Wizard of the World of Stand   作:泡醤油

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初めまして、ハーメルン初投稿の泡醤油です。名前に深い意味はありません。
結構前に考えていた設定のデータが出て来たので軽い気持ちで書き始めちゃいました。拙い文章ですが、どうか温かく見守ってやってください。

三部から始まり、今のところ七部辺りまで流れが出来上がっているのですがどこまで書けるかは不明です。
不定期更新になると思いますが、よろしくお願いします。


スターダストクルセイダース
01


尋常ではない暑さにカルミアは目を覚ました。服が汗を含みぐっしょりと湿っていてとても気持ちが悪い。

手を動かすとザラザラとした砂の感触があった。その砂も熱を持ち非常に熱い。

 

「あっちー……」

 

呟きながら起き上がると、一面に広がる砂の世界に首を傾げた。上を見ると、まだ高い位置にある太陽。

カルミアは暑さに耐え切れず、マフラーとローブを脱いだ。中には学校指定のセーターも着ていたが、ローブを脱いだだけでも随分とマシになった為とりあえずセーターは着たままにしておく。

 

確か、自分は教師に頼まれて友人と講義で使ったビニールハウスの後片付けをしていた。季節は冬だったし、その日最後の講義だった為日は完全に沈んでいたはずだ。

その場に立ち上がったカルミアは顎に手を当ててそんなことを考えてもう一度首を傾げた。

 

「あ、そうだアルバスは……」

 

一緒にいたはずの友人が近くにいないのかと周囲を見回してみるが、残念ながら砂の山と空しか見えるものはない。

落胆したように肩を落とし、仕方が無いと呟きながらローブを探り、ローブのポケットの中から取り出したモークトカゲの革製巾着袋の口を開いて無理矢理マフラーとローブをその中に突っ込む。袋にそこまで大きさは無かったのだが、それは全てを収めてしまい膨らむ様子すら見せなかった。

もともときちんと締めていなかったネクタイを更に緩めボタンを一つ外す。

 

「魔法使うかぁ……」

 

現在地が分からぬまま無闇に動くことは躊躇われ、成す術もなくその場に立ち尽くしていたカルミアはため息と共にそう吐き出した。未成年であるカルミアには『臭い』がついており、魔法を使えば魔法省に知らせが入りすぐに捕獲されるだろう。この状況は自分が望んだものではないのだし、危険性のない魔法を使えば魔法省も頭ごなしな処置を行えないだろう。

 

胸ポケットへ手を伸ばしかけたところでふと手を止める。

パラパラと上の方から音がする。それはだんだんと大きくなってきているように感じ、カルミアは頬を引きつらせて懐から杖を取り出しながら上を見上げる。

 

「プロテゴ!!」

 

咄嗟に杖を振って叫ぶと、頭を守るように腕を頭の上で交差させしゃがみ込んだ。

大きな衝突音と共に腕に襲い掛かる痛み。音が止むのを待って顔をあげると、ヘリコプターと言う名だったとカルミアが記憶している鉄の塊がすぐ近くに墜落していた。

痛みを感じた腕を見てみると、防御魔法で防ぎきれなかった破片が掠ったのか切り傷がいくつもできていた。握ったままだった杖は無事だったので安堵の息を吐く。

 

「ギャアアアアアア!!」

 

腕の傷をどうにかしようとカルミアは杖を腕に向けるが、呪文を唱える前にヘリコプターの方から叫び声が聞こえ応急手当どころではなくなった。

杖を構え警戒を解かずに声の方へ近づこうと一歩踏み出したところで、車の走る音が聞こえヘリコプターの影に身を隠す。

 

「こっこれはッ! ヘリコプターだ…!」

 

まず聞こえたのは老人の声、その人物は声こそ年齢を感じさせるがその話し方を聞いている限りかなり元気なようだ。

マグルなのか魔法使いなのか、相手がどちらかなのか分かるだけでこちらの出方も決まってくると、カルミアは息を潜めて様子を伺う。

 

「気をつけろッ! 敵スタンドの攻撃の可能性が大きい!」

「見ろ、パイロットだ」

 

どうやら、パイロットとやらが死んでいるようだ。あれだけ派手に墜落すればマグルなら死ぬよな、と頭の隅で考えながら話を聞き流す。

それにしても、スタンドとは何のことだろうとカルミアは内心首を傾げる。マグルだけが使う言葉なのか、魔法界でも使われるものなのか、何かの隠語なのか。

考え事をしているうちに、あちらでは何やら事件が起こったようだ。老人が危惧していたように、敵スタンドとやらの攻撃らしい。

 

