紅魔館を知ってるんですか?」
「知ってるもなにも...私、紅魔館の門番ですから」
なんと、美鈴は紅魔館の門番。つまり、目的地の関係者だ。彼女について行けば、霧の湖で迷う必要もないことに気付く。だが、カイドウは余計なことにも気づいた。
「あれ?門番って、ここで釣りしてたらまずいんじゃあ...」
「...ハッ!そうだった。興が乗って長居しすぎた!咲夜さんにしばかれるッ!」
なんという門番だ。彼女は紅魔館の安全とかそういうのではなく、咲夜さんという人物に怒られることだけを考えていた。
「じゃあ、付いて行っていいですか?美鈴さんを引き留めてしまったのは自分のせいだから」
「え?身代わりになってくれるんですか?」
「そこまでは言ってない」
そんなかんじで、美鈴のサボりを擁護するという動機を得て、紅魔館に行くことができた。デカい魚を引きずっていく美鈴に付いていくカイドウであった。
美鈴って釣りしそうですよね。こんなに堂々とサボるかどうかは分からないが。
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