Mauvelhiese ~Maliugne Lufu~   作:Elenor

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Kautusumine fumi ~始まり~

(このエルナハトより遥か遠くの空の彼方に、今僕が持つ思いと似ているものはあるのかな。)

 

時々、僕の思っていることが、僕でさえ分からない時がある。だから僕は、あまり他人と関わらないようにしていた。――僕が分からないことは、もちろん他人にも分からないわけで、それで嫌な顔をされるのがもう億劫になってきちゃったから。

 

でもね、それでも少しだけ、集団で同じ話題を共有する皆を見ていると、

「ああ、みんながうらやましいな。」

って思うことがあるんだ。そういう時――まぁ、ほとんど毎日なんだけどね――僕の住む帝立学園都市にある、図書館に入り浸ってる。最初は放課後とか、授業に出ない罪悪感が起きない時間帯に行っていたんだけど、同級生の視線が段々怖くなって、今は授業に出席なんかしてない。最悪中等部三年までは出席数が成績に響かないからまだ大丈夫なんだろうけど、ホントはそろそろヤバいんじゃないか、って思ってる。かといって、同級生の目が怖いし、教室にも入りづらい。――結局、行かずじまいだ。

 

 そんなある日のこと。

 いつものように図書館に入り浸ってると、誰かに呼ばれたような気がしたから声がしたほうに首を向けると、僕より少し年上くらいの、司書をしているらしい男の人がいた。

「……君ってさ、いっつも図書館にいるよね?」

 僕は、出て行けって言われるかもしれないと思い、少し身構えた。

「ああいや、別に怒ってるわけじゃないよ?ただ、君のことがきになったからさ。」

 僕はより一層、警戒心を強くした。――だって、僕、男子の制服をきているんだよ?変な気起こしてるんじゃないかと思った。……あ、でもそれは自意識過剰か。

「……なんですか。」

「君って、いつも魔術や呪術の専門書ばかり読んでるね。」

 ――どうだっていいじゃん、そんなこと。

 僕はそう思いながら、

「それがどうしたんですか。」

って聞き返した。すると彼は、

「勉強もいいけどさ、たまには息抜きもしなきゃ、頭がおかしくなっちゃうよ?」

なんて言ってきた。

正直、ほっといて欲しかった。授業に出ていないんだから、せめて追いつけるように必死に勉強してたのに。

でも司書らしき人は、

「ワケありなら俺は止めないけどさ、詩が好きなのかなって思って話しかけてみただけだよ。ほんと、それだけの話。」

って言った。ーーなんかひっかかる言葉だった。

「なんでそう思ったんですか?」

「いやぁ、君の独り言で使われている言葉一つ一つが綺麗だからさ。」

ーーはい?

「ほら。おとといなんか、『僕が消えれば、あの空はもっと青くなるのかな?』とk」

「ほるぱぁーーーーーっ!!」

僕は必死で彼の口を押さえた。

迂闊だった。図書館なんて誰もいないとか、そんなことあるわけないのに。ーーあ、でも、言い訳させて?ほら、一人だとさ、なんか何やっても許されるような気がするじゃん?まぁ悪いことはしないんだけど、ちょっと僕、気取りたかったんだ。だからああいう独り言をいつも言っていたっていうか……、あれ、言い訳になってないぞ、僕。

「黙って下さい!!そこはそっとしておくのが常識なんじゃないんですか!?」

「そんな常識、俺知らない。」

僕がそう叫ぶと、司書らしき人は僕の両手をずらしてそう返した。

「俺は聴いてて心地いいからいいけど、ここは一応図書館だし、傍から見ると、イタい子にうつっちゃうから気をつけてね。それでもやめたくないとか、紙に書くとかそういう対策を考えるなら、いい詩人を教えてあげるから。ーーそれじゃ。」

彼はそう言うと、いつもの仕事場に戻り、帰る支度を済ませてから、もう一人の司書と一緒に図書館から出ていった。

 

余計なお世話だよ!ああもう、腹立つなぁ!!

 

僕はそう思いながら立ち尽くしてた。図書館内は、閉門を告げる鐘が鳴り響いてた。

 

それがあの人、二つ年上であるアロド先輩との、最初の出会いだった。まさか先輩と僕が、一緒に冒険することになるなんて、あの時はほんとに思ってもなかったなぁ。ーーそう、僕は旅をすることになる。

 

ーーこのお話は、 日常が非日常に変わるという、ただそれだけのお話。




どうも初めまして。Elenoreと書いてエルノアという者です。元々自分オリジナルの世界を作りたい、と思っていまして、設定を詰めに詰め込んでその上に辻褄が合うように理論づけていたんですが、ある日、物語も書きたいなぁ……なんて思ったのがこのお話を書くきっかけになりました。……いやあ、欲って怖いですねぇ(^_^;)
それはともかく。
異世界「エルナハト」にはその世界独自の言語があります。作品内でちょくちょく出すつもりなので、楽しみにしていただけたらとても嬉しいです。
ではまたお会いしましょう。
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