拾ってきた少女が人間じゃなかった。
あれから3人で話し合った結果、以下の仮説を立てた。
①カイドウはホムンクルスである。普通の人間よりも肉体の強度が強いので、魂が損傷しても、最低限のアイデンティティを構築して活動できる。
②ホムンクルスとして非常に完成度が高いため、並の妖怪*1なら負けなし。
③動力源は魔力なので、魔術に適性がある。ご飯は食べなくてもいいが、魔力効率が落ちる。
④性別が良く分からない。体は完全に少女のものだが、肝心の精神が男とも女とも捉えることができてしまう。強いていうなら男性...かも?
⑤自身に関する記憶が全くない(カイドウという名だけは思い出せる)。今の体も、自分の物であるという確証がない。
「とりあえず、すぐに死んだりとかはしないってことですかね?」
「そう考えてもらっていいわ。個人的には興味深いから研究したいのだけど...」
「おい、私のだぞ」
「自分、物みたいに扱われてません?」
こうして、カイドウというよくわからないホムンクルスがこの家に住むことになった。別に、魔理沙も軽々と人に居候させるような性格ではないし、アリスに押し付けることも考えるだろう。
しかし、不思議とそのような考えを抱くことはなかった。自分が飼っているペットを害さないと同じように、自分の心がカイドウを不躾に扱わないと決めたのだ。
つまり、追い出す気にもならないので、便利な雑用として扱うことにした。
そんな生活もしばらく経ったある日、いつものように魔理沙は本を借りてきた*2。彼女が借りてきた本を本棚に整理するのが、カイドウの役割となっていた。
「この本はここで。この本は...ゲッ、魔導書だ」
魔理沙が借りてくる本はいつだって奇妙で珍品が多い。とくに魔導書は触れただけでカイドウの消化器官がムカムカする。
「この本は後回しにして。あとは...この本か」
本はだいたい古ぼけた見た目が多い。だが、カイドウが手に取った本はそれ以上にボロボロだ。背表紙は腐りおちてるし、本のタイトルが分からないほど擦り切れてる。骨董の中の骨董品。紀元前の本と言われても納得してしまう。
「ん~。すごく読みたい」
そんな骨董品に興味が湧いてしまう。いつもは触るだけで嫌な思いをすることが多いし、読んでも意味不明なことしか書いていない。だが、カイドウは不思議とその本を手に取り、雑用すら後回しにして読み始めた。
1ページ、もう1ページとめくっていく。内容自体は過去にいた魔法使いの伝記であり、そんなに面白いものでもなかった。
それでも!ページをめくりつづけた!次へ!次へと!この魔法使いのことを、カイドウはもっと知りたかった!
そして、最後のページ!そこには挿絵があった。おそらく、この本の魔法使いの似顔絵だろう。
「...ッッッ!?」
カイドウは驚愕した!そこに描かれた似顔絵は!間違いなく!今の自分と同じ顔だったのだ!
そのとき、魔理沙が帰ってきた。いつもの整理整頓を放って本にハマっていたカイドウを見て、彼女は少し笑う。
「おいおい、サボるなとはいわないけどさ。もうちょっとコッソリサボれよな」
その瞬間、カイドウが持っていた本が白く輝きだし、周りには風が吹き荒れるッ!
「チョッ!おいおい!散らかす...な?」
突然の突風に、魔理沙は踏ん張る。しかし、本棚の中にある本や、そこらへんに転がっているガラクタや珍品、床に積もった埃は風の影響をうけていなかった。
「おじゃま...って、なにこの状況?」
こんなタイミングだが、アリスがやって来た!魔理沙と同じく、風の影響を受けてしまい、人形も巻き込まれる。
「知らん!カイドウの奴か、あの光ってる本のどちらかが原因なのは確かだ!」
「あなたならどうとでも出来るでしょ!」
「やだよ!家が散らかっちゃうだろ!」
「絶対言うと思ったわ」
しょうがないので、アリスは本腰を入れることにした。まだ巻き込まれていない人形を取り出すと、それがまるで生きているかのようにフワフワと動き出した。
これこそが!アリス・マーガトロイドの能力!『人形を操る程度の能力』だ!
狙いはカイドウの持っている光る本だ。突風に煽られながらも、能力によって生を得た人形は素早く、弾丸のように近づく。
カイドウに近づくにつれて風が激しくなり、1体また1体と吹き飛ばされていく。最後に残った1体の人形がカイドウの手元に体当たりをし、光る本は床に落ちる。
猛威を振るった風は一息に静まり、カイドウはしりもちをついて唖然とする。
「...片付いたな」
「私が全部やったんでしょうが!」
家が散らかってないことに安堵する魔理沙と、カイドウの様子を確認するアリス。二人の性格がモロに出ていた。
東方キャラの能力はちょくちょく自己解釈が入ってます。これからもよろしく。