頭文字D -無名の挑戦-   作:たっせ

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モビショーを堪能してきた作者です。

最終日ということで大いに盛り上がっておりました。

プレリュードに乗車し、レクサス スポーツコンセプトに心を打たれ、感動の連続の一日でした!

そんなモチベがレブリミットになった状態での投稿です!


六話 限界点

 前を走るFTOの少し後ろをプレリュードが追いかける構図となった。

 

 ここのキモはいかに最小限のブレーキでかつ理想的なラインで最初のヘアピンに入るか。

 

 要はチキチキレースである。

 

 負けたら相手に抜かれるか、ガードレールに刺さるか。

 

 両者の距離は縮まらず、一定を保っている。

 

 二台のエンジンの咆哮が鳴り響く。

 

 松井がコーナーの入り口を捉える。

 

 (まだだ、、もう少し、まだ、、)

 

 ブレーキングポイントを見極める。

 

 ギリギリまで引きつける。

 

 (今!)

 

 松井はフットブレーキを踏み抜かんばかりに強く踏む。

 

 一方、上田の視界はFTOの赤いブレーキランプによって照らされる。

 

 ここぞとばかりに上田はFTOのイン側に並びかける。

 

 「嘘だろ!」

 

 この飛び込みに堪らず松井は叫ぶ。

 

 そんな松井の悲鳴をものともせず、上田は攻めてゆく。

 

 インにプレリュードが付いたことで松井はアクセルを踏み込めなかった。

 

 いきなり一つ目のヘアピンで派手な追い抜きバトルが始まりギャラリーは大いに盛り上がる。

 

 松井は我を取り戻し、次のヘアピンで抜き返すべくプレリュードの後を追う。

 

 上田のプレリュードも追い上げていくFTOから逃げ切るために全力の加速をする。

 

 加速とシフトチェンジにより回転数計の針は飛び跳ねる。

 

 お互いのエンジン音が咆哮する。

 

 二台の前には二つ目のヘアピンが待ち受ける。

 

 二台はほぼ同時にブレーキングを行う。

 

 そして同時にコーナーに侵入するが、プレリュードはFTOよりも小回りに旋回する。

 

 (次だ、次で確実に抜いてやる!)

 

 松井からは明らかな焦りが見えていた。

 

 三つ目のヘアピンに差し掛かる。

 

 ここでも両者同時にブレーキングする。

 

 松井は抜き返すために早いタイミングでアクセルを開ける。

 

 旋回中のグリップギリギリで保っているタイヤにV6の強大なパワーが掛かる。

 

 しかしその強大なパワーにフロントタイヤは耐えることができず空転する。

 

 その一瞬その場に停車した時間は松井にとっては数秒のものに感じた。

 

 視界には遠くなってゆく赤いプレリュードが見えた。

 

 もうこのFTOのタイヤはバトルに耐えることができない。

 

 そう悟った松井はアクセルを緩めた。

 

 前を走行していた松井はバックミラーからFTOが消え、派手なクラッシュの音がしなかったことを確認し、そのまま高木の待つゴール地点まで走り抜けていった。

 

 

 ゴール地点にいる高木、上田、清水の元に一台のFTOが辿り着く。

 

 中から出てきた松井は清水の元に向かった。

 

「すみません、清水さん。俺…」

 

「謝るな。怪我はないか」

 

「……はい…」

 

「クルマが無事ならまた走り込めばいい。それで今回ダメだったモノを直してこい」

 

 「…ハイ」

 

 「この悔しさを忘れるな」

 

 悔しさで落ち込む松井を清水は冷静に諭す。

 

 冷たい口調からはわずかな優しさを感じた。

 

 そして清水は高木の元に歩み寄る。

 

 「さて、次はお前だ」

 

 今度は冷たく重みのある口調で話す。

 

 「そっちが先行して好きなタイミングで発進しろ」

 

