魔理沙が見ず知らずの少女を拾った。
第1話 あなたは誰ぇ?
闇。辺り一面に広がる闇。手を伸ばしても、何も掴むことができない。声を上げようとしても、上げられない。全てが闇に遮られる。
そのうち、伸ばしていた手も闇に包まれ、消失する。自分の全てが闇に飲み込まれようとしていた。
意識すらも飲み込まれる...その瞬間。闇が広がっていた空間に光が差した。星のように輝く光に、思わず目をくらました。
そして、闇が晴れた。最初の光景は、温かみのある木の天井だった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「どうしよう」
「いや、あなたが運び込んだんじゃない」
行き倒れの少女を自分の家に運んだあと、ちょうどきた魔理沙の友人であるアリス・マーガトロイド*1を巻き込んでいた。
「いつもこんなことしないじゃない。まあ、拾ってきたんだから大切にしなさいよ」
「おいおい、ペット扱いはマズイって。しょーがないだろ。なんかほっとけなかったんだよ」
彼女は常識人ではある。しかし、見ず知らずの少女を助けるかというと、進んではしない。まあ、倒れていたところを踏んづけてしまったというのもあるが。
「いいじゃないか。私もたまには無益の善行って奴を行うのさ」
「無益の善行がやりたければ、借りた本を返せばいいのに」
アリスの正論を無視し、再び少女に目を向ける。白髪で褐色肌。顔は結構整ってるが、ここら辺では見ないような顔だ。たまに来る外来人の可能性も高いが、どうにも気にかかるというのが、魔理沙の所感である。
「なあ、アリス。コイツの事どう思う?」
「そんなこと言われても。少し変わってるけど、普通の人間じゃない?」
「...本当にそうなのかな?」
「何?気になるなら調べてみたら?」
「よし、任した」
突然の丸投げ!!アリスは意表を突かれる!!
「いや、あなたも魔法使いでしょうに。自分でやりなさいよ」
「私は借りてきた本を読むのに忙しくなるから。頼んだ!」
そんなことをする義理はアリスにはなかった。というか、魔理沙が少女のアレコレを調べるべきであるが、押し切られる形で請け負ってしまう。自分のこういうところは直すべきだなと思いながら、少女の閉じられていた瞼を開こうと手を伸ばす。
その時、少女の瞼がパチりと開き、ムクリと体を起こした。
「...ッッ!?」
アリス・マーガトロイド二回目の意表!!思わず、手を戻し後ろに下がってしまう。
「......」
体を起こした少女は辺りを一瞥すると、手を握ったり、腕を伸ばしたりする。まるで、体の調子を確かめるような動作だ。
「魔理沙、彼女が起きたわ」
「マジ?アイツ起きたの?」
魔理沙も読んでいた本を閉じ、少女の元にやってくる。少女は二人から見つめられ、少し困惑しているようだ。
「おお...おはよう?ハロー?グーテンモルゲン?」
「...お、お、はよ、う?」
「たどたどしいわね」
これが、二人の魔法使いと謎の少女が霧雨魔法店にて、最初の会話である。
そのあとも、魔理沙が少女に色々話しかけるものの、少女の発音がかすれたりして、会話が難しいかったため、水とか飲ませて休ませることになった。
テンポよくいきましょう!