紫が来た。
幻想郷の賢者来訪!それだけで、二人の魔法使いは理解する。自分がめんどくさいことに首を突っ込んでいたことに。
「何しに来たの?」
「聞くまでもないでしょ?そこにいる少女に用があるのよ」
「分かっていたけど、理解したくないッ!」
この者に出会うことは異変の合図ッ!これが八雲紫なのだッ!
「なんか、すごく嫌な紹介をされた気がするわね...」
「自分がカイドウなんですけど...正直、何かやらかしたと言われましても尻拭いはできないと思うんです」
「てか、カイドウが何をやらかしたんだ?」
「普通に彼女がやらかした前提で話すのね。当たらずとも遠からずだけど」
そう言い、紫はカイドウに近づく。そして、そのまま彼女の腹部を自身の手の平で触る。
「ちょっと、驚くわよ」
そのまま、手をカイドウの胴体に入り込んだ!
「!?!?!?!?」
カイドウは驚いた!驚きすぎて体が硬直してしまったが、この状況では、それが最適解であった!
「お、おい。いきなり...そんな公然で」
「魔理沙、多分勘違いしているわ。彼女がいきなり臓物を引きずり出すことないと思うわよ」
「え!?あ、そう!そうだよな!あ~おどろいた*1」
「あなたが驚いてどうするの」
紫はそのまま、何かを探すのように手を動かす。カイドウの顔がどんどん青ざめていく。
「紫、カイドウに危害を加えるつもりはないのは分かるわ。さっさと終わらせてあげて」
「も、もうしわけないわね。意外と見つからなくて...あった!」
「ゆっくり!ゆっくり引き上げてください!本当に怖いッ!」
「言わなくてもそうするから安心なさい...」
突っ込まれていた手が抜けていき、カイドウの腹部*2から一冊の本が出てきた。言わずもがな、さっきカイドウの中に入っていった本である。
「これよ。この本と彼女について話しがしたいのよ」
「わざわざ、能力を使って取り出すこともなかったのでは?*3」
「説得力が増すじゃない。彼女...少女の見た目だから彼女と呼んでるけど、合ってるかしら?」
「本人も分かってないからカイドウって呼んだら?」
「そうするわ。それで、カイドウとこの本の関係なんだけどね。話が前後するから本の方から話すわ」
紫は取り出した本をパラパラとめくり、閉じる。そして、左手に本を持ったまま右手で指パッチンをする。
紫の指先から火花が飛び散った。さっきのカイドウと同じ現象が発生したのだ。
「...このように、本を所持している者に新たな力を授ける。この本はほぼ何も書かれてないからか力と強制力が弱いけど。このような本が幻想郷に現れ始めたの」
「異変ってことか。じゃあ、カイドウが黒幕?」
「自分は身に覚えがないよ」
「でも...ねぇ」
「あ、だめだ。反論できない」
「大丈夫だ。問答無用で消滅はないって」
魔理沙は肩を叩き、カイドウは頭を抱えてウーンウーンと呻く。紫はあきれたように話す。
「あなた達、早とちりよ。私はカイドウが黒幕と言ったかしら?」
「ん?貴女のことだからそうかと」
「だったら、わざわざ出向かないわよ。幻想郷は全てを受け入れるのだから。ただ、このままだとカイドウを受け入れるわけにはいかなくてねぇ」
ようやく本題に入れそうと紫はカイドウを指差し、こう宣言する。
「カイドウ、存在すら幻となりゆく無色の人形よ。幻想郷に散らばった『輝く本』を集めなさい。その旅路は幻想郷に認められること同じく、あなた自身のために」
もうちょいで第一章が終わります。長い旅が始まりそうです。