チャンピオン、リーグ辞めるってよ 作:スゲー=クモラセスキー
カントーポケモンリーグチャンピオンにして同リーグ公認の謎のマスクマンことホオズキは何処に出しても恥ずかしくない立派な子供好きの不審者である。
しかし、それは決してこの怪しさ満点のマスクマンから可愛い盛りの子供達に向けられた一方的な好意というわけでは決してない。
何故なら、彼が子供達のことを自身の視界に入れる時、彼ら彼女らもまた、この不審者のことをその視界に入れているからだ。
例を出そう。
春の陽気に誘われてホオズキが何の気なしに辺りを散策すれば、元気に草むらを駆け回っていた野生の短パン小僧&ミニスカート達に「怪しい奴がいる!」とサインを強請られ──。
夏の日差しを避けるためにホオズキが商業施設に足を踏み入れれば、途端にわらわらと集まってきた野生の塾帰り(♂&♀)達に「不審者、ゲットだぜ!」と握手を強請られ──。
秋の味覚を楽しむためにホオズキが落ち葉拾いに精を出せば、どこからともなく現れた野生のボーイ&ガールスカウト達に「マスクマンを捕獲せよ!」と焼き芋を強請られ──。
冬の寒さに想いを馳せながらホオズキが静かに雪道を歩けば、何の前触れもなく目の前にエントリーしてきた野生の園児(♂&♀)達に「ホオズキさん、あけましておめでとう!」とハグを強請られ──。
このように、ホオズキは無類の子供好きであると同時に、子供達側からもえらく好かれやすい体質の人間でもあるのだ。
それも偏に、彼の持つ優しさや穏やかな態度、何よりも未来ある子供達のことを心から慈しんでいることが感じられる温かな眼差しに裏付けされたホオズキ自身の人徳によるものだと言えよう。
もっとも、それはそれとして不審者であることには変わりないのだが。
そら(幼気な子供達にじゃれつかれて満更でもない表情を浮かべている全身ブラックコーデで決めた不審なマスクマンの姿なんて見たら通報されるのも無理ないというか寧ろ)そう(するのが市民の義務ってもん)よ。
話を戻そう。
冒頭にも述べたとおり、ホオズキは何処に出しても恥ずかしくない立派な子供好きの不審者である。
未来ある子供達を無条件に愛し、未来ある子供達からも無条件に愛される彼は、その見た目の怪しさ、行動の不審さにさえ目を瞑ればまさに頼りになる大人の男そのものだと言える。
まぁ当のホオズキが無意識の内に行っている愛情100%のスキンシップのせいで、幼気な子供達……特に年上の異性に対する免疫がまるで皆無な女の子達の脳が既に修復不可能なレベルで丸焦げにされていたりするのだが、それはそれとして──。
Q.そんな自他共に認める子供好きな不審者の目の前で、明らかに気質ではない輩が何の罪もない子供相手に暴力を振るおうとしたらどうなる?
「まぁね?確かに遊びとはいえ、少なくないお金が絡むスロットで自分にツキが回って来なかったことに苛つくのは分かるよ?何時も何時でも上手くいく保証なんて何処にもないからね。……だけどさ。いい歳した大人が自分の鬱憤を偶々居合わせただけの子供に当たり散らすだけでは飽き足らず、よもや暴力まで振るって発散しようとするのは流石にどうかと思うんだよ」
「がぁぁぁぁぁッ!?い、痛い~ッ!折れるぅ~……ッ!!」
「ここまで言えば、君が今すべきことが何なのか……分かるよね?」
「わ、悪かったッ!俺が悪かったッ!!そこの嬢ちゃんに因縁付けて絡んだことも!返って来た反応が淡泊すぎて思わず手が出そうになっちまったこともッ!全て俺が悪かったと認めるッ!!認めるから早くこの技を解いてく──ヒギィッ!?」
「まずは謝罪が先だろう?」
「ごめんなさ痛いぃぃぃぃッ!!!!」
A.判 決 :
至極全うな判決結果であった。
因みに、ホオズキが繰り出したオトスパス師匠直伝のアームロックから漸く解放されたスキンヘッドは、その痛々しい姿に心を痛めて近付いてきた連れの
敗者は疾く去るのみ──それがこの世界の理なのである。
──さて。
そんなお騒がせなダメンズの団体様ご一行がそそくさと立ち去った後、一気に閑散としたタマムシスロットの店内には片手で足りる程度の客しか残っていなかった。
言わずもがな、先程まで怒れるスキンヘッドに執拗に絡まれていた少女と、そんな彼女を救うために必殺のアームロックを不埒なハゲに仕掛けたホオズキの二人である。
普段ならば
けたたましいスロットを始めとした様々なゲームの奏でる騒音とは裏腹に、何処か不気味さすら感じるほどの人気のなさ。
「……余計なお世話になってしまいましたか?」
「そうでもないさ。君のおかげで私も無駄な争いをせずに済んだし、何より、大の男が痛みのあまりに許しを請うて泣き叫ぶという実に面白い見世物まで見れたのだからね。感謝こそすれ、君に対する非難の言葉など、私は一つも持ち合わせてはいないよ」
「それは何よりです。……それで、何故貴女がここにいるんです?」
「これは妙なことを言うものだ。
そういったシチュエーションの妙が、店内にポツンと残された一人の少女と、そんな彼女に相対する不審者との会話をより鮮明に──。
「貴女が見掛けどおりの年齢ではないことは重々承知しています。……が、それでも自分から態々危険に飛び込むような真似をすることはないと言っているんですよ──サカキさん」
「クックックッ……。そんな私の作り上げた危険な組織に真っ向から挑んでくる君にだけは言われたくないものだね。それに、私の身に何かあれば
それでいて、
(……いや、この場合は最初に会った時みたいにサカキ
なお、そんなロリロリしい巨悪を前にしても、ホオズキは相変わらず
お前ホンマそういうとこやぞ。
ホオズキ
偶々入ったタマムシスロットで大男に絡まれていた少女を助けたらまさかの悪の首領(TS)だったでござるなマスクマン。
どう考えても敵対不可避な存在なのに、見た目が子供なせいでいまいちやる気が出ないことがネック。
それはそれとして、ロケット団を叩き潰す際には容赦なく彼女も一緒にしょっ引く予定。
インガオホー!
サカキ(♀)
世界征服を目論む悪の組織:ロケット団のボスを努める年齢不詳の合法ロリ。
なお、普段は影武者(原作サカキ)を立てて団を操っているため、ボスの真の姿を知るものは限りなく少ない。
ホオズキとは過去に一度遭遇したことがあり、輩に絡まれていたところを爽やかに救出された上、ダメ押しの何の打算もない純粋な心遣いに脳を焼かれた結果、無事に彼の強火ファンになった。
現在はロケット団の運営をそこそこに、世界各地で活躍するホオズキの動向を具に注視している。
スキンヘッド&暴走族
アームロックを食らった可哀想な人とその舎弟の皆さん。
最近のマスクマンは怖いな……とか言いながら帰路に着いたとか何とか。