チャンピオン、リーグ辞めるってよ 作:スゲー=クモラセスキー
お楽しみいただければ幸いです。
Q.カントー編が始まるとどうなる?
A.知らんのか。
タグに付けていたTSキャラが増える。
プロローグ
──これは今から5年ほど前、現実の世界からポケットモンスターの世界の転生して来たとあるマスクマンの身に起こった、衝撃の実話である。
「いやぁ……あのキクコの奴から遣いを送るとの連絡を受けた時には一体どんな曲者が来るのかと身構えておったが……。まさかそれが君だったとは思いも寄らなかったぞ。──のぅ、ホオズキくんや」
「それについてはボクも同感です、オーキド博士。何せリーグ本部の執務室で今日の予定を確認していたボクの元に突然キクコさんがやって来たと思ったら、これまた唐突にあの人から『アンタはどうせ今日も何処かにふらふらと出歩くくらいには暇なんだろ?だったらあたしの代わりにユキナリのとこまでお使いに行って来な』──なんて言われてしまった結果こうなったんですから」
その日、既にカントーポケモンリーグチャンピオンにして同リーグ公認の謎のマスクマンとして数年の経験を積んでいたホオズキは、同リーグの同僚にして自身の恩人の一人でもあるキクコからの割と雑な依頼を受ける形で、ポケモン研究の世界的権威であるオーキド・ユキナリ博士の元を訪れていた。
というのも、彼はこの初代ゴースト使いの四天王に対してそれはそれは大きな恩があったのだ。
そのような事情があるため、ホオズキ自身も時間に余裕がある時には可能な限り彼女からの依頼やお使いの類を積極的に受けるようにしていたのである。
もっとも、当のマスクマンは素でこの気難しい老婦人に懐いていたため、仮に前述したような事情がなかったとしても彼女からのお願いなら喜んで受けていたとは思うが。
「──ということで、こちらがキクコさんから預かってきたカントー地方に生息するゴーストポケモン全般に関するレポートです。ご確認下さい」
「……うむ、確かに。──それにしても、若かりし頃はあれほどワシの夢を下らないの一言で一蹴しておったキクコがここまで詳細なレポートを作ってくれるとは……。いやはや、あの捻くれ者に一体どんな心境の変化があったのやら……」
「フフッ……。口では何と言っても、キクコさんも心の中では博士の夢を応援していたということですよ。このレポートを作る際にはボクも少なからずお手伝いさせていただきましたが、その時の彼女はとても楽しそうにしていましたし」
「あのキクコが、かね?それは……何とも面映い話じゃのぅ……」
そう言うと、オーキドの顔には旧友との懐かしい思い出を振り返っているかのような柔らかな笑みが浮かんだ。
そしてそれは、そんな彼の様子を見たホオズキも同様であった。
何故なら、初代からポケモンをプレイし続けて来た彼にとって、全ての始まりであるオーキド博士と、自身の恩人であるキクコが旧交を温めている姿を見ることほど嬉しいものはなかったからである。
また、自他共に認める頑固な捻くれ者であるあの老婦人が「少しだけでいいから尊敬する博士の夢を応援したい」というマスクマンの言葉を素直に肯定してくれたことも勿論嬉しかったのだが……それをこの場で語るのは最早蛇足というものだろう。
(くぅ〜、これこれッ!やっぱり原作キャラ同士の絡みほどわくわくするもんはないよな!しかもそれが初代から散々過去の因縁とその逸話が語られて来たオーキド博士とキクコさん絡みのことなおさらだぜッ!)
