頭文字D -無名の挑戦-   作:たっせ

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こんにちは。

先日親父の車を借りてMT車の練習をしました。

最初は久々のMT車で発進もおぼつかず、1→2→3のシフトチェンジもギクシャクしてしまいましたが走ってくうちになんとなくカンを取り戻してスコスコ変速することができました。

でもシフトミスは何度かして4→1、4→3みたいなのがありました。特に4→5の時のシフトミスが多かったですね…

今後も色々と練習してこの物語なんかに活かせたらなと思います。


十話 結団

 清水とのバトルから一週間後、渡された紙に書かれたファミレスに訪れた。

 

 駐車場にはこの前バトルした清水のシルバーのエボⅡの隣に赤のGTOが駐車していた。

 

 おそらく[カイザー]のナンバー1と呼ばれる人なのだろうか。

 

 入店すると清水の姿が見えた。

 

 その向かいには一人の男が座っていた。

 

 「よぉ、一週間ぶりだな…約束通り来てやったぜ。で、この人は?」

 

 「あぁ、初めてだったな。こいつは[カイザー]のリーダーやってる洋一だ。」

 

 「初めまして、三浦 洋一だ。よろしく頼む」

 

 そう言って手を差し出した。

 

 「俺は高木。こっちは上田だ。まぁ、色々と清水さんから聞いてるとは思うがよろしく」

 

 三浦が差し出した手を握り握手を交わす。

 

 (なんだろう…貫禄と言うか、絶対に頼れそうってカンジの人だな…)

 

 第一印は清水とは真反対だ。

 

 「あと二人来るはずなんだが…来たようだな」

 

 店の外からの太いエキゾースト音が聞こえる。

 

 この前の清水のランエボよりもさらに太い音だ。

 

 そして二人の男が入店して、三浦は手招きする。

 

 一人はメガネを掛けて落ち着きのある男、もう一人は少しガラの悪そうな男だ。

 

 「すみません、待たせてしまって」

 

 「大丈夫だ、ちょうど俺たちも着いたところだったんでね」

 

 メガネの男は物腰柔らかに話しかけ、対する三浦も気さくに応える。

 

 「紹介しよう。この方々は黒川と野田。二人は[58シューターズ]でリーダーと副リーダーをしている人だ」

 

 「初めまして高木さん、上田さん。黒川です。以後、よろしくお願いします」

 

 黒川と握手を交わす。

 

 第一印象は気前の良い裏表のない優しいセールスマンといったところか。

 

 「…野田だ。よろしく頼む」

 

 もう片方のガラの悪い男はぶっきらぼうに挨拶する。

 

 清水とは違った冷たさを感じる。

 

 清水は機械的な冷たさだが、目の前の野田と言う男からは人間的な冷たさを感じる。

 

 こんなデコボコチームで防衛線なんて大層なものができるのだろうか…と一抹の不安を感じた。

 

 上田はきっと同じことを考えているか、「なんとかなるサ」と思っているだろう。

 

 一同が介したところで黒川が口を開く。

 

 「さて、今日はわざわざこうやって集まっていただいたわけですが早速本題に移ります」

 「皆さんは既に[プロジェクトD]の存在を知っていますよね」

 

 関東最強の走り屋と目される髙橋涼介。

 

 そいつが関東の峠という峠を制覇すべく発足したチームだ。

 

 「彼らによる関東制覇、これを打ち破るべく私はこの防衛線計画を発足しました」

 

 なるほど、この黒川が発起人だったのか。

 

 確かに参謀といった役職が似合いそうな理論派の男だ。

 

 「私たちは三段構えの防衛線を引きます。まず三浦さん率いる[カイザー]が先鋒となり彼らのドライビングを観察します。」

 

 確かに清水のようなドライバーであれば相手のドライビングの癖をいち早く見抜くことが出来るだろう。

 

 「もしもここで撃破出来れば良いのですができなければ次は私たち[58シューターズ]が出ます」

 

 [58シューターズ]、名前は聞いたことのある走り屋チームだ。

 

 サーキットとストリート、グリップとドリフトの走行法を高次元に両立するチームだと聞く。

 

 「我々の手でも撃破できなかった時は…高木さん、上田さんの出番です」

 「我々が読み取った癖やデータを元に彼らを撃破して欲しい…」

 

 …自分たちが走る時はもう後がない背水の陣というワケか。

 

 「そんなに[プロジェクトD]ってヤツらは強敵なのか?」

 

 自分の思っていたことを上田が代弁する。

 

 あの髙橋涼介が率いるチームとはいえ、こんな三重の防衛ラインを敷くほど強敵なのだろうか?

