頭文字D -無名の挑戦-   作:たっせ

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こんにちは。
クリスマスをクリぼっちで過ごした筆者です。

さて年の瀬も迫ってきて自分はテストや課題、サークルに追われております。

今回から新章に突入します
プロジェクトDと栃木県勢はどのようなバトルを繰り広げるのでしょうか…


二章 -矜持-
十一話 対峙


群馬県 赤城山

 

 東堂塾、そしてプロドライバーの館智幸とのバトルを終えた[プロジェクトD]、その旅路はまだ始まったばかりだった。

 

 今夜は赤城山で[レッドサンズ]が走り込みをし、そこには髙橋兄弟はじめ[プロジェクトD]の遠征メンバーの面々もいるのだった。

 

 そして髙橋兄弟は駐車場で会話を交わしていた。

 

 「兄貴、もうそろそろ栃木エリアも終わりだな」

 

 「ああ、次は埼玉エリアになりそうだが…ここに来る前にサイトを見たら栃木エリアでまた一つバトルの申し出があった」

 「しかも今回はなかなか難しい相手かもしれない」

 

 「兄貴がそんなこと言うなんてらしくないぜ」

 

 「どうやら三つのチームとの連戦になるらしい」

 

 「連戦?そんなの一チームずつ潰してけばいいんじゃねーのか?」

 

 「そんな問題じゃない。相手チームたちは連携している可能性がある」

 「つまり後のバトルになるほど相手はこっちのドライビングを分析してそれをフィードバックした走りをしてくるだろう」

 

 「後になればなるほど手強くなってくってことか…」

 

 「気は抜くなよ、まだ一つのエリアも制覇できてないんだからな」

 

 「もちろんだよ、兄貴」

 

 

栃木県N市

 

 [プロジェクトD]栃木防衛線の発足会議後、高木と上田は黒川にある場所に連れてこられた。

 

 いつも走っている峠とは別の峠だ。

 

 駐車場から車の外に出ると街灯がないためか夜空には綺麗な星が散りばめられていた。

 

 それとは対照に柵の向こう側は全てを飲み込んでしまいそうな闇が包んでいた。

 

 心霊スポットではないだろうが、正直少し不気味な場所だ。

 

 「こんなトコに連れてきてなんのハナシがあるんだ?」

 

 「高木さん。率直に問いますが、相対するであろう86に勝つための要素はなんですか?」

 

 「それは…」

 

 「仮にFDと上田さんのプレリュードであれば張り合える可能性は十分あると思います」

 「ですが噂の86、彼に勝つにはどうすれば良いと、高木さんは思いますか」

 

 「それは…ここまで来るともう車の性能としか言えないでしょう。腕があちらの方が上ならもう車自体の性能で競うしかありません」

 「ですがB16Bという4A-Gよりも圧倒的な性能的優位のあるエンジンを用いたとしても敗北したんです。正直、その86のドライバーが神がかりな腕を持っているとしか言いようがありません…」

 

 「そうですよね…そこでこの場所に案内したんです」

 

 「どうゆうコトだ?ハナシが見えねぇ…」

 

 「単刀直入に言うと…、この峠で高木さんと上田さんにはバトルして欲しいんです!」

 

 「ここで、ですか…」

 

 「はい、ここで、です」

 

 黒川の目は確信を持った眼差しをしていた。

 

 そしてボンネットの上に地図を広げ、指を指しながら説明する。

 

 「私たちがいるのがこの展望台、そしてバトルをする時はこの地点から、、この地点までバトルして欲しいんです」

 

 「かなり直線区間の多いところですよね。それにコーナーも普通の峠と違ってきつい高速コーナーが多い…」

 

 「えぇ、ハイスピードで突っ込むドリフトは普通の峠では考えられない挙動です。そしてドリフトよりもグリップ走法の方が速いコーナー、、これらの要素によりある程度技量の差を埋めることができるでしょう」

 

 (ある程度は、か…)

 

 まぁ、何もアドバンテージのないよりかはマシだと考える。

 

 「そしてもう一つ、この峠はある“特徴”があるんです」

 

 「“特徴”ですか…」

 

 「ええ、どんな走り屋だって喰われるような魔物がこの峠にはいるんです…」

 

 そうして黒川からこの峠の説明を受けた後、黒川と野田が先導してコースの確認を行い四人はスタート地点に到着した。

 

 「大体こんな感じのコースです。軽く流した感じどうでしたか?」

 

 「やっぱりいつもの峠とは違うモノがありますね。大回りなコーナーの連続でアンダーを出さないようにするのが大変だ……」

 

 「ホントサーキットみたいな峠だ、普段滅多に使わない5速まで使ってフル加速して、そこからのハードブレーキの連続だぜ…」

 

