魔理沙がアリスに丸投げした。少女が起きた。
「う、まいッ!」
カップに注がれた冷えた水*1は、おそらく何も飲んでいなかった少女の体に染みわたっていった。
その飲みっぷりを前にして、魔理沙は少し感銘を受ける。
「こんなに美味しそうに水を飲むとは...」
「どこに感銘受けてるのよ」
さて、前置きはこのあたりにして。冷えた水を飲んだことで、少女の喉は潤った。受け答えもばっちりだ。
「さて、これから色々と聞きたいのだけど...最初に名前を教えてくれない?」
「...えーと、カイドウです。多分。自信ないけど、それが私の名前」
カイドウと名乗った少女は少し自信がなさそうに答える。
「名前に自信がないってどういうことだ?」
「あー、
「...もしかして、ここに来た記憶がないってこと?」
記憶喪失。幻想郷の外からやってきた外来人に稀にある症状だ。しかし、カイドウが話したことはそれ以上の症状であった。
「それもそうですけど...自分が誰なのか分からないですよね。カイドウって名前も覚えてたというか、与えられていたって感じで。何もかもが自分じゃない...ちょっと伝えにくいんですケド」
「え?それってどういうことだ?」
「
ここで、アリスはカイドウを少し休め、魔理沙と二人きりの状態にした。アリスは少し考える素振りをしながら自分の考えを話し始める。
「彼女、記憶喪失としては極めて重症よ。記憶だけでなく、アイデンティティ*2も失っているなんて。彼女、長くないわよ」
「カイドウが人間ならな」
チッチッチッと魔理沙がわざとらしくカッコつけた。
「いつもしないでしょそんなこと」
「い~だろ別に。それでな、アイデンティティが無くてもちゃんと生きてる奴はいるだろ?例えば...お前の人形とか」
「...上海人形*3のこと?確かにそれっぽいけどアレもアイデンティティは...」
「たしかにそうだ。人形には魂がなければ、アイデンティティもない。でも、人形として生きることができる。それが、魂が入っている人形なら?」
その一言で、アリスは気づく。カイドウという少女の正体を。
「いつから気付いてたの?」
「運んで、ベッドに寝かせたくらい。いやー私も初めて見たな」
[悲報]主人公が人間じゃない。