 

 「私はそう見積もってる。まずヒルクライムは髙橋啓介が担当しているようだ」

 

 髙橋啓介は兄であり、[プロジェクトD]のリーダーである髙橋涼介と共に「赤城のロータリー兄弟」と呼ばれているFDの使い手だ。

 

 「そして問題はダウンヒルなんだが、どうやら86が走ってるらしい。ドライバーも腕の良いのが乗っているそうだ」

 

 86?86と言えば確かに腕の良いドライバーも愛用するほどの軽量FR車だが、今や型落ちで戦闘力もないだろう。

 

 だが次の一言でそのイメージが覆る。

 

 「事実髙橋涼介、啓介共に敗北し、直近では東堂塾の二宮を打ち破ったらしい…」

 

 一瞬思考が混乱した。

 

 二宮と言えば自分や上田の後輩で相当な実力者だったはず。

 

 二宮が使う車と言えばシビックのタイプRだろう。

 

 どんなに腕が良くたって車両のポテンシャルは覆しようのない事実であるが、テンロク最強クラスのB16Bが型落ちの4A-Gに負けたと言うのか…。

 

 口伝えとは言えその事実を否定したかった。

 

 隣に座る上田も驚き、食いつく表情をしており、きっと同じことを考えているだろう。

 

 そんな絶望的な情報しか出てきてない中、再び黒川が衝撃の事実を告げる。

 

 「そしてこれは噂ではあるのですが、どうやら東堂塾は再び[プロジェクトD]に挑み、今度はOBのプロドライバーを投入するそうです」

 

 OBのプロドライバー、この単語でピンとくる人物が一人いる。

 

 館智幸、歴代東堂塾塾生の中で別格と呼ばれ憧れの的であり、この[プロジェクトD]というのはそんな人を投入するほど手強い相手らしい。

 

 思考に迷いが生じる。

 

 (俺だってトモさんには逆立ちしたって一度も勝てなかったんだ。そんな人が投入されるほどのチーム、俺が太刀打ちできるのだろうか…)

 

 「我々はその東堂塾とのバトルの後に対戦することとなり、時間的に我々が栃木エリア最後の相手になると思います」

 

 (するとその時はトモさんが敗れた時、本当に俺なんかが相手になるんだろうか…)

 

 頭に諦めの二文字が浮かんだその時

 

 「栃木最後の砦ってことだな」

 

 悲観的に現状を観ていた自分とは対照に三浦は明るく、前を向くようなトーンで話す。

 

 そうだ、俺らが栃木最後の砦、ここで諦めては二宮や酒井の仇も取れない。

 

 悲観的に現状を見ていたが、少し元気づけられた気がした。

 

 「ええ、そうなります。その砦を守るためには皆さんの力が必要です。どうか、力を貸してもらえないでしょうか…」

 

 一瞬の静寂が6人を包み込む。

 

 「やってやろうじゃねーか。協力してやるぜ、なぁ清水?」

 

 「あぁ、もう既に色々と関わってるんだ、今更抜けるつもりは無い」

 

 熱い三浦の返答と、静かな口調の裏に底知れぬ熱意を含ませ清水が応える。

 

 「同期と後輩がやられてんだ。黙って見てられっかよ」

 

 次いで上田が応える。

 

 「俺もだ。地元の意地にかけて、絶対これ以上負けてられん」

 

 そして最後に自分が返答する。

 

 (栃木最後の砦、絶対に守ってやる!)

 

 そう心の中で決心するのだった。

 

 こうして[栃木プロジェクトD防衛線]が結成されたのだった。

 

 

 発足会は無事終わり外はいつの間にか夕焼けに染まっていた。

 

 各々それぞれ自分の居場所に戻るのだった。

 

 三浦と清水は日光の方面に戻り今日もチームで走り込むらしい。

 

 上田と共に自分達も帰ろうとしていたところ、黒川に引き止められた。

 

 「すみません、引き止めてしまって。二人はこの後時間はありますか?」

 

 「ええ、この後は自分達の峠行くだけなんで暇っちゃ暇ですね」

 

 「良かった。お二人に一緒に来て欲しいところがあるんです。来てもらえますか?」

 

 「分かりました。後に付いてきますよ」

 

 そう答えると黒川は自分の車の方に歩いていった。

 

 向かっていった先には白いBCNR-33 GT-Rが止まっており、隣には野田がZ32のボンネットに腰掛けタバコをじっくり味わうように吸っていた。

 

 確かに使っている車は特殊だった。

 

 峠で不利とされる大柄なR33、狭いエンジンルームの影響で熱害が酷いとされているZ32、普通の走り屋であれば使用しないであろう車だ。

 

 そんな彼らがどんな走りをして、この後どこに行くのかが気になった。

 

 そしてそれ以上にプロジェクトD、彼らはどんなドライバーがどんな走りを見せてくれるのかが不安半分楽しみ半分だ。

 

 そして上田のプレリュードの隣に停めている自分のCR-Xの前に立った時、心の片隅に何とも言えないざわめきを感じた。

 

 今まで感じたことのないこの感覚は少し寒い夜風のせいか、はたまた前に存在するCR-Xが語りかけたものなのかは分からなかった。




次回からは新たな章に突入する予定です。

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