 「それに一本がめちゃくちゃ長げーな、、体感片道10キロ近く走ったぞ…」

 

 いつもと違う感覚、それだけで結構疲れるモノがあった。

 

 だけど嫌いなわけじゃなかった。

 

 普段の峠では思いっきりかっ飛ばせない分、ここではサーキットのように思い切った加速が出来る。

 

 もしも[プロジェクトD]の86とバトルすることになればエンジンパワーで引き剥がすことができる筈だ。

 

 「どうですか、やれますかね……」

 

 黒川のその言葉には自分たちに対する信頼とその裏にある若干の不安を感じられた。

 

 「大丈夫です。やってやりますよ」

 

 「あぁ、ここなら十分にDのヤツらとやれるサ」

 

 「その言葉が聞けて安心です。この後お二人はどうするんですか?私と野田は自分たちの方に戻って走り込みますが…」

 

 「今日は上田と一緒にもう少しここを走り込んでみます。もう時間もないんで…」

 

 「そうですね。遂に一週間後、[プロジェクトD]の連中が来るんです」

 「では、一週間後中禅寺湖で」

 

 黒川と野田はそれぞれの車に乗り、来た道を戻っていった。

 

 (ああは言ったんだがなぁ…)

 

 「学、お前ビビってんな」

 

 上田がピシャリと話しかける。

 

 「まぁなぁ、ああわ言ったんだがその86、俺が相手にできんのか心配になってナ……」

 

 「だよなぁ、俺もロータリーのことはよく分かんねーケドあの高橋兄弟の弟のFDに勝てんのか今になって心配になってきたヨ」

 

 苦笑しながら話すがきっと上田も自分と同じ気持ちだろう。

 

 「マ、まずは一週間後に様子見だ。そっから色々考えればいいサ」

 

 「ああ、今日はとりあえずこの峠のことを覚えておきたい」

 「上田、もう一回行くぞ!」

 

 愛車のCR-Xに乗り込み、また二人で走り込みに行く。

 

 周囲を包み込む夜の闇は自分の気持ちを表しているように感じてきた。

 

 それを払拭するかのようにエンジンを吹かすが、その音は闇に飲み込まれてしまった。

 

 

一週間後 中禅寺湖スカイライン

 

 昼は鏡のような中禅寺湖を観る観光客で賑わう展望台は今、独特な冷気に包まれていた。

 

 「遂に来やがったな、プロジェクトD」

 

 淡々とマシンの最終センディングを行う[プロジェクトD]の面々を見ながら三浦は一人呟く。

 

 三浦と同じく出走する清水はその面々の中でも涼介を凝視する。

 

 (高橋涼介、お前はどんなドライバーを出してくるんだ…)

 

 二人の目線には静かな圧力を放ち、松井ら[カイザー]のメンバーは圧倒されていた。

 

 そうしていると史浩が[カイザー]のドライバー二人に歩み寄る。

 

 「こっちは準備が終わったが、そっちはどうだ?」

 

 「ああ、こっちも走る準備は出来てる。始めよう」

 

 「ヒルクライムから始めるが、先行後追いどっちにする?」

 

 「なら先行で行こう」

 

 そう言ってヒルクライムバトルの最終準備が進められた。

 

 

 「三浦さん、くれぐれもタイヤの管理には気をつけてください」

 

 「大丈夫だ。バックミラー越しでも相手の癖は分かる。それにこのGTOのパワーならすぐに引き剥がせる」

 

 三浦は自信満々に黒川を安心させるように話す。

 

 「カウントいくぞー!!」

 

 史博によりバトルのカウントダウンが始まる。

 

 「5、4、3、2、1、ゴーーッ!!!」

 

 腕が振り落とされるとともにクラッチを繋ぐ。

 

 いきなり大きなパワーがかかった後輪は空転するがすぐに地面を捉え、蹴り出す。

 

 対する後方のFDはスマートにクラッチを繋ぎホイールスピンを抑えて発信する。

 

 (遂に始まったな…絶対に止めて見せる、[プロジェクトD]!)

 

 黒川はコーナーに吸い込まれていく三浦のGTOの背中を見守りながら心の中で呟く。

 

 そんな静かな考えとは対照に、峠に轟くエンジン音は大いなるバトルの火蓋が切られたことを熱く示していた。

 




今年の投稿はこれで最後となります。

思えば数ヶ月前、「頭文字Dで登場しなかった車を活躍させたい!」と考え以前からやってみたかった小説の執筆をしてみることにしました。
文学系ではなく理工系を専攻して、高校の時に国語が得意だったぐらいで小説が執筆できるのだろうかと不安もありましたが、無事執筆活動は進み多くの方に読まれる作品となりました。

学業やサークルといった私生活の間に書いてるものではありますが来年も頑張っていこうと思うので何卒よろしくお願いします。
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