──しかし、何はともあれ、カントー地方の中でも特に澄んだ空気の流れるこのマサラタウンで、今最もいい空気を吸っているのは間違いなくこの不審者であった。
「──ところで、ホオズキくんはこれから何か用事はあるかね?もしも時間に余裕があるのなら、ワシの方からも君に少し頼みたいことがあるのじゃが……」
「高名なオーキド博士直々の依頼とは光栄です。とはいえ、ポケモンバトル以外はからっきしなボクにどこまでのことが出来るのかは分かりませんが……」
「いやいや、別にそう難しいことを頼みたいわけではないんじゃよ。というより、ワシとしては君のその類稀なポケモンバトル関連の知識と経験の両方を当てにしているほどでな」
「成る程……。そういうことでしたらボクの方から断る理由は何もありません」
「──それで博士。ボクはこれから一体どんなポケモンを倒しに行けばいいのでしょうか?」
「寧ろ君はこれまで一体どんな依頼を受けてきたというのかね……?」
そう言って困惑混じりの苦笑を浮かべるオーキドと、そんな彼の反応に首を傾げて不思議がるホオズキ。
どうやら両者の間には「依頼」という言葉一つを取ってもかなりの認識の差があるようである。
もっとも、ポケモンに関する諸々の
「ま、まぁ、その辺りの話はキクコの奴も交えて追々行うとして……。実はホオズキくんがワシの研究所に来ると聞いて、どうしても君に会いたいと言う子達がおってな。勿論無理にとは言わんが……。ただ君さえよければ、ワシの孫とその幼馴染の二人と会ってやってはくれんじゃろうか?」
「博士のお孫さんとその幼馴染の子がボクに……?……ええ、勿論。ボクでよければ幾らでもお相手させていただきましょう」
「うむ、ホオズキくんならばそう言ってくれると信じておったぞ。──では、早速じゃがここに二人を呼んでもいいかのぅ?」
「はい、よろしくお願いします」
そうして嬉しそうに微笑みながら何処かに電話を掛けるオーキド。
そんな彼の姿を仮面越しに見遣りつつ、ホオズキもまた件の二人組の到着を今か今かと待ち侘びていた。
何を隠そう、このマスクマンは博士の孫とその幼馴染──即ち「全てのライバル達の始祖」ことグリーンと、「原点にして頂点」の二つ名を持つ最強の主人公ことレッドの大ファンなのだ。
そんな根っからのファンボーイが原作開始前の幼い二人と直接触れ合えると聞いてテンションを上げずにいられるだろうか?
(前世からの最推しコンビであるグリーンとレッドに会える……!しかも俺の知る彼らの姿よりも更に若くて小さい頃の二人に!そんな激レアイベントを直に体験出来るって聞いてテンション上がらねぇ奴とかいる?いねぇよなぁッ!?)
いいや、いられまい。
いられるわけがあるまい。
──しかし、だからこそホオズキは気付かなかった。
『おーい、爺ちゃーん!ホオズキさんが来たって聞いたから走って来たよ!中に入ってもいーい?』
「おお、来たか。よろしい、入って来なさい」
「失礼しまーすッ!」
「……お邪魔します」
彼がこのポケットモンスターの世界に転生してきたことで生じた未知の可能性に。
「紹介しよう、ホオズキくん。この子がワシの二人目の孫であるグリーン。そしてこの子が、その幼馴染であるレッドじゃ。よろしくしてやっておくれ。ああ、それと──」
彼がこれまでに成し遂げてきた数々の功績と、それによって齎された様々な歴史のズレに。
「どちらも今年6歳の誕生日を迎えたばかりの
「ちょ、ちょっと爺ちゃん!ホオズキさんの前であんまり変なこと言わないでよね!……んんッ!──ということで、ご紹介に預かりました孫娘のグリーンですッ!よろしくお願いしますね、ホオズキさん♡」
「……レッドです。……あの、ホオズキさん。よかったら私とも握手してくれると嬉しい……です」
そしてそれが、今後彼が出会うこととなる数多の人物達の存在そのものを変えてしまったという現実に。
「──ファッ!?」
──この時の彼は、まだ気付いていなかったのだ。
・ホオズキ
前世からの推しキャラコンビが揃ってTSしているのを見て死ぬほどビビった人。
その後、ぐいぐい迫ってくる二人と普通に握手してしまったが、その手の小ささに更にビビったのは言うまでもない。
なお、そんな彼女らの他にもTSしているキャラがいることを、彼はまだ知らない。
・オーキド博士
ホオズキに自分の孫娘とその幼馴染を紹介した人。
マスクマンのことは真面目で卒なく仕事をこなすチャンピオンとして高評価。
お前もワシの身内にならないか?
・キクコ
過去にホオズキに対して多大な恩を売った人。
なお、そう思っているのはマスクマンだけであり、彼女自身は将来有望な若者に少しだけ手を貸してあげただけの模様。
それはそれとしてこの不審者を便利に使うことも多々あるのがキクコクオリティ。
・グリーン(♀)
TSしていたぶりっ子ライバル。
強くてミステリアスな雰囲気を醸し出すホオズキのファンガール。
可愛い。
・レッド(♀)
TSしていた頂点さん。
強くて何時も楽しそうにバトルをしているホオズキのファンガール。
可愛い。
ということで始まりましたカントー編。
ヤンデレッドちゃんとぶりっ子グリーンちゃんに狙われるマスクマンの今後が気になる方は是非感想と一言付き高評価をお願いします。