 「ずいぶんなハンデだな。そんなハンデくれて大丈夫なんか?」

 

 「大丈夫だ。それが俺の流儀だ」

 

 「ほぅ…なら始めるか」

 

 

 セルが回った後、エンジンが待ち侘びていたかのように勢いよく吹け上がる。

 

 「学、お前ゼッテーやってこいよナ」

 

 「あぁ、もちろんだ。絶対撃墜してくるサ。」

 

 こんなに自信に満ち溢れた学なら絶対勝ってくる。

 

 そう信じたかったが一抹の不安もあった。

 

 だけど今は学を信用するしかなかった。

 

 ついに高木のCR-Xは発進する。

 

 次いで清水のエボⅡも発進していった。

 

 

 2Lターボプラス四駆、ラリーで戦うべく生まれてきたマシン。

 

 それがランサーエボリューションだ。

 

 少々型落ちのエボⅡであるが、0〜400の加速勝負ではあのNSX-Rに勝るとこもあった。

 

 少なからずともWRCとゆう過酷なラリーで磨かれた高いポテンシャルをもつマシンであることは確かだ。

 

 対してこちらはテンロクのFF。

 

 勝るところを挙げるとしたら1トンを切る軽さだろう。

 

 いつでもあっちはこっちを追い抜くことができるんだろうがずっと少し離れた所にに張り付いている。

 

 明らかにアクセルを緩めてこちらを観察している。

 

 しかしただ機会を伺うだけでなく、底知れぬプレッシャーを感じる。

 

 ここまでプレッシャーを感じるヤツとバトルするのはかつて東堂塾にいた時に“凄腕中の別格”とも言える先輩とバトルした時以来だ。

 

 後ろのエボⅡが放つプレッシャーに堪えるようにステアリングを強く握る。

 

 下の1コーナーが見える。

 

 ここはブラインドコーナーとなっており、左に曲がったらすぐに右コーナーがある構成となっている。

 

 普通通りにアウト・イン・アウトでラインを取ると切り返すことができず、最悪崖下に真っ逆さまに落ちる。

 

 まだ序盤の高速区間とはいえ、このようなトラップが多く点在する。

 

 高木はアウト・アウト・インのライン取りでコーナーに突っ込む。

 

 バックミラーには後ろをピッタリとくっついているエボⅡの姿が見えた。

 

 だが再び先の見えないブラインドコーナーが待ち受ける。

 

 今度はアウト・イン・アウトのラインで走行する。

 

 また同じようなブラインドコーナーがあるが同様に攻略する。

 

 その間もCR-Xの後ろをエボⅡはピッタリと張り付いてゆく。

 

 その先にはダラダラとしたラインを作りにくいコーナーの点在した区間から2コーナーを抜けるとストレートに入る。

 

 ストレートに持ち込まれてしまうと圧倒的に不利になってしまう。

 

 なので何とかストレートに入る前にマージンを取っておきたかった。

 

 しかしなかなか差は伸びない。

 

 またブラインドコーナーを抜けるとついに来た2コーナー。

 

 ブレーキを強く踏み込む。

 

 そしてコーナーにアウトから侵入したが、自分の横を物体が高速で突っ込んでくる。

 

 何と隣にいたのはさっきまで真後ろでプレッシャーを放ち続けていたランエボだった。

 

 そしてブレーキランプの赤い閃光と共に華麗に追い抜いて行ったのだった。




本文でも書いたのですが某最高モータリングの企画にて色んなスポーツカーの性能比較というものをやっていまして、そこで実現したのが本田 NSX-R vs 三菱 ランエボⅡの対決です。

V6 3L NAと直4 2L ターボの対決、0〜400のアクセラレーションでは13.2秒、13.0秒とランエボが勝ちますが、その後のバンクを抜けたあたりで逆転されてしまいます。

ですが、その一瞬でも当時の最強国産スポーツカーに勝ることもあったということで登場させてみました。
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