自分の近くで死人が増えるのは気分が良くない。今はマグルとか魔法使いとか闇の連中だとかは関係なしに、とりあえず目の前の襲撃者を何とかしてしまおう。話はその後だ。

 

「アッ! かっ、花京院!」

 

もたもたしているうちにまた一人犠牲者が出てしまったようだ。カルミアはヘリコプターの影から急いで姿を現すと、花京院と呼ばれた緑色の学生服を着た男を襲ったらしい物体に杖を向けた。

 

「ステューピファイ!」

 

花京院の隣で狼狽えている様子の特徴的な髪型をした銀髪の男に攻撃が行く前に失神の呪文を唱える。その場にいた数人の男達(一人も女がいない為暑苦しい絵面である)が驚いたように見てくるが、今のカルミアにそれを気にしている余裕はない。

捉えきれていなかったのか、手の形をした物体はカルミアの方を向くと物凄い速さで距離を詰めてきた。

小さく舌打ちをすると、後ろに少し下がりながら杖を振る。

 

「ディフィンド! デューロッ!!」

 

二つの呪文を半ば叫ぶように唱える。追いかけてくる物体は真っ二つに裂けた後、石のように固まって動かなくなった。

安堵の息を一つ吐くと、カルミアをきょとんと見つめる男達の方へ歩いて行く。

 

「あれは一時凌ぎで、長くはもちません。逃げるなら今の内に早く!」

 

危険の伴う戦いなど初めてだった為、焦って少々雑に呪文をかけてしまったと思ったのか、カルミアは男達にそんな言葉をかける。

大股で男に担がれた花京院に近づくと、顔を覗き込んで怪我の状態を確認する。男は両目の瞼を縦に裂かれており、傷は目にもついてしまっているようだ。詳しくは分からないが、素人目にこのままでは失明の危険もあると見て、カルミアは男の目に杖を向ける。

 

「お、おい! 何をッ!?」

「動かさないで!」

 

焦った様子でカルミアから離れようとする男に思わず叫ぶように言う。迫力に押されたのか、短く唸って動きを止めた男を横目で見て、一回呼吸をする。応急処置でしかないが、目だけはなんとか失明しない程度に治しておきたい。

 

「エピスキー、癒えよ」

 

両の目に呪文を掛ける。傷口から垂れる血は止まり、目玉からは目立った傷が消える。瞼の傷は消えないが、これで何とかなるだろう。

カルミアは深く息を吐いて汗を拭った。暑さのせいもあり気が散って完全には治療出来なかったが、失明の危険は免れただろう。

 

「応急処置だけなので、専門の医者に診てもらうことをおすすめします」

「嘘だろ……完璧とまでは言わねぇが、傷が治ってやがる!」

「何じゃと!?」

「…………」

 

カルミアは先程乱暴に黙らせてしまったことの罪悪感を払拭しようと笑みを浮かべると、走り寄って来た男達に押し潰されてしまう前に数歩後ろへと下がった。傷が癒えたことに驚き男達が緑の服の男を覗き込む姿を横目に、カルミアは手に持った杖をまずは花京院を担ぐ男に向けた。

 

今の反応で、ここにいる者がマグルだということは分かった。傷を治すなど余計なことをしてしまったかもしれないが、その前に既に魔法で奇怪な生き物と戦っていたのをばっちり目撃されていたのだし、あまり気にすることではないだろう。

 

どうせ、ここにいる者達はすぐに今見た出来事を忘れてしまうのだから。

 

「オブリーー」

「何してやがる」

 

幸いカルミアの魔法を見てしまった者は皆集まっている。魔法省が後で処理するよりも、今やってしまった方が確実だろうと忘却術をかけようとした彼の腕を大きな手が掴んだ。

驚いて視線を上げると、花京院に意識が行っていたはずの一人が視線で威殺さんばかりの殺気をカルミアに向けていた。二メートルに届くかどうかといった身長の男は、アップルグリーンの瞳にカルミアを捉えて離さない。

 

「いや…何でも……」

 

手早く忘却術をかけて一旦この場を離れてしまおうと思っていたカルミアは、その計画が潰されてしまったことに内心舌打ちをしながら目を伏せた。下手に動くよりも、魔法省が保護してくれるのを待って本業の人達に任せた方がよさそうだ。

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