チャンピオン、リーグ辞めるってよ   作:スゲー=クモラセスキー

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 ヤンデレッドちゃんがアップを始めました。
そんな話です。


TSレッドはチャンピオンが欲しい1

 マサラタウン出身の新米トレーナーことレッドは自他共に認めるほど口数が少ない物静かな少女である。

しかし、それは決して彼女が内向的で大人しく、それでいて周囲に流されやすい性格の女の子であることを意味しているわけではない。

寧ろレッドはそういったインドアな性格とは真逆の極めてアクティブなアウトドア少女であり、物心付いた頃から姉妹同然の仲で育ってきた幼馴染のグリーンと夕方まで外に繰り出しては、同年代の少年達を凌駕するほど運動能力を周囲に見せ付けてきた。

つまり彼女は、自身の感情を言葉や態度を極力表に出さないだけで、実際には他の誰よりも行動的で衝動的な性格の持ち主なのである。

 

 また、レッドはあくまでも他の同年代の子供達と比べて口数が少ないというだけで、言葉を介して他者と交流することを嫌っているわけでは決してない。

というより、この少女は相手の細かな表情や態度の変化──或いは自身の持つ超人的な勘のよさを駆使して相手の思考や行動を見抜くことに長けているため、そもそも親しい相手以外との会話を殆ど必要としていないのだ。

だというのに、一度口を開けば相手の痛いところを的確に突く強烈な一言を真顔でぶち込んでくるものだから、そんな彼女と長年幼馴染を続けてきたグリーンが相当な苦労を重ねてきたであろうことは想像に難くない。

ただ、そんなレッドの怜悧な美貌から放たれる情け容赦のない言葉攻めに新たな扉を開いてしまった者達が一定数いる辺り、彼女もまた、誰からも愛されるグリーンのそれとは別の魅力を持っているのは間違いないだろう。

 

 

 

 しかし、そんな常人とは少し異なる感覚を持つレッドでも、自分達の私利私欲のために他の人々や周りのポケモン達を傷付けるような行為を働く輩は許せないようで──。

 

 

 

「……何でもいいけど、世界征服を目論んでいる悪の組織の制服がそんなのとか普通に恥ずかしくない?」

 

「──ゴホッ!?」

 

「ああッ!?最近入団したばかりのお洒落好きな後輩(♀)が急所を突かれて盛大に吐血したぁッ!?」

 

「お、おのれぇ……ッ!よくも俺達が昔から気にしていることをこうも的確に表現してくれたなッ!!」

 

「正論では誰も救えないってお父さんやお母さんに習わなかったわけッ!?」

 

「いや、そんな血を吐くほどそのクソダサい制服を着るのが嫌なら最初から真っ当に生きなさいよ」

 

 

 

 そういった不遜な輩の筆頭たるロケット団の構成員達に対しては、普段以上の鋭さを持った言葉のナイフで彼らの急所を容赦なく突きまくっていた。

 

 そして、普段以上にキレキレな毒舌レッドに便乗したグリーンが目の前のロケット団達に対して侮蔑の視線と共にかなり辛辣な言葉を吐いている辺り、彼女から見ても彼らの制服のダサさや行っている行為の悪辣さは唾棄すべきものであることが強く窺える。

もっとも、カントー地方ではおつきみやまでのみ採掘される「つきのいし」や、それを用いて進化を行うピッピなどの貴重なポケモン達の乱獲及び不法な売買を目論んでいた犯罪者達に向ける態度という意味では然もありなんといったところではあるのだが。

 

 

 

「ふ……ふんッ!ま、まだまだ子供のアンタ達には分からないでしょうね!この敢えて……そう、敢・え・てッ!このちょいダサ気味な制服に身を包むことで、あたしという素材の良さをより引き立てる高等テクニックはッ!!」

 

「……そうやって必死に自分を言い聞かせていること自体が何よりダサいと思う」

 

「──ゲボォッ!?」

 

「こ、後輩(♀)ーッ!!!」

 

「なんっ……でそこまで!的確に人を傷つける台詞が言えるんだよお前はあああああッ!!

