何もない少女は本を求める   作:エアロスミス

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序章が終わり、カイドウの旅が始まります。


第6話 旅立ちは一冊の本と共に

紫がいなくなったあと、三人が残された。もうすぐ、日が落ちる頃であった。

カイドウは悩んでいた。自分が何者であるかを。自分の来歴を知ることが出来るチャンスが、この世界にあることを。

カイドウは悩んでいた。未知への恐怖が待っていることを。見知らぬ者と出会うことを。

 

「......」

 

カイドウは悩んでいた。この世界で目覚めて、初めて悩んだ。このまま、魔理沙の家で雑用をしながら自分を探すのか。外の世界に出て、紫の宣言通りに本を探す旅にでるのか。

迷った。ただ、ひたすらに迷った。この世界で初めて、自分の道を選択する時が来た。

 

「カイドウ、あなたは...」

「アリス。悩ませてやってくれ、助言はしないでやってくれ。アイツが、カイドウが決めることなんだ」

「ッ!魔理沙さん、アリスさん!」

 

カイドウは確信した。魔理沙さんはどっちの考えも尊重してくれることを。ならば、答えは一つだ!

 

「魔理沙さん!アリスさん!私は行くよッ!誰かのためでもなく、アイツに言われたからでもない。自分のために私は旅に出るッ!」

 

その言葉を聞いた魔理沙は、どこか懐かしむような顔をした。親からの独り立ちを自分は満足にできなかった。たった数週間だけ、雑用ばかり任せていただけの関係であるはずなのに。いつの間にか、心が揺らいでいた。恋や友に向けるものではなく、息子...孫のような感覚を覚えた。

 

「...魔理沙?」

「ん?!あ、なんだ?」

 

いやいや、自分はなにを考えているのだ。たった数週間だぞ?そんな気持ちが湧くわけがない。

だが、この感覚はなんだ?恋でもなく、友に向ける思いではない。そうだ。これは━━!

 

「カイドウッ!」

「ん...魔理沙さん?」

 

そうだ。アイツにこの言葉を言わないと。多分、ずっとモヤモヤすることになる!

 

「...行ってこい!自分を見つけてこい!」

「ッ!!ハイ!行ってきますッ!!」

 

ああ、らしくもないことを言ったものだ。普段、絶対にそんなこと言わないだろうに。アリスもビックリしてる。でも、スッとした。自分はアイツではないし、アイツは自分じゃない。

それでも、始まりは。いつだって同じなんだ━━━

 

こうして、カイドウの旅が始まった。輝く本を見つけ、自分を見つけるのだ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

男は奮い立っていた。かの邪悪を討ち倒すために。人の身には辛い森の中にいるのも、かの邪悪を討ちたおすためである。

 

「□□□□ッ!父と母を見殺しにした鬼めッ!その罪を償え!」

「...君は、僕に恨みを持っているんだね。たしかにそうだ。僕にこの者の罪は償えない」

 

追われていたのは少年であった。ボロボロの服装をした侘しい格好の少年であった。

 

「だが、今はやめてくれ。君はここから帰るべきだ。僕を追うのはやめた方がいい」

「戯言をッ!両親の仇を見逃せるかッ!」

 

男は腰に携えた刀を抜き、一目散に駆ける。男は人里で頂点の退治屋として名をはせていた。もちろん、博麗の巫女や白黒の魔法使いと比べると可哀そうだが、人間の中では十分すぎるほど強かった。

 

「...警告はした」

 

少年は丸腰であった。何かを唱えるわけでもなく、何かを準備しているようには見えなかった。文字通りの棒立ちであった。

 

「うおおおおお!」

 

男は駆けた。力いっぱい駆けた。だが、少年に近づくことは出来なかった。いくら走っても少年との距離が変わらないのだ。

 

「な、なぜだ。なぜおまえに近づけないッ!」

「だから言ったんだ。いいから、今日は帰った方がいい。幻想郷の夜は本当に恐ろしいことは、君も知っているだろう?」

「ふざけるなッ!」

 

男は再び走り出した。するとどうだろう。男は疲労のあまり、足をくじいてしまった。

 

「グッ!」

 

そのまま、男は転倒ッ!右手が()()()()木の棘にめり込んでしまった。

 

「うわ、痛そう。だから帰ったほうがいい。本当に痛そうだ...」

「この程度ッ!」

 

男は右手の棘を抜きながら、起き上がる。しかし、足元には枯葉が広がっており、また転倒してしまう。

 

「グワーッ!!」

 

驚愕!()()()()落ちていた小石に目を抉られてしまった!なんという悲運!

 

「分かっただろう。やめたほうがいいって。君にも待っている人がいるはずだ。僕を追うのはやめてだ」

「う、うぐ。クソォ...クソォ!!!」

 

男は不退転の意思で、立ち上がる。彼の精神は並の人間より強靭だ。

 

「凄まじいな。よっぽどだな」

「貴様を殺すまでは死ねん!」

「いい覚悟だ。覚悟は人間の強さだ。でも...向こうは気にもとめないらしい」

 

男は急に背筋が凍った。目が潰れてしまって分かる。今、自分は闇の中にいることを。男は気づく。闇の中にいるその意味を━━

 

「ひ、ヒィ!や、やめてくれ!今だけ、今だけわぁぁぁ!!!」

「そーなのかー」

 

少年は悲しげな顔をして、その場を立ち去る。

 

「『厄災』の最期は妖怪に出くわして食われるか。いやな巡り合わせだ。まったく...」

 

少年は胸に手を突っ込むと、中から本をとりだす。その本は妖しく輝いていた。

 

「すまない、□□□□。また人を殺してしまった。許してくれ。今度は()()()()にはしたくないんだ...」

 

序章 輝く本 完

 

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〈  To BE CONTINUED…//// |

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序章完。頑張って最後まで書ききりたいものです。
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