 

「大人のプライドを散々踏み躙って……!潰してやる……」

 

 

 

「潰してやるわ緑髪の子……ッ!」

 

「ちょっとレッド!アンタのその歯に衣着せぬ物言いのせいで、何か私まで巻き込まれることになってんだけどッ!?」

 

 

 

 なおも鋭さを増し続けるレッドによる容赦の欠片もない精神攻撃。

崩れ落ちる後輩、激昂する先輩トリオ。

……そして何故かそんな幼馴染VSロケット団カルテットの争いに巻き込まれることになった可哀想なグリーン。

偏に君が常識人だったせいだが。

 

 状況はまさに一触即発。

そうして正論という名の凶器で大人の尊厳やら何やらを徹底的にズタボロにされたロケット団が、激情に駆られて今にもTS初代コンビに襲い掛かろうとした──。

 

 

 

 その時である。

 

 

 

「──成る程。最近おつきみやまで妙な動きを見せる不審な輩を見掛けたとの垂れ込みを受けて態々来てみれば……やはり君達だったか。親愛なるロケット団員諸君」

 

 

 

 突如として真夜中の山中に響く男の声。

 

 

 

「正直驚いたよ。まさかほんの数日前に君達のボスが心血を注いで作り上げた違法なポケモン売買のルートが跡形もなく消滅したばかりだというのに、その一報を受けてもなおここまで大々的な動きを見せるような活きのいい団員がいたとは。──いや、君達の場合は目に見えた手柄を欲しての独断専行と言った方がより正確なのかな?……だけど今は、そんなことはどうでもいいんだ。重要なことじゃない」

 

 

 

 意図してそうしているわけではないにも関わらず、何故かそれを耳にしたロケット団達の背筋を震わせ、つい先程までいきり立っていた彼らの心をへし折る男の声。

 

 

 

「何せ今のボク(・・)にとって重要なことは、君達ロケット団がここおつきみやまの採掘資源とピッピをはじめとした貴重なポケモン達の乱獲を目論んでいたことと、それを阻止しようと立ち上がった勇気ある子供達に向かって大の大人が本気の敵意を向けたという事実だけなんだから」

 

 

 

 そして、これまでに何度も耳にして来たレッドとグリーンにとっては世界中の誰よりも頼もしく、それでいて世界中の誰よりも愛おしい男の声。

 

 

 

「やぁレッドさん、グリーンさん。二人共、ポケモン達との旅は楽しめているかな?君達のここまでの道中に一体何があったのか聞きたい気持ちは山々だけど──」

 

 

 

「取り敢えず、まずはボクと一緒に悪い人達を懲らしめることから始めようか」

 

 

 

 

 そうして、まさかの人物の登場に震えが止まらない様子のロケット団達に向けていた絶対零度のそれとはまるで異なる温かい声音で自分達に声を掛けてくれたホオズキの姿を見たレッドの脳裏に過った想いはこの一言である。

 

 

 

(ああ……やっぱりカッコいいなぁホオズキさんは。何時だって私達のことを見守ってくれて、いざとなったらこうして助けてくれて……。素敵だなぁ、カッコいいなぁ)

 

 

 

(──本当に、欲しくて堪らないなぁ)

 

 

 

 内心でそう独り言た彼女の瞳は、その名前と同じか──それ以上に怪しい紅色の光を宿しながら爛々と輝いていたのだった。




・レッド(♀)

 普段は寡黙なのに時折鋭過ぎる正論で相手の心を抉ってくる系女子。
別段ピンチというわけではなかったが、それでも大の大人4人組に囲まれていた時に颯爽と現れたホオズキの姿には内心キュンキュン。
この度、ヤンデレッドちゃんがアップを始めました。

・グリーン(♀)

 幼馴染な口から時々出てくるあまりにも鋭い毒舌に内心おっかなびっくりしてる系女子。
この度、目出たく苦労人属性が付いた。
偏に君が常識人だったせいだが。

・ホオズキ

 真夜中のおつきみやまに不穏な言葉を吐きながら現れたマスクマン。
普通に怖い。



 次回はおつきみやまの騒動終結後のグリーン視点。君、ホオズキにもレッドに対しても重い感情持ち過ぎだろ……。

 そんなグリーンのクソ重感情にご期待いただける方は是非感想と一言付き高評価をお